匂いのいい花束。ANNEXE。

自由に言葉を綴っていますか?

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以前、少し辛口の記事を書きました。
今や一億、総タレント、総表現者……。
ブログの普及で、皆さん、それぞれ気軽に自由に思いのたけを綴っています。
僕も学生の頃は作文なんて大の苦手だったクセに(通信簿には「×」が付いていた!)、
今や、日々、垂れ流し的に記事を書いています(笑)

最近、凄く気になるのが「言葉」について……。
矢張り、世界中の皆さんに読んで戴く以上、正しい日本語を使いたいし、
なるべく誤字脱字は避けたいです。自分で書いて自分で校正しますからね、
その辺はなかなか難しいのですけど……。

同じことを書くのに幾つかの言い表わし方があります。
直接ストレートに書く方法、美辞麗句を並べ立て文章を飾る方法、
婉曲にオブラートに包み、解釈を読者に委ねる方法……。
皆さん、それぞれのやり方でブログ・ライフを謳歌しています。

そこで気になるのが、最近では使えない言葉が非常に増えて来たことです。
「言葉狩り」なる単語もあるくらいピリピリになって気にしている人もいます。
例えば、幾つか例を取ってみると、ある媒体では「旅芸人」と言う言葉が使えないと聞きました。
そうすると、アンゲロプロスの傑作「旅芸人の記録」がマズくなりますね。
それから有名なところでは、先だって発売された山口百恵の「MOMOE PREMIUM」の中に、
「謝肉祭」と言うエキゾチックなシングルの名曲が収録されていません。
(後の「Complete MOMOE PREMIUM」には収録された。)
その理由は、歌詞の中に「ジプシー」と言う単語が入っているからです。
そう、「ジプシー」使ってはいけないそうです……。
だから完全な山口百恵のベストにはならない訳ですね。
山口百恵と言えば、有名なエピソードがあります。
「プレイバック Part 2」の歌詞に「真っ赤なポルシェ」と言う部分があります。
国営のNHKでは商品名等はオン・エア出来ませんから、その部分は「真っ赤な車」になる訳です。
もう失笑するしかありませんね……。

確かにある特定の人々を差別する言葉、
蔑視する言葉、傷付けるような表現はしていけないし、
不快な言葉は極力、控えるべきだと思います。
言葉の問題は非常に微妙でデリケート……ある人にとっては大丈夫な言葉も、
違うある人を深く傷つけてしまうかもしれない……。
知らずに使っていた場合、気付いたら即刻改めなければいけませんね。
自分がされて嫌なことは人様にしない……これ、基本です。
しかし、ピリピリに神経質に「言葉」を狩ることに腐心している人こそ
常にそう言う差別の意識が心の奥底にあるのではないか……そう思ってしまいます。
例えば、映画の不適切な表現、暴力や性表現を取り締まる映倫の検閲もそう。
一時期、非常にゆるくなった性表現、ヘアなど、可成り、検閲が大らかになったのも束の間、
今ではまたまた昔に逆戻り……一体、誰の権威で芸術作品が切り刻まれ、
無残にも修正の手が入るのか……修正ではありませんね、正しくはありませんから改悪かな。
全く顔が見えない人々によって自由なハズの芸術が切り刻まれる……。

表現の自由が謳われて久しいけれど、
こうしてブログに文章を綴っていると不自由なことも多いです。
ついつい自分で規制してしまうんですね。その都度、自分の心の奥底を覗いてみて、
その言葉を使うにあたって一体どう言う積もりでいるのか、
使わなければ上手く表現出来ないのか、本当に必要で適切か、
代わりの言葉はないのか……あれこれ考えてしまいます。
これだって自主規制ですよね。ただ、表現の自由だからと言って、
何でも好き勝手に書き散らしていい訳ではありません。
読んで下さっている方々が不快に感じないこと……。
それが大前提かな……そうも思います。
何事につけ、ある程度の規則や規制があってこその自由なんですが、
本当に難しい部分だと思います。

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そうそう、随分前にテレビで放映された市川崑の傑作「細雪」にこう言うシーンがありました。
冒頭の嵐山のお花見のシーン。前振りがあって全員が席に着くと、三女雪子の見合いの話題になります。

 幸子 「鶴子姉ちゃん、雪子(ゆっこ)ちゃんの縁談の話しやけど……。」
 鶴子 「あぁ、あの話しなぁ……先方の瀬越さんのお母さん
     中風病みやって言う話しやったやろう。それが違うねん、精神病らしねんわ……。」
 幸子 「えぇ〜っ!」
 鶴子 「雪子ちゃんも落胆したやろうけど、そう言う訳や、堪えてぇな。」

大体こんな感じでしたが、この「精神病」の所の音声が消されていました。
無理なく劇中に溶込んでいる言葉が故意に消される……。
却って何て言ったのか想像力を働かせますよね。
思惑とは別にその言葉を意識させてしまう効果があるかもしれない……。

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表現の自由……自由って一体、何でしょうね……。
映画「パピヨン」の中で、死刑囚アンリ・パピヨン・シャリエール(スティーヴ・マックイーン)は、
度重なる失敗の果てに、とうとう大海原に飛び込み脱獄に成功します。
彼が考える「自由」を手に入れた訳です。
それに対して、一緒に収容所島で暮らしていたルイ・ドガ(ダスティン・ホフマン)は
冒険はせずに島に残り、ささやかだけれど畑で野菜などを育てて、
一生、収容所島で慎ましく暮らして行く道を選んだ……。
それぞれの自由、どこに自由を見出すのか……非常に難しい問題です。



どうですか、皆さんは自由に言葉を綴っていますか?


草々

2008年7月12日


ブノワ。


[Theodoros Angelopoulos (1935~ )]
[O Thiasos/旅芸人の記録 (1975)]
[山口百恵/Momoe Yamaguchi (1959~ )]
[謝肉祭 (1980)]
[プレイバック Part 2(1978)]
[市川崑/Kon Ichikawa (1915~2008)]
[細雪 (1983) 東宝製作]
[Papillon/パピヨン (1973)]
[Steve McQueen (1930~1980)]
[Dustin Hoffman (1937~ )]

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by raindropsonroses | 2008-07-12 00:00 | 向き向きの花束。