匂いのいい花束。ANNEXE。

スイッチが入る瞬間。

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早いもので今年も12月中旬になってしまいました。
年末に向けて考えるのもコワいくらいに超多忙になります……ここはどこ?ワタシは誰?
昨日は兎も角、一昨日のことはチョッと……記憶喪失ですね。

そんな中、駆け込むように映画館に通っています。
時間が出来ると取る物も取り敢えず……息抜き&充電の時間ですね。
今日は一見、何の脈絡もないように見える3本の映画に付いて書いてみたいと思います。
その3本とは「悪の教典」「のぼうの城」「007 スカイフォール」です。
そして、密かな共通点、見えない脈絡とは「スイッチが入る瞬間」です。




先ずは全く見る積もりがなかったのに、
インターネットの評判が良くて観る気になった「悪の教典」から。
実はこの作品、後にして思えばチョッと面白い出会いがありました。
前に記事にした「血の匂い……。」で取り上げた「十三人の刺客」。
幕間の休憩時間に、偶然ロビーを歩く伊藤英明に遭遇。
ここの劇場も他の劇場の例に漏れず、全く客のことを考えてなくて、
女性のトイレでいつも大変なことになっちゃうんです。ロビーに長ぁ〜いトイレ待ちの列……。
僕が女だったらトイレに並んでいる姿は見られたくないなぁ……しかも「最後尾はここです」の看板。
まぁ、その話しは置いておいて。トイレ待ちの女性でごった返すロビーを、
伊藤英明が同年代の男性を引き連れてゆっくり横切ったんです。
美丈夫ですよね。体格はいいし物凄いハンサム。辺りを払うとはこのこと。
皆、一目で伊藤英明と分かるものの、誰も声を掛けられません。
そこだけスポットライトが当たり、サぁ〜っと道が開きます。
今にして思えば、もしかしたら「悪の教典」の撮影中か撮了直後か……。
映画で観た「ハスミン」が乗り移ったかのような近寄りがたさでした。

今やインターネット全盛です。
よく遊びに行くブログでの評判を読んで観に行く積もりになりました。
勿論、勝手な心理なんですが、ロビーで僕の目の前を横切った伊藤英明に親近感持っちゃたの(笑)
この作品、人によっては「不謹慎」とか何とか言われそうですよね。
僕が気に入ったのは、そんなこんな、上っ面の倫理観を一切合切を取っ払ったブッ放し感!
それからユーモアのセンスがありますね。死にかけた学生が、

 「ハスミン、僕、東大に行かなくちゃ……。」と、今際の際の一言。
 「……行けるかな?」だったっけ?

それを受けたハスミンが「To Die ?」……ズドォ〜んです。

一見、狂気と正気の境目が全く分からないハスミンのスイッチが入った瞬間。
それは、また上手くやり通せると確信していた殺人が、ヒョンなことから露見してしまった屋上のシーン。
ここ、コワいですねぇ……殺戮シーンよりもっとコワい。変な汗出る(笑)
ハスミンの顔がサッと一瞬、狂気の顔に変わります。正気の微笑みが狂気の真顔に。
伊藤英明って物凄く上手い役者なんじゃないでしょうか。
所で、この作品、続きがあるの?どうやって作るんでしょう。
伊藤英明 怪演!これって彼にしか出来ないんじゃないかな?代表作になりましたね。
平 岳大が同性愛の美術教師を、普通に等身大に演じて好感が持てました。




これまた全く観る予定はなかったんですが、
同じく「血の匂い……。」で取り上げた「藪原検校」の野村萬斎が主役だもの!
ブノワ。さん、惚れちゃったんです、野村萬斎に(笑)
いそいそと行って参りました「のぼうの城」……色々と気になるところはあります。
人気の子役のためにわざわざあざといシーンが用意されていることもそうだけど、
舞台でも映画でも、字幕やナレーションで説明されたくないのね。しかもナレーション軽い!(苦笑)
簡単に端折っちゃいけません。ストーリーを語る力量がない証拠だもの。
特に映画はアップがあるじゃないですか。目線一つで物語らせなきゃ!編集で幾らでもどうにでもなるじゃない。
そんな中、矢張り1番気になったのは現代言葉を喋る俳優がいること。ノリが「今」なのね。
この辺はどうなんでしょうね。時代劇の格調高さはなくなりますね。
役者の大きさや懐の深さが大きな差となって見えた作品でもあります。

前田 吟、いいつの間にか大ベテランの域に。大きく大地に足がシッカリついた農民を好演。
佐藤浩市、いい役者になりましたねぇ……姿がいいです。
この作品でさらに男っぷりを上げたんじゃないかな。
石田三成を演じた上地雄輔、なかなか達者なんじゃないかしらン。

のぼうさま、でくのぼうの成田長親を演じた野村萬斎は破格ですね。

 「ひょろろん ひょろろん れろれろれろや……。」

田楽踊りのシーンは野村萬斎の独壇場です。このシーンだけでも観る価値がある。
木偶の坊で、一見、頼りにならない長親。身内からもバカにされ疎まれていますが、
実際は土塩っ骨が一本通っていてなかなかの策士です。
計算づくではないものの、天性の人柄が領民を魅了します。
子供をあやす顔、身分の隔てなく領民に声を掛け接するその姿は、
色眼鏡でモノを見ない領民にとっては愛すべき存在で、一番頼りになる「のぼうさま」なのです。
その、のぼうさまのスイッチが入る一瞬は、甲斐姫を秀吉に差し出せと言われるシーンではなく、
可愛がっていた領民の赤ん坊を敵方に殺され、その亡骸を見た瞬間です。

 「イヤなものはイヤなのじゃ!」

と、ダダをこねているようにも見える長親も、この時ばかりは真顔になります。
普段、大人しい男が怒るとコワいですね。元々、根性座っているから。

豊臣側の長束正家を演じた平 岳大と、大谷吉継を演じた山田孝之……。
前日に観た「悪の教典」に続くお目見え(笑)人気なんですね。
2人とも全く違った役柄を演じていてなかなかのものだと思いました。

果たして邦画は復活したのか……。
アニメとテレビ局製作の大作ばかり……どうでしょうねぇ。




最後は観る気満々で劇場に駆け付けた「007 スカイフォール」。
ダニエル・クレイグのジェームズ・ボンド、初めは賛否両論、喧喧諤諤、大変でしたが、
もう文句を言う人はいないんじゃないかしらン。
007シリーズくらいですね、クォリティーを落とさずに50年ですって!
ダニエル・クレイグ版になって俄然、面白くなった訳は、
何だか怪し気な最新兵器じゃなくて、ボンドが身体を張って危機に立ち向かうからに他ありません。
一時期「007」が面白くなくなった時代がありました。
ヘンチクリンな新兵器、コメディー調の作風……悪役がジョーズとかね(笑)
宇宙に行っちゃった「007 ムーンレーカー」が一番詰まらないんじゃないかな。
今回も、Mですら引退勧告を受け、ニキビ面のヤングQの登場に驚き、
やれ「新旧交代」だの、「本当に自信がある?」など、年齢を感じさせられることが多々あります。
それでも走る、走る、走る……息が上がろうとへたり込もうと、兎に角、走るボンドは美しいです。
何だか訳の分からない安っぽい三流女優ボンド・ガールが出て来ないのも宜しい(笑)
今回のボンド・ガールは何と言ってもジュディ・デンチだものね。
身体を張って「Gun & Radio」……止めの武器は……だもの。

ボンドにスイッチ入る瞬間が3回ありましたね。
先ずは冒頭。信頼していたMがイヤホン越しに「Take a bloody shoot !」と言うのを聞き、
しかも、味方の狙撃で列車から落ち、九死に一生を得たボンドが、
スッカリやる気をなくし隠遁生活をおくっている時、
ニュースで見たMI6の本部爆破によって目が覚めるシーン。
それから愛車「アストンマーチンDB5」が爆破されたシーン。
でも、確実にスイッチが入ったのは、ラストのあのシーン。
男の涙は簡単には流さないのですよ。

ダニエル・クレイグ、ボンド絶好調(髪の毛はもう少し長い方がいい)
ハビエル・バルデムは「ノーカントリー」の殺人鬼が強烈過ぎたので、
今一つ不気味さが伝わらないけど、どの作品でも彼独特の世界を作るのが物凄い魅力。
Mへの倒錯の愛、組織の裏切りへの逆恨みと怒り……。
Mのジュディ・デンチ、素敵な衣装着ていますねぇ。豪華な花道となりました。
老境に差し掛かりこれだけ売れている女優も珍しいです。
ボンド・ガールのベレニス・マーロー……哀しみと憂いをたたえてゴージャス……好みかも(笑)
今や飛ぶ鳥を落とす勢いのアデルの主題歌、今年、最も満足度の高い1本でした。

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写真は「のぼうの城」に因んで兎。
確か、のぼうさまの陣羽織の背中に描かれていなかった?
箱根塔ノ沢の「福住楼」の玄関先にあります。
来年も行くのだ、「福住楼」……正月の恒例、吉例となりつつあります。
さぁて、今年の〆は何の映画にするかな?「ホビット」?「レ・ミゼラブル」?
それから、新年の観初めは?年末年始の作品の良し悪しで、
1年の映画の当たり、不当たりが決まりそうに思うのです(笑)


2012年12月9日


ブノワ。


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by raindropsonroses | 2012-12-09 00:00 | 映画館へ行こう。