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匂いのいい花束。ANNEXE。

涙目の女達……プラダを着た悪魔。

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拝啓

早いもので今年も11月下旬になりました。そろそろ師走の声か聞こえて来ました。
穏やかな毎日が続きますが、Bさん、その後、お変わりありませんか。

さて、パリ〜スペインの旅から帰り、丁度、3週間が経ちました。
疲れも取れ、スッカリ元の生活のペースに戻った感じです。
バタバタしていて映画館にも行けず、禁断症状が出ていた映画もポチポチ観始めました。
昨日は待ちに待った「プラダを着た悪魔」を観て来たんですよ。
ブランドには興味がない僕が、唯一、持っているプラダのシャツを着てね(笑)
待ちに待ったと書きましたが、実はこの映画、パリ行きの飛行機の中で観ちゃったんです。
日本語吹き替えで3回も!物凄くラッキー!(笑)公開前の観たい映画が
機内上映で掛かるなんてまずありえませんからね。本当に幸運でした。
普通、僕は機内では映画も観ないし、音楽も聞かないのです。
勿論、どんな映画をやっているかはチェックします。でも、よほどの事がない限り観ません。
だって、あらかじめ、「この映画はお客さまのビデオに合わせてアジャストしてあります」と、
但し書きが出るように、オリジナルとは程遠い代物ですからね。
今まで、面白いと思ったのは、劇場で観ていた「ジュラシック・パーク」のみ。
機内ではあの手の上映時間がそれほど長くない娯楽作品が一番かも知れません。

さて、ローレン・ワイズバーガーの「プラダを着た悪魔」の映画化が決まり、
メリル・ストリープがタイトル・ロールを演じると聞き原作は既に読んでいました。
それで、メリル・ストリープのプラダを着た悪魔っぷりはどうだっかと言うと、
もっと居丈高でヒステリックな印象があった原作のミランダ・プリーストリーですが、
低い声と抑えた演技に終始するメリル・ストリープ、スッカリ裏をかかれました。
それ程、アップを多用しないカメラ・ワークなのに強烈な目力、眼光鋭く
目の演技で新人のアンドレア(アン・ハサウェイ)を恐怖に陥れます。
エミリー(エミリー・ブラント)のピリピリした演技がミランダの恐怖を映す鏡になり、
さらにストリープの演技を引き立てます。相変わらずの舌を巻く芸達者振り。
ストリープ狂いを自認する僕が一番嬉しかったのは、久し振りに彼女が美しかったこと。
シルバーに染めたショート・ヘアも絶妙に似合い、次々に変える衣装も豪華そのもの。
これは長年メリル・ストリープのヘア・メイクを担当しているJ・ロイ・ヘランドの功績。
パリのホテルでついついアンドレアに生活の疲れ、己の弱い部分を見せるシーン、
顔色も悪く弛んだ肌と昼間のきらびやかな世界で見せる着飾った虚像の姿との対比。
ただ単に、強烈な個性の仕事人間として、アンドレアを脅かす悪魔として描くのではなく
一人の人間としてキチンと描かれている事のこの作品の奥行きを深くしている要因でしょう。
目で部下を震え上がらせながらも、部下の仕事を理解し、キチンと評価する。
アンドレアがそれに気付くまで、ミランダの信号を理解するまでそれほど時間は掛からなかった。
何故なら、2人とも似た物同士だから……コメディー、「ハリウッドにくちづけ」で
アカデミー賞にノミネートされ、一時期コメディーに立て続けに出演し
失敗した感があるストリープですが、この「プラダを着た悪魔」は
久し振りにクリーン・ヒット、この分で行くと14回目のノミネートも夢じゃないかもしれません。

「I love my job, I love my job, I love my job………………。」
呪文のように自分に言い聞かせてパリ行きを夢見て頑張るいつも涙目のエミリー。
失敗し、ついつい大きな目からこぼれそうになる涙を歯を食いしばって堪えるアンドレア。
人には「ドラゴン・レディ」「氷の女王」と恐れられながらも
家庭内の不和でアンドレアにホロリと涙を見せるミランダ・プリーストリー。
まさに鬼の目に涙、仕事に追われながら、自分の夢に向かって
一生懸命になり自分を見失いそうになりながら女達は一つの目標に向かって、
いい雑誌を作るためチームを組みます。何も鬼上司にこき使われ、
私生活を犠牲にしているのは部下だけではない、その鬼上司も家庭の問題を抱えている。
涙しながら働いているのです。こんな細かい部分の描写が映画を魅力的にしています。

写真はこんな映画が出来るとは露程も思わない5年前の新年。
新世紀を友人夫妻とパリで祝った僕は、皆が三々五々、帰国したあと一人でパリに残りました。
ホッとする間もなく1週間のフィレンツェ旅行です。パリから夜行でフィレンツェ入り、
貸し切り状態の美術館三昧と日帰りの小旅行をし、また夜行でパリに戻ると言うものでした。
その時はフィルはデジカメを持つなどとはこれっぽっちも思わず、
フィルム・カメラ一台+50ミリのレンズを持って写真を撮り歩いた時のものです。
これはどこだったか、フェラガモだったか……ショーウィンドウのディスプレイです。

そうそう、機内上映を見ていた僕の友人T.T.さん、後半のパリのシーンで
本物のヴァレンチノがカメオで出て来るシーン、映りが悪いモニターのせいか
僕のモニターを覗き込んで一言、「だれ、だれ?あっ!みのもんた?!」ですって。
た、た、確かにヴァレンチノとみのもんた、顔の作りも色の黒さも似ているかも(笑)
「プラダを着た悪魔」はもう一度、観に行きます。今度は友人を誘って、
親友も観たいって言いますし、近々、遠路遥々、遊びに来る友人もいます。
精々興行収入に貢献しないとストリープの次の作品が来なくなりますから(笑)
Bさんも是非どうぞ!ファッションに興味があるBさんは必見ですよ。


敬具

2006年11月21日


ブノワ。


[The Devil Wears Prada/プラダを着た悪魔 (2006)]
[プラダを着た悪魔/The Devil Wears Prada (2003)]
[Lauren Weiseberger (1977~ )
[Meryl Streep Online Simpylstreep. Com/Meryl Streep (1949~ )]
[Anne Hathaway (1982~ )]
[Emily Blunt (1983~ )]
[J. Roy Helland (1943~ )]
[Jurassic Park/ジュラシック・パーク (1993)]
[Salvatore Ferragamo]
[みの もんた/Monta Mino (1944~ )]
by raindropsonroses | 2006-11-21 00:00 | 映画館へ行こう。