庭は心の様相……。
Wさん、お元気にお過ごしですか。新年もアッと言う間に5日ですね。
Wさんは2日から仕事とか、相変わらず人気商売は辛いですね。
さて、僕の新年は例年になくスロー・スタートです。年末は何だかんだと野暮用で大忙しでしたが、
新年はゆっくり薔薇の手入れをしながら過ごしています。お節料理も新年会もありません。
猫にはお年玉としてチョッとお高い鰹節と煮干しを振る舞いましたけどね(笑)
我ながら真面目だなぁと思いながら元旦から始めたバルコニーの薔薇は随分と片付き、
ある程度、全体の形が見えて来ました。小さい鉢の剪定と雑草取りまで終わり、
あとは大きい株の植え替えと、ツル薔薇用の柵を設置する作業と誘引が残るのみ。
作業の合間に思うのは、今のマンションに引越して来て12年目、
コンクリートだけのバルコニーも薔薇やオリーブなど、他の植物も大きく育ち、
随分と自然な感じになって来たと言う事です。
ローマは一日にしてならず、庭は簡単には出来るものではありません。
植物が十分に育ち、自然の風合いが出るまで、矢張り、4〜5年は掛かるでしょうか。
好きな植物をポンポン買って来て並べたって庭とは言えません。
僕はなるべく沢山の薔薇を育てたいので他の植物はなるべく置きたくないんです。
他の草花を一鉢買うのなら薔薇を一本買いたい(笑)世の中には素晴しい薔薇が沢山ありますからね。
ここ2年程は思い通りに作業が出来、それなりに満足しましたが、その前の2〜3年はヒドかった……、
毎日が忙しい事に加え、精神的にも時間的にも全く余裕がない状態。
水やりや簡単な剪定など、最低限の世話しかしないバルコニーは悲惨な状態でした。
春は自然が薔薇を咲かせるものの、それ以降は雑草が生い茂り、下手をすれば水も満足にあげず、
冬になって気が付けばとっくの昔に枯れている株もありましたし……。
しかも、自分でも驚いてしまったのは、冬の作業時に枯れてしまった株を見付けても
全く何も感じない事でした……心が麻痺した状態……。
庭は心の様相が現われるといいます。園芸に限らず趣味全般に言える事ですが、
身体が健康で日々の生活に余裕がないとダメですね……。
この写真はルイ14世、太陽王が作らせたヴェルサイユ宮殿の隣に位置する、
「王の菜園・Le Portage du Roi」で撮影しました。
一見、無造作に見える菜園ですが、そこはキチンと計算されつくした植栽になっています。
太陽王が食する果物や野菜は形が不揃いでは困る……。
全てに万遍なく陽が当たるように計算されて植えられたと言うよりは、
無理矢理人間の手で幾何学模様に誘引された洋梨や林檎、プラムの樹が笑えます。
例えば、一番多いのが漢字の「出」の形。これだって1年や2年では出来ませんからね。
1枚目の写真のように、所々にここを管理するの学生に寄る素敵な演出もあるんです。
ボロボロの椅子、決して座る訳ではないけれど物凄く感じいいと思いませんか。
日々の憂欝な出来事や嫌なことをガーデニングで紛らわせる事も覚えました。
不思議な事に、土をいじっていると心が落ち着くんですよ。
最近はメジロのさえずリも聞こえて来ますしね。
植物は愛情をかければ必ず応えてくれます。人間相手ではそうは行きませんものねぇ……(笑)
今年はどんな花が咲くでしょう。今から5月の満開時が楽しみでなりません。
敬具
2007年1月5日
ブノワ。
[王の菜園/Le Potager du Roi/rue Hardy. 01 39 49 99 91]
[Louis XIV de France (1638~1715)]
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