匂いのいい花束。ANNEXE。

薔薇幻視……孔雀と薔薇と香りの杯。 その1

e0044929_16165717.jpg

拝啓……M・Nさま。

秋の虫の声が聞こえるようになった今日この頃、
如何お過ごしですか?仕事の方は相変わらず忙しいですか?

晩春の薔薇の頃、M・Nさんに思わずプレゼントして戴いた
中井英夫の「薔薇幻視」ですけど……何と言う偶然か、
まるで導かれるように、その後、直にパリに向け旅立つ事となりました。
季節は初夏、6月の薔薇の真っ盛りの頃です。
薔薇気違いの僕は、パリ郊外の薔薇園、植物園、庭園、
薔薇が沢山植えられている秘密の中庭……カメラを持って撮影して廻りました。
旅支度のカバンの片隅には M・Nさんに戴いた「薔薇幻視」。
一日中歩き回ってアパートに帰り、食事の後、ゆっくりと風呂に浸かり
ワインのグラスを傾けながらこの「薔薇幻視」のページを捲ったものです。
e0044929_16173411.jpg

ノルマンディー地方に小旅行のあと、いよいよ「バガテル庭園」です。
旅程の都合や、薔薇の開花状況で、仕方なく満開の日曜日に訪れました。
矢張り、想像していましたが、人、人、人……何処を見回しても人の山。
それでも、満開の薔薇を目の前にすると言葉が出て来ませんね。
夢中でシャッターを切り、匂いを嗅ぎ、名前を確認する……。

まるで、普段着では薔薇に失礼と言わんばかりに完璧に着飾った老紳士、
彼女とおぼしき女性に夢中で薔薇の説明をしているハンサムな男の子、
杖をつき、歩くのもやっとだけど、今日ばかりは踵に羽根が生えたかのように
軽やかな足取りの白髪の老婦人……皆さん、本当にし合わせそうな表情で、
目が合うと思わずどちらからともなくニッコリです。

生憎、僕には毎日〜の水遣りや病虫害の処理など現実問題が山積ですから、
著者の中井英夫のように薔薇に物語を感じたり、詩的な感情は浮かびません。
自らの住居に「流薔園・るそうえん」と名付けた中井英夫です。
彼なら、また違った思いをした事でしょうね……。


「なにがこの美を保たせているのか。答えはただひとつ”静けさ”の他にない。」

「薔薇幻視」中井英夫 著 より。


その2に続く…………………………………………………………………………………………………

2005年9月10日

ブノワ。


[中井英夫 (1922~1993)]
[薔薇幻視/「薔薇幻視」中井英夫 著 佐藤明 写真(1975)]

★皆さんご存知の「駒場バラ園」さんが今年一杯で規模を縮小されます。
 現在、近くの新公園予定地に「駒場バラ園」さんの貴重な薔薇を移植する
 署名運動が始まっています。HPを見て趣旨に賛同された方は、
 HP右側の「最新記事」の上から二番目に、是非、コメントを書き込んで下さい。
 ヨロシクお願いいたします。
[新・駒場バラ園を作る会]

ほっとけない 世界のまずしさ

http://hottokenai.jp/index.html
[PR]
by raindropsonroses | 2005-09-10 00:00 | 旅の栞。 | Comments(10)
Commented by しん at 2005-09-10 00:14 x
本日もお見事です。圧巻!こんな素敵な庭園に行くのなら私だって、少しは「おめかし」しますわよ。行って見たい!と本当に思いました。これだけ咲いてると香りも堪らないでしょうね・・・・
Commented by raindropsonroses at 2005-09-10 00:51
しんさんへ。
こんばんは。どうです、綺麗でしょう?僕はT-シャツにジーンズでしたが背中がシャンとしましたもん。匂いはね、これだけ咲いていると物凄そうですが、やっぱり、作られていない自然の匂いだから、それほどぶつかり合わないのね……そよ風に心地よく香っていました。

ブノワ。
Commented by G・d・D at 2005-09-10 08:21 x
ブノワ。さま
おはようございます。
今朝は4時30分に目が覚めました。(何者?)
一仕事終えて・・・と、いいたいところですが、秋の剪定、まだ一株も手をつけていません。つる薔薇でさえトレリスやオベリスクはまったく使っていないので、いい感じに薮になっているんですよ。
そうでない薔薇たちもまだ蕾をつけているものが多く、いったいどこから剪定を?って感じです。でもそろそろ今日当たり手をいれなければなりませんね。ブノワ。さんの方はいかがですか?

端正な表情の『バガテル庭園』、さすが手が行き届いていますね。
一斉に開花した薔薇たちにも強い生命力を感じます。
またParisに行く機会が得られれば、マルメゾンを訪れてみたいのですが、現在の姿はどんな感じなのでしょう?実は今年の秋からマルメゾンを育てます。やはりうどん粉女王にはそれなりの覚悟が必要でしょうか?今年の春は風通しが悪い事もあって覚悟はしてましたが、思った程でもなく、いちばん泣かされたのは『Variegata di Bologna』ぐらいでした。「薔薇幻視」はまだ店頭にての入手は可能なのかな?スゴいタイトルですよね?(笑)
Commented by raindropsonroses at 2005-09-10 09:05
G・d・Dさま。
「薔薇幻視」は文庫本になっていますから入手可能です。但し、1900円!
秋の剪定は伸ばしに伸ばし、そろそろいい加減にやらなければと思っています(笑)今日、明日ですかね……出来ればやりたくないんですけどね(笑)どっちにしろ、僕の場合はチョイチョイ剪定です。
「バガテル庭園」ですが、本当、綺麗に手入れが行き届いていますね。感心しちゃいます。
マルメゾンですが、ハッキリ言って行かなくてもいいんじゃないかな……それくらい、今のマルメゾンは寂しい感じですよ。結局、あそこから、ライ・レ・ローズなどに薔薇が移ったんだから、ちゃんと整備&移植して、当時の面影を彷彿とさせるまでにしなければダメだと思います。あれじゃぁ、ジョセフィーヌが可哀想。僕等、薔薇ファンも可哀想(笑)花壇は荒れ、スカスカで、殆ど薔薇なんて植わっていませんよ!自腹切ってもいいから何か植えたいって感じです。
薔薇の「マルメゾン」は本当に厄介(笑)幸い、病気で葉が落ちても、枝が枯れ込んでも、新しい物がどんどん出て来ますからいいんですけど、花が美しいだけに、もう少し病気に強ければ……と、残念でなりません……。

ブノワ。
Commented by ダヴィデ at 2005-09-10 13:56 x
夢のような庭園ですね〜こんな庭園、日本では絶対みられないですね。庭園を管理する人もそうとうな努力のたまものだと思います。薔薇を愛する意識がとてもすぐれているのでしょうね。いいかげんな自分を改めて反省させれる、美しい写真ありがとうございます。
Commented by raindropsonroses at 2005-09-10 14:48
ダヴィデさんへ。
こんにちは。本当、「夢」でした。「覚めてくれるな」と念じながら歩き回りましたよ(笑)手入れは大変みたいです………秋に行くと、円錐形のサイプレスの剪定をやっていましたが、巨大なコンパスみたいな物をあてがって、これまた、巨大な鋏でチョキチョキやっていました(笑)きっと、薔薇だけではなくて、花が生活の一部として定着しているんでしょうね。伊豆の河津に「バガテル庭園」の姉妹庭園がありますが、まだ行った事はありません。チョッと恐いのと、どうせ行くなら薔薇の木が育ってからと思っていますので……。

ブノワ。
Commented by kaori at 2005-09-10 21:29 x
こんにちは!
なるほど、それで今日の記事楽しみにということだったんですね!
私の見た暑さに疲れたバラとは違い、全体で見ても生き生きとしている感じがします!!!
やっぱり季節に行くのが一番ですね☆
このバガテル園はこの前初めて行ったのですが、とっても気に入りました。
家からは少し遠いのですが、また足を運びたいと思ってます。冬はあまりお花が咲いてないかな??
Commented by Brighton Rock at 2005-09-10 22:38 x
ブノワさん、混んでる日曜日なのに写真に人が映ってない!もしや旧ソ連がやってたように人を消しました?(笑) すごいなぁ、満開のバラに円錐形の、サイプレスって言うんですか?この整った円錐形を見ると、NHK教育とかで昔に見たアラン・レネの「去年マリエンバートで」という映画を思い出しました。ストーリーはちっとも覚えてないのに、やたらと円錐形のこのサイプレスが左右対称に配置された公園が不気味だったのが印象的で。それに比べこのバガテル園は、整いすぎてなくて(もちろんきちんと手入れされているけれど)空気が通っている感じがします。いつ行けるのかわかりませんが、旅の行きたいリストに加えます。
Commented by raindropsonroses at 2005-09-10 23:10
kaoriさま。
こんばんは。僕はパリに着くと、先ず、カバンを放り投げて「バガテル庭園」に行きます(笑)ここは薔薇が有名ですから、勿論、5〜6月がいいのですけど、その前のチューリップ&クレマチス&アイリスの頃も素敵ですし、10月中旬の秋薔薇の頃も素敵ですよ。薔薇は春ほどではありませんけど、日によっては他に誰もいない事もあります(笑)花達は、何て言うのかな、皆、遠慮しながら時期をズラして順番に咲いている感じです。でも、kaoriさんはいいですね。思い立ったらいつでも行けるんですから……。

ブノワ。
Commented by raindropsonroses at 2005-09-10 23:15
Brighton Rockさんへ。
えっ?写真を細工して消すのは半島の某国じゃないの?(笑)
レネの「去年マリエンバートで」が不思議に思えるのは、円錐に剪定したサイプレスの影を消してあるんですよ。だから不思議な感じなのです。そうですよ、パリに来て、エッフェル塔とパン屋とワイン屋だけじゃぁ花の都が泣きますぜぃ(笑)いつか一緒に行きましょう。謹んでご案内申し上げます(笑)

ブノワ。