匂いのいい花束。ANNEXE。

フランス革命のヒロイン…Mlle. de Sombreuil。

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拝啓。

Aさま、その後お変わりありませんでしょうか。
連休も終わってしまいましたね。
ご家族でチョッと遠出をすると仰言っていましたが天気の方は大丈夫でしたか?
僕はも間近に迫った薔薇の満開の季節に向けて最終準備です。

さて、先日お尋ねがあった薔薇の寿命についてです。
薔薇の寿命ってどれ位なんでしょうね……。
10年を目安に花付きが悪くなると言われています。
10年で枯れると言う事ではありません。
段々、花付きが悪くなるそうです。勿論、栽培の条件にもよりますね。
中には樹齢何十年、それよりもっとと言う薔薇もありますから。
一般に、薔薇は前年に伸びた枝に、翌年、花が付くと言われています。
野薔薇に接がれた部分からシュートと言う
新しく元気のいい枝が出て古い枝と入れ替わります。
ですから、僕等、薔薇を育てている者にとって、このシュートは非常に大事でして、
大事に育てて翌年に備えなければいけません。いいシュートが何本か出れば
古くなった枝を根元から切り落とし、枝の新旧を交代する訳です。
そうして薔薇は命を長らえて行く、再生し、いつまでも新鮮でいられると言う訳です。
ただ、シュートがジャンジャン出る品種はそうありません。
花付きが悪くなったり枯れて行く枝に較べて、新しい枝は出にくいのです。
反対に、シュートが次々に上がって来る種類は樹が大きくなりますね。
ウチは鉢植えと言う事もありますが、なかなかシュートがでなくて困っています。
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今日の薔薇はオールド・ローズの「Sombreuil」です……いや「Sombreuil」でした。
この純白の愛らしい薔薇、2枚目の写真をご覧になればお分かりのように
チョッと面白い形をしていますね。
ナイフで横からスパッと切り落としたようにも見えます。
元々、花弁が大きい品種ではありませんが、中心に向かうほど花弁が小さくなります。
花は常に2〜3輪の房咲きになり、葉は少し艶やかな皮質の物が疎らに付きます。
匂いは典型的なティーの匂い。鉢植えのウチにしては珍しく、
結構な割合でシュートが出ます。枝振りは直立性でお行儀良く、
刺は鋭いですが非常に育てやすい薔薇です。

「アメリカばら協会」によると、現在、流通している「Sombreuil」は、
非常によく似た1959年作出の「Colonial White」なのだそうです。
従って、1850年に作出され、従来「Sombreuil」と呼ばれていた薔薇の名前を
「Mlle. de Sombreuil」と訂正し、現在、普通に流通している「Sombreuil」を、
モダン・ローズの「Colonial White」、
ラージ・フラワード・クライマーに分類するとしたそうです。
要するに、今までオールドローズと思って育てていた「Sombreuil」が
モダン・ローズの「Colonial White」になり、
オリジナルの「Sombreuil」が「Mlle. de Sombreuil」と、名前が変わるそうです。
では、この「Mlle. de Sombreuil」はどこにあるかと言うと、
パリ郊外のライ・レ・ローズに植えられているそうですが、
この薔薇は大変珍しいらしいです。一時期、両者は同じ薔薇として扱われ、
別名として「Colonial White」の名前が付いていましたが、
ハッキリと別の薔薇として分類された訳です。まぁ、アメリカの意見です。
まだ僕の周りでこのことを言う人はいません(笑)それに、幾ら似ているからと言って、
こんなに個性的な薔薇が他にあるでしょうか?「実はあの薔薇は◯◯だった」……
「Irene Watts」の例もありますからね。もう少し成り行きを見ていたいです。

「Mlle. de Sombreuil 」……マドモワゼル・ソンブレイユ……。
フランス革命のヒロインとして有名なこの女性の父親は、
革命当時、バスチーユの武器弾薬庫の管理を担当していたソンブレイユ侯爵です。
市民によるバスチーユ監獄襲撃で武器弾薬庫が襲われ、責任者であった彼は、
後に罪を問われて捕らえられます。父親の死刑執行の知らせを聞いた、娘、マリーは
革命派に父の助命の嘆願書を出します。革命派が出した条件、
それは、処刑された王党派の血をグラス一杯分、
綺麗に飲み干せば父親を助ける……と、言うもの。
この条件を見事に果たしたマリーのお陰で父親は命を助けられたと聞きます。
父を思う娘の必死の愛情……何とも血なま臭いエピソードのこの薔薇、
そんな事を想像もさせないくらいに純白で清楚です。


敬具

2007年5月9日


ブノワ。


[Sombreuil (ClT) Robert, 1850]
[Marie Maurille Virot de Sombreuil (1774~1823)]
[Charles Francois de Virot de Sombreuil (1725~1794)]

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by raindropsonroses | 2007-05-10 00:00 | 薔薇の名前。 | Comments(14)
Commented at 2007-05-10 00:11 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by シュエット at 2007-05-10 16:28 x
ああ、真っ白な薔薇。有難うございました。
ゆっくり画面を見させていただきます。
Commented by きんぎょ。 at 2007-05-10 17:57 x
ブノワ。さん^^こんにちは。
まあ、気になるバラを次々と・・・。
ソンブレイユ、先日タカシ○ヤのばら花壇で初めて意識して実物を眺め、魅了されてきたバラです。
そう、あのスパッと・・・の切れ味がたまらない表情で、わたしは・・・
ウェディングドレスとペチコートのようだと思ったのでした*^^*
う~ん、コロニアルホワイトとは呼べないわ(笑)
ミル・・・ならぴったり。シャルル・ド・ミルの切り口(笑)もついでに思い出します^^
Commented by meadow child at 2007-05-11 00:02 x
こんばんは。
そしてありがとうございました。

バラの成長の仕方は他の植物に比べて独特ですね。
枝の更新がとても早く、これもバラが永年植物たる所以
なのでしょう。
特に春、勢いよく伸びた枝先にたわわに花をつける
姿などは、枝葉に流れる養分や水分がエネルギーの
流れとして目に見えるかのような勢いを感じます。
活力に満ちていますよね!

以前写真で見た中国山奥でのモッコウバラの自生地や
リージャンロードで発見されたというその場所や
話に聞くヨーロッパの修道院などに生きる古いバラなど、
いつかそんな景色を見てみたいものです。
植物を自生地で見るのはなによりも興味深いことですね。

ソンブレイユにも思い出があります。
そのようなエピソードがあったとは初めて知りました!
Commented by raindropsonroses at 2007-05-11 13:33
月夜の晩さんへ。
こんにちは。スッカリお返事遅れました、ゴメンなさい。
そうでしたっけ、あそこはたった2日間だけ?もっとも、六本木界隈は僕の行動範囲じゃないので(笑)あまり苦になりませんが……でも、物凄い人出でしょうね。あそこ、普通に入れるスペースもいい感じですよね。サントリー・ホールに行った際、何回か足を伸ばしてみましたが、人影少なくゆっくり出来た覚えがあります。薔薇だけじゃなくて、桜、紫陽花……花のある所人ありです。だから僕はウチで育てています(笑)

ブノワ。
Commented by raindropsonroses at 2007-05-11 13:36
chouetteさんへ。
こんにちは。返事、遅れてゴメンなさいね。
例のメール、どうなりましたか?急ぎませんので、時間がある時にでもどうぞ。
白い花は撮るの大変なんですよ(笑)残念ながら、なかなかいい写真が撮れた試しがありません。chouetteさんに楽しんで貰えるような写真が撮れるといいのですけど……頑張ります。

ブノワ。
Commented by raindropsonroses at 2007-05-11 13:42
きんぎょ。さんへ。
こんにちは。連休明けは一気に夏みたいですね……お元気ですか?
この薔薇もなかなか綺麗に撮れません。白い花は元々難しいのと、スパっとした切り口がどうにも絵にならないんです。平板になっちゃうんですね。ここ数年、ジッとしたままの「Sombreuil」ですが、今年はシュートが勢い良く出て来ていて僕を喜ばせています。高島屋に植えてありましたか……それは粋な選択ですね。こんな薔薇をドレスにあしらったら綺麗でしょうね……でも、生花は使えませんね、花保ち悪いですもんね、花びらが散ったら縁起悪いし(笑)

ブノワ。
Commented by raindropsonroses at 2007-05-11 13:52
meadow childさんへ。
こんにちは。そして、いえいえこちらこそ(笑)
仰言る通り、薔薇って独特の育ち方をしますよね。もっとも、僕は他の植物に関してはまったくの門外漢ですが、普通は、ジックリ、ジックリ、長い年月をかけて大きくなるのに、薔薇は数年で入れ替わりながら大きくなって行きます。そうそう、家の近くで株元が僕の二の腕くらいもある巨大な「Pierre de Ronsard」を発見!そろそろ咲き始めていて、満開の頃はそれは見事でしょうね……。あまり人の手をかけずに自力で大きく育っている薔薇を見ると言葉を失いますね。名前なんかとっくに失われているのでしょうけど、「それが何だ!」と言う神々しさがあります。修道院跡の薔薇……なんでこんなに惹かれるんでしょう……まだ、発見されていない薔薇が沢山あるのでしょうね。そう考えると夢が膨らみます。いつか「Sombreuil」の思いで話をお聞かせ下さい。きっと、素敵なエピソードなのでしょうね……。

ブノワ。
Commented by M2co at 2007-05-11 19:35 x
ブノワさんこんばんは。またまたご無沙汰しました。
さて今回のお題(バラについてのコメントは墓穴を掘るので控えますが・笑)“マドモワゼル・ソンブレイユ”の逸話は、今までに私が読んだフランス革命に関する本には載っていなかったので初耳でした。興味深い話ですね・・・今度機会がありましたらその逸話が記された本を教えてください。読んでみたいと思います。
血なまぐさい話にまつわる純白のバラ。何だか不思議です。
Commented by raindropsonroses at 2007-05-12 06:33
M2coさんへ。
おはようございます。お元気でしたか?
残念ながら、これは本で読んだのではありません。薔薇好きならある程度の人は知っているかと……フランス革命にまつわる逸話はそれこそ星の数ほどあります。今度どこで読んだかお教えしますね。父親思いの娘と純白の薔薇、深紅の薔薇じゃなくてよかったと思っています。生々しすぎますもんね(笑)所で、「マリー・アントワネット」はご覧になったのかな?

ブノワ。
Commented by しん at 2007-05-16 20:59 x
ブノワ。さん
一昔の私が、今日の薔薇を見たら「本当に薔薇なの?」って言ってたと
思いますね。ブノワ。さんのお陰で、カタチとか香りの表現とか勉強に
なりますもん~「アメリカばら会」の見解・・・なんだかお国柄が表れていますねぇ(笑)
Commented by raindropsonroses at 2007-05-17 06:54
しんさんへ。
早ですね、あまり薔薇らしくない形かもしれません(笑)非常に平べったいですから、中央部の花弁はとても細かくなります。いい薔薇ですよ。皆さん、それぞれに薔薇のイメージがあって面白いですね。僕はね、ないんですよ、ある特定のイメージって……中には葉を見るまで薔薇だって分からない種類も沢山ありますけど……。最近はDNA鑑定とかで科学的に分析され、謎とされていた薔薇の素性が分かって来ましたが、僕はチョッと謎のまま、伝承などで靄がかかっていた方が薔薇らしくていいのに……そんな風にも思います。何でも白日の下にさらされるのもチョッと……(笑)
Commented by yasuyasuyassy at 2007-05-17 22:53
ブノワ。さん
こんばんは。そういうことだったのですね(笑)寿命があるのですね。
でも10年って凄いですねぇ。でも種を取れば増やせるのですよね?え?そんな簡単に言うなって?(笑)・・・色々大変なのでしょうね。
この薔薇、綺麗ですねぇ・・・綺麗な白に濃いグリーンの葉っぱ。
最後のフランスのエピソード・・・凄いですねぇ。何だかフランスらしいかな?とも思いますが・・・先日先生からギロチンの話を聞きました。僕の生まれ年までやっていたとか・・・

やす
Commented by raindropsonroses at 2007-05-18 23:35
やすさんへ。
そう、全てのものに寿命はあります。桜の樹だって50年って言われているんですよ。
日本の桜の樹って殆どのものが台木に接いであって、その寿命がとっくに50年は過ぎているんだけど……やっぱり生き物って不思議です。所で、薔薇は種では増やせません。同じ種類を掛け合わせても、先祖のどこかの部分が出て来ちゃいますから全く同じ薔薇は出来ないの。だから、同じ品種を増やすには、芽接ぎ(葉の付け根に芽がある。これを薄くスライスして台木に埋める)切り接ぎ(枝を切って台木に接ぐ)それから挿し木しか方法がありません。古い薔薇ってフランスのものが多いから、どうしてもこんなエピソードがふんだんに出て来ちゃう。ギロチン、そう、最近まであったんですよね……フランス、凄い国です(笑)

ブノワ。