匂いのいい花束。ANNEXE。

マダム、あなたに会いに……。

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マダム・M。

お元気にお過ごしですか。先日はわざわざ礼状を戴き大変に恐縮しております。
日本茶の詰め合わせ、大層、お気に召したみたいで僕としても嬉しい限りです。
玉露、宇治、焙じ茶……今度はどれがお気に召したか聞かなければ。

今回、フランスに薔薇を見に行くにあたって、それはそれは盛り沢山の予定や目的がありました。
訪問地も、最終的にどうしても行きたい所に絞るのが大変に困難でした。
マダムもご存知の通り、フランスには素晴らしい庭園が沢山ありますからね。

そんな中、僕がどうしても友人達を連れて行きたかったのがマダムが働く庭園、
植物好き垂涎の「Le Bois des Moutiers」だったんです。
僕自身は今回の訪問で、秋と春、合わせて4回目の訪問になります。
時間が許すのなら、毎回パリから足を延ばして尋ねたいと思っているくらいなんですよ。
日本では今、イギリスのデヴィッド・オースチンが作出した一群の薔薇が大人気です。
それらはイングリッシュ・ローズと言い、毎年〜それは素晴しい新品種を発表するんです。
既に200種類に達しようと言う、そのイングリッシュ・ローズの中の一本に
「Gertrude Jekyll」と言う薔薇があります。ご存じ、有名なイギリスの園芸家の名前を冠した薔薇です。
マダムがいらっしゃる庭園は、同じくイギリスの建築家エドウィン・ルテンスが建築を手がけ、
偉大な園芸家ガートルード・ジーキルが庭園のデザインを手懸けたのです。
後からそれを知ってみれば「なるほど、だから素晴らしいのか!」と、合点が行くのですが、
知らなかった一番最初の訪問時は、何故、こんなフランスの田舎の村に
こんなに素晴らしい庭園があるのか訝しく思ったものです。
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僕と友人は、庭園の入り口でチケットを買い、先ずは目玉であるホワイト・ガーデンへ。
残念ながらメインの薔薇「Iceberg」は世代交代で以前の立派な苗はなかったけれど、
クレマチス、紫陽花、薔薇、ルピナス……およそ、考えられる限りの数の白い花が
非常に上手に高低差を利用しながら所狭しと植えられていました。
門からホワイトガーデンに続くロング・ボーダーにはモスの「William Lobb」が植えられ、
大きくて絶妙の形に剪定された生け垣を潜る度に上がる声にならない感嘆の声。
普通よりも色濃いノアゼットの「Crepuscule」、や
自然のそのままの樹形が美しい「Mutabiris」や「Tuscany」や「Francois Juranville」、
寄り添う形で這い上ったハズなのに、いつの間にやらスッカリ元の樹を覆い尽くすように
まるで白い大きな綿飴のように天に向かって咲き誇る薔薇……。
1枚目の名前の分からない黒い薔薇は何度見てもため息物です。
薔薇だけじゃない庭園はいつの季節に訪れても素晴らしい様相を呈します。
今日は先日訪れた時に撮った写真を同封しますね。
マダムは毎日〜季節の移り変わりを見ていらっしゃいますからね、
写真なんかその素晴らしさの何分の一も魅力が伝えられないとは思いますが、
そんな僕の驚愕と感動の一部を知って戴ければと思います。

最後に、マダムは手紙に書いていらっしゃいましたね。
勿論、僕のことは覚えているけれど、僕が何故、わざわざ日本から
お茶の詰め合せセットを持ってお礼に来たか理由が良く分からないと書いてありました。
訪れた当日、マダムがお休みだと聞いて、受け付けの若い女性にお茶とメッセージを託しましたが、
僕がマダムに親切にして貰ったエピソードはチョっとマズイかなぁと思い伝えなかったのです。

マダム、あなたは2年前の春、僕が2日続けて庭園を見学に行った2日目、
入場料の6ユーロをサービスしてくれたのですよ!
6ユーロを差し出す僕にニッコリ笑って「あなた、昨日も来たでしょう?だからいいわよ」って。
お互いに言葉は上手く通じないけれど、何だか僕にはマダムの気持ちがとても嬉しかったんです。
だから、お茶は僕の細やかなお礼、日本茶は始めてと仰言るマダムが喜んで下さって何よりです。
次回のフランス旅行の時も必ず遊びに行きますからね!
またお目にかかれる日を楽しみにしております。
夏のバカンス、素晴らしいものになるといいですね。お元気で!


2007年7月24日


いつまでもあなたのブノワ。より。


[Gertrude Jekyll (1843~1938)]
[Sir Edwin Landseer Lutyens (1869~1944)]
[Gertrude Jekyll (ER) Austin, 1986]
[David Austin Roses/David Austin (1926~ )]
[Iceberg (F) Kordes, 1958]
[William Lobb (M) Laffay, 1855]
[Crepuscule (N) Dubreuil, 1904]
[Mutabilis (C) probably from China and introduced to Italy, pre-1984]
[Tuscany (G) probably of Italian origin, pre-1596]
[Francois Juranville (R) Barbier, 1906]

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by raindropsonroses | 2007-07-24 00:00 | 旅の栞。