匂いのいい花束。ANNEXE。

王の菜園からの手紙。

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前略

梅雨ももうスグ明けようとしています。Mさん、その後、如何お過ごしですか。
あまり調子が良くないって風の便りで聞きましたが無理は禁物ですからね。
僕は毎日バタバタだけど、そろそろ秋の剪定に向けてあれこれと考えている所です。
いつもは春の後は放ったらかしなんですけどけ……今年はチョッと真面目なんです(笑)

さて、昨日のこと、出掛けのポストにMさんからの絵葉書を発見!
しかもフランスからじゃありませんか。もうビックリしちゃいましたよ。
オマケに何処かで見慣れた図柄だと思ったらヴェルサイユの「王の菜園」からじゃないですか。
いつかお教えしたのを覚えていて下さったんですね。Mさんならきっといらっしゃると思っていましたが、
いやいや、僕はここ暫らく行っていませんので嬉しいやら懐かしいやら。

所で、感想が少しだけ書いてありましたが、片隅の小さな薔薇園はどんな感じだったのでしょう。
まだ薔薇は咲いていましたか。今年はフランスも暖かな春だったと聞きます。
あそこの菜園はルイ14世に一年中新鮮な野菜や果物を食べさせるために、
温暖な環境を確保するため周りの土地よりも一段低くなっていますから、
薔薇も早く終わってしまったのではないかと心配しています。
そうそう、結構、手入れが行き届いていなくて雑草が生えていたんですってね(笑)
まぁ、どこそこの庭園じゃありませんからね。それほどムキになる必要もないのかもしれません。
あそこの菜園は国立の園芸学校の生徒によって管理されているハズです。
そこここに生徒による色々な遊びが仕掛けてありませんでしたか。
今日は僕が最後に行った時の写真を何枚か同封しておきますね。
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そうそう、一枚目の写真!僕が今までの生涯で見た一番怪しい花、
危険な匂いのする芥子の写真です。色は綺麗なラヴェンダーですが、まさに禁断のラヴェンダー。
何とも危ない匂いが漂っています(笑)思わず撮る時に周りを見回しちゃいましたもんね(笑)
まぁ、ここは国立の菜園です、あらゆる植物が植えられていてもおかしくないです。
そうだ、日本産の茄子もありましたっけ(笑)

兎に角、ルイ14世はナルシストの大食漢だったそうですね。
戦場にまでお抱えの宮廷画家を連れて行っていたそうです。
王様のお口に入るものに虫食いの穴なんてもってのほかだし、
形も寸分の違いなく揃っていなければならない。不揃いの果物なんか出したら首が飛びます(笑)
まんべんなく太陽光線を浴びさせるため、果樹はとんでもない形に誘引され、
オレンジは夏は外に、冬場は室内に移されるために鉢植えにされ、しかも移動しやすいように
車輪付きの飾り箱に入れられる。そして、巨大な温室オランジェリーが建てられる。
食べるだけではなくて、もしもの時のために薬草が所狭しと植えられていたのでしょう。
海は遥か遠く、現在のように冷凍の技術も無かった当時は膨大な量の氷を使って決死の運搬……。
王の魚と言えば、料理人ヴァテールもそれが原因で自殺したようなものですしね。
現在のフランス料理の基礎を作った人達の苦労=移り気で我が侭勝手な
王侯貴族の胃袋を満足させる料理を作るのが目的だったのでしょう。
僕等が現在、フランス料理と言って美味しいものを食べて喜んでいる陰に、
色々なエピソード、色に関する悲喜交々の逸話があるんですよね。

今度ゆっくりフランス旅行の話を聞かせて下さいね。
楽しみにしています。これから暑さ本番です、呉ぐれもご慈愛下さいね。


草々

2007年8月1日


ブノワ。


[Louis XIV de France (1638~1715)]
[Francois Vatel (1631~1671)]

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by raindropsonroses | 2007-08-01 00:00 | 旅の栞。