匂いのいい花束。ANNEXE。

書かれた嘘、書かれない真実。

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 「篤也さんも逃げて!」

彼女はたった一言、そうメールをして来ると何処かへ避難して行きました。
丁度2年前の東日本大震災のあと、
福島の原子力発電所が大変なことになったスグ後だったように記憶しています。

逃げてって言われてもねぇ……。
東京で独立して仕事を頑張っている親友からも連絡がありました。

 「ねぇ……連絡あった?逃げてって言われてもねぇ。
  あの人、一体どんな仕事の仕方をしているんだか……。」

彼も同じことを思い、疑問を感じたようです。
そうなんですよね、僕も彼も個人で仕事をしていますから、
年度末の3月はパッツンパッツンに仕事の予定が入っています。
お客さまの都合でキャンセルにでもならない限り、
雨が降ろうが、槍が降ろうが、風邪を引こうが、極端なことを言えば、
親に何かあっても現場には這ってでも行かなければなりません。
震災当日のことは前に記事にしました。
結局、帰宅出来ずに地方都市のカプセルホテルで一夜を明かし、
翌朝、ようやく動きだした電車で一旦帰宅、取るものも取り敢えず、
メチャクチャなダイヤ、ギュウギュウ詰めの電車に乗って、
その日の仕事先に行って打ち合せに入った時、
テレビの巨大なモニターに映し出された、
初めて見る東北地方の惨状に言葉を無くしたのを覚えています。

身の危険を感じて避難した彼女のことを兎や角、言う積りはありません。
それは彼女のスタイル、それが可能だったから早々に避難したのでしょう。
でも、普通は避難するのは簡単じゃありません。僕は今、ここで生活しています。
仕事に責任があるし、猫もいるし薔薇もあります。一人で生きている訳じゃありません。
庭に大判小判がギッシリ詰まった壺が幾つも埋まっているか、
スイスに隠し口座でもあって(笑)巨万の富を持っていて、
仕事をしなくていいご身分なら別だけれど……。
今、ここでコツコツ仕事をしている。ここが生きる場所……逃げる訳には行かないのです。
逃げて戻って来た暁には、仕事なんか一つもなくなって、
猫共々、路頭に迷うことになっちゃうもの……。

インターネットのニュースや掲示板などで書かれていることは重々承知です。
自分の身体のこと、将来に不安がないと言えば嘘になります。
でも逃げる訳には行かない……責任ある社会人ですから。
僕、既に家族もいませんしね。天涯孤独……ここで踏張るしかないのです。

件の逃げた彼女が何を切っ掛けに、何を安全と判断して東京に戻って来たか知りません。
どこか、例えば、若い頃に留学していた外国の町にでも逃げたのかな?と、思っていましたが、
どうやら実家がある九州に避難していたと風の便りに聞きました。
不思議なもので、何となくそれが切っ掛けで疎遠になってしまいました。
震災以降、人も人と人の関係も、取り巻く世界も一変してしまいました……。

3月11日がやって来ると、この友人の事を思い出します。
今はどこで何をしているのか……調べれば分かるけど、
それもしようとは思いません。この日をキッカケにそれぞれ右と左に道を違えました。
チョッと寂しくて物悲しい想い出。



今日のお題「書かれた嘘、書かれない真実」ですが、
怖いのは、インターネット上に書かれた嘘です。
インターネット上に書かれたこと、全てが真実ではありません。
コピーされ、何件も何件もペーストされることにより、
それはいつしか真実になる……少なくとも真実に見えるようになる。
反対に決して書かれない真実もあります。
書かれないからと言って、そこに真実が存在していない訳ではない。
何が事実で何が間違っているかを見極めることは難しいけれど、
下手をするととんでもない間違った判断をする羽目になってしまうかもしれません。
例えば、ブログやSNSのようなものだけを見てその人を判断するのは危険ですよね。
そこに一体どれだけの真実が書かれているのか……。

このブログを見ている友人によく言われます。

 「いいねぇ。いつも楽しそうで。
  美味しいもの食べ歩いて、あちこち遊びに行って!」

何も心配事がなく、猫に塗れてお気楽に見えるようです(苦笑)
そんな事はないのですけどね……この年になっての悩みは多いです。
気楽に見える?そりゃそうです。しかつめらしい顔していたって何も問題解決しないし、
僕のブログは美しいことと薔薇に関するブログです。
人生の悩みや苦渋をつらつら書いたってしょうがないものね。読む人もイヤだろうし……。
それを望む人は他のその手のブログに行けばいい……僕はそう思います。

旅に出るのは日頃、頑張っている自分へのご褒美。
美しいものを沢山見ることで生活が豊かになり、
仕事へのヒント、明日への活力にもなります。
何も贅沢に外食三昧している訳ではありません。殆どは自炊です。
ただ、新しくオープンしたてで頑張っている若者の店や、
チョッと経営が苦しいお気に入りの店に友人を集って食べに行きます。
僕なりの頑張っている人への応援です。

 「えぇ?またあのお店?」

でも、付き合ってくれる友人は理解してくれていると思います。


応援ということで、なかなか思うように進んでいないのが、
震災後の復興ですね。遅々として進んでいません。支援の仕方もそれぞれですね。
一番大事なのは、自分の身の丈にあった支援の方法を考えることじゃないでしょうか。
身の丈に合った……大事なことだと思います。
無理して大枚叩いて大金を寄付するより、コツコツ息の長い支援が必要です。
それからじゃんじゃん働いてお金を稼ぎ、使って回す、
経済を活性化することも必要じゃないかな。
今、何らかの理由で具体的に支援できなくても、
いつも困っている人たちのことを気に掛けているだけでもいいと思うの。
何れ、何か出来るようになった時、その時に繋がるじゃないですか。
あと、支援したくても、現在の自分の生活が大変で出来ない人もいます。
何もしていないように見えるからと言って一概に攻めるのもお門違い。
自分の考えに染まない人を責め、見下し、目の敵にする風潮がありますもんね。

書かれた嘘、書かれない真実……。
ブログなどで書かなくてもコツコツと支援している人は沢山います。
人はそれぞれです。考え方、発信の仕方、行動の仕方も十人十色。
優しい心根を表現するのに道は一つではありません。


2年前の3月11日以降、日本の全ての人の生活が一変してしまいました。
直接、甚大な被害にあった方々は勿論、
直接ではないにせよ、目に見えない形で様々な影響を受けた人々。
自分を含めてですが、人も変わりました。人も人と人の関係も変わってしまった……。
今までは共通の趣味などで繋がっていて、仲が良いと思っていた人の、今までとまた違った姿。
それも元々はその人が持っていたものなのだから、僕が気が付かなかっただけかもしれないけど、
それはそれ、悲しいけれど、それぞれが一番と思う道を歩むしかないのでしょう。
これからは流言蜚語に惑わされず、真実を見極める目を持って、
自分の考えをしっかり持って過ごしていこうと思います。


2013年3月11日


ブノワ。


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by raindropsonroses | 2013-03-11 00:00 | いつも心に太陽を。