匂いのいい花束。ANNEXE。

猫ちゃん、アナタは何を見上げているんですか?

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拝啓

Dさま、その後如何お過ごしですか?
先週は忘年会の幹事、ご苦労様でした。
お陰さまで素敵な一時を過ごす事が出来、皆、大層喜んでいます。

さて、Dさんはジャン・コクトーがお好きなんですってね。
隣のAさんとお話ししているのをチョッと小耳に挟んじゃいました。
今日は先日のお礼にジャン・コクトーの猫の写真を同封しますね。

この写真は、10月にパリに行った時に足を伸ばして訪れた
Milly la Fore と言う小さな村にある、ジャン・コクトーの礼拝堂の猫です。
この村には、晩年のコクトーが住んだ家も残されていますが、現在は非公開です。
礼拝堂は町の中心部から5分ほどの村外れにあります。
元々は、ハンセン氏病の患者のための病院の付属の礼拝堂でした。
今では病院は取り壊されて、礼拝堂だけがひっそりと残り、
庭には当時をしのばせる薬草が沢山植えられています。
ここにも、ターシャ・テューダーの庭にも植えてあった、
薬屋の薔薇の異名を持つ「Rosa Gallica Officinalis」が植えられていました。
礼拝堂の名前、「Chapelle St-Blaise des Simples」は、
その昔、薬草でハンセン氏病を治したと言われている St-Blaise に因んでいます。

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昼時で休憩に入ったのどかな村は殆ど人を見掛けません。ランチは、地元でも有名な、ホテル兼レストランの「Le Cygne」で、ツナのサラダとハムのステーキ、デザートには桃のシロップ煮を頼みました。サラダは野菜とツナ&マヨネーズ、ステーキはポテトがほくほくだった他は普通、デザートも大きい桃1個にしっかり種が入っていてご愛嬌……何の変哲もない昼ご飯ですが、数年来、ズゥ〜ッと訪れたかったMilly la Fore で、親しい友人と食べるランチは別格です。





時間は少し早かったのですが、プラプラと村を散策するつもりで出発です。
結局、礼拝堂には開門時間の1時間も前に到着(笑)友人は礼拝堂で一休み
僕は、その先の国立薬草園へ。旅先の親切に心暖かくして戻ってみれば
何と、こちらでもビックリする事が。入り口で待っていた友人に
ランチから戻って来たマダムが「アナタ、ずぅ〜っと待っているわねぇ
もし良かったら時間前だけどお入りなさい」と、声を掛けてくれたんだそうです。
しかも、30分も前ですよ!本当にフランス人は親切ですね。
念願叶って入る礼拝堂は静謐そのもの。床下にはコクトーが眠り、
祭壇の右側にはコクトー自身の写真、左側には、最愛の人ジャン・マレーの写真。
そして、手前のケースには、生前、何よりも手が美しく写っている事に執着していた
ジャン・コクトーらしく肘から先の腕のオブジェが飾られていました。
礼拝堂内には、コクトーが描いた薬草が天井まで線画で伸び伸びと描かれ、
ジャン・マレーのナレーションが静かに響き渡るのでした……。
愛情の形は人それぞれです。死んでなお、愛する人と一緒にいられるのは
これ以上ない幸せの形なのではないでしょうか。

さて、この猫ちゃん、祭壇から入り口を見て右側にいました。
猫好きらしいジャン・コクトーが描いた可愛らしい猫です。
下から飼い主のコクトーを見上げているようで微笑ましいです。


敬具

2005年12月11日


ブノワ。


[Jean Cocteau (1889~1963)]
[Jean Marais (1913~1998)]
[Chapelle St-Blaise des Simples/01 64 98 84 94]
[Le Cygne/22, Place du Marche 91490 Milly la Foret/01 64 98 80 48]
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by raindropsonroses | 2005-12-11 00:00 | 旅の栞。