匂いのいい花束。ANNEXE。

秘密、秘密……男の隠れ家。

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拝啓

長い梅雨に入りました。Oさん如何お過ごしですか。
僕はね、すっかりグロッキーです(笑)薔薇も猫も人も我慢、我慢、我慢の入梅です。

さて先日、話し損なったノルマンディーのタクシー運転手のムッシュの事です。
あそこの村には、所謂、足になる交通機関がありません。バスは当てにはならないし……。
ホテルにはレンタルの自転車があるみたいですが、他はディエップからタクシーを頼むしかありません。
村の中は健脚なら歩ける距離ですが、旅は長いですカメラなどの荷物も重たいし、
上手に予定を組んでタクシーを頼むのが一番。ディエップからタクシーで一路ホテルへ。
例の美味しい魚のスープとランチを楽しみ、
森の中を抜ける近道を「Parc Floral du Bois des Moutiers」に向かいます。
この庭園は4回目ですが、フランスに来るなら何度も訪れたい場所。
ゆっくり園内を歩き、しっかり記憶と写真に収めたあと、門の所でタクシーを呼びました。
そこに現われたのが、その世にも親切な運転手のムッシュだったのです。

僕等の予定では、「Parc Floral du Bois des Moutiers」から車で20分ほどの
「Chateau de Miromesnil」まで行って貰い、閉園時間までの小一時間、駐車場で待って貰って、
その晩の夕食に予約していたレストランに送り届けて貰うものでした。
フランス語がペラペラのTさんが運転手のムッシュと交渉、快くOKを貰うといざ出発です。
ムッシュとフランス語で盛り上がるTさん(笑)そんなこんなしている内に、
ムッシュから驚くべき提案が。もし良かったら築300年の自宅を見に来ないかと言うのです。
遠慮はいらない、写真に撮ろうが何しようが構わないし、兎に角、遊びに来いと。
勿論、何事にも遠慮深くて奥床しい日本人の僕等、最初は断りましたが気分は既に築300年の家へ(笑)
結局、家の隅から隅まで、居間は勿論、寝室やダイニング、果ては地下のワインセラーまで!
それから何が始まるかと思えば、セラーから赤ワインを1本出して来たムッシュ、
お近付きの印にと乾杯と相なった訳です。奥さまも始めは戸惑い気味だったけれど、
オツマミにサラミを切って来てくれたりサービス満点。
アッと言う間に楽しい時間は過ぎ、後ろ髪を引かれつつ、一路、レストランへと向かった訳です。

レストランでゆっくり美味しい食事を楽しみ、ホテルまでのタクシーを呼んで貰おうとすると、
何故かレストランのマダムは困り顔、普通、夜のその時間にタクシーを呼ぶのは難しいそうなんですが、
そこに現われたのは件のムッシュ!快くホテルまで送って貰い、折角、何かの縁なんですから、
翌日のホテルからディエップまでの足も頼みました。時間にキッチリ迎えに来てくれるムッシュ、
駅まで送って貰い、何と、駅のブラッセリーでカフェをご馳走してくれ、
オマケに僕等全員にそれぞれのイメージで古い展覧会のポスターをプレゼントしてくれたんです。
一体、何て言う親切!タクシーに乗った縁でここまで親切にしてくれるとは……。
余程、僕等一行が人のいい顔をしていたか(笑)初めての日本人が珍しかったか(笑)
ただでさえ素晴らしいノルマンディーの小旅行がさらに素敵な思い出で一杯となりました。
袖触れ合うも多少の縁と言います。同じ日本人なのに旅先で困っている僕等の目の前で
大きく罰点を作り拒絶する偽善者もいると言うのに(笑)ムッシュの親切は一生忘れられません。

今、写真を焼き増ししたりプレゼントを買ったりして箱詰めしているところです。
ムッシュは今、タイで友人とバカンス中です。フランスに帰る頃を見計らってお礼の品を送らなければ……。
写真はムッシュが最後に見せてくれた母屋の離れにある自分の隠れ家、自分だけの城です(笑)
色々なブリキのオモチャや趣味で集めたコレクションの数々が所狭しと並んでいました。
早めにリタイヤして家の手入れをしつつ趣味に興じる……。
タクシー運転手はほんの小遣い稼ぎ程度なのでしょう。
これらの宝物を嬉々とした眼差しで見つめるムッシュの顔が忘れられません。


敬具

2007年7年17日


ブノワ。


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by raindropsonroses | 2007-07-17 00:00 | 旅の栞。