アナログとデジタル。
この暑さのせいか僕のデジタル一眼レフカメラが調子悪いです。
早くメンテナンスに出せばいいのですけど時間がない……言い訳ですね。
面倒臭いんです(笑)仕方なく前のカメラを使っています。
基本的に電気で動くものって暑さ寒さに弱いのかな?そんな気がします。
だから今一つ信用ならないデジタル物なんですが、
最近、フと僕の友人達、廻りを見渡すと、
アナログの物を知らない世代が随分増えて来ました。
アナログ・レコードを知らない世代、フィルム・カメラを知らない世代……。
僕なんて可成りいい年になって来ましたが、
幸いなことにアナログの最先端の技術をこの身で試し、
それからデジタル時代に突入しましたから、
両者のいい部分、ダメな部分を知る恵まれた世代だと思うんです。
若い友人に良く聞かれます。
アナログとデジタル、何がそう違うのかって。
例えば、写真で言うと、フィルム・カメラのどこがそんなにいいのかって。
勿論、デジタル・カメラのいい部分は数えきれない程あります。
手軽さ、コストの部分、後から自分で編集出来る……などなど。
でも、矢張り僕はフィルム・カメラで撮影したものをこよなく愛します。
これってハッキリ理由を言うのは難しいのですけど、
例えて言うのなら、凄くいい写真が撮れたとして、
デジタルはプリントしようとは思わないけれど、
フィルムで撮った物は引き延ばして額縁に入れてみたい感じ。
フィルム・カメラで撮った物は、手透きの高級和紙に、
墨に浸した筆で流麗な筆致で描いた山水画。
デジタル・カメラで撮ったものは、極端に言ってしまえば、
銭湯の湯船の上の風景画、2センチ角のモザイクで描いた富士山……。
そんな風に思って貰えるといいかもしれません。
もっとも、最近の技術の進歩でそのモザイクの一辺が、
凄く小さくなって来ていることは確かですけどね。
そうそう、もしデジタルカメラがなかったら、
こんなに気軽にブログを更新出来ないし(笑)
コンパクト・デジタル・カメラで写す世界……。
物凄く鮮やかで綺麗ですよね。でも、実はあれは本当の姿じゃない。
鮮やかに見せることで「いいもの」と思わせる寸法です。
極彩色で輪郭ハッキリ、見目鮮やかで直接こちらに訴える……。
例えて言うなら、それはラジカセでガンガン音楽を聴く感じに似ています。
小さなボリュームでもある程度ハッキリと「良く」聴こえる。
所が、真空管のアンプでレコードを聴く時は、
ある程度ボリュームを上げないといい音は望めません。
その違いでしょうか……デジタルとアナログの違いって……。
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ここに1枚の写真があります。
数年前のパリで撮った1枚。確かルーブル美術館だったかな?
美しい聖母と幼子キリストの木彫のポートレート。
気に入ったので手焼きで丁寧にプリントして貰ってからスキャンしました。
従って、本物のプリントはもう少し柔らかい感じがします。
この柔らかさ、木彫ならではの質感はデジタルでは出せません。
2枚目の写真は、先日、最寄りの駅前の小さな広場で撮ったもの。
しかも、常々、僕がバカにしている携帯電話のカメラで撮りました。
これはこれで可愛いですね。少女たちが落書きしたもの。
もし、フィルムの一眼レフを持っていたらそっちで撮っていました。
携帯電話のカメラって画素数やどこそこのメーカーのレンズ……。
と、大々的に宣伝しているけれど、矢張り、カメラはレンズが命です。
どのメーカーだろうと、どれだけ画素数が大きかろうと、
あんな豆粒のようなレンズじゃぁ写る物は高がしれています。
このようにチョッとしたスナップ、記録などにはいいかもしれませんが……。
芸術、文化……なんでもそうですけど、
比べるものがあって初めてその良さが分かる……真実だと思います。
本当にいい時代に生まれたと思います。
少なくともアナログの古き良き時代を知っていますから……。
草々
2010年8月29日
ブノワ。
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