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匂いのいい花束。ANNEXE。

目からウロコの出来事。

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あれは今から何年前だったでしょう……チョッと検索しても分からないのですが、
おそらく、今から25年くらい前?今、考えてみるとバブルがとっくに弾けていて、
その余韻に人々が浮かれていた時代……。

当時、就職したての若造の僕でさえ、仕事を発注していた業者に接待を受けたりしましたもん。
鮨屋に小料理屋、料亭……生意気ですよね、まだ青二才のクセに。
毎日〜帰りはタクシーね。勿論、終電がなくなる頃まで忙しく働いてはいたんですが……。


さてさて、僕は非常に多趣味です。
矢張り、物を収集するのが特に好きみたいです。所謂、コレクター?
気に入った物は兎に角、手元に置いて愛でていたい……。
物欲?所有欲?……その精神は今でも全く変わっていません(笑)
家中に溢れる物、物、物……でも、僕は自分ではとてもいい趣味だと思っています。
折角、稼いだお金をギャンブルや酒や訳の分からないオネエちゃんに注ぎ込むよりズゥ〜っとマシ。
使ったお金は全て骨董品や絵画、オリジナルプリントの写真として手元に残っています。

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さて、今日の写真……今も変わらず熱中している額縁集めの中から、
絵が入っていないものを中心に撮ってみました。
丁寧に彫刻されたもの、何層にも塗られ、それが剥がれて味になっている古い額、
欠けた部分を僕が修復して、元々の金色じゃなくてワザと深緑に塗ったものなどなど。
額縁を修復する時には、傷が全く分からないように直す時と、
直した部分がわざとハッキリ分かるように修復する時があります。

勿論、額縁ですから油絵や写真を入れてナンボです。
僕、取り敢えず鏡を入れるのは嫌いです。それは額縁、本来の用途じゃないから。
はじめに作品ありきで額縁を誂えるのもよし、はたまた額縁を買い求めてから、
その額縁に合った作品を探して買うのもよし。
ただし、この場合はサイズや縦横の比率がなかなか合わなくて苦労するんですが……。

初めにバブルの頃のことを書いたのは、
その当時、渋谷のパルコギャラリーなどて頻繁に写真展があり、
今では大御所のブルース・ウェバー、惜しまれて亡くなったハーブ・リッツ、
マイケル・ケンナ、グレッグ・ゴーマンなどのオリジナルプリントを、
薄給ながら買い求められる時代でした。初めはプリントのみで30万円〜40万円、
バブルの終焉、不景気の足音がハッキリと耳に聞こえるようになってからは、
額縁込みでその値段でした。まだまだ手軽に芸術に触れられる佳き時代……。
好い時代に生きることが出来てラッキーだったと思います。


今日のタイトルの言葉、僕の目からウロコがポロポロ落ちた出来事……それは……。
今でもハッキリ覚えているのは、パルコ・ギャラリーで開催されたブルース・ウェバー展。
普通、ギャラリーでは会場四方の壁を最大限に使って作品をディスプレーします。
所が、その時は、ほぼ一面だけを使い、大小に、そして丁寧にプリントされた先品が、
様々なデザインの額縁に入れられて飾られていました。
新しい額縁は少なく、アンティークや壊れかかったただの木の枠などに、
ブルース・ウェバー本人の手によって様々方法で作品が収められていました。
一番印象的だったのは、木枠の裏に同じ大きさのベニヤ板を貼り、
表には作品を収めた後に内寸ギリギリのガラスをはめ込み、
細い釘でガラスを木枠に打ち付けてあるものです。
これは幾つかの手製の額縁に応用しました。凄く素敵です。
自由で大胆な発想、一枚一枚の作品に合ったそれぞれのデザイン……。

僕、それまでは漠然とですけど一人の作家の個展では、
同じデザインの額縁が使われるのが当たり前だと思い込んでいました。
まさに目からウロコが落ちるとはこのこと。
この時、同時にゴールドの額縁の魅力に取りつかれた時でもあります。

以後、20数年に渡って集めた額縁の数々……。
パリの由緒正しい額縁屋、蚤の市、地方都市の寂れた骨董屋、
今はない目白のお気に入りだった額縁屋、海岸で拾って来た板で作った額縁、
フィレンツェのchieさんがやっている「OVUNQUE」の古い額縁……。
友人は「全部、掛けられるの?」と、聞きます。
…………掛けられる訳ありませんよね(笑)
いいの、それがコレクションすると言うことなんだから。

額縁は本当にいいです。小さな宇宙を切り取る矩形、
未知の世界を映し出すスクリーンを縁取る暗幕のようです……。
絵を生かすも殺すも額縁一つ。なかなかピッタリの額縁がないことも事実です。
それだからこそ面白いし、ハードルが高いからこそやりがいがあります。



最後の写真の美しいポートレート……誰だか分かりますか?
ご覧になった方も多いと思いますが、セシル・B・デミルの「十戒」で、
モーゼの妻になった羊飼いの長女を演じたイヴォンヌ・デ・カルロです。
彼女、正統派の美女なんですが、名前からも窺えるように、
この当時はわざわざエキゾチックなメイクで売っていました。
50年以上経ったプリントは見事にセピア色に変色。
この美しい写真、何と生まれ故郷の何の変哲もない、
マンガばっかり置いている古本屋のファイルの中で見付けました。
額縁は親友がパリから買って来てくれたお土産。
普通は写真にはチョッと重たいのですが、なかなか合っていると思います。


草々

2012年2月12日


ブノワ。


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by raindropsonroses | 2012-02-12 00:00 | Raindrops on roses。