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匂いのいい花束。ANNEXE。

Benoit Magimel のキャンドル …… 誕生秘話。

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もう既に読まれた方も多いと思いますが、「マイガーデン」64号に、
僕の薔薇「Benoit Magimel」とキャンドルのことについて書かせて戴きました。
今日はもうチョッと詳しくことの成り行きを書いてみたいと思います。お付き合い下さいね。

ブノワ・マジメルから薔薇に名前を貰えることになった時、
彼の手紙の中にこんな一節がありました。

 「ドライになっちゃうけど、1輪、小箱に入れて送ってください。」

僕ね、凄く可愛いと思ったんです。フランスを代表する人気スターに失礼かもしれないけど、
僕の方が年上と言うことに免じて貰い、正直な感想を言っちゃえばですけどね(笑)

実際に株をフランスに送るのはどう考えても無理ですよね。
あれこれ試行錯誤の末、ドライフラワーじゃ色気ないし、どうせ箱に入れるにしても、
もっと素敵な演出……例えば、標本箱みたいにするとか、徐々に僕の頭の中でイメージが膨らんで行ったのです。
ただの箱ではなく、額縁のような体裁で、薔薇の下地、背景にはエドモン・ロスタンの、
「シラノ・ド・ベルジュラック」の中の詩を書き……何だかとてつもなく素敵な案に思えてきました。
さて、問題はメインの薔薇の加工をどうするかと言うこと。
なるべく生きたままの感じを残して美しいまま薔薇を保存するには?
ドライフラワーじゃなければプリザーブドフラワーにしよう!

思い立ったが吉日、早速、親友に紹介して貰った作家に製作を依頼しました。
僕が望んだのは、花だけではなく、蕾と茎、葉まで1本丸々のプリザーブドフラワーでした。
それを標本よろしく素敵に箱に入れ、ブノワ・マジメルに贈る……。
幾つかデザインを起こし、出来上がるのを今か今かと待つこと半年以上、
半ば催促するようにして手元に届いたのは、白い花は色を抜いたままの乳白色で良かったのですが、
蕾と茎がこの世のものとは思えないグリーンに染められた代物でした(苦笑)
自然界には存在しないグリーン……絵の具のチューブからそのまま絞りだしたようなヴィリジアン。
納得が行かなくて自分で自然に近いグリーンに塗り直してみたものの、
今度はトイレに置いてあるようなプラスチックの造花みたいになっちゃった……ダメだこりゃ!
翌年は違う作家に依頼してみました。花は脱色したそのままで、
葉と茎はグリーンに染めず、脱色した藁色のまま受け取る約束にしました。
しかしこちらもいつまでたっても梨のツブテ……ゆうに半年を過ぎた頃、
業を煮やして催促してみたものの、矢張り、仕上がりが今一つ満足の行くものではありませんでした。
2年連続で撃沈。ご存知のように、薔薇は一年中咲いている訳ではありません。
また頼むとしても翌年の春か秋、時間がかかり過ぎます。
これじゃブノワ・マジメルに実際の花を見て貰うことなんて、夢またそのまた夢……。

そんなこんな、ガッカリ感に打ち拉がれている時、
フと、友人たちの間で大人気のキャンドルに思いが至ったのです……。
知る人ぞ知る、大人気キャンドル作家のかなめさん。
僕は友人の薔薇マダムたちの会話の端々からその存在は知っていました。
作品は非常に入手困難だっていう事も聞いていました。
時折あるイベントでは、朝早くから並んで整理券を確保、大争奪戦の末にお目当てを手に入れるそう……。
そうやってまで手に入れたい美しいキャンドルとは一体……。


あのお上品さは、小さい頃から乳母日傘の深窓の箱入り娘だったハズのMayのオネエさま。
いいもの、素晴らしいものを知りつくしたMayのオネエさまのお眼鏡に適うキャンドルとは?

日本全国の美しいガーデンを荒らし……じゃない、研究して周り、
いいものを知りつくし、花より団子のハズのあけぽんを狂喜乱舞させるキャンドルって?

温かい家庭で育ち、感性豊かで料理上手、裁縫の腕も一流のおめめちゃん。
手作りのものの大切さ、難しさを知るおめめちゃんを唸らせた繊細なテクニックで作られたキャンドルって?

そして、独特の美意識と感性を持ち、古の美しいものに囲まれて暮らす、
オールドローズをこよなく愛する歩夢ちゃんが手放しで絶賛、心酔するキャンドルとは?


気になって気になって……チョッとおねだりしたら歩夢ちゃんがプレゼントしてくれました!(笑)
美しい小箱に入った密色のスティックタイプのキャンドル2本……僕、あまりの美しさに絶句!
かなめさんにブノワ・マジメルに贈るキャンドルを作って貰えたらどんなに素敵でしょう……。
この話しを取り持ってくれたのは歩夢ちゃんでした。本当にありがとうね!
かなめさんから戴いた二つ返事の快諾。かなめさんがドカァ〜んと送ってくださった作品群の中から、
白いスティックタイプのキャンドルに、「Benoit Magimel」の花をモチーフにした薔薇を付けることにしました。
「Benoit Magimel」のために新に薔薇のレリーフから考えてくださいました。
あとはとんとん拍子、前にも書きましたが、僕はアーチストに何かを作って貰う時には、
絶対に余計な注文、口出しはしません。初めにこちらの希望を伝えたら最小限の訂正をして貰うだけ。
今回は、ロスタンの詩の綴り1文字の間違いと、僕の薔薇のシリーズのロゴマークを入れて貰っただけ……。
この世のものとは思えない繊細で存在感のあるキャンドルの誕生です。

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今日の1枚目の写真は出来上がりのサンプルです。
薔薇のモチーフの縁にシルバーを施したもの、ピンクを乗せてあるものなど。
もう言葉はいりませんね。ただただキャンドルを目の前に溜め息をつくだけ……。
それから2枚目と3枚目は「My GARDEN」でボツになった写真(笑)
僕ね、キャンドルが消えた瞬間に立ち上る煙が好きなのね。
このシリーズ、結構、撮ったなぁ……全部ボツ(笑)
それから小さなセットを作って撮った1枚。まぁ、これはダメでしょうね。
「My GARDEN」はガーデニングの雑誌だから(笑)
でもね、清水の舞台から飛び降りる積もりでキャンドルに灯を点したんですよ!
それも3本も!どうですか、もっと一杯、燃えているようでしょう?鏡のマジックね。
今まで勿体なくて絶対に火を点けられなかったのに……。

かなめさんのキャンドルは、勿論、飾っても美しいですけど、
火を点した時の優雅な感じ、幽玄たる雰囲気は筆舌につくせません。
歩夢ちゃんなんか普段からバンバン火を点けちゃっているものね。男前!(笑)
是非、火を点してみてください。キャンドルの新しい美しさが引き出されます。

※ ここに取り上げているブノワ・マジメルのキャンドルは、
  彼本人に贈るために作られたオリジナルのものです。
  同じデザインのキャンドルを、僕の薔薇のシリーズ「ROSA BENOIT。」として販売しています。
  興味のある方は、かなめさんのメルマガに登録の上、お申し込み下さい。
  Greenfinger http://www.floralcandle.com/

  

草々

2012年9月25日


ブノワ。


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by raindropsonroses | 2012-09-25 00:00 | 儚いもの。