匂いのいい花束。ANNEXE。

霧雨に煙る……。

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朝4時に携帯電話のタイマーがなります。窓の外はまだ真っ暗……。
念のため点けた部屋の照明を落としてみます。でも山の輪郭すら見えない朝の4時、
眠たい頭をシャッキリさせるために一風呂浴びることにします。

 「ンぐぐぐぐ……ガァ〜ゴぉぉぉぉっガァ〜ゴぉぉぉぉっ!!」

隣の部屋からは地獄の底から響いて来るような轟音の鼾(笑)
誰とは言いませんが……疲れているんですねぇ……(笑)

少し明るくなるまでの時間、いつもお世話になっている方々に旅の便りを認めます。
絵葉書は昨晩一休みしたカフェで譲って貰った50年前のもの。
切手は同じく37年前の古い切手です。裏面の糊を舐めたら古い黴の味がしました(笑)
持参したパンとお茶で腹拵え。そろそろ辺りも薄ら明るくなってきたかな……。
さてさて、外は雨だけどカメラを持って早朝の妻籠宿散策と洒落こみましょう!

妻籠宿はほぼ1本道の宿場ですから、迷う道もなく、
歩けば往復30分もあれば済むような小さな宿場町です。
あっちキョロキョロ、こっちキョロキョロ、被写体を探します。
今日は少し脇道に逸れてみましょうか……。
宿から離れた宿場の端の辺りにお寺を発見。階段を上がって高台から木曽の風景を見物。

頬を撫でる風は既に初冬のそれ、階段を上がって荒くなった息が白く見えます。
上まで上り、辺りを見回すと、さらに上の方に何やら大きな木造建築が……。

昨夜、食事の時に女将さんが話してくれた廃校になった小学校のことが頭を過ります。
役所広司と小栗 旬主演の「キツツキと雨」のロケーションで使われた小学校です。
僕は偶然ロードショーを観ていましたが、まさかこの映画がこの廃校で撮影されていたとは!
映画は微妙でした(笑)淡々と、何事も驚くべきことは起こらないストーリー。
人間の営み、過疎の村、親と子の関係、引っ込み思案な若手映画監督と、
地元の営林署に勤める中年男との友情……いい題材なんですけど、
ゾンビと言う日本とは全く異質なものが入り込む事によって何となく違和感が……。

宿の若女将が「観た方いらっしゃいます?」と夕食時に質問。
食事中の7人の中で観ていたのは僕一人だけでした。
感想を聞かれ、チョッと気を遣って大人の模範的な返事をしたブノワ。さん。

 「なかなか面白かったですよ!若女将はご覧になったんですか?」

 「えぇ……。」

 「どうでしたか?」

 「全ぇ〜ん然!」

って……ズッコケちゃいました(笑)

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ようやく明るくなってきた早朝にその撮影現場となった廃校を歩きます。
霧雨に煙る木造の校舎……今は学ぶ子供の影もなく時計も止まったままです。
校庭には薄くなり消えかかった白線が雨に濡れて流れています。
ここ妻籠小学校は1997年に廃校になり読書小学校と統合。
その読書小学校も今は廃校となり、今は南木曽小学校になっています。

今、日本国中で問題になっているシャッター街、過疎の村、高齢化社会……。
昔の景色を残すためにがんじがらめの規則の中で生活する妻籠宿の人々。
若い世代は都会に出て行ってしまいます。住む人もいなくなった老朽化する家々。
規則に寄って他人に貸すこともままならず、使わなければ家は傷む一方です。
妻籠宿の問題もそうですが、何となく日本の縮図を見ているようでした。
写真を見ていると矢張り寂しいという言葉の他には何も出て来ませんね。

今日の1枚目の写真は小学校の玄関の横に据え付けてあった郵便受け。
3人でチョッと話しが弾んだんですが、これは大人の作品ですね。
これ欲しいです……子供の作だとしたら恐るべし……です。


2012年11月10日


ブノワ。


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by raindropsonroses | 2012-11-09 22:00 | 旅の栞。 | Comments(6)
Commented by hibari at 2012-11-10 08:25 x
まぁ!なんて懐かしい!
この小学校だったわ、木曽で出会った廃校。
とても広いグラウンドがあって、私が尋ねた頃より、また一段と
傷みが進んだ様子が見受けられます。
見覚えのある白い入り口。体育館か何か広い空間のある建物だっただったような・・・。

ブノワ。さんの所でもう一度出会うことができるなんて感激です。
杉でしょうか、木をふんだんに使った贅沢とも思える校舎でした。
中まで入られたのですか?
私たちが行った時は、入れませんでした。

下の方のコメント欄みたら「諏訪小学校」なんて、とんでもない勘違いの
証拠をのこしてますね!ハハ自分ながら勘違いの女王ですね。
そう、妻籠小学校。高台にあるんでしたね。
あの朝の寒さの混じった、澄んだ空気の中の散策を思い出しました。

私が行った頃、子供たちは既にバス通学でした。
不便さのあまり人口は減る一方、観光客も減るばかり。
泊まった宿のご主人が嘆いていました。

懐かしい風景のプレゼントありがとうございました。

家の中に、元気な騒々しさが戻ってきました。
疲れは取れるどころではありません。情けないけど歳だわ。
Commented by あけ at 2012-11-10 23:53 x
ブノ。ちゃん
あけも廃校に行ったけど、
なんか寂しいのと、怖いのとで、
沢山の写真を撮れなかったのよねぇ~
ブログでもUPしようとしたんだけど、
あの、赤いカーテンの影に何か写ってしまいそうな気がしてさぁ~!!
街としては学校に向かう坂道も良い感じだったねぇ~♪

で・・・・・・・ブノ。ちゃんの隣のお部屋には
きっと熊が冬眠していたんじゃないのぉ~(笑)
Commented by raindropsonroses at 2012-11-11 07:13
hibariさんへ。
おはようございます。いつもメッセージどうもありがとうございます。
この小学校は偶然辿り着いたんですが、建物の中には入れませんでしたが、校内は自由に見て回れました。いいのかな?なぁ〜ンて思いながら。不法侵入ですもんね。本校舎の他に、音楽室や体育館……いい感じでした。傷むでしょうね、使っていないのですから……何か上手く利用出来るといいのですけどね。宿場の観光客と人口減少は仕方ないのかもしれませんね。派手にやるとお隣みたいに情緒なくなるし、便利がいいと竹下通りみたいになっちゃうし(笑)観光客には来て貰いたいけど、あまり多過ぎると今度は妻籠宿に皆が求める風景がなくなる……まぁ、僕達がせっせと行くしかないですね。友人が行きたいと言っています。でも、電車だと家から5時間は掛かります(笑)
靴選びは大変だったみたいですね。自分の靴を選ぶのも大変なんだけど、チビちゃんの靴、それも2人分ですもんね!(笑)甘いもので上手くコントロールして下さい。

ブノワ。
Commented by raindropsonroses at 2012-11-11 07:19
牛スジあけぽん!
おはよう!メッセージご苦労であった(笑)
そうだよ、そりゃぁ寂しいよ。僕だって背筋がゾクゾクってする瞬間あったもの。あの辺って熊出ない?いやいや、僕じゃなくってさ(笑)確か、熊避けの鈴貸しますって言っていなかった?振り向いたら熊が立っていたんじゃ洒落にならないもの。まぁ、子供たちが通う小学校なんだから、そんなに頻繁に熊出たら困るけど、万が一って言うことあるもんね。熊とバッタリ会ったら熊が逃げたりして……いやいや、僕じゃなくってアナタでございます(笑)一緒に旅してそれぞれ勝手に写真撮って歩いて……その辺の気軽さがいいわ。しかし凄い地響きだった……朝から牛スジといい、轟音イビキといい、一生言われる事沢山あるね!(笑)

ブノワ。
Commented by mChouette at 2012-11-13 11:30
ブノワ。さん おはようございます。旅先で拝読させていただいておりました。沖縄もネェ、日常の風景となると重なる光景だわ。沖縄が抱えるしんどさが伝わってきました。
建物が朽ち果てて、それとともにそこに繋がる思い出や歴史も風化していいくんでしょうねぇ。毎日通っている街中でも、更地になって新しい建物が建ち始めると、前は何があった?って思うことはしばしば。人間の記憶っていい加減ですねぇ。だからこそ前に進んでいけるんだけど、それでも伝えていかなければならない風景とか感触までが薄れていくことに対する抵抗とか、一抹の寂しさが、こんな朽ち果てていく光景と重なるものがあるのは昭和生まれだからかな。「昭和は遠くなりにけり…」(だったかな?)そんなコピーでなし崩し的に一括りしてどんどん置き去りにされていく。美しい日本の原風景だのってもてはやされている棚田も旅人の風景としては美しいけれど、実際は苛酷な農作業を強いる環境なんですよね。
紹介されている映画は見ていない。きっとこんな木造校舎の風景におんぶに抱っこで寄りかかった感傷的な作品?では。旅館の女将さんの答がとっても率直。逞しさを感じるナァ。
Commented by raindropsonroses at 2012-11-27 06:34
chouetteさんへ。
おはようございます。ゴメンなさ〜い!お返事スッカリ遅くなってしまいました。
そうですね、人は都市へ、都市へと集まり、里はどんどん不便で暮らしにくくなります。旅先で「こんな所に住んでみたいね!」と、よく友人と話しますが、それも旅人の気軽な妄想、夢なんですよね。現実には絶対に有り得ないもの。妻籠宿では建物が傷んでも簡単に建て替えられないし、住む人がいなくなっても親類縁者にしか貸せないんですって。疲弊する一方ですね。沖縄も旅人の目と暮らす者の目と格段の差があるんでしょうね。棚田って言えば、40度はあろうかという急斜面に青々と美しくお茶が繁っていましたが、アレって危険きわまりなく却って心配してしまいました。「昭和は遠くになりにけり……。」この前「クールの誕生」って言う芝居観ました。昭和のサラリーマンの話し……記事になるかなぁ……。「キツツキと雨」ご覧になっていませんか?僕は昨日「悪の教典」今日「のぼうの城」です。日本映画は復活したのか?(笑)興味津々です。

ブノワ。