匂いのいい花束。ANNEXE。

Ms. Streep, I love you so much !

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窓の外を眺めて溜め息一つ……そろそろ支度をしなければ。

お気に入りの頴娃(エイ)の皮で出来たブーツを磨く。
雨の日には絶対に履かない……外は霧雨だけれどそんなことは構わない。
先日、買ったばかりのカシミアの黒のタートルを出してみる。
そう、この日のために買ったのだから……。
友人がプロデュースした稀少なデニムにさっとアイロンをあてシワを伸ばす。
短気な僕が長年履き込んでいい風合いになったデニムだ。
ベルトはパリで買ったシルバーのバックルの奴がいいかもしれない。
この時期に大活躍する黒のトレンチ・コートのベルトをキュッと締めて気合いを入れる。
いつもは洗ったそのままボサボサクルクルの髪の毛を
時間をかけてブロウしてチョッとは見られるようになったかな。

いいのだ、彼女からは見えなくても。気は心、644分の1でも構わない。
30年間、ズゥ〜ッと慕い続けて来たメリル・ストリープに会うのだから……。

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メリル・ストリープ……映画の歴史が始まって以来の巨星。
現在、その演技力の確かさと役を体現する表現力にかけては彼女の右に出るものはいない。
「ホロコースト」「ディア・ハンター」「クレイマー・クレイマー」……。
初期の作品から既に大女優の風格と気品をたたえ、
「ソフィーの選択」以降は名実共にトップスターの座に燦然と君臨している。
このロイヤル・チャリテー試写会があったその日、
メリル・ストリープは「ダウト〜あるカトリック学校で〜」の演技で、
第81回アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされた。
その数15回は歴代第一位、圧倒的な演技力を物語っている。

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会うと言うのはちょっと語弊があります……。
そう、彼女の舞台挨拶がある「マンマ・ミーア!」の試写会のチケットが手に入ったのです。
彼女らしく、派手やかな試写会ではなく、今回はチャリティー試写会とのこと。
何だか訳の分からない無能なタレントが大挙して押し掛ける試写会とは大違い。
美智子皇后陛下の臨席を賜い、場内はいい意味での緊張感が漂う。

定刻を過ぎ、いよいよメリル・ストリープが入場して来た。
何と、僕の目の前2メートルも離れていない所からの登場、
思わず口をついて出る「綺麗!」の一言……。
先ず、目に入ったのは特徴ある鼻……この鼻と頬骨が照明を一身に受けるのだ。
偉大なカメラマン、ネストール・アルメンドロスが言った「カメラに愛される顔」がそこにあった。
透き通るような白い肌、髪を後ろで束ねたその姿は若々しい。
彫りの深い美しい顔は繊細なシルバーの透かし彫りのようではないか!
シックなグレーのコート・ジャケットに身を包んだメリル・ストリープ。
驚くことに10センチはあろうかと言うヒールを履いている。
さらに驚いたのは、皇后さまと一緒に、
「マンマ・ミーア!」を僕等と一緒に最後まで鑑賞すると言うのだ。

場内中央の座席に座った美智子皇后とメリル・ストリープの姿に感動。
時たま後ろを振り向くと、二人は何やら楽しそうに歓談しているではないか。
映画がはじまると僕の後ろから聞こえて来るメリル・ストリープの笑い声(笑)
アメリカ人の彼女と僕達日本人の笑うツボは違いますからね。
静かな場内に彼女の笑い声だけ響く珍現象が……(笑)
30年間も憧れて来た女優と同じ空間で主演作品を鑑賞し、
しかも合間合間に彼女の笑い声が聞こえて来る……。
何が幸せって、こんな幸せがこの世の中にあると思いますか?



終映後、拍手で彼女と皇后陛下を見送る観客。
な、な、な、何と、メリル・ストリープが僕の方に向かって歩いて来るではないか……。

つかつかとメリル・ストリープに向かって歩いて行く僕。
いつもはとてもお行儀がよく引っ込み思案の僕ですが、
こう言う時には豹変します。当たって砕けろ、
次はいつお目に掛かれるか分からないのだ!
千載一遇のチャンスとはこのこと。彼女が階段を下りようとする瞬間、

 「Ms. Streep !」と、声を掛ける僕。

ゆっくりと振り向いた彼女、こちらをしかと見つめたその瞬間に握手を求め、

 「Ms. Streep, I love you so much !」と長年の思いを込めて愛の告白をしてしまいました(笑)

 「Oh……Thank you so much !」笑顔で応える僕の最愛のヒロイン……。

神々しいとはこのことを言うのだろう。
握った手の柔らかいことときたら……。

だけど、特別にラッキーだったとか運が良かったとかは思いませんでした。
だって、これだけ好きなんだもの……。
ティーンの若気の至りでの情熱や、出会い頭の恋とは違います。
酸いも甘いも噛み締めて、それなりの審美眼を身に着けた上での恋です。
僕が握手出来なくて誰が握手するって言うの?(笑)
僕とメリル・ストリープはそう言う運命なのだ。そうに決まっている。
一瞬、周りの644人の人々の存在を忘れ、
まるで僕自身が映画のヒーローになったかのような錯覚を覚えました。
「I love you so much !」と言った瞬間、
思わず抱きしめたいと思う衝動に駆られるほど可憐なメリル・ストリープ……。


夢は見続けるものですね。もうどうなっても構わない……。
今は自分が取った行動に畏れおののき、また、天にも昇る気分です(笑)
ご機嫌なブノワ。さん、お願いごとをするのは今ですぞぉ!(笑)


草々

2009年1月24日


ブノワ。


[Meryl Streep Online/Meryl Streep (1949~ )]
[マンマ・ミーア!(2008)]
[ホロコースト/Holocaust (1978)]
[ディア・ハンター/The Deer Hunter (1978)]
[クレイマー・クレイマー/Kramer vs. Kramer (1979)]
[ソフィーの選択/Sophie's Choice (1982)]
[ダウト〜あるカトリック学校で〜(2008)]
[Nestor Almendros (1930~1992)]

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by raindropsonroses | 2009-01-24 00:00 | 女優の時代。