匂いのいい花束。ANNEXE。

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感謝の気持ちで一杯です。

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拝啓……皆さまへ。

こんにちは。何かと忙しい年の暮れ、如何お過ごしですか。
今年は随分と寒く感じますが、きっとこれが普通なのかもしれません。

さて、8月8日にブログを始めて早、丸5ヶ月を迎えようとしています。
楽な方、楽な方に流れる自分の性格をよく知っていますから(笑)
毎日の更新を自分に課しました。始めはどうなる事かと思いましたが、
皆さんの温かいコメントや、忌憚ない感想に励まされ、
毎日〜随分と楽しくやって来れたように思います。
本当、いつも温かいコメントをありがとうございます。
以前の記事にも少し書きましたが、このブログは、
僕が本当に書きたいと思っている事の半分くらいしか書いていません。
後の仕上げは皆さんと一緒に、コメント欄を通じて完成させる事にしています。
もっとも、最近は記事が少し長過ぎると、僕に苦情を言う強者も(笑)
矢張り、お気に入りの事を書くとなると、どうしても長くなってしまいますし、
薔薇や映画、それぞれ苦労して作っている人達の事を思うとついつい饒舌に。
まぁ、「長いなぁ……」と思ったら写真だけでも見て下さい。
なるべく綺麗な写真を選んでいますが、記事とリンクしなければ何もならず
なかなか難しい問題でもありますが……。

このブログに遊びに来て下さる方の事を少し分析してみると、
アクセスが一番多いのは、深夜0時の更新直後と、朝9時過ぎ……。
多分、会社に行って、先ずPCを立ち上げて一番最初にチェック?
ダメですよぉ、ちゃんと仕事しないと(笑)
僕も習慣化していますが皆さんもそうだったりして……。

写真は、今年の5月、西武ドームで開催された
「国際バラとガーデニングショー」で撮影しました。
僕にしては珍しくカメラを持って行きましたから結構、撮って来ました。
これは、市川惠一さんがお作りになった薔薇で、
恐らく、イヴ・シルバとイヴ・ミオラの「イヴ・シリーズ」かと思われます。
市川さんのお作りになる薔薇はそれは素敵で、一番の特徴は気品がある事。
花束にした時に、えも言われぬニュアンスと動きが出て来る事です。

幸いな事に、まだまだ書きたい事は山のようにあります。
来年も、元旦から張り切って書き進めて行く積りです。
これからも、拙いブログですがヨロシクお願い致しますね。
今年は本当にお世話になりました。来年一年、素敵な年になりますように!


敬具

2005月12月31日


ブノワ。


[Yves Miora (HT) Keiiti Ichikawa, 1998]
[Yves Silva (HT) Keiiti Ichikawa, 1997]
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by raindropsonroses | 2005-12-31 00:00 | 向き向きの花束。

麗しき薔薇の聖母。

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拝啓

Nさま、いよいよ今年も残り一週間になりました。
今日はクリスマス・イブ、クリスチャンのNさんには
特製のクリスマス・カードをお送りしますね。

これは4年前の夏、パリのクリニュー美術館で撮影した「薔薇の聖母」です。
どうですか、薔薇がお好きでクリスチャンのNさんにピッタリでしょう?
聖母子像をモチーフにした作品は絵画彫刻と数限りなくあります。
僕は無神論者ですが、キリスト教美術が好きで色々と撮り溜めた中で
一番好きな聖母子像なんです。瓜実顔のマリアさまは慈愛に満ちてどこまでも清楚。
いつもは愛らしくなく表現されている事の多いキリストも魅力的です。
聖母は製作された時代や国、宗派によって表現方法や表情が様々に変わりますが、
キツい顔、優しい顔、憂う顔、何れも、それぞれに美しい事には変わりありません。
しかし、なぜキリストは可愛らしくないのか……僕の長年の疑問であります。

それにしても、この時期の街の狂騒には目を覆いたくなるものがありますね。
クリスマス商戦と言うのも如何なものか……花屋はポインセチア一色、
街角には派手派手しいイルミネーションとクリスマスツリー。
レストランはお高いクリスマス・メニューのみになり時間制……。
僕のような人間にとっては迷惑以外の何物でもありません。

先日の事、新しいローマ教皇、ベネディクト16世が
「蔓延する商業主義がクリスマスの精神を汚している」と、
近年のクリスマスの過ごし方について苦言を呈しましたね。
全くその通り、僕も確かにそう思います。
日本人の悪い所でもあるスグに物に影響される所、
意味もなく右へ倣えするクセのある人なんかには耳が痛かった事でしょうね。
生まれてスグにお宮参り、毎年〜クリスマス&ヴァレンタインを賑々しく祝い、
結婚は神前結婚で、死ねば訳も分からぬまま仏教で送られる(笑)
何とも脳天気な民族です。本当に信仰心がある人には申訳ないけど
おおよそ、信仰と言うものには無縁な国民ですね。
信仰とは各個人の心の中の様相……僕はそう思っています。

2000年以上経ったキリスト教も随分と形を変えて来ました。
この辺で一番最初のキリストの教えをもう一度確かめてみるのもいいでしょうね。
その昔、美輪明宏さんが仰言った「お金が掛かる宗教は全ぇ〜ん部インチキよ」の
言葉が随分と気になっています。確かに言い得て妙ですもん(笑)

Nさま、素敵なクリスマスを過ごして下さい。
このカードは、たった3枚だけ、クリスチャンの友人限定です(笑)


敬具

2005年12月24日


ブノワ。


[Musee National du Moyen Ageクリニュー・国立中世美術館]
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by raindropsonroses | 2005-12-24 00:00 | 向き向きの花束。

どこまで手を加えますか?……よみがえる名画のために。

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拝啓

M君、その後、如何お過ごしですか?
フィレンツェはクリスマス一色でしょうか?
東京の花屋はポインセチアで埋め尽くされ、街はクリスマスソングが溢れ
狂ったようなイルミネーションにクリスマスツリー乱立です(笑)

さて、先日の一時帰国の時は、ゆっくりと話す事が出来て良かったです。
その時、話しに出た本、「よみがえる名画のために」を
改めて本棚から引っ張りだしてパラパラ捲ってみました。
僕がこの本と出会ったのは街の小さな古本屋でした。
タイトルに惹かれて買い求めましたが、実は、僕も素人の真似事ながら
色々な物の修理、修復(大袈裟かな?)をするのが趣味なんです。
パリの蚤の市で買い求めたボロボロの油絵を再生したり
木彫の折れた箇所や虫食いの部分を修繕したり、彩色したり。
また、太陽光線で焼けてしまい色褪せた本を元通りの色にしたり
果ては、着物の虫食いを修繕したり、額縁の掛けた部分を補修したり。
まぁ、腕はいい方だと思いますが(そう思わないとやっていられない……)
要するに、何でも屋ですね(笑)僕の趣味の一つなんです。

この「よみがえる名画のために」が大好きな理由は、
著者の黒江光彦さんが、単身パリに修復師修行に訪れた貴重な時間の記録
確かに、現在の修復と言う観点から見れば、少々大時代的な所もあるかもしれません
ただ、修復のパイオニア的存在の黒江さんの修業時代の様子が
当時(1964年12月)のパリの様子とともに克明に記されています。
弟子入りした師匠のマレシャル氏と母親のマレシャル夫人。
夫人の亡き夫はクラシック好きには懐かしいチェリストのモーリス・マレシャル氏。
銀座の山野楽器から出ている「モーリス・マレシャル全集」を持っている
チェロ好きの僕には何とも興味津々の本なんです。

最初の写真は、10月に訪れたトロワの美術館で撮影しました、
「Les Fils Prodigue Chez les Courtisanes」の部分です。
修復中の作品が何故展示されているのかは謎ですが(笑)
絵具が剥がれ落ちそうな箇所を日本の和紙で仮止めしてあります。
手前に立てかけてある楽器は、チェロではありませんが、
ヴィオラ・ダ・ガンバかヴィオールでモーリス・マレシャル氏と縁深いです。
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この美しいオールド・ローズの写真は、6月に訪れた
Varengeville-sur-Mer、ヴァランジュヴィル・シュル・メールで撮影しました。
黒江さんが修復したゴッホの作品、今は、国立西洋美術館の一階の
常設展示の部屋を入った所、スグを左後ろに振り返った所に飾ってある
小さな小さな薔薇の絵に似ています。

所で100人の人間に、ミロのヴィーナスの欠けた両腕を再現しなさいと課題を出し
万歳をした恰好に両手を上げて修復する人は一人もいないと思いますが、
絵画の場合、剥がれ落ちた絵具の層を糊で貼り付けたり
後年、画家本人以外の誰かが描き足した部分を洗浄したり
虫が喰った支持体(木のパネルやキャンバス)を修復したりはいいでしょう。
ミケランジェロの「最後の審判」や、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」のように
徹底的な科学の力での分析、そして、洗浄、加筆……出来上がった
眩いばかりの新しいミケランジェロとダ・ヴィンチ……M君はどう思いますか?
僕は、これらの作品は、既に全く違う別の作品、
巨匠が描いた作品とは別のものになってしまったと思うんです。
どれだけ学術的に正しくても、偉い先生が筆をとっても僭越至極。
どこまで加筆するか?経年劣化ではいけないのか?今後、何千年もの間
同じ状態で保存しなければならないのか?僕には大きな疑問符が一つ、
これは、僕達現代人の奢りと慢心に思えて仕方がないのですが……。
そんな訳で、僕は「最後の審判」も「最後の晩餐」も見ることはないでしょう。
M君の仕事とは相反する僕の意見、でも、チョッと分かってくれますよね?


敬具

2005年12月23日


ブノワ。


[よみがえる名画のために/黒江光彦 (1935~ ) 著]
[Maurice Marechal (1892~1964)]
[Les Fils Prodigue Chez les Courtisanes 部分/
Hiemonymms Janssens (1624~1693)]
[Vincent van Gogh (1853~1890)]
[Michelangelo di Lodovico Buonarroti Simoni (1475~1564)]
[Leonardo da Vinci (1452~1519)]
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by raindropsonroses | 2005-12-23 00:00 | 書架の片隅。

本当に青いと思いますか?

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拝啓

Aさま、先日はすっかりご馳走になってしまいました。
今日はお礼に、僕の愛読書、最相葉月さんの「青いバラ」と
僕が作ったオリジナルの薔薇の写真をお送りしますね。
最相葉月さんの本は、「絶対音感」を読んだのが初めでした。
それはそれは面白く、貪るように読んでしまったものです。
その次の作品が、この「青いバラ」なんです。
この「青いバラ」は、最相葉月さんが綿密なリサーチで書き上げた傑作で、
日本の薔薇の父と言われている鈴木省三さんのインタビューを縦糸に、
薔薇の歴史の様々なエピソード、バイオの興味深い事情までを横糸に綴った作品で、
例えば、どのページを捲ってみても非常に読み応えがある一冊に仕上がっています。
行間から、最相葉月さんのバイオに対するスタンスも見えて来ます。
「青いバラ」の冒頭に、鈴木省三さんの言葉が載っています。

「青い薔薇があったとして、あなたは綺麗だと思いますか?」

Aさんはどうお思いですか?僕は……多分、いえ、絶対に綺麗だと思います。
濃いビロードのような紺色に淡いグリーンの葉、
若しくは、青空のようなブルーに濃い緑色の葉……。
さぞかし綺麗だと思います……でも、どうだろう、やっぱり分かりません。
ただ、「青い薔薇=不可能」この言い伝えの通り
青い薔薇は絶対に出来ないと思っていますし、
言い切ってしまえば、出来ない方が良いとさえ思っています。
いいじゃないですか、薔薇に青い薔薇がなくっても。

現在、巨大洋酒メーカーがバイオ・テクノロジーの力を使い
長い月日と巨額の資金を投入し「青い」と称される薔薇を作りました。
Aさんはこの「青い」と称される薔薇を見てどう思われますか?
青いと思いますか?どう見てもピンクがかったラベンダーですよね?
この辺の、青くもない花を「青い」と言ってしまう傲慢さは大いに疑問です。
世の中の薔薇愛好家の非常に冷たい反応も頷けると言うものです。
先人達が交配で苦労して作り上げた「青い薔薇」の数々、
それらはどれも魅力的で、現在もそれぞれ人気を誇っています。
そんなに無理をしてまで「青い薔薇」と言う必要がありますか?
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僕が今、一番青に近いと思っているのは、この二枚目の写真の「青竜」です。
青いと言うよりは、一番、赤味が少ない薔薇っていう事でしょうか……。
非常にか弱い薔薇ですが、意外にしっかりと花を付けてくれます。
匂いは殆どなし、葉も花弁も艶が無く、どちらかと言うとカサカサした肌触りです。
チョッと斑が入るかな……少なくともウチの「青竜」はそんな感じです。
小林さんが長年苦心して作った「青竜」…こう言うのを「青い薔薇」と言うのです。

大分前になりますが、朝のニュースの番組で
「青い薔薇が出来ました!」との報道!台所にいた僕は
慌ててテレビの前に来てみれば、どこかの薔薇園(薔薇生産業)の女性が
誇らしげな面持ちで青い薔薇を持っています。
その薔薇は、本当に目が覚めるように青く、赤味は全くありませんでした。
正真正銘の「青」……暫し、ポカーンと眺めていましたが
何と、この「青い薔薇」は白い薔薇にインクを吸わせて作ったものだったのです。
驚くと共に、これを「青い薔薇」を言い切ってしまう生産者に二度ビックリ。
半分怒りのような気持ちだったのかもしれません。

そんなことを言うなら、この最初の大きい写真、僕が作ったオリジナルの薔薇だって
立派な「青い薔薇」と言えると思いませんか?
交配をやって、たった3年でこんなラベンダーの薔薇が出来る事もあるんです。
全ては神のみぞ知る……でも、僕はこれを「青い薔薇」とは呼びません。
だって、全然、青くはないし、植物に関わる者は傲慢ではいけませんから。


敬具

2005年12月21日


ブノワ。


[青いバラ/最相葉月 著 (2001)]
[Seiryu/青竜 (HT) Kobayashi, 1992]
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by raindropsonroses | 2005-12-21 00:00 | 書架の片隅。

北欧から来た律儀な青年……ヤンネ・ラットゥア。

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拝啓……M.M.さんへ。

こんにちは、お元気ですか?
大変に遅くなりましたが、約束のヤンネ・ラットゥアさんの写真を同封します。
先日、さいたまの「彩の国」の音楽ホールで撮影したフィルムの分と、
藤原真理さんのお宅で撮影した稽古中のカラーの写真です。

真理さんのお宅の稽古の様子は写真を撮りながら拝見していて
リラックスした中にも、お互いを信頼した感じが出ていて
いい感じのものが撮れたんじゃないかと自負しています。
でも、さすがに本番となると話しが違いますね。
2日間、裏で付きっきりで録音を見せて貰ったのですが、
非常に緊張感が漂う現場にビックリしてしまいました。
勿論、僕は、録音が行われているステージには行きませんでしたが、
録音の合間に、お二人が合わせている所や、楽譜を確認している所、
リハーサルの様子はカメラに納める事が出来ました。
こと本番となると、年齢の差や経歴、先輩、後輩と言う事は
全く関係なくなっちゃうんですね。ヤンネさんのアドヴァイスに
黙って耳を傾ける真理さん、お互いに真剣な表情に
こちらも身が引き締まる思いがした物です。
この写真ですが、モノクロームの方は、ヤンネさんが初日の録音を終わり
自分でアコーディオンを解体している所です。
驚いちゃったんですが、アコーディオンって二つに分かれるんですね。
それも、ドライバー一本で!しかも、重さは13キロもあるそうですよ!
チョイと片手で持ち上げるって言う訳には行きません(笑)

長年、写真を撮って来て思うんですが、
写真っていくら頭で考えていても作品にはなりません。
兎に角、シャッターを押す事。シャッターを押さなければ
何も残らないのです。出来は偶然の産物で傑作にもなりましょうし
また、どんなに工夫を凝らしても思い通りに行かない事だってあります。
この、思い通りにならない方が多いので困ってしまうんですが(笑)
先ず、シャッター・チャンスを逃さない事。これが一番ですね。

それともう一つ、被写体をよく知る事がいい写真を撮る秘訣のように思うんです。
特に人物の場合はそうですね。モデルの特徴を良く知る事。
一瞬、心が通じる……ある瞬間、モデルとカメラマンが一つになる瞬間があります。
ほんの一瞬、モデルとレンズを通したカメラマンが一本の線で結ばれるのです。
このモノクロ写真はそんな中の一枚でしょう。
視線を貰った瞬間に自然にシャッターがきれましたから。
既に何回か顔を合わせて、打ち解けていたからこそ撮れた一枚じゃないでしょうか。
この手の写真は、絶対に本人の気に入られる自信があるから不思議です。

ヤンネさんはフィンランド生まれの31才。音大の教授もしているんですよ。
これからが楽しみな音楽家です。一つの楽器から様々な音色が聞こえて来て
実際に演奏する所を見なければ、何種類もの楽器で合奏しているように聞こえます。
奏法は変幻自在、身体を左右に大きく揺らして弾くヤンネさんを見るうちに
こちらも催眠術にかかるように音楽の世界に引き込まれて行くのです。

CDの発売は来年の2月中旬過ぎだそうです。
出来上がったら一枚お送りしますね、楽しみにしていて下さい。


敬具

2005年12月14日


ブノワ。


[Mari Fujiwara Official Site/藤原真理]
[Janne Rattya (1974~ )]
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by raindropsonroses | 2005-12-14 00:00 | いつも心に太陽を。

みんな真剣なんだよ……サイドウェイ。

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拝啓

Nさま、Iさま、先日は美味しい和食の店にお誘い戴き恐縮しています。
どのお料理も大変に素晴しく、また、和食の世界は奥が深いと驚いています。

さて、結局いつもの事なんですが、生ビールに始まりスパークリングワイン、
日本酒……あらゆるアルコールを飲み干さんばかりの勢い(笑)
店のハンサムな店主も呆れていましたね(笑)

ワインの話しで盛り上がったので思い出したんですが、
先日の事、名画座でズゥ〜ッと追いかけていた「サイドウェイ」を観ました。
この作品は、ロードショウの時から気にはなっていたんですが
残念ながら時間が合わずに見損なっていたんです。
実は、僕も若い頃にはワインの勉強をした事がありまして……。
そんなに本格的ではなかったんですが、キッカケは、
20才の頃、入ったレストランで背伸びして赤ワインを頼んだのです。
そうしたら、なんと、出て来たワインが白でビックリ仰天!(笑)
あとは、レストランで同じ5000円を出して飲むのなら、
より美味しいワインを頼めるようになりたいって思ったからなんです。

…………………………………………………………………………………………………………………………

いよいよ結婚で年貢の納め時の友人のための一週間のワインとゴルフの旅。
結婚する当の本人は独身時代最後に女性と羽目を外すつもり満々(笑)
付き添う主人公は、未だに離婚の傷が癒えず、全てに後ろ向きな性格。
この二人と、旅の途中で知り合う、これまた全く違うタイプの女性二人が織りなす
悲喜こもごものエピソードの数々を、ワインの熟成を人の人生に見立てて
時に軽快に、時にはシリアスに描いています。

主役の二人の男優が僕よりも年下って言うのには驚きを禁じえませんが(笑)
「トスカーナの休日」での、ダイアン・レインの親友役に続いて
今回も達者なサンドラ・オーの色っぽくも強烈な脇役っぷり。
ラスト近く、彼女が騙した男を思い切りヘルメットで殴るリアルさは
人間、誰しも、多かれ少なかれ夢を見、夢を追い、夢破れる事を見事に描写。
色恋沙汰とバカにするなかれ、皆、大いに真面目、真剣なんです。
人間は年を取ると子供に還ると言いますが、結局、ズゥ〜ッと一生
子供の侭なのではないかと思うようになりました……。


映画の中で極上のワインに見立てて人生を語るシーン……。

「人間は年とともに日、一日と熟成して行き、やがてピークを迎える。
ピークを迎えたワイン(人間)は、ゆるゆると坂を下って行く……。
そう言う人生もまた趣きががあっていいのではないか」

常に上に向かってもがき、じたばたしている僕等も、
考え方を変え、肩の力を抜いてみれば、それはそれで素晴しいのではないか?
僕の人生はまだ熟しきっていないと思っていたけど、
既に人生半分、ゆるゆると坂を下り始めているのではないか?
何だか色々と考えさせてくれる映画でした。

そうそう、21世紀を迎える新年をパリで迎えた僕等、親友4人。
わざわざ、その日のために、シャトー・ディケムの1986年物と
シャトー・シェヴァル・ブランの196◯年物を東京から持参したのでした。
シェヴァル・ブランは僕の生まれ年の物で、
同じ年に生まれた悪友が誕生日にプレゼントしてくれた物です。
どんな味だろうとドキドキしながら栓を抜き、グラスにワインをついだ瞬間、
既にこのワインの寿命が終わっている事が分かりました。
澱が舞い、ぼんやりと茶色っぽくなっている色、酸っぱい匂い……。
皆、最初は黙って飲んでみましたが、僕が「これマズい!」と言うと
堰を切ったように、如何にマズくて飲めないワインか感想の連発(笑)
ああ言うのを「ボロボロのレースみたいな」と言うのでしょうね。
196◯年はボルドーのワインは不作だとか……僕も不作?(笑)
映画に出て来る1961年の当り年の物とは大違いだったようです。

写真は、秋に訪れたフランスの国立薬草園で撮影。
花は全て終わり、実りの色付きがチラホラ……そんな中で、
見上げる葡萄棚の葡萄の木が綺麗に紅葉していました。
どうやら、実は生らなかったみたいですね……。


敬具

2005年12月12日


ブノワ。


[Sideways/サイドウェイ (2004)]
[Sandra Oh (1971~ )]
[Under the Tuscan Sun/トスカーナの休日 (2003)]
[Diane Lane (1965~ )]
[Chateau Cheval Blanc]
[Chateau d'Yquem]
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by raindropsonroses | 2005-12-12 00:00 | 映画館へ行こう。

猫ちゃん、アナタは何を見上げているんですか?

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拝啓

Dさま、その後如何お過ごしですか?
先週は忘年会の幹事、ご苦労様でした。
お陰さまで素敵な一時を過ごす事が出来、皆、大層喜んでいます。

さて、Dさんはジャン・コクトーがお好きなんですってね。
隣のAさんとお話ししているのをチョッと小耳に挟んじゃいました。
今日は先日のお礼にジャン・コクトーの猫の写真を同封しますね。

この写真は、10月にパリに行った時に足を伸ばして訪れた
Milly la Fore と言う小さな村にある、ジャン・コクトーの礼拝堂の猫です。
この村には、晩年のコクトーが住んだ家も残されていますが、現在は非公開です。
礼拝堂は町の中心部から5分ほどの村外れにあります。
元々は、ハンセン氏病の患者のための病院の付属の礼拝堂でした。
今では病院は取り壊されて、礼拝堂だけがひっそりと残り、
庭には当時をしのばせる薬草が沢山植えられています。
ここにも、ターシャ・テューダーの庭にも植えてあった、
薬屋の薔薇の異名を持つ「Rosa Gallica Officinalis」が植えられていました。
礼拝堂の名前、「Chapelle St-Blaise des Simples」は、
その昔、薬草でハンセン氏病を治したと言われている St-Blaise に因んでいます。

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昼時で休憩に入ったのどかな村は殆ど人を見掛けません。ランチは、地元でも有名な、ホテル兼レストランの「Le Cygne」で、ツナのサラダとハムのステーキ、デザートには桃のシロップ煮を頼みました。サラダは野菜とツナ&マヨネーズ、ステーキはポテトがほくほくだった他は普通、デザートも大きい桃1個にしっかり種が入っていてご愛嬌……何の変哲もない昼ご飯ですが、数年来、ズゥ〜ッと訪れたかったMilly la Fore で、親しい友人と食べるランチは別格です。





時間は少し早かったのですが、プラプラと村を散策するつもりで出発です。
結局、礼拝堂には開門時間の1時間も前に到着(笑)友人は礼拝堂で一休み
僕は、その先の国立薬草園へ。旅先の親切に心暖かくして戻ってみれば
何と、こちらでもビックリする事が。入り口で待っていた友人に
ランチから戻って来たマダムが「アナタ、ずぅ〜っと待っているわねぇ
もし良かったら時間前だけどお入りなさい」と、声を掛けてくれたんだそうです。
しかも、30分も前ですよ!本当にフランス人は親切ですね。
念願叶って入る礼拝堂は静謐そのもの。床下にはコクトーが眠り、
祭壇の右側にはコクトー自身の写真、左側には、最愛の人ジャン・マレーの写真。
そして、手前のケースには、生前、何よりも手が美しく写っている事に執着していた
ジャン・コクトーらしく肘から先の腕のオブジェが飾られていました。
礼拝堂内には、コクトーが描いた薬草が天井まで線画で伸び伸びと描かれ、
ジャン・マレーのナレーションが静かに響き渡るのでした……。
愛情の形は人それぞれです。死んでなお、愛する人と一緒にいられるのは
これ以上ない幸せの形なのではないでしょうか。

さて、この猫ちゃん、祭壇から入り口を見て右側にいました。
猫好きらしいジャン・コクトーが描いた可愛らしい猫です。
下から飼い主のコクトーを見上げているようで微笑ましいです。


敬具

2005年12月11日


ブノワ。


[Jean Cocteau (1889~1963)]
[Jean Marais (1913~1998)]
[Chapelle St-Blaise des Simples/01 64 98 84 94]
[Le Cygne/22, Place du Marche 91490 Milly la Foret/01 64 98 80 48]
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by raindropsonroses | 2005-12-11 00:00 | 旅の栞。

誰も座る人のない椅子……ドア・イン・ザ・フロアー。

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拝啓……Oさんへ。

肌寒い週末でしたが、如何お過ごしでしたか?
最近は北風が冷たく感じられますね。
近年の暖冬は何処へやら、ごくごく普通の冬のようです。

さて、今日はチョッといい映画の話しです。
先日、友人と恵比寿でランチでした。少し時間があったので
何か観ようと言う事になり、選んだのが「ドア・イン・ザ・フロアー」です。
随分前から宣伝を見て、必ず観る積りではいましたが、
これがどうして、期待を裏切らない出来になっていました。

最近のCGで描かれた特撮物に飽き飽きしていましたから
俳優の演技のみで構成されている作品はかえって新鮮そのもの。
交わす視線、台詞の間、声のトーン……若者が一目で年上の女性に恋する瞬間、
夫が妻と若い男の浮気を知る一瞬……久し振りに演技のスリルを感じました。

今日が誕生日のキム・ベイシンガーは本当にいい女優になりましたね。
「ナイン・ハーフ」など、若い頃の彼女はどちらかと言うと苦手だったんですが、
「セルラー」も面白かったけど、何と言っても「8Mile」の母親役!
あんなに素晴しい女優だとは思ってもいませんでした。
ここ数年、40才、いえ、50才を過ぎてからさらに美しくなりました。
チョッと奇跡的ですね(笑)美しい女性の代名詞です。

ジョン・アービングの作品の映画化は、結構、秀作揃いで、
まず「ガープの世界」「ホテル・ニューハンプシャー」「サイダーハウス・ルール」
この「ドア・イン・ザ・フロアー」は原作の1/3の前半部分を映画化しました。
成功する秘訣は、ジョン・アービングの持っているユーモアを
上手に作品に繁栄出来るかに掛かっているんじゃないかなぁ……そう思います。
それから、彼の原作の映画化って脇役が非常にいいですね。
これは、原作の重要な脇役を上手く肉付けした結果だと思いますが、
まだ脇役だった頃のグレン・クローズ、ジョン・リスゴー、
超個性派アマンダ・プラマー、そして、ポール・ラッド……。
主役を食っちゃうほどの怪演です(笑)

ある家庭に、一人の「他人」が入り込む事によって家庭が崩壊し、
それぞれの関係が微妙に変化して行くと言う作品は沢山ありますね。
例えば、ヴィスコンティの晩年の傑作「家族の肖像」がそうです。
「ドア・イン・ザ・フロアー」も、一人の作家志望の青年が一夏を過ごすために、
ジェフ・ブリッジス扮する作家のコッテージに来る所から始まります。
それぞれが関わりを持つうちに明かされて来る家庭の秘密……。
幸せの象徴でもある家族の写真が一枚を覗いて全て無くなった家、
ラスト、カメラが引くと、壁に残った額縁の日に焼けた跡だけが虚しく残ります。
廊下の一番奥には、誰も座る人がいなくなった椅子……Empty Chair。

今日のは写真は、ディエップから車で15分の所にある、Varengeville-sur-Mer、
ヴァランジュヴィル・シュル・メールの「Manoir d'Ango・マノアール・ダンゴー」
と言う、フランス16世紀、大航海時代の大船主ジャン・アンゴーの屋敷跡で撮影。
外観を残して住む人もいなく荒れ果てた広大な屋敷は鳩の住処になっていました。
何故か置かれたアイアンの椅子……Empty Chair……今は座る人もいません。


敬具

2005年12月6日


ブノワ。


[The Door in the Floor/ドア・イン・ザ・フロアー (2004)]
[Kim Basinger (1953~ )]
[Jeff Bridges (1949~ )]
[Cellular/セルラー (2004)]
[Nine 1/2 Weeks/ナイン・ハーフ (1986)]
[8 Mile/8 Mile (2002)]

[John Irving (1942~ )]
[A Widow for One Year (1998)/ドア・イン・ザ・フロアー (2004)]
[The Cider House Rules (1985)/サイダーハウス・ルール (1999)]
[The Hotel New Hampshire (1981)/ホテル・ニューハンプシャー (1894)]
[The World According to Garp (1978)/ガープの世界 (1982)]
[Glenn Close (1947~ )]
[John Lithgow (1945~ )]
[Amanda Plummer (1957~ )]
[Paul Rudd (1969~ )]
[Luchino Visconti (1906~1976)]
[Conversation Piece/家族の肖像 (1974)]
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by raindropsonroses | 2005-12-06 00:00 | 映画館へ行こう。