匂いのいい花束。ANNEXE。

イリスの庭……パリの片隅の秘密の花園。

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拝啓……Rさん。

こんにちは。
先日はお手紙をありがとうございました。
今のこのメール全盛の世の中、矢張り、便箋にペンで書かれた物っていいですね。
久し振りにホッとすると同時に、自分でもまた手紙を書こうかと思い始めました。

さて、ズゥ〜と以前からお話ししていた「イリスの庭」を送りますね。
お渡ししようと出しておいたのにすっかり失念(笑)
最近、歳のせいか何だか忘れっぽくていけませんね。
お話を伺った限りでは、確か、この本を参考に庭と作りたいとか。
誰でしたっけ、お宅の社長さんでしたっけ?
因に申し添えておきますと、この「イリスの庭」に出て来る植物、
殆どが日陰〜半日陰の物ばかりですけど大丈夫ですか?
かんかん照り&高温多湿の日本では難しいですよ。

この本に出て来る庭はフランスはパリの庭付き一軒屋のものです。
持ち主はカメラマンの、Iris L. Sullivan・イリス・L・シュリヴァンです。
パリ市内では庭付きの一軒家って言うのは珍しいですから、
中心から少し離れた16区、19区辺りかもしれませんね。
四季折々のイリスの写真がメインで、その合間を、イリスと友達の
上野真梨子さんとイリスの往復書簡が彩りを添えています。
先ず、素晴しいのは、イリスの写真です。殆どが半日陰で撮影されていて
造形家でもあるイリスの感覚で植栽された庭、実際に使っている道具、
収穫された果物や花、手料理の数々が自らの手で撮影されています。

僕もこの本が大のお気に入りで、写真の撮り方も参考になりますが、
実際に、薔薇を買う時に随分と参考にさせて貰いました。
イリスは、庭に新しく植える薔薇やアイリスを選ぶ時、
苗木屋から実際に薔薇やアイリスを取り寄せ部屋に飾って品種選びをします。
僕が実際にこの本を見て買った薔薇は、「President de Seze」
「New Dawn」「Bloomfield Abundance」などなど……。
どうやら、白い花が好きなイリスの趣味で選ばれた花々、
その他、庭で収穫される、葡萄、いちじく、苺、ズッキーニ……。
自然の恵みと、それらを取り入れて出来る素晴しい写真の数々。
キツい色合いは嫌いみたいですが、庭に実ったイチジク、苺、葡萄などの
実りの色を上手くアクセント(差し色)に使っています。

上の大きな写真は「President de Seze」です。
直立性のお行儀のいい樹形、棘は細かく繊毛のようで殆ど気になりません。
強烈なオールドローズの匂いがあり、花は開花と同時に縁が白っぽく退色します。
これが、この花に立体感を与える役割をしています。
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左の写真は「New Dawn」、ツル薔薇の代表ですね。
匂いも良く、小さいながら照り葉にペール・ピンクの取り合わせが美しいです。
枝には強い棘がありますが、これはツル薔薇ですからね、仕方ありません。
開花は他の薔薇に較べて少し遅め。他の花が一段落してから咲く感じでしょうか。
フランスの庭園や公園などでも、壁に這わせたり、
スタンダードに仕立てたりして重宝されています。
不思議な物で、この花は一目見て名前が分かります。
矢張り、長年愛培されている薔薇ってそう言う物なのでしょうか。
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もう一枚は、イリスの庭にもあって、天高く2階のベランダまで這い上がって
程よい日陰を作り出している「Toby Tristam」。
欧米の花壇や庭園で重宝されているこの薔薇は
アーチやフェンスに誘引すると非常に壮大で華麗な様相を呈します。
フレッシュなフルーツの匂い、蕾の小さなピンク色がアクセントで可愛らしいです。
花は春先に一度しか咲きませんが、秋には真っ赤な実が房になって付きます。

どうですか、イリスの庭、再現出来そうですか?(笑)



敬具


2005年9月14日

ブノワ。

[Le Jardin d'Iris/イリスの庭 イリス・L・シュリヴァン著 碓井洋子訳]
[President de Seze (G) 1836]
[New Dawn (Cl) Dreer, 1930]
[Toby Tristam (R) Hiller, circa 1970]
[Bloomfield Abundance (Ch) Thomas, 1920]

★皆さんご存知の「駒場バラ園」さんが今年一杯で規模を縮小されます。
 現在、近くの新公園予定地に「駒場バラ園」さんの貴重な薔薇を移植する
 署名運動が始まっています。HPを見て趣旨に賛同された方は、
 HP右側の「最新記事」の上から二番目に、是非、コメントを書き込んで下さい。
 ヨロシクお願いいたします。
[新・駒場バラ園を作る会]

ほっとけない 世界のまずしさ

http://hottokenai.jp/index.html
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by raindropsonroses | 2005-09-14 00:00 | 書架の片隅。 | Comments(16)
Commented by しん at 2005-09-14 01:03 x
薔薇の花びらに付く水滴さえ、綺麗に映りますね。本日も美人揃いで、目の保養。日中にも、目を休めに伺いますね(笑)
Commented by otoboke-ya at 2005-09-14 01:40
イリスの庭・・・気になる本のひとつでした。図書館で観て、購入しようかな~と思った記憶がありますが、それっきりに。センスがよかったことを思い出しました。ブノワさんのお気に入りとは、今も発売中とリンク、情報アリガトウゴザイマス。
「Toby Tristam」わたくし好みです♪ 一季でも、香りと実も楽しめるとは、ちょっと心動きますね。うすピンクで一重。フレーム一杯にさく姿もいいですね。我が家のちびちびベランダじゃ、薔薇が可愛そうなので、いつの日か!の候補に、心にしまっておくこととしましょう。
Commented by nanacy at 2005-09-14 06:39 x
ブノワさま
おはようございます。
なんと偶然なんでしょう!わたしも「イリスの庭」が大好きです。
いつもベットの脇に置いてあって私のバイブルと言っても過言ではない存在なんです。
1ページ目から最後のページの全ての写真を記憶しているくらい何度この本を開いたことでしょう。
イリスが不思議と心を静寂の世界に引き入れてくれます。
ケージのなかのニュードーン、イチジク、カタツムリ、チョウチョで飾られた鏡に映るつるばら。。。。
ブノワさんとは最近偶然が重なりますネ(笑)。でも、決して偶然ではないですね。誰もがこの本を一度開いたらイリスの庭に虜になってしまうに違いないですもの。
Commented by kaori at 2005-09-14 07:29 x
おはようございます!
この「イリスの庭」、想像ですがとても素敵なようですね!
やはり庭付きの家あこがれます。といってもお手入れの勉強をしてからじゃないと草木やお花がかわいそうでしょう・・・(^^;;;
今の家にはベランダさえありません。ブノワさんのブログで目を潤わせていただいてます~。
Commented by raindropsonroses at 2005-09-14 10:36
しんさんへ。
おはようございます。日中と言わず、終業後にしましょうね(笑)
水滴はですね、よく友人から「わざわざ水滴をつけたんですか?」って聞かれるんですけど、決してそんな事はなく、朝、薔薇に水をあげてからカットして撮影しますので時には水滴がつくって訳です。決して、作為的ではありませんので御了承のほどを(笑)

ブノワ。
Commented by raindropsonroses at 2005-09-14 10:42
otoboke-yaさんへ。
おはようございます。otoboke-yaさんもお好きでしたか……専門家に釈迦に説法ですけど、この「イリスの庭」は写真の量と文章の量が絶妙なんです。矢張り、写真集の場合、写真が多くを語る訳ですからね。
一応、僕も素人写真家ですけど(笑)この本の中の写真はとっても参考にさせて貰っています。「Toby Tristam」ですけど、やっぱり庭で地植えにしたいですね。ウチに似た種類の薔薇が2種類ありますが、鉢植えで本当に窮屈そう……チョッピリ可哀相です。

ブノワ。
Commented by raindropsonroses at 2005-09-14 10:51
nanacyさま。
おおっ!それは奇遇ですね(笑)同じ趣味でガッカリする人もいるけど、nanacyさんなら嬉しいです、光栄の極み!この「イリスの庭」、実は、隠れファンがとっても多いんですよ。僕の知り合いの中にも、一、二、三……指折り数えられるくらいいますもの。こう言う本の常として、趣味のコーナーに並ぶのは仕方ありませんけど、もっと、皆に知って貰いたい本の一冊です。ベッドの脇って事は、もう、ボロボロですか?(笑)それこそ、本にとっても光栄の極みでしょうね。

ブノワ。
Commented by raindropsonroses at 2005-09-14 10:57
kaoriさま。
おはようございます!そうなんです、この「イリスの庭」、とっても素敵なんですよ。kaoriさんはご存知だと思いますが、パリ市内で庭付きの一軒家ってあまりありませんよね?ですから、僕はパリでちょっと郊外を歩く時なんかは、悪いと思いながら、人様の家の庭を覗き込むようにして歩いてしまいます(笑)「もしかして、ここがイリスの家かなぁ?」って(笑)
実物をお見せ出来ないのが何とも残念です。僕の主義として、「絶対に自分の写真を使う!」これだけは外せないんです。何かの機会もあります、頭の片隅に留めておいて下さい。

ブノワ。
Commented by ラデュレ at 2005-09-14 11:13 x
ブノワ様
イリスの庭。お写真から想像するだけでも夢見心地です。
パリでお庭があるなんて、なんて贅沢なんでしょう!!!
確かブノワ様もフランスにお家を購入される予定でしたよね?
”ブノワの庭”の出版を楽しみにしています!
Commented by ダヴィデ at 2005-09-14 12:07 x
以前に『イリスの庭』の写真集を見ました。趣味いいですよね〜あんな空間で過ごせたら、自分を見失ったときに、色々な事ができるというか、落ち着いて自分自身を見られるような気がします。将来、あんな家に住みたいな〜。
Commented by raindropsonroses at 2005-09-14 12:16
ラデュレさんへ。
こんにちは。本当に贅沢ですよね、パリの庭付き一軒家。白の小輪の薔薇が房咲きで2回のバルコニーまで届いている……夢以外の何者でもありません(笑)今度、書店で手に取ってみて下さい。それはそれは美しい写真の数々。それでいて、決して「作られた写真」ではないんですね。しっかり、イリスのスタイルになっている。
パリの家は、言っているだけかも知れないけど、言った者勝ちって事もあるでしょう?(笑)そこが狙いめです!

ブノワ。
Commented by raindropsonroses at 2005-09-14 12:19
ダヴィデさんへ。
こんにちは。本当、将来、あんな家に住みたいですよねぇ……。思わず遠い目になってしまいます(笑)この「イリスの庭」は日本の気候では殆ど再現不可能に思うんです。それだけに、無い物ねだりって言うか、隣の芝生は青く見えるって言うか……。いつか、本物のイリスの庭でお茶してみたいです(笑)

ブノワ。
Commented by Brighton Rock at 2005-09-14 23:18 x
みなさんお持ちなんですね、「イリスの庭」。私も大好きな本ですが、なぜかうちの会社にもあるんですよ、知り合いの、ある会社の社長さんが薦めてくれたのです。その方もきっとイリスの庭に憧れたんですよね。日本の気候とパリでは違うから、ブノワさんの言うように再現不可能とは思いますが、バラづくりなどは、日陰のない(!)自宅のお庭で楽しんでようです。この本、ここの書き込みを見る限りスゴイ人気ではありませんか!もしかしてフランスのオリジナル版があるのかしら。あったら見てみたいですね、フランス語は理解できませんが。(でも写真は日本の本の方がよかったりして!?)
Commented by raindropsonroses at 2005-09-15 00:07
Brighton Rockさんへ。
そうですよ、みんな持っていますよ「イリスの庭」。これは翻訳物とかではなく日本版ですね。翻訳版ではこんなに統一感のある綺麗な本は出来ませんから。知り合いの社長さんですか?そりゃぁ見れば夢中になるでしょうねぇ。でも、気候の違いはどうにもなりませんね。ウチの薔薇も、もう、ギリギリ夏場をしのいでいるって感じですもん(笑)今頃の秋が一番危ないんです。夏場、頑張って来て、ここに来てバッタリ枯れちゃうものもあります(涙)この異常気象が続けば、栽培出来ない薔薇も出て来るかもしれません……。

ブノワ。
Commented by G・d・D at 2005-12-27 10:27 x
ブノワさま
おはようございます。
『President de Seze』発見!(ちなみにGoogle検索)
イリスの庭の回に記事として取り上げてらっしゃったのですね。
『匂いのいい花束』の面白さを再認識している次第です。
この本は、定期的に見たくなる類いの一冊です。本当に素敵。
暮らしと密接に繋がっている気配が濃厚でとても好きです。
眼から鱗の記事、満載ですし。
この薔薇を鉢で育てるのはどうでしょうか?
目録と照らし合わせたところ、扱いはあるようですが・・・。(購入可能)
ブノワさまと以前お話しした、薔薇を葉で選ぶ一件。
育てている薔薇の総てがこのようなマットな葉だったら最高です。
でもこの薔薇にはやはり茂みを造って欲しい、そんな思いが強いです。
Commented by raindropsonroses at 2005-12-27 11:20
G・d・Dさま。
おはようございます。どうですか、例の庭に植わっている薔薇、「President de Seze」に見えませんか?それにしても、検索に引っ掛かるとは(笑)僕のブログって、あまり検索しても出て来ないって言われていますし、自分もやってみたこと無いのでチョッとビックリしています。でも、確かに出て来ますね……試しにやってみました(笑)
この薔薇は、ほとんどどの店でも扱っているポピュラーな薔薇です。是非、育ててみませんか?と、誘惑の甘い罠を仕掛けておきましょう(笑)
「イリスの庭」は本当に素敵な本ですね!ウチは生憎、熱した鉄板のように熱くなるベランダですから、イリスの庭を再現しようとは思いませんが、写真の撮り方や、チョッとしたインテリアのアイデアが満載ですね。僕の大事な愛読書の一冊です。

ブノワ。