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匂いのいい花束。ANNEXE。

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先人に尊敬をこめて……黒薔薇の系譜。

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拝啓

Y.M.さま、その後お元気にお過ごしですか?
スッカリ寒くなり、折角、膨らみかけた薔薇の蕾も固まったままです。
どうか、色付いた蕾はちゃんと開きますように……そう願わずにはいられません。

さて、先週の勤労感謝の日。
修善寺の嵯峨沢温泉に一泊した帰り、念願の「河津バガテル」に行って来ました。
今年で5周年になるそうですね。オープンのニュースを聞いて
ズゥ〜ッと行ってみたかったんですが、薔薇好きのマダムの
「まだ木が育っていないわよ!」の一言で我慢していました。
11月も下旬です、薔薇の花は期待していませんでしたが、
何しろ、東京から行くとなると一大行事なので、こんな機会にでもと言う訳です。

宿からバスに揺られて小一時間。河津の駅で電車の時間を調べていたら
見事にシャトルバスに乗り遅れ(笑)100円で済む所を1030円もの無駄使い!
さてさて、いよいよ待望の河津バガテルです。
入ってスグの広場は売店やカフェ、レストランが並んでいます。
当然の事ながら薔薇の苗も売っていたりしてフラフラとそちらの方へ(笑)
いけないいけない、駅にも荷物を預けて来たんだった……と、泣く泣く断念して
薔薇園の方に向かいます。一見した所、オランジェリーやキオスクなどは
本物のパリにあるバガテル公園にそっくり。満開の頃はさぞかし綺麗な事でしょう。
ただ、まだまだ全体的に木が育ちきっていない感じがします。
なかなか素敵な薔薇園だと思う上で、チョッと不思議に思うのは、
何故にパリのバガテルを模す必要があるのか……何故でしょう?
河津オリジナルの薔薇園を作ればいいのに……そう思うのは僕だけですかね。

写真を撮りながらプラプラしていると、数年前に枯れてしまったまま
新しく購入していない「Papa Meilland」を発見!
この薔薇は、僕が薔薇を育て始めたごくごく最初に購入。
非常にお気に入りの薔薇なんです。姿形も抜群ですが、何と言っても匂いがいい!
この、ダマスク・モダンと言われている強烈な匂い。
資生堂の香水にもなりましたね。薔薇に花容だけではなく匂いも求められている今、
この「Papa Meilland」の人気復活も間近なのではないでしょうか。


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ここで、フと思ったんですが、青い薔薇は勿論ですが、花に「青」や「黒」を求める
不思議な習慣がありますね。黒薔薇、黒百合、黒チューリップ、黒ダリア……。
その他、コスモス、ビオラ等々。なぜ人は黒い花に惹かれるのか?
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薔薇にも「黒薔薇」と言われて珍重されて来た種類が沢山あります。先に書いた「Papa Meilland」は、作出者のアラン・メイヤンが尊敬する祖父、アントワーヌ・メイヤンに捧げた薔薇です。その「Papa Meilland」の親に当たる「Charles Mallerin」は、アントワーヌ・メイヤンの息子のフランシス・メイヤンが、引退した鉄道技師で、これまた薔薇作出の大先輩の、尊敬するシャルル・マルランの捧げた薔薇です。写真を見て戴ければお分かりかと思いますが、それほど黒くはありません。でも、この「Charles Mallerin」が基礎となって連綿と香り高い黒薔薇の系譜が続いて行くのです。「Charles Mallerin」は、河津バガテルにもあった「Chrysler Imperial」とともに「Papa Meilland」と「Oklahoma」の交配親として使われています。この二つの偉大な黒薔薇の交配親が一緒と言うのも興味深いですね。同じ交配親から全く違う薔薇が出来る……まさに、神のみぞ知るです。

メイヤン家は代々、尊敬する人に黒薔薇を送る習慣があるのか、「黒」と言う色に我々が持つイメージは、元々それほどいい印象がありませんが、葬儀の時に着る服の色として用いられるように、襟をただし、先人に尊敬の意味を込めるのかもしれません。もう一つ、河津バガテルで見付けたメイヤン作出の黒い薔薇「Grand Lennart」の名前の由来も知りたい物です。フランス語の「Grand」が頭に付いていますから、きっと、誰かに捧げた薔薇なのでしょう。

大きな写真は、上から黒薔薇の代名詞、「Papa Meilland」「Chrysler Imperial」「Grand Lennart」それから、日本が世界に誇る鈴木省三が作った「Kuroshinju」……可成り黒いですね。少し、小振りな感じもしますが、いい匂いでベルベットのような花弁が魅了的です。全て河津バガテルで撮影しました。可成り強めの風とかんかん照りのピーカン……仕方がないので小さな手帳で日陰を作って撮影です。

小さい写真は、我家にある黒薔薇のコレクションです。上から順番に「Charles Mallerin」「Oklahoma」「Black Swan」「Guinee」「Louis XIV」「Black Prince」になります。その他にも、ここには写真はありませんが「Barkarole」など。この手の黒薔薇は、期待されるの十分に値する強烈な匂いを持っていいるのが特徴です。ラベンダー色や、どう好意的に見ても全然青くない薔薇を「青い薔薇」と、無理に呼ぶのと違って、この黒薔薇の系譜には何かしら先人に対する尊敬とロマンを感じてしまいます。


敬具

2005年11月29日


ブノワ。



[河津バガテル公園]

[Papa Meilland (HT) Meilland, 1963]
[Chaeles Mallerin (HT) Meilland, 1951]
[Oklahoma (HT) Swim & Weeks, 1964]
[Chrysler Imperial (HT) Lammerts, 1952]
[Grand Lennart (HT) Meilland, 1991]
[Kuroshinju (HT) Suzuki, 1988]
[Black Swan (HT) ]
[Guinee (HT) Mallerin, 1938]
[Louis XIV (Ch) Guillot, 1859]
[Barkarole (HT) Tantau, 1989]
[Black Prince (HP) Paul, 1866]

[Meilland Richardier Meilland International]
[Antoine Meilland (1884~1971)]
[Francis Meilland (1912~1958)]
[Charles Mallerin (1876~1960)]
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by raindropsonroses | 2005-11-29 00:00 | 薔薇の名前。 | Comments(20)

独自の世界感……結城美栄子陶人形。

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拝啓……Bちゃんへ。

お元気にお過ごしですか?いつもお世話になっています。
さて、今日はBちゃんの誕生日ですね。心からおめでとうを申し上げます。
今年で幾つでしたっけ?お互いに年は聞かない方が良い年齢になって来ました(笑)
だって、知り合ってからかれこれ20年ですから……。
今日は、お祝いの意味も込めて、女優の結城美栄子さんの陶人形の写真を送ります。
この陶人形は、数年前から結城さんにお話しし、お願いしてあったもので、
昨年の秋「いつでも都合のいい時に……」と、本格的に注文してあった物なんです。
注文する際の希望は……これはチョッと言えないんですが(笑)
この大きい方は、結城さんが僕をイメージして作ってくれたって言う事になります。
どうですか、物凄く僕に似ていると思いませんか?えっ?後ろの方ね(笑)

結城さんは、女性としても女優としても素晴しいのですが、
最近は陶人形作家としても独自の世界を作り出しています。
彼女独特の世界感は、イギリスに留学していた時のバレエのレッスンや、
アメリカ経の役者留学、宮沢賢治の影響等々もありますが、
女優としての仕事を通じての経験も大きい物があるのでしょうね。
擬人化された動物や物、物憂げな表情は、ほのかに大陸の匂いもします。
天は二物も三物も与えたもう……こんなに才能があるなんて羨ましいです。
当初の希望は「唐子」のような男の子でしたが、
折角、作って戴くのですから全て結城さんにお任せする事にしました。
結城さんは「あら、あなたの写真を持って来てよ」と、お仰言いましたが、
自分の顔にそっくりな人形はちょっとゴメンなので謹んでお断り(笑)
だって、イヤじゃないですか、変にそっくりだったりしたら……。
さて、出来上がりには大満足!僕みたいにこの年まで生きて来ると、
なかなか感動する事もありませんし、驚きも少なくなって来ました。
でも、この人形を見た瞬間、何処かに置き忘れて来ていた
温かい気持ちがジンワリと沸き上がって来たのでした。

結城さんの作品は、毎年の個展では勿論の事ですが、
新宿のホテル・パーク・ハイアットのロビーの人形でも有名です。
アート・ディレクターのジョン・モフォード氏に注文されたこれらの作品は、
少し前にヒットしたソフィア・コッポラ監督の
「ロスト・イン・トランスレーション」の冒頭で見る事が出来ます。

僕が一番最初に結城さんを知ったのは、TBSのドラマ「プライパンの唄」。
その後、こまつ座の舞台、「花よりタンゴ」の終演後に
女優の新橋耐子さんと一緒に焼き鳥を食べに行ったこともありましたっけ(笑)
そう、一番最初の個展の時、新橋さんに連れられて観に行き
結城さんと電話で話していた新橋さんが、急に僕に受話器を渡すものだから
しどろもどろで話したのが今となってはいい思い出になっています。

Bちゃんも結城さんの作品をお持ちだから
この素晴しいプレゼントは気持ちだけと言う事にしておいて下さいね(笑)
この写真は、Bちゃんが大好きなエルメス・オレンジを背景にパチリ!
これ、本物のエルメスのデッカい箱を背景に撮ったんですよ(笑)
来年の誕生日までの一年が素晴しい一年になりますように。
そして、この素晴しい友情が永遠に続きますように……。


敬具

2005年11月28日


ブノワ。


[結城美栄子/Mieko Yuki (1943~ )]
[Sofia Coppola (1971~ )]
[Lost in Translation (2003)]
[こまつ座]
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by raindropsonroses | 2005-11-28 00:00 | いつも心に太陽を。 | Comments(21)

早く撮って!

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拝啓……ムッシュ・M

こんにちは。その後お元気にお過ごしですか?
先日、10月にはアヴィニヨンではお世話になりました。
初めての南仏一人旅、一人で気侭に歩いていましたが、
思わず美術館で日本語が得意なムッシュに出会うとは!
ちょっとビックリすると同時に、急な事なので、
とっさに日本語が出て来ませんでした(笑)
美術館の仕事は楽しいですか?素晴しい収蔵作品に囲まれて
一日を過ごすのは素敵でしょうね……。

さて、南仏とは言え、そちらも随分と寒くなって来たでしょうね?
東京もコートが恋しい季節になって来ました。
我家の猫もスッカリ寒がりで、夜は争って布団に入って来る様になりました。
今日はお礼を込めて、アヴィニヨンで撮影した猫ちゃんの写真を送りますね。
どうですか、この猫ちゃん……とびっきり可愛いでしょう?
この猫ちゃんは、僕が泊っていた路地奥のホテルからリパブリック通りに出る
少し前の広場に面した建物の二階にいる猫ちゃんです。

朝、チェックアウトして荷物をホテルに預け、カメラを持って
「いざ、アヴィニヨンの街へ!」と意気込んで歩き出した時、
何やら上の方からジィ〜ッと熱ぅ〜い視線を感じたのです(笑)
見上げてみると、そこにはベージュ色の何とも可愛い猫ちゃんが!
猫ちゃんは、「やっと気が付いたわね?」とばかりに特性ベッドから起き上がり
写真を撮ってと言わんばかりにあれやこれやとポージング(笑)
慌ててカバンからカメラを取り出しカメラを向けてみると
矢張り、日本とは違って建物が大きい!猫ちゃんは2階にいたんですが
どうにもこうにも、小さくしか写りません……。
ハッと気付いてレンズを望遠に換えてハイ、パチリ!
重たい思いをして持って行ったレンズが役に立ったのはこれ一回だけ(笑)
お陰で可愛い猫ちゃんの写真が撮る事が出来ました。
でも、焦る事はなかったみたいで、夕方、荷物を取りにホテルに戻る時、
この猫ちゃんは、変わらぬ恰好で同じ所に陣取ってクウクウ居眠りしていました。
多分、飼い主さんには思いっきり可愛がられているんでしょうねぇ。
わざわざバルコニーに専用の台を作って貰って豪華な毛布もある。
ちょっぴり温かい気持ちでアヴィニヨンを後にパリに向かったのでした……。


敬具

2005年11月27日


ブノワ。
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by raindropsonroses | 2005-11-27 00:00 | 猫が行方不明。 | Comments(26)

ふさわしい匂いを持っている薔薇……。

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拝啓……Wさまへ。

太陽光線の有難さを実感する今日この頃、
如何お過ごしですか?風邪を引いていらっしゃるとうかがいましたが
その後、体調は戻られましたでしょうか?

さて、少し前になりますが、三島由紀夫の「サド侯爵夫人」を観て来ました。
これは、三島由紀夫生誕80年、没後35年(今日命日)の節目の
今年から行われる、三島由紀夫全戯曲上演プロジェクトの第一回公演でした。
今回は国立博物館の本館特別五室を劇場に改装、
一杯舞台は美術の秋山正さんのシンプルな装置と書き割りが復活しました。

それにしても、三島由紀夫の華麗な台詞の大伽藍……。
この「サド侯爵夫人」に先立つ事9年前、
当時、文学座に戯曲を書いていた三島由紀夫が「鹿鳴館」を書き上げ
主役の杉村春子さんに初めて読んで貰った時の杉村さんの感想は、
「まぁ、何だか修飾語だらけねぇ……」だったそうです(笑)
そういう台詞は初めての杉村さんに、三島由紀夫が出した注文は、
「思いっきり、新派のような積りで見栄を切って演って下さい」だったそう。

この戯曲を発表した当時、ドナルド・キーンによる英文訳の際のタイトルを
本来なら「Marquise de Sade・サド侯爵夫人」とする所ですが、
たった一文字「e」違いで、「Marquis de Sade・サド侯爵」になってしまいます。
出版元のグローブ・プレスから、「マルキ・ド・サド全集」が出ていると言う
ドナルド・キーンの助言で「Madam de Sade」に変えて出版したのでした。

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サド侯爵夫人ルネ 「薔薇を愛することと、
              薔薇の匂いを愛することと分けられまして?」
モントルイユ夫人 「莫迦をお言い。それは薔薇が感心にも、 
              薔薇にふさわしい匂いを持っているからだわ」

俳優にとって、また、演劇にとって、台詞が命です。
作者の書いた台詞を如何に血の通った人間に仕立てて行くか……永遠の課題ですね。
その手助けとして、衣装があり、装置、照明、その他、裏方の仕事があるのです。
映画や舞台は総合芸術です。全ての要素が一つになって初めて完成する。
それは、演技のアンサンブルだけではありません。
どれ一つとして突出した物があってはならないと思うのです。
俳優は三島由紀夫のあの華麗で膨大な台詞を間違わずに喋るだけでも大変なのに、
その役に血を通わせるなどと言う事は至難の業でしょう。
あるものは2ページにも渡る長台詞……間違わずに言うだけでも大変です。
廻りのスタッフはそれを手助けしなければなりません。
残念かな、今回の公演は、先ず、衣装とヘア&メイクが非常に奇抜でした。
どんなに見事に台詞を言っても、目は奇抜な衣装とヘア&メイクに釘付け……。
裏方は、役作りの助けにこそなれ、決して役者の足を引っ張ってはならないのです。
観客は三島由紀夫の宝石の様な台詞を、華麗なロココ調の衣裳を楽しみに行きます。
しかし、本物の絹や金糸銀糸やダイヤモンドで飾り立てる必要はありません。
観客と言うものは鋭い勘、そして天翔る想像力を持ち合わせているのですから。

それぞれの役にハッキリ塗り分けられた「性格」………………。
サド侯爵夫人ルネ=貞節。 その母、モントルイユ夫人=社会、法、道徳。
シミアーヌ男爵夫人=神。 サン・フォン伯爵夫人=、肉欲、悪徳。
アンヌ=無邪気と無節操。 シャルロット=民衆。

「これらが惑星の運行のように、交錯しつつ廻転して行かねばならぬ」
三島由紀夫は出版時の「跋・ばつ」の中で語っています。

所が、観終わってみると、違う各色をクッキリと絵筆で塗り分けられた登場人物も、
結局は、それぞれ、全ての性格を持ち備えている事に気付かされます。
戯曲を終幕の台詞から書くと言われている三島由紀夫の作劇の上手さですね。

………………………………………………………………………………………………………………………

サド侯爵夫人ルネ 「あなた方は薔薇を見れば美しいと仰言り、
              蛇を見れば気味がわるいと仰言る……」

大きい写真は、6月、パリ郊外、満開のライ・レ・ローズ薔薇園で撮影しました。
薔薇の名前は「Incomparatable d'Anteuile」ラフェイの作出です。
最高級霜降り和牛みたいな花弁を見た時にロココを感じました。
「あぁ、これは三島の『サド侯爵夫人』だぁ!」と、見た瞬間に思った物です。
ストライプともつかない斑入りの花弁に物凄く強烈なオールド・ローズの香り。
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小さい3枚の写真は公演日の国立博物館の外の様子です。照明デザイナーの石井幹子さんプロデュースによる「光のソワレ」。三島由紀夫の肖像や、著作からインスピレーションを受けた写真を壁面の投影。秋の澄み切った空気の中、劇場内、客席似つくまでの前奏曲のようで何とも素敵でした。何枚か撮りましたが、三島由紀夫本人の肖像と「金閣寺」、それに「春の雪」を連想させる写真を選びました。

4年前の新年にフィレンツェを訪ねた時の事。一週間の滞在で美術館三昧、美味しい物を食べ歩き、サン・ジミアーノや、ダ・ヴィンチ生誕の村や生家を訪ねて近郊の街に足を伸ばし、そろそろパリに戻ろうと言う時、偶然目にした「サド侯爵夫人」のポスター。何と、帰る日の夜、フィレンツェの隣町で一回だけの公演があったのです。もう、ガッカリ(笑)知っていればそれに会わせて日程を組んだのに……。旅先で後悔する事ってあまりないのですが、その時ほど後悔した事はありません。


敬具

2005年11月25日


ブノワ。


[サド侯爵夫人 三島由紀夫 著 (1965)]
[鹿鳴館 三島由紀夫 著(1956)]
[三島由紀夫/Yukio Mishima (1925~1970)]
[杉村春子/Haruko Sugimura (1906~1997)]
[文学座]

[Incomparatable d'Anteuile (Pr) Laffay]
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by raindropsonroses | 2005-11-25 00:00 | 天井桟敷の人々。 | Comments(18)

あなたはどう括弧でくくりますか?

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拝啓……Kさま。

今年もあと一月あまりとなりましたが、その後お元気ですか?
師走になるとアッと言う間に年末ですよ!
お正月は台湾で過ごすって言っていましたが本決まりですか?

さて、今日の写真は僕が最近気に入っているイングリッシュ・ローズの
「Charles Darwin」です。今日はダーウィンの「種の起原」が出版された日。
この薔薇は、近年の充実したイングリッシュ・ローズの中でも
もっとも成績がいい品種の中の一本です。黄色でこのタイプは初めてですね。
デヴィッド・オースチンはオールド・ローズの花形と匂いに
モダン・ローズの繰り返し咲き性を導入しようと研究して来ました。
元々、黄色い花が少なかったオールド・ローズ。
特に、この、所謂、オールド・ローズの花形で黄色は皆無です。
前世紀の薔薇を愛する人達がこの「Charles Darwin」を見たらどう思うでしょう!
作出家の苦心が現在の優れた黄色系の薔薇を誕生させました。

そもそも、「イングリッシュ・ローズ」と言う名称ですが、
世界でもその呼び方(グループ分け)の仕方が違いますね。
日本で最近出版された、講談社の「バラ図鑑」では、
系統図のページのモダンローズの所に「イングリッシュ・ローズ」と言う
個別の括りをしていますし、他の薔薇に関する本などでも
「Modern Shrub」や「Shrub」に属すると断りながら、
イングリッシュ・ローズを一つの薔薇の仲間として捉えている所が殆どです。
世界的に見ると、さすがに、ガリカ、アルバ、ダマスクと言った系統の中に
イングリッシュ・ローズを新たに加えている所は今の所ないようです。
「American Rose Society」や「World Federation of Rose Societies」には
イングリッシュ・ローズとしての個別の系統立てはされていません。
所が、イギリスの「British Association Representing Breeders」などでは
しっかりと「English」として一つの系統が確立しています。
世界的には、個人が作出した200種類あまりの薔薇を、国の名前を付けて
呼ぶ事にも拒否反応や違和感を覚える人が殆どなんでしょう。

ただ、長い歴史の中で見て行くと、もしかして近い将来に
「English Rose」と言う括りが一般的になるかもしれません。
現に、イングリッシュ・ローズの人気に影響を受け、様々な国で
イングリッシュ・ローズに似たタイプの薔薇(アンティーク・ローズなど)が
次々に作り出されています。現に、僕のうちで育てている園芸種
350本の中の1/7の50本ほどがイングリッシュ・ローズですし、
これらがもしなかった場合、今ほど薔薇が好きになっていたかどうか分かりません。
それほど、イングリッシュ・ローズの普及と影響を無視して
語れない今の薔薇の世界ではないでしょうか。


敬具

2005年11月24日


ブノワ。


[Charles Darwin (ER) Austin, 2002]
[David Austin Roses/David Austin (1926~ )]

[Charles Robert Darwin (1809~1882)]
[The Origin of Species/種の起原 (24.11.1859)]
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by raindropsonroses | 2005-11-24 00:00 | 薔薇の名前。 | Comments(8)

シニカルなエスプリとウィット……市川崑の細雪。

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拝啓……Oさま。

秋の晴天が続いております。
櫻の木も紅葉し始め、色のない東京の秋を華やかなものにしていますね。

さて、先日は思わず夕飯をご馳走になりまして大変恐縮しております。
結局、Oさんと話していると、最終的には映画の話しになりますね。
Oさんは、僕が日本映画を敬遠していると言いましたが、それは間違いです。
今の日本映画で映画館で見る価値のあるものが少ないと思うだけです。
テレビのスイッチを入れても映画館でも同じ顔ぶれ……。

僕が映画を観始めた頃、
地元の映画街には、東宝、松竹、東映、日活、それぞれの上映館があり
それぞれの映画会社は自社制作で映画を作っていたものです。
今は、殆どが外注の作品を配給するだけ。邦画専門の映画館も無くなりました。
当時、既に日本映画は斜陽と言われていましたが、
そんな中で、孤軍奮闘、ビッグネームでヒットを狙えるのは黒澤明と、
僕がビリー・ワイルダーと並んで敬愛する、今日が誕生日の市川崑のたった二人。
僕は、市川崑が大好きなんです。小さい頃、テレビ東京で土曜日にやっていた
「日本映画名作劇場」で、可成りの作品を観る事が出来ましたし、
当時はまだ、銀座の外れに「並木座」と言う邦画専門の名画座がありました。
貪るように邦画を観たものです。「映画は映画館で!」僕のモットウですから。
何故、僕がビリー・ワイルダーと市川崑が好きかと言えば、
たった一言、二人共ものを見る視線が非常にシニカルだって言う事です。
シニカルでユーモラス。そして、題材の切り口が非常に斬新で、
カメラワークや画面の構図がモダンな事でしょうか。
学生の頃、映画の興行界は、秋にヒット作は絶対に出ないと言われていました。
そんなジンクスを見事に破ったのが、市川崑の「犬神家の一族」でした。
角川書店とタイアップ、今では当たり前になった書籍と映画のタイアップですね。
駅々にはイラストのポスターがズラッと貼られ、本屋には原作が平積み状態。
映画はヒットし、以後、市川崑の第二の全盛期が始まります。
横溝正史の金田一耕助シリーズに始まる娯楽色の強い作品群。
そんな中、僕が市川崑の作品の中でも最高峰だと思う「細雪」が製作されました。
この「細雪」は、市川崑が助監督の時から映画化を狙っていた作品で
それまでに、東宝で阿部豊、大映で島耕二など、3回映画化されていました。

「昭和十三年のことである……」

雨の嵐山から始まる市川崑の「細雪」は、全編これ、彼、特有の
クローズ・アップとスローモーションの多用で
スタイリスト市川崑の魅力が全て出ているような気がします。
四姉妹の女優は、岸恵子→横浜、佐久間良子→東京、吉永小百合→東京、
古手川祐子→大分と、それぞれに関西以外の出身なので、
何となく上流関西(船場、芦屋)の言葉が怪しいのですが、それはそれ、
美しい着物、衣擦れの音、スローモーションに翻る羽織の裏地……。
冒頭の平安神宮でのお花見のシーンから完全に市川崑の世界です。

大阪は船場の大商家、蒔岡家の物語の一番最初の台詞が
篠つく雨の渡月橋のカットのあと、幸子の「お金……あぁ、あの事」で始まります。
お金の事など全く頓着しない四姉妹の最初の台詞が「お金……あぁ、あの事」。
佐久間良子の美しいクローズアップと、鈴を転がすような声……。

ヘンデルの「Ombra mai fu」をシンセサイザーでアレンジした音楽も素敵でしたが
当初の配役は山本富士子だった長女鶴子役の岸恵子の可愛らしさ、
女盛り、次女幸子役の佐久間良子の華やかさ、艶やかさ、
演技開眼、三女雪子役の吉永小百合が見せた新しい魅力、
四女妙子役の古手川祐子の勝ち気……。美しい台詞と、その間の妙。
交わされる視線、白眉は、何と言っても雪子が結婚相手を決める瞬間の
台詞が全くない場面での視線だけの会話!絡み合う幾つもの視線で
幸子の雪子をを思う姉の愛情、そして夫の雪子に対する移り気を案ずる不安等、
各人の思惑と気持ちが視線一つで見事に表現されていました。
開戦に向かう日本の空気感まで味わえる何とも贅沢な時間。

e0044929_2365654.jpg写真は、今年の4月にお招きを受けた池上梅園での香道の会で、床の間にお茶の師匠が生けた桜を撮影。ピンボケ具合が何やら日本画のように見えませんか?小さい写真は、京都は法然院の谷崎潤一郎のお墓の「寂」の文字です。隣には松子夫人のお墓、後には谷崎が愛した平安神宮の枝垂桜が移植されています。

自分のご先祖さまは全くお参りしないくせに、
京都に行くと必ず谷崎潤一郎のお墓参りをする変な僕です(笑)


敬具

2005年11月21日


ブノワ。


[市川崑 (1915~ )]
[黒澤明 (1910~1998)]
[Billy Wilder (1906~2002)]
[岸恵子 (1932~ )]
[佐久間良子 (1939~ )]
[吉永小百合 (1945~ )]
[古手川祐子 (1959~ )]
[山本富士子 (1931~ )]
[犬神家の一族 (1976) 東宝]
[細雪 (1983) 東宝]

[谷崎潤一郎 (1886~1965)]
[細雪 (1942~1948)]
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by raindropsonroses | 2005-11-21 00:00 | 映画館へ行こう。 | Comments(12)

ソノちゃんの枕。

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拝啓……Kさまへ。

随分と肌寒くなって来ました。
その後如何お過ごしですか?猫は布団に入って来ますか?(笑)

さて、今日の写真は強烈でしょう?
これは、お園が染香を枕にしている所なんです(笑)
他の3匹は、まるで海老を茹でたようにまん丸になって寝ますが、
お園は違うんです。丸くなるのは非常に珍しく、
そうですねぇ、スフィンクスがそのまま頭を地面に付けたような形で寝ます。
それから、この枕!殆どが染香が生け贄になるんですが(笑)
春に染香が死んじゃってからは、何と、この僕が枕にされています!
夜、寝ている時に肩や腕、脇の下に潜って来て枕にされるのはまだいいとして、
胡座をかいて座っている時に踝に「ピトッ!」と頭を乗せられたり、
肩に乗ったまま首筋に頭を乗せられて「クゥクゥ」言われたのではたまりません。
ちょっと動こうもんなら「うぅ〜んっ!」と、不満げな声。
「ねぇねぇ、園ちゃん、僕は枕じゃないんだからね!」って言ってやります(笑)

思えば、お園がウチに一番最初に貰われて来た時の事。
サァ〜っと逃げる朝子や威嚇する染香を物ともせずに興味津々で追いかけて
アッと言う間に仲間の一員になってしまったお園。
染香が威嚇し疲れ、グゥグゥと鼾をかき始めると、何処からともなく園ちゃん登場。
アッと言う間にブクブクの染香のお腹に顎を乗っけて爆睡です(笑)
目覚めた染香はビックリ仰天……「仕方ないなぁもう」って感じでしょうか。
そんな調子で、お園が染香と朝子の仲間入りをするのに7日も掛かりませんでした。
何と言う人懐っこさ!驚異の愛嬌の良さで、初めての人にもお腹を出して
グルグルグルグル……外に出したらアッと言う間に誘拐ですね。


敬具

2005年11月13日


ブノワ。
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by raindropsonroses | 2005-11-13 00:00 | 猫が行方不明。 | Comments(14)

便りの宛先は?宛名は?……カテゴリーについて。

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拝啓

皆さまお元気ですか。今年もあと残す所2ヶ月……。
さすがに、朝、布団から出るのが辛くなって来ました。
さて、ブログ開設3ヶ月……今日は、皆さんからの質問が多かったので、
ブログのカテゴリーについてちょっとお話ししたいと思います。

先ず、季節にとらわれず、写真を自由に使いたいので書簡形式にしました。
詳しい事は、一番最初の記事を参照して下さいね。


★薔薇の名前。
 現在ベランダで育てている園芸種350本、僕のオリジナル350本、
 合計、薔薇700本を中心に薔薇にまつわる色々なエピソードを紹介しています。
★猫が行方不明。
 我家の駄猫4匹のトンチンカンな日常と旅先で見かけた猫の話し。
 例外はありますが、基本的には日曜日に更新です。
★バベットの晩餐会。
 美味しいと思った物、特に自分では再現不可能な物を書いています。
 今の所、記事はなし……。
★恋におちたシェークスピア。
 薔薇の種類の中でも、特にシェークスピアの作品から名前をとっている品種を
 紹介。結構な数あるんですよ。
★映画館へ行こう。
 映画は映画館で!これをモットウにしていますので、新作にとらわれず
 お気に入りの映画を紹介。また、それに因んだ写真も見て下さいね。
 そう、映画評を書く積りは毛頭ありませんので……あくまで紹介です。
★天井桟敷の人々。
 最近はめっきり舞台を観なくなりました。日時が決められてしまう、
 観劇料が高い、面白くない……そん中で心に残る舞台の想い出です。
★展覧会の絵。
 僕は展覧会へは行く方だと思うのですが、結構、偏っているかもしれません。
 観に行った展覧会にまつわるエピソード、関連する事を紹介します。
★書架の片隅。
 新旧問わず、僕の宝物、本棚に大事に鎮座ましましている本を紹介。
 これまた、書評は出来ませんから、色々なエピソードを絡めて皆さんに紹介です。
★旅の栞。
 今まで行った国々……目からウロコの仰天エピソードや、親切な人々との出会い
 僕のビックリを皆さんにも味わって戴きたくて書いています。
★儚いもの。
 いつまでも永遠にあると思い込んでいたもの……。
 それが、ある日突然になくなってしまう。惜しむ気持をオマージュとともに……。
★女優の時代。
 映画が大好きな僕。長年の映画鑑賞から厳しい目と愛情を持って
 偉大な女優、愛すべきキャラクターを紹介。ちょっと偏っているかも(笑)
★英雄伝説。
 同じく、大好きな男優について書いてあります。女優と違って、
 男優の場合は「あの人みたいになりたい!」と、影響が大きのです……。
★Raindrops on roses。
 「Raindrops on roses」とは、映画「Sound of Music」の中の一曲、
 「My Favorite Things」の出だしの一節です。
 つまり、僕のお気に入りについて熱く語っています(笑)
★Sound of music。
 言わずと知れたミュージカルの傑作。
 ミュージカルが苦手の僕が唯一好きな「Sound of Music」。
 最近はあまり聴かなくなってしまったけど音楽についての記事です。
★いつも心に太陽を。
 今までに出会った大切な人についてのエピソードです。
 彼らに対しての感謝の意味を込めて書いています。
★何処からともなく。
 まわりから隔離された我家のバルコニーに何処からともなくやって来た草花。
 そんな不思議な世界を紹介しています。
★向き向きの花束。
 三島由紀夫原作の「鹿鳴館」。その冒頭の台詞に出て来る一節です。
 客を体よくあしらった影山朝子に大徳寺侯爵夫人季子(すえこ)が言います。
 「まぁ、偽善もあなたの手にかかると匂いのいい花束になってしまうのね」
 朝子は「いいえ、向き向きの花束を差し上げているだけですわ……」と、応酬。
 皆さんへの折々の挨拶が含まれています。


※因に、ブログのタイトル「匂いのいい花束。」もここから拝借。
 単に見た目が綺麗なだけではなく、匂いもいい花束のようなブログ……。
 皆さんにあれこれと色々と行間から想像していただければ幸いです。
 
 記事は思った事の半分しか書いていません。皆さんに戴いたコメントに
 返事をする事で残りの思いを書き足しています。
 ですから、僕と皆さんで記事を完成させているって事になりますね……。

写真は、今年手に入れた薔薇の中でもお気に入りの3本。
イングリッシュ・ローズの「Falstaff」「Benjamin Britten」
そして、近年の中では抜群の黄色、「Charles Darwin」。
どれも、花形、匂い、繰り返し咲き性に優れ、非常に満足しています。
まだまだ書きたい事は沢山あります。これからも一つヨロシクお願い致しますね。


敬具

2005年11月10日


ブノワ。


[Falstaff (ER) Austin, 1999] (Purple)
[Benjamin Britten (ER) Austin, 2001] (Orange Red)
[Charles Darwin (ER) Austin, 2003] (Yellow)
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by raindropsonroses | 2005-11-10 00:00 | 向き向きの花束。 | Comments(17)