匂いのいい花束。ANNEXE。

一億、総……。

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前略

Kさん、暖かな3月になりましたがお元気ですか。
何でも友人から聞くところによると、Kさんもブログを始めたんですってね!
どうですか、エラい事に毎日更新しているそうじゃないですか。
実は、僕もやっているんですよ……ブログ。でも、URLはお教えしません(笑)
その内、検索で引っ掛かれば一発で分かりますよ。
お互いに趣味は一緒ですからね……それ迄のお楽しみね。

所で、考えてみれば不思議な世の中になったものです。
昔から「一億総〇〇時代」とはよく言われたものだけれど、
今や、一億総評論家、一億総文筆家、一億総カメラマン、一億総料理研究家、
一億総タレントのへんちくりんな時代になりました。プロもオチオチしていられない、
下手をするとアマチュアの方がクォリティが高かったりしますからね(笑)
それでは、プロとアマチュアの違い、境目はどこにあるのか?
単にお金になるかならないかの違いと言ってしまえば身も蓋もないけれど、
才能があるのに、不幸にも全く売れず、一銭にもならないプロはだしのアマチュア。
才能もないのに、ただただチャンスを巧く掴んだお陰で、また時流に乗っただけで
プロとして生計が立つ限りなく素人に近いプロ……本当に様々です。
「才能もないのにタレントとはこれ如何に?」の連中がブラウン管を占拠し、
溢れるばかりの健康番組と料理番組、ワザと間違えて笑いを取るあざといクイズ番組の数々。
売れなくなったタレントが旅の徒然をレポートし、大袈裟なリアクションで美食レポート。
本当は報道せねばならないニュースをそっちのけで、下らない個人的事件を
キワもの的&三面記事的な乗りで、週刊誌並にハイエナ振りを発揮して伝えるニュース番組。
いつどこの局を見ても、巨大芸能事務所と関西のお笑い系の面子がひしめき合い、
結婚、離婚、出産、個人的な病気の経過まで……お涙頂戴で自分の私生活を切り売りしているタレント。
また、それを心の奥底で軽蔑しながらも、それを当たり前のように見させられている僕達……。

こうして文句を言っている僕も取り留めもない文章と写真を毎日ブログで公開している。
その気になれば、世界中の誰もが見る事が出来るインターネットに個人的な事を公開している。
何とも摩訶不思議な世の中になったものです……。

「限りなく限りある才能」を切り売りし(売れていないけど・笑)
毎日〜何のためにブログを書くのか?なるべく個人情報を隠している積りでも
矢張り、自分の私生活にある程度まで突っ込んで書かないと表現出来ない世界。
枯渇寸前、風前の灯のわずかな才能(あるとすれば……)を振り絞って書く文章、
ヘボ写真の中から無理して選んだ写真……ブログを書くことで自己満足?
自分の記事と写真を眺めてはウットリと自己陶酔するほどお目出度くもなし、ヤワでもなし。
また、そこまでうぬぼれてもいないし……人とは違う物を作りたい、
常に個性的でありたいとは思うけれど……。

たまに今日みたいにシニカルになってしまう事があります。一体、今のこの世中って何?
ちょっと距離を置いてみれば実に不思議な世界になったものだと思うんです。
プロとアマチュアの境がなくなりつつある今、また、誰しもが簡単に自分を表現出来る現代。
それはそれで、プロもアマチュアもお互いに大変な世の中になったものだと思います。

今日の写真は、フィルム・カメラを持ってパリを夢中になって歩き回った時の1枚。
オルセー美術館のアール・ヌーボーのコーナーにあるブロンズの彫刻、
Alfred Druryの傑作「L'Esprit de la Nuit」です。
頭上からピンスポットが当たっているこの僕のお気に入りの写真だって、
オリジナルの陶然とする美しさには到底太刀打ち出来ません。
暗闇にポッカリと浮き上がるこの美しい彫刻……言葉を失うほどでしたもの。
大自然をフィルムに写しても、このように優れた彫刻を自分なりに写しても、
結局は大自然の偉大さと人さまの作品の力を借りてフィルムに定着しただけ……。
自分のオリジナルとは一体なに?自分らしさってどうやって出せばいいの?
なかなか奥が深く、また複雑な物がありますね。
グジュグジュ言っていないで、ひたすらシャッターを押す、キーボードを叩く。
それしか方法はないのかもしれません(笑)


敬具

2007年3月5日


ブノワ。


[Alfred Drury (1898~1905)]
[Musee d'Orsay/オルセー美術館 オフィシャル・サイト]

★追伸、メッセージを下さった方へ。所用があって少し返事が遅れます。
 必ずお返事しますので、もう少し時間を下さいね。

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by raindropsonroses | 2007-03-05 00:00 | 向き向きの花束。