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匂いのいい花束。ANNEXE。

鬼と呼ばれて。

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2月も中旬になり、巷は映画賞のニュースに湧いています。
最愛のメリル・ストリープも英国アカデミー賞をはじめ、幾つかの栄冠に輝き、
下旬の本国アカデミー賞の発表を待つばかりとなりました。

さてさて、ちょっと古くなった映画もありますが、
忘れない内に年末年始の映画の感想などをチョッと……。



 「またやっちゃった!」

これ、「インモータルズー神々の戦いー」を観終わった後の僕の台詞……。
「三銃士・王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」で大きな地雷を踏み、
それまで好調だった映画鑑賞が大きくズッコケたあと、
「ヤコブへの手紙」「ビューティフル」と感動の作品を立て続けに観て、
おぉ、これはこのまま2011年の最後まで好調を持続出来るかな?
そう思っていた矢先でした……なんと言う駄作!フィルムの無駄!(笑)
「300」は凄く面白かったので期待しちゃったんですね。
ご自慢のCGをご丁寧にスローモーションでジックリ見せてくれます。
そう、ジックリ残酷シーンをこれでもか、これでもかぁ!と大スクリーンに展開です。
もういいよ、この手の作品は食傷気味。作り手さんよ、もう少し大人になりましょう!
ドバッと盛り沢山の残酷シーンと、思わず目を覆いたくなる流血シーンの連続に、
再び奈落の底に落ちてしまったブノワ。さんでした(笑)



 「鬼っ!」

ひとしきり泣いたあと、親友は照れ隠しで僕の事をこうなじりました(笑)
親友は桁外れに涙腺が弱く、チョッとした事でも涙がこぼれます。
チョッとした事でスイッチが入っちゃうのね(笑)
この時、一緒に観ていたのは、今年の映画大豊作を願って鑑賞の新春第一弾、
ヒュー・ジャックマン主演の「リアル・スティール」です。
予告編を見た時には大して食指が動かなかったんですが、
可成りの評判の高さと、他に観たい作品がない事から今年の第1本目に選んでみました。
なかなか良かったです。涙は出ませんでしたが筋書き通りに感動させてくれる作品。
イヤな意味じゃありませんからね。程良く抑制が利いていて可成りのハイレベル。
親友は中盤からラストまで泣きっ通しでしたっけ(笑)
「なんで泣かないの?」別に泣かないからって感動していない訳じゃないのよ。
熱いものはこみ上げるけど、それが涙になるかならないかは別問題。
観客が全員、親友みたいだったら作り手はどんなに楽な事でしょう(笑)

ヒュー・ジャックマンはデビューの頃、
「ヤング・イーストウッド」と呼ばれていたのをご存知ですか?
今や彼をそんな風に呼ぶ人はいませんよね。それ程、売れっ子になりました。
売れている原因を聞かれ「オーストラリアの俳優はギャラが安いからね!」と軽口を叩く余裕。
アクションからヒューマンなものまで作品を選びません。
アカデミー賞の司会の時に世間をビックリさせた、歌って踊っての才能。
欧米の役者は凄いですね、演技が出来るのは当然で、
歌って、踊って、楽器が弾けて……本当、恐るべしです。
そうそう、彼は足が長いのも魅力の一つですね。
「ソードフィッシュ」を観た後、僕の友人(女性)が、
「あぁ、バスタオルになりたい!」とウットリしていたのを思い出します(爆)
映画を観に行って本当に良かったと思える作品は少ないです。
「リアル・スティール」はそんな数少ない中の1本、是非!



 「あり得ないっ!」

ジョシュ・デュアメルくんの大ファンである彼女は絶句しました(笑)
映画は昨年の観納めに選んだ「ニューイヤーズ・イヴ」です。
あのラストで馬車からギランギランのヒールが見えた途端に悟ったそうです。
「あり得ない、あり得ない!あんなババアとワタシのジョシュくんが!」だそうです(笑)
ジョシュ・デュアメルくんのお相手は?どの女優になるか思わせぶりなラスト。
期待したのだそうです。ハル・ベリー?……結構、いいかも。
ヒラリー・スワンクかな?……チョッとイヤだなぁ……あぁっ!スレ違っちゃった!
えぇぇぇぇぇぇ!イヤだ、イヤだぁ!もしかして!……最悪の結果だそうです(笑)

この手の作品、最近多いですね。
初めはこのテンポ、どうにかならないの?少し早すぎで付いて行けない。
そう思ったんですが、なかなかどうして、楽しい作品に仕上がっていました。
監督が誰かチェックしない僕ですが、ゲーリー・マーシャルと聞いて納得。
思う所も沢山あります。ミシェル・ファイファー……年取りましたねぇ。
すっかりおばあさんだもの。冴えない女性が夢を実現するごとに美しくなるさまは、
さすがにベテラン女優の面目躍如ですが……人気のザック・エフロンくん……小粒ね。
デ・ニーロは役者として終わってから久しいですが、相変わらずどうでもいい役者ぶり。
同世代のメリル・ストリープの変わらぬ大女優ぶりを見るとつくずく思います。
役者のキャリアって本当に分からないですね。
70年代〜80年代のデ・ニーロを知る僕等にとっては、
最近の彼の周落振りは悲しいものがあります。
矢張り、役者が商売に手を出すとロクな事ないです。
同世代のフランスのドパルデューもそう、ワインなんか作っちゃってさ。
役者稼業の方じゃ見る影ないものね……役者は役者馬鹿がいい。



 「ヤーコブ……×◯△×☆♯◇◎@♪♯×◯★※@℃&×…………。」

この何とも言えぬ郵便配達のオジさんの台詞が耳に残ります。
映画は「ヤコブへの手紙」。登場人物はほぼ3人だけ。
盲目の牧師と、その牧師の元に恩赦でやって来た元受刑者レイラ。
そして、リズム感良く件の台詞を言いながら手紙を届けに来る郵便配達のオジサン。
僕ね、こう言う映画が観たいのね。CG一切なし。そこにあるものをそのまま映し取る。
いいんですよ、CGを駆使して映画表現の可能性を極めてくれれば。
ドンパチドンパチ……あり得ない光景を大画面で見せてくれるのも映画の醍醐味だもの。
ただ、悲しいかな、CGの割合が増えれば増えるほど、
人間描写が甘くなる……これ、歴然とした事実。

美しいポプラ並木、風にそよぐ葉、降り注ぐ冷たい雨……。
老牧師と元受刑者の言葉少ないやり取りの中に、
人間が全員、心の奥底に持っている不安や希望を垣間見せてくれます。

手紙……是非、続けて行きたいツールですよね。
こう言う映画を見るにつけ、最近のSNSの軽薄さを感じずにはいられません。
人と人なんてそんなに簡単に繋がるもんじゃない!



 「自分の時はどうするのかな……。」

声にはならない独り言を言いました。
映画は「BIUTIFUL ビューティフル」……スペイン映画です。
最近、思うのね……人生そろそろ半分、最期の幕引きはどんなかなぁ……って。
突然の死って言うのも悲しいけれど、寿命を宣告されたらどうするかなぁ……って。
宵越しの金は持たず、最期に綺麗さっぱりプラマイ0がいいなぁ……って。
そんなこんな、主人公の最期に重ね合わせて観て参りました。
ハビエル・バルデム……達者ですねぇ。凄く柔軟なのね。変幻自在ですよね。
「ノーカントリー」のおかっぱなんて物凄くコワかったものね(笑)
日本の女性は彼みたいなのってあまりタプじゃないかもしれないけれど、



 「・・・・・・・・・・。」

「タンタンの大冒険・ユニコーン号の秘密」を観終わった後の友人と僕の感想です(爆)
ハァ……スピルバーグってどうしてこうなんでしょうねぇ……。
シリアス路線は兎も角、彼の子供じみた所が出るとロクな作品にならないです。
実は、タンタンがスピルバーグで映画化されると聞いた時には物凄く期待したんです。
別にタンタンは特に好きな訳ではありませんが、主演が「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベルくん!
これはこれは!期待しちゃったんですよね。所が予告編を見て「??????????」
これって実写だよねぇ?それにしてもベルくんの面影って一体どこに?
何度か予告編を見ているうちに「これってもしかしてアニメかぁ!」……ガッカリです。
アニメを見る習慣が全くない僕にとって、声の出演って言う感覚が全くないのね。
ハイハイ、大変に良く出来ています。風になびくスノーウィの毛、
雨に濡れた船員たちのセーター……どうどう?良く描けたでしょう?
ハイハイ、CGもここまで来ましたか!凄い、凄い!でもそれがどうした!(笑)
そのCGの技術を使って一体何が描きたかったの?
スピルバーグの作品としては大コケですよね?1ヶ月もしないのに上映館一館だったもの。
続編が出来そうですが、もう絶対に行かない!お金も時間も勿体ない。

今日の写真は僕のコレクションのタンタンとスノーウィ。
これ、随分と前に親友に貰ったもので、コートとかの洋服はキチンと布地で出来ています。
塗装が少しひび割れていますが、それも経年の美、僕のお気に入りです。
そうそう、この写真、ご存知の方もいるかもしれません。
僕の大の泣き虫の親友の某SNSのアイコンになっています(笑)



ここで1つ、僕とスピルバーグの貴重なエピソードを……。
今を遡ること30年前、映画「ポルターガイスト」の公開に先駆けてスピルバーグが来日しました。
スピルバーグは監督じゃなくて制作だったんですが、様々な行事の間に、
どうせなら出来上がっている「E.T.」の試写会をしてしまおう……と、
今はなき丸の内ピカデリー(現マリオン)で盛大に催しがありました。
今でこそ「E.T.」と言うと泣く子も黙る名画ですが、
当時はタイトルを聞いても何のことかサッパリ(笑)
僕は友達(いい所のお嬢さんだった)に誘われて会場に行きました。
芋を洗うが如くの会場内、スピルバーグは新進の人気監督でしたからね。

ロビーを歩いていると、一際の人だかりがありました。
気付いてみると、僕の目の前にスピルバーグが立っていたんです(笑)
お隣には通訳でいらっしゃっていた字幕翻訳家の戸田奈津子さんが……。
僕ね、図々しく戸田さんに通訳をお願いしてスピルバーグにサインを貰ったんです。
何でしょう、もしかしたらって思っていたのかもしれませんね。
僕、「レイダース/失われた聖櫃」のパンフレットを持参していました。
ここまでは何の変哲もないファンと監督のやり取りなんですが、
スピルバーグは驚く行動に出ました……僕が差し出したパンフレットの、
ジョージ・ルーカスとスピルバーグが写った見開きのページに、
何と、自分の分とルーカスの分までサインしてくれたんです(笑)
そのルーカスを真似たサインがソックリなことと来たら!

これってチョッとお宝だと思いませんか?
スピルバーグって本当に純真ないい人なんだと思います。
何もサイン貰ったからって言うんじゃありませんからね。
ただ、その純真さが変な方に向いちゃうとロクなことにはならないんですが……。


草々

2012年2月14日


ブノワ。


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