匂いのいい花束。ANNEXE。

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すばらしき乳白色……藤田嗣治展。

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拝啓

Iさま、その後いかがお過ごしですか。先日は電話で失礼しました。
今日は、この暖かいポカポカ天気の中、皇居の桜をくぐって
戴いたチケットで「藤田嗣治展」の初日に行って来ました。
久し振りの個展に、押すな押すなの物凄い盛況でしたよ。
藤田は今年で生誕120年になるんですね……。
日本では久し振りの大々的な藤田の展覧会。水彩画が一部、あとは全て油彩。
しかも大作揃いでした。中には、藤田が自分で木彫を施した額縁に入った絵や
ガラスや陶器に絵付けしたもの、得意の裁縫で縫われた小物類まで、
東京美術学校の作品からエコール・ド・パリ、一時帰国、日本を捨て再びパリへ。
時代を追った展示は非常に見応えがありました。

「すばらしき乳白色」と言われ、当時のパリで絶賛を浴びた藤田の裸婦。
この乳白色の下地は藤田自身が自分の手で塗ったもの。
決して、夫人にもその作業を見せなかったそうですね。
しっとりと湿った艶やかな乳白色のキャンバスに極細の面相筆で描かれた線。
この「すばらしき乳白色」を追い求めてフランス各地を回った事がありましたっけ。
一番、想い出深いのはシャンパーニュ地方のランスのチャペル。
それから、パリ市立近代美術館やカルナヴァレ館、
パリ郊外、ヴィリエ・ル・バクルにあるアトリエへと足を伸ばしました。
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実は、ここのアトリエの中を見る事が出来たのは2度目の正直なんです。
このアトリエは、完全予約制になっていて、時間まで指定されます。
一番最初は日本からファックスして行った物の、どうやら連絡が付いていないようで
扉の所で待てど暮らせど誰も来ません。隣に管理事務所らしき建物がありましたが
誰もいない模様……3時間待ち、頭に来て、メモを扉に挟んで帰ったんでしたっけ。
何しろ、ここのアトリエは、パリからRER・B線(近郊線)の終点近く
Gif sur Yvette からバス(殆どなし!)かタクシー(電話で呼ぶ!)。
言葉が不自由な僕にとっては地球の果てのような辺境の地なんです(笑)
折角、旅のメインで訪ねて行ったのに見る事が出来ないなんて……ガッカリでした。
でも、扉の所で待っていると、向うから歩いて来たジャージ姿の若いムッシュが
ニッコリと微笑んで「Bonjour !」と挨拶です。どうやら、近くの小学校の
夏期講習の講師らしかったのですが、きっと、怒髪天を突き、物凄い形相で
口にはしない物の、心の中で罵詈雑言、悪口雑言の限りをつくし
鬼のように不機嫌だったに違いない僕の顔を見てよくぞ挨拶してくれたと
後になって可笑しいやら……帰り際、子供達と遊ぶムッシュと目が合ったので
手を振って、しっかりとロイヤル・スマイルを返しておきましたけど……。
そうそう、アトリエの並びのレストランのマダム、
この、亡くなったプロボウラーの須田開代子さん似のマダムとは
次回、満を持して訪れた時も再会する事になるんですが
美味しい料理に舌鼓を打ち、帰りは駅まで徒歩でテクテク写真を撮りながら
歩いたのも今となってはいい想い出になっています。

今日はチケットのお礼に、僕が撮った写真を何枚か同封しますね。
一番最初の写真は、藤田のアトリエ正面入り口の扉のレリーフ。
中に入れなくて建物しか撮れず(2度目も内部は厳しい撮影禁止でした……)
撮る物と言ったら……そんな訳で、丁度カメラのファインダーのサイズに
ピッタリだった手彫りのレリーフです。これもきっと藤田の手作業でしょう。
室内は、ありとあらゆるものが藤田の手作りになっています。

2枚目は、藤田のアトリエの横にある薔薇園の写真です。
誰もいなくて開いていた裏庭から侵入です……不法侵入?
そのくらいいいですよねぇ、だって、門は開いていたし自由に入れたんですから。
ファックスして行ったのに誰も来ない方が悪い(笑)
残念ながら、真夏でしたから薔薇は咲いていませんでしたけど、
小さいながら、スタンダード仕立ての薔薇などもあって
立体的な作りになっていました。満開時にはかなり綺麗なんじゃないでしょうか。
この写真を見て貰うとお分かりのように、写真右手の塀の所が道になっています。
従って、入り口は建物の2階部分にあたります。その上、最上階が
藤田のアトリエ、入った2階部分がリビングになっていて
一番下の階が食堂でしたか……こじんまりした住居でしたが、
藤田が自分でステンシルなどで作った屏風や暖炉、額縁、オブジェ……。
失礼だけれども、可愛らしいって言う感じがピッタリのアトリエでした。
3階のアトリエ部分は、生前そのままに保存されていて
壁一面に、ランスにある藤田の礼拝堂のための下書きや、自分で作った額縁、
数々の筆に顔料(日本画の!)……「すばらしき乳白色」と称賛された藤田の絵画の
秘密に触れるようで非常に興味深かったです。
  

敬具

2006年3月29日


ブノワ。


[藤田嗣治/FujitaTsuguharu・Leonard Foujita (1886~1968)]
[藤田嗣治展]
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by raindropsonroses | 2006-03-29 00:00 | 展覧会の絵。

言葉よりも映像よりも雄弁な音楽……ピアノ・レッスン。

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拝啓

段々春らしくなって来ましたね。Fさん、その後如何お過ごしですか。
東京は夕方から雨、一雨毎に暖かくなるようですね。
折角、午前中、薔薇に水を液肥をあげたのに……文句は止めましょう(笑)

さて、お尋ねは、僕が好きな映画のサントラ盤を知りたいとの事でしたが、
僕が特に好きなのは、ジェリー・ゴールドスミスの「風とライオン」と
今日が誕生日のマイケル・ナイマンの「ピアノ・レッスン」ですかね……。
「風とライオン」はジェリー・ゴールドスミスが一番脂が乗っていた頃の渾身の作。
悠久の大地に戦う男達のロマンと、敵味方、相互の尊敬を素晴しいメロディーと
オーケストレーションの醍醐味で表現。今、聴いても素晴しいの一言。
「ピアノ・レッスン」は衝撃的でしたね。残念ながら、
アカデミー賞のオリジナル音楽賞は受賞出来ませんでしたが、
このサウンド・トラック盤は、映画から一人歩きし、それ一枚を聴く事によって
19世紀のニュージーランドの情景が見事に脳裏に甦って来ます。
6歳の時に自ら喋る事を止めた主人公エイダ(ホリー・ハンター)と、
写真のみで結婚を決心した朴訥な男スチュアート(サム・ニール)、
子供の心の奥底に秘めた残酷と無心の恐さ、フローラ(アンナ・パキン)。
映画の感想はまた今度ゆっくりと。アレンジを変えて繰り返される幾つかのテーマ曲
何度聴いても飽きるどころか、新しい発見があるんです。
マイケル・ナイマンが用意したテーマ曲をいとも簡単に弾きこなし
演奏後「こんな簡単なのでいいの?」と作曲家を振りかえったホリー・ハンター。
慌てたマイケル・ナイマンがさらに難しいものを用意したエピソードは有名ですね。
映画の中でも殆どのシーンを分で弾きこなしたそう。
もし彼女がピアノの名手でなく、初見で弾きこなさなかったら
このサウンド・トラック盤は生まれていなかったかもしれませんね(笑)
このサウンド・トラック盤は全世界で300万枚以上売れたそうで、
後日、マイケル・ナイマン本人によって、4楽章からなる
「ピアノ協奏曲」に編曲されました。ピアノ独奏はキャスリン・ストット。
マイケル・ナイマンが日本で知られるようになったのは、何と言っても
ピーター・グリナウェイの「英国式庭園殺人事件」からでしょうか。
最近ではスッカリ映画音楽の大家として有名で、
元々は現代クラッシックの作曲家と言う事を忘れてしまいそう。
この頃ではコンスタントに映画の仕事をするようになりましたが、
当時は、何て変わった曲を書く人だろうと思ったものです。
そうそう、もしかしたら、あの名作「めぐりあう時間たち」の音楽を
マイケル・ナイマンが手掛けていたかもしれないそうです。

今日の写真は、14年くらい前に購入し僕が大事にしている写真。
映画公開当時、今は無くなってしまった、新宿の、とあるギャラリーで
「ピアノ・レッスン」の写真展がありました。
これは、映画のスチールの仕事をしたオーストラリアのカメラマンで、
ファッション写真などで活躍していたグラント・マシューズの作品を集めたもので、
モノクロばかりでしたが、波打ち際に打ち上げられたピアノの写真や
出演者のポートレートで構成された個展は素晴しいものがありました。
僕はこの写真が気に入ったけれど迷って帰宅、矢張り、どうしても欲しかったので
電話で聞いてみました。エディション50枚の内、個展に来ていたのはNo.5。
僕が頼んだ時にはNo.42まで売れていてギリギリ最後の何枚だったそうです。
一ヶ月待ち、プリントされて一度、空輸されて来ましたが、扱いが悪く
なんと搬送中にプリントの真ん中に大きな穴が開いてしまい、
再度、プリントし直し空輸して貰った一枚です。
額縁は、ありきたりな物ではなく、絶対に流木を使って作りたいと思っていました。
ある夏の午後、神奈川県の国府津の海岸で日光浴をしていると、
僕の頭の上1メートルくらいの所に緑色の流木が流れ着いているではありませんか。
多分、板塀かなにかに使ったものらしく、全長1.5メートルくらい、
額縁に加工するには短か過ぎましたが、当時、懇意にしていた額縁屋に持ち込んで、
厚みが4センチあったものを半分の薄さの2センチにスライスして貰い、
倍の3メートルにして額縁に加工して貰ったのがこの額縁です。

「ピアノ・レッスン」のサントラ盤を聴き、この写真を眺めていると
映画の中に描かれていた19世紀のニュージーランドの空気の匂い、波の音、
森の緑、荒れ狂う海、汗ばむ男女の肌、遠くを見詰める少女の冷たい瞳……、
様々なものを思い出してしまいます。傑作サウンド・トラックですね。


敬具

2006年3月23日


ブノワ。


[Michael Nyman (1944~ )]
[The Piano/ピアノ・レッスン (1993)]
[Holly Hunter (1958~ )]
[Sam Niell (1947~ )]
[Anna Paquin (1982~ )]
[The Piano Concerto/ピアノ協奏曲 (1993)]
[Kathryn Stott (1958~ )]
[Peter Greenaway (1942~ )]
[The Draughtsman's Contract/英国式庭園殺人事件 (1982)]
[Grant Matthews ()]
[The Wind and the Lion/風とライオン (1975)]
[Jerry Goldsmith (1929~2004)]
[めぐりあう時間たち/ The Hours (2002)]
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by raindropsonroses | 2006-03-23 00:00 | Sound of music。

旅先で花を買う贅沢。

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拝啓

Mちゃん、その後、如何お過ごしですか。
三寒四温とは良く言った物で、そんな寒暖の差の中で
少しずつ春に近付きつつあるようです。

今日は写真を整理していたら、懐かしい物が出て来ました。
新世紀を迎える2000年の暮れに一緒にパリに行った時の写真です。
まぁ、二人とも若かったですねぇ(笑)気持ちだけは変らない積りなんですが
二人とも、あれから確実に5歳は年を重ねたって言う訳です。
時の流れだけは万人に平等です。別に若く見える事が全てではないけど、
老け込むよりはいいものね……気持ちだけでも若くいたいものです。

新世紀の瞬間をパリで過ごす……これは5年前からの約束でした。
僕等、仲のいい親友4人で過ごす初めてのパリ!
随分と盛り上がった物ですね。生憎、天気には恵まれなかったけど、
美術館を歩いたり、買物をしたり、美味しい物を食べたり。
しかし、到着した日に食べたバスク料理は最悪だった(笑)
巨大なラム肉をオイルと豆で煮込んだ奴……あの大きさと匂いの凄い事!
Mちゃんは「あれはラムじゃなくてマトンよ!」って言い張っていました。
二人とも殆ど残しちゃいましたね……でも、あれは仕方ないです。
あそこのレストラン、無くなっちゃったんですよ!ビックリでしょう?

そうそう、二人で一緒に散歩している時に見付けた薔薇の木通りの薔薇専門店
あそこを覚えていますか?あの店も無くなってしまいました。
なかなか感じのいい店だったし、働いているお兄ちゃんも親切だったのに……。
あのお兄ちゃんね、あの後、僕がパリに行って店の前を通る度に
外まで出て来て挨拶してくれたんですよ。明るくて人懐っこい性格の彼、
いい仕事が見付かっているといいんですけどね。
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この写真は、借りていたアパートに飾るために一緒に買った薔薇の花束。
モノクロの方は店の中から通りを向いて撮ったもの。
カラーの方は、Mちゃんが、折角お土産に買った蝋燭に灯をともした物を
コンパクトカメラで撮った物です。殺風景だった部屋が、
蝋燭の炎と色とりどりの薔薇の花のお陰で暖かく華やかな物になりました。
旅先で自分のために花を買う贅沢は何とも言えない物がありますね。
新世紀を祝うためにわざわざ日本から持って行ったワインは、
飲み頃をとうに過ぎて激マズ状態、言葉もなかったけど(笑)
それもこれも今となっては懐かしい想い出です。
あんな時間は二度と共有出来ないですものね……。


敬具

2006年3月11日


ブノワ。
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by raindropsonroses | 2006-03-11 00:00 | 旅の栞。

見果てぬ夢。

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拝啓

Bちゃん、今年も早いもので3月になってしまいました。
アッと言う間に一年も1/4……年をとるハズですよねぇ(笑)
今日は相談したい事があってペンを取りました。

実は、僕も今年で◯◯歳になろうとしています。
本当だったら◯年前に写真の個展を開く予定だったんですが
日々の雑用に追われ、アッと言う間に時間だけが過ぎてしまいました。
そんな訳で、丁度、◯年で◯◯歳になりますから、
一つの区切りとして個展をしようかと真剣に考えている所です。
Bちゃんはどう思いますか?賛成してくれますか?
僕も、物と作ったり表現したりする者の端くれです。
矢張り、作品は皆さんに見て貰いたいし、評価も受けたいんです。

一応、今まで撮って来た写真の他にも、個展用に撮り下ろしたものが中心。
風景と静物、それからポートレートを中心に作品を揃えたいと思っています。
勿論、プリントはフィルムカメラで撮影したもののみに限定です。
デジタルでのプリントは全く考えていません。
風景は沢山ストックがあるし、なかなか出来のいいものもあるんですが、
問題はポートレートです。ポーズをとって「はい、チーズ!」を
「ニコパチ」と言うらしいのですが(笑)そう言うワザとらしいものじゃなくて
何かに打ち込んでいる所を撮りたいんです。例えば、今日、同封した写真。
これは僕のセルフ・ポートレートじゃありませんからね、念のため(笑)
ソックリですけど残念ながら僕はこんなにハンサムじゃありません……。
本当に良く似ているけど別人です……本当、残念(笑)
何年前になるでしょう……かれこれ7〜8年前に撮影したこの写真は
親友にサーフィンに連れて行って貰った時の一枚です。
違いますよ、僕はサーフィンはしませんから、ただ、くっついて行っただけ(笑)
丁度今頃、2月の極寒の千葉の海でした。まだ真っ暗なうちに起床。
連れて行ってくれるお礼に、おにぎりを結びオカズもちょっと作ってイザ出発!
晴天で波も高かったけど、波が高いって言う事は風も強いと言う事で(笑)
「◯◯ちゃん、大丈夫?」と問われ、「うん、全然平気!」と答えたものの
友人が海に入ってしまうとそそくさと車の中へ避難。だって、長いんですよ
水に入ったまま全然、帰って来ないんですから(笑)待つこと一時間強……。
帰りに車の整備をしている所を写させて貰いました。
まだ、彼と仲良くなって日にちが浅く、ちょっと遠慮もありましたが
ボンネットを覗いて真剣に作業している姿がよく写っていると思うんです。
どうですか、素敵だと思いませんか?

こう言う写真を沢山撮りたい、いつもそう思っているんですけどなかなかどうして。
幸いな事に、写したいと思う雰囲気のいい女性は何人かいますし、
「私、ヌードでもいいわよ!」って言う強者もいるんだけど、男性は全滅。
約2名、街でよく見掛ける人で撮りたい人はいるんですがね(笑)

実際に個展と言う事になったら、額縁はこだわりたいんですよ。
自分で作ったりして個性を出したいと思っています。
その時はヨロシクお願いしますね。是非、一枚、買って下さいよ!(笑)
オープニングの日にお買い上げの名前付きのピンを打っておきますからね。


敬具

2006年3月10日


ブノワ。
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by raindropsonroses | 2006-03-10 00:00 | いつも心に太陽を。

You bet……ブロークバック・マウンテン。

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拝啓

暖かい週末が終わり、そここに春の気配を感じるこの頃、
Sちゃん、その後元気にしていますか?すっかりご無沙汰ですね。
先日はお便りをありがとう。矢張り肉筆はいいですね。
そんな訳で、僕もSちゃんを見習ってペンを取ってみました。

実はね、今日、「ブロークバック・マウンテン」を観て来たんですよ。
地元の映画館で公開するまで待てなくてね(笑)アカデミー賞もある事だし……。
受賞は逃しましたが、それはそれ、この映画の素晴しさに変わりはありません。
Sちゃんが手紙に書いて来た事、恋人と上手く付き合えないって悩み。
それはそのまま、この映画を観る事で氷解すると思いますから
理由は観てのお楽しみ、是非、映画館に足を運んで観て下さい。
そうそう、この作品の中でも、絵葉書がとても重要なモチーフになっています。
普段は葉書なんか書かないであろう筆無精の男達が、
愛する人のために言葉少なに気持ちをペンに込める……「You bet」。
矢張り手書きのものはいいです……。

この静かな映画は、台詞が極端に少なく、音楽もあまりない映画です。
それだけの台詞の一つ一つがとても大事なんですね。
テーマを声高に台詞で叫んでいない所も好感を持てます。
役者の力を最大限に引き出した監督のアン・リーも見事だけど、
それに応えた俳優陣も凄くいい!特に主役の二人、
イニス役のヒース・レジャーの最大の武器はコメディーが出来ること。
ジャック役のジェイク・ジレンホールはこの作品が輝かしい真の出発点!

物語りは1963年に始まる20年以上の長きに渡る男同士の愛情の物語り。
話題は、同性愛のカウボーイの恋愛物と言う点が強調されていますが
この際、そんな詰まらぬ事はどうでもいい事なんです。
先入観に捕われているとこの映画の大事なテーマを見逃す事になります。
「男はこうあらねばならぬ」「女の生き方はかくあるべし」「世間ではこう……」
「父とは、母とは……」「人がこうしているから……」悲しいかな、今の僕等は
こう言う詰まらない習慣やしきたり、他人の目にがんじがらめになっていますね。
勿論、人に迷惑をかけなければ何をやってもいいと言っているのではありません。
自由な中にも規律やルールが必要です。ルールを守ってこその自由ですから。

40年以上前のアメリカ、それも、古風なしきたりを持った田舎での出来事です。
主人公2人の行動で傷付く人もいます。また、彼等もお互いに傷つけ合う……。
人に心を開かない寡黙な男と、ストレートに気持ちを伝える男、
ままならぬ逢瀬にほとばしる激情、さらに深まる思慕の念。
静かな男達だからこそ感情の爆発はすざましいものがあります。
映画の舞台になったワイオミングの大自然。流れる川、青い空、渡る風……。
それらと同じように、一年一年刻まれる年輪のように、幾重にも重なる信頼と愛情。
この際、それが男同士だとか、女同士だとか、年齢の差があるとか、不倫とか……、
そう言う事とは全くかけ離れた所にある心と心の繋がり。
人は素の自分をさらけ出して人と付き合い人を愛する。
愛するって言う気持ちに理屈もへったくれもないんです。

Sちゃん、心のサングラスを外し、偏見をなくしてみる事です。
敢て、イヤな言葉、「色眼鏡で見る」とは書きません。意味、分かりますよね?
人や物事を最初から決めてかかってはダメです。
頭から決めてかかったら何も見えて来ませんよ!カテゴライズはナンセンス!
世の中には人間と同じ数だけの個性がある訳だし、
人を尊重しなくて、どうして他の人があなたを尊重してくれますか?
心の目にサングラスをかけて物を見ている限り、
相手もサングラスをかけてこっちを判断していると思っていた方がいいです。
昔の歌の歌詞にあります、「もし君が本を表紙で選んでいるとしたら、
きっと、恋人も外見で選んでいるでしょう?それは改めた方がいいね!」って……。
常に心を素の状態にしておく事、ギュッと握ったスポンジのように
あらゆる物を吸収する準備をしておく事。判断はそれからでも遅くありません。
そうすれば、人と上手く付き合えないって言う悩みも霧散するんじゃないですか?

Sちゃん、映画の最後を注意して観て下さい。
ラストの何でもないけど、心を打つ素晴しい台詞……、Sちゃんは
その台詞を心の底から言える相手がいますか?また、言ってくれる人がいますか?
幸せな事に僕にはいます。これからもズぅ〜ッと変わらないと信じられる人がね!
どんな台詞か映画を観て下さい。そして、自問自答してみて下さい。

この写真は数年前のパリはマレ地区、ユダヤ人街としても
また、フランスで、いや、世界でもっともお洒落なゲイの街としても有名です。
その街中にあるセレクトショップで撮りました。
どうですか、今日の映画とちょっぴりリンクするでしょう?(笑)


敬具

2006年3月8日


ブノワ。


[Brokeback Mountain/ブロークバック・マウンテン (2005)]
[Ang Lee (1954~ )]
[Heath Ledger (1979~ )]
[Jake Gyllenhaal (1980~ )]
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by raindropsonroses | 2006-03-08 00:00 | 映画館へ行こう。

どぉ〜だ、お園めっ!……小芳、超美麗ポートレート。

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拝啓

Sさん、季節の変わり目、如何お過ごしですか。
僕は相変わらず、至って健康、十年一日の如き毎日です。
それにしても昨日はポカポカの好い天気でしたねぇ!
今日はちょっと送りたい物もあったので手紙を書く事にしました。
同封の荷物にもカードが入っていますのでそっちも読んで下さいね。
それから、Sさんがお好きな小芳の写真も同封しておきます。

こうして手紙を書いている今も、小芳は僕の膝の上で丸くなっています。
そろそろ生まれて丸2年、最初の頃と較べると随分と大きくなりました。
相変わらず、靴下やパンツを水の容器に入れるクセは直りません。
それどころか、前にもまして変な事をするようになりました……。
この所、3匹と一緒に寝ているんですが、僕が睡魔に襲われ寝入る頃、
フと何物かの気配に気付いてみれば、そぉっと枕元に来る猫影が……。
そうです、小芳が僕の枕元にやって来て、僕の髪の毛をクンクンやり始めるんです。
そのうち、ペロペロと舐め始め、自分の額をスリスリ、グリグリ、
仕舞いには髪の毛をハグハグ噛みだすんです!
最初はくすぐったいけど我慢していたんですよ。所がっ!
「ハグハグ……」と聞こえていた音は「シャリッシャリッ、カリカリ……」
何やら人間の歯ぎしりのような音がして来るではありませんか!
なんて言ったらいいのかなぁ……そうそうタクアンを噛む音!(笑)
もうビックリ!何がどう気に入ったのか、なぜ僕の髪の毛を噛むのか
それも、どこの部分でもいい訳ではなく、どうやらてっぺんの部分
河童のお皿の部分、ザビエルが剃っていた部分がお気に入りの様子(笑)
ちゃんと毎日洗っていますから変な匂いがする訳もないし……。
幸運にも、この年までフサフサで来た髪の毛がザビエルになっては敵いません。
手で小芳を払いのけるんですが一向に言う事を聞く気配はなし……。
仕方ないので布団を被ってしまいます(笑)

猫なんて、元々、変な生き物ですけど、チョッと小芳は変わっているかも……。
不思議猫、小芳はもうスグ2歳、天敵、お園を背後から襲うまでになりました(笑)
先日撮った写真、超美麗ポートレートだと思いませんか?
最近撮った中で一番のお気に入りなんですよ。
荷物を確認したら連絡下さいね、また連絡します、お元気で!


敬具

2006年3月5日


ブノワ。


[小芳・Koyoshi (2004~ ) Domestic Short Hair, Red Tabby]
[お園・Osono (2002~ ) Domestic Short Hair, White]

★皆さんご存知でしたか?★
 4月1日からとんでもない悪法が施行されようとしています。
 お読みになって何か感じられたら署名をお願い致します。
 <電気用品安全法に対する署名のお願い>
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by raindropsonroses | 2006-03-05 00:00 | 猫が行方不明。

ただただ立ち尽くすばかり!

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拝啓……Yちゃんへ。

お元気ですか。久し振りですね!
今日はYちゃんの誕生日ですね。誕生日おめでとうございます。
幾つになったかは聞きません(笑)妙齢の女性へのお約束事ですもんね。

なかなか会えないので、今日は僕のお気に入りの庭園の写真を同封します。
この写真は、去年の6月にパリに行った時、チョッと足を伸ばして行った
ノルマンディー地方はディエップの近く、車で10〜15分の所にある高級別荘地、
Varengeville-sur-Mer、ヴァランジュヴィル・シュル・メールと言う村にある、
世にも美しい庭園、「Le Bois des Moutiers」で撮影しました。
ここは、知る人ぞ知る、花好き垂涎の由緒正しい庭園なんですが、
入り口を入ってスグの所に白の花のコーナーがあります。
今日はそこの写真を中心に焼き増ししてみました。
一枚目の写真は正面玄関からの一枚です。実際の入り口はこの写真の左手にあり
受付を済ませ左手の生け垣の繰り抜いてある所からホワイト・ガーデンに入ります。
そこはまるで天国のようなコーナーで、ありとあらゆる白い花で構成されています。
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メインは白い薔薇の銘花で、繰り返し咲き性に優れる「Iceberg」です。
幾何学模様に整えられたツゲの中に、細い竹を支柱にして優雅に咲き誇ります。
この辺りは、チョッと和の風合いも感じないでもないですが、
常に自分が一番の僕は(笑)「何ぁ〜だ、ウチの真似?」って思ってみたり(笑)
こうして見ると、「Iceberg」が蕾を房状にたわわに付けていて
長期間、繰り返し良く咲く品種だと言う事が分かります。
その他、紫陽花、アストランジャー、ルピナス、コスモス、秋冥菊……。
白、白、白、白、白い花ばかり!しかも不思議に他の色も感じる事が出来ます。
写真奥の邸宅の壁には白いクレマチス……一輪だけ残っているのが見えますか?
翌日、再度、訪れた時には散っていました(笑)
僕は薔薇以外の植物には疎いので良く分かりませんでしたが、
きっと植物好きのYちゃんなら気絶せんばかりだったと思いますよ(笑)
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この驚くべき庭園を知ったのは、僕がパリに頻繁に行くようになった6年前、
偶然、本屋で見付けた稲葉宏爾さんの本「パリからの小さな旅」ででした。
この本は僕のバイブルで、常に持ち歩いた結果ボロボロなんですよ(笑)
この村は、パリからの足を考えると、なかなか日程的にも難しい事が沢山。
厳しい道程ですが、無理をすれば日帰りも可能なんです。
でも、折角ですからホテルに一泊してゆっくりしたいですもんね。
矢張り「パリからの小さな旅」に載っていた海辺のホテルにも泊りたいし……。
一度、この村を訪れる事がメインの旅の時に、ある事情でズッコケ。
2度目の正直で訪れて腰が抜け、この写真を撮った時が2回目の訪問でした。

これだけの美しい庭園を維持するのは並大抵の努力では出来ないハズ。
事実、訪問者が多い昼間にはあまり作業をしないみたいですが、
美しさの陰で、数多くの園丁さんがボランティアで働いているそうです。
一人、写真を撮らせて貰いましたが、この庭園に誇りを持っている様子が
手に取るように分かって、同じ植物を愛する者として羨ましい限りでした。

ここでも、働いている何人もの人達にとても親切にして貰ったんですよ。
ウチのベランダも随分と薔薇の新芽が伸びて来ました。
その話しはまた今度、薔薇見学の時にでもお茶でも飲みながらゆっくりと……。
また手紙を書きますね。お元気で!


敬具

2006年3月1日


ブノワ。


[Icebreg (F) Kordes, 1958]
[Koji Inaba/稲葉宏爾 (1941~ )]
[パリからの小さな旅 株式会社TBSブリタニカ刊]
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by raindropsonroses | 2006-03-01 00:00 | 旅の栞。