匂いのいい花束。ANNEXE。

おねぎとピーマン。

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 随分と春めいて来た2月13日の金曜日(笑)
 早く帰宅したおねぎは一人リビングでカード書きに余念がない。
 その数50枚、一人一人にキチンと違うメッセージを書くあたりは
 マメとしか言いようがない。足元には可成り大きめの紙袋……。
 中には何やら華やかな包装紙に包まれた大小の箱……。
 そこに仕事から帰ったピーマンが……。
 おねぎは夢中になっていて一向に気が付く気配がない。

P  「あら、おねぎ、帰っていたの?……ただいま。」
O  「あら、ピーマン、早いじゃないの……。」

 おねぎ、慌てて足で大きな紙袋を自分の後ろにズラす。

P  「チョッと!今、後ろに隠したものはなぁに?」
O  「ウルサいわね。いいのよ、アンタには関係ないんだから。」
P  「ハハァ〜ン、分かった!バレンタインのチョコレートね!」
O  「お黙りぃ!」
P  「ねぇ、どうしてアンタは毎年〜そんなに義理チョコをバラ撒くのよ?」
O  「いいのよ!お付き合い、お付き合い!楽しいじゃないの。」
P  「バカねぇ。あれは女が男にプレゼントするものよ。
    アンタ、どうやってみても逆立ちしても男じゃないの(笑)」
O  「ウルっサいわねぇ……体は男でも心は女なの!
    第一、アタシ、◯◯なOLなんかには負けないわ。」
P  「あら、◯◯って何よ、問題発言だわ。ハッキリ言ってご覧なさいよ!(笑)」
O  「アハハハハ、口が裂けても言えないわ。」
P  「まぁいいわよ。でも、平均1000円で50個くらい……アナタ、5万円よぉ!
    で、本命のHくんには何買ったの?」
O  「あなたも鋭いわね。Hくんにはエルメスの春先用のニット。」
P  「アナタって本当にバカね。あの子にエルメスなんか似合う訳ないじゃない。
    ◯◯で買った安いセーターがお似合いよ!」
O  「ウルサいわねぇ……アナタ、◯◯って、そっちの方が問題発言じゃないの(笑)
    いいのよ!気は心、アタシの愛情表現なんだから。
    そんな事よりアナタのその手に持っている小さい紙袋は何よ。」

 ピーマン、サッと紙袋を後ろに隠すがおねぎが見逃す訳がない。

P  「アッ!これは秘密(笑)」
O  「どうせYくんのバレンタイン・プレゼントでしょう?
    何買ったのよ、お言いなさいよ。」
P  「ウルサい!アンタになんか絶対に言うもんか!」
O  「ふふぅ〜ん〜だ、言いたくて仕方ないクセに。
    ”BVL……” アンタ、それブルガリじゃないの。分かった!指輪でしょう!」
P  「おねぎ、アンタも鋭いわねぇ……ダイヤが入った指輪!
    特注で指輪の内側に1カラットの石を埋めて貰ったの。」
O  「アンタの方がよっぽどバッカじゃないの。もう付ける薬がないってこのことね。
    アレは妻帯者よ!妻・帯・者・!!!!!意味分かる?嫁がいるのよ!
    普通、嫁がいる男にダイヤの指輪なんかあげる?」
P  「あらっ!アナタのHだって妻子持ちじゃないの!
    この前3人目が生まれたって(笑)
    アンタ、悔しかったらHくんの子供産んでご覧なさいよ!」
O  「バッカねぇ!産めるものならとっくに産んでいるわ!
    いいの、アタシとHくんは赤い糸で結ばれてんの。」
P  「じゃぁその他の49個の義理チョコは何なのよ。」
O  「いいのいいのよ、バレンタインなんて単なる儀式じゃないの。
    ゲームよゲーム、皆、キチンとお返しくれるわよ。」
P  「あら、皆アナタの事が恐いのよ(笑)」
O  「お黙り!ピーマン。
    いいの、アタシは降り掛かる愛の火の粉を払いつつ生きているんだから。」
P  「ふぅ〜ン、いいわね、お気楽で。
    降り掛かるのは愛の火の粉じゃなくて災難ばかりじゃない(笑)」
O  「でもさ、アタシ達って可哀想よね。アンタが好きな男が妻帯者で、
    アタシが夢中になって入れあげている男が妻子持ち。
    好きな男と結婚出来ないからご祝儀も貰えないし、あげるばかりだわ……。」
P  「いい男はスグに売れちゃうし……。」

P  「おねぎ!」
O  「ピーマン!」
O&P「アタシ達は因果だねぇ……。」

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またイヤな季節がやって来ました。狂乱のバレンタイン・デー(笑)
間違って地下の食品売り場に入ってしまった僕は愕然……。

 「しまった、そうだった、バレンタインだった……。」

今年は女性からだけではなくて男性からも
プレゼントをする相互プレゼントが流行るそう……。
まぁ、次から次へと新手の商法を考え出すもんですね。
それに踊らされて財布の紐が緩くなってしまうんだから僕達もおめでたいです。

12月に入るとクリスマス一色、それが終わると年末のセールから新春大売り出し。
2月に入るとバレンタイン、それが終わるとホワイト・デー、それが終わると母の日、
そして今度は父の日……あまりに下らなくて目眩がします。
贈り物……素敵な事です。でも、なぜ「〜の日」じゃないと贈り物が出来ないの?
その他大勢の中に混じって贈り物をしても目立たないじゃない?
1/10、1/20の中で自分だけ一際、光り輝く自信がありますか?
普通の何でもない日に、さりげなくサッと、相手の意表をついて、
決して高価じゃなくても心の籠ったプレゼントをする……効果絶大だと思うけどなぁ。
メーカーの甘言に乗って、他の人達に混ざって贈り物をしても詰まらないじゃない?
まるでセール会場さながらのカウンターに群がる、
黒山の人だかりのチョコレート売り場にいる自分が可笑しいと思いませんか?
僕の友達があの中にいたら物凄くイヤかも……。
端から見ていると可成り滑稽ですよ。買うのに整理番号を配る店もあるんですね!
義理で貰ったチョコレートなんかまったく嬉しくないもの。
僕は絶対にホワイト・デーにお返しなんてしません。
そんなお金があるのなら朝子に煮干しを買ってあげた方がいいや(笑)
右へ倣えはもう止めませんか?もう少しスマートに生きましょうよ。



先日、メリル・ストリープとロバート・レッドフォードの
「愛と哀しみの果て」を観ました。
カレン(ストリープ)はデニス(レッドフォード)から2回贈り物をされます。
初めは夕食のあとに物語を即興で聞かせてくれたお礼にゴールドの万年筆を。

 「これで物語を書き留めなさい」……と。

それが、作家アイザック・ディネーセンの誕生のキッカケです。
2回目はイギリス義勇軍のために食料300人分を、
自ら運ぶことになったカレンが、アフリカの大地で道に迷った時、
偶然出会ったデニスが自分も必要であろうコンパスをカレンにプレゼントしたのです。
デニスが大事に使っていた2つの品、方や命の綱とも言えるものを自分にくれた……。
勿論、カレンがアフリカの大地で出会ったインテリで魅力的なデニスに惹かれた訳ですが
この2回の贈り物がカレンの心に大きな影響を与えたのは間違いがないでしょう。
プレゼントとは相手を思い遣り心を籠めるもの。
自分の分身として相手にさし出すものですからね。
だからこそお互いの心が通じ合うのではないですか?

今日の写真はパリに一ヶ月滞在した時に買ったチョコレート。
サン・ポールの教会の並びの普通の店で買いました。
何と、男の手の平サイズ……食べきれませんでした(笑)


草々

2009年2月14日


ブノワ。

[Meryl Streep Online/Meryl Streep (1949~ )]
[Robert Redford (1936~ )]
[愛と哀しみの果て/Out of Africa (1985)]


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by raindropsonroses | 2009-02-14 00:00 | 向き向きの花束。