匂いのいい花束。ANNEXE。

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極上の一時……バリ島でランチ。

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拝啓

早いもので6月も終わり、梅雨入りしてから鬱陶しい毎日が続きます。
Cちゃん、その後、元気にしていますか?
どうですか、チビは?日に日に大きくなって来るでしょう?(笑)
今度遊びに行きますから、また抱っこさせて下さいね!

さて、この前の週末は本当に蒸し暑かったですねぇ……。
僕は朝からバルコニーで薔薇の手入れをしたんですが、
ほんの2時間ほど外にいたら、何だかクラクラして来ちゃって(笑)
慌てて部屋に入って冷たいシャワー&キンキンに冷えたビールで一休み。
この時期ほどビールが美味しく感じる事はありませんね。
この暑い中、外で仕事している人は本当に大変です。

数年前に一緒に行ったバリ島。丁度、乾季でしたが蒸し暑さは凄かったですね。
蒸し暑いと言っても、日陰に入ると涼しいですから日本とは随分違います。
それに、日頃の雑事を忘れにバカンスに行っている訳ですから!
多少暑くても何のその!却って暑い方が南国らしくていいと言うものです。
今日は、一緒に行った時には行けなかったカフェの料理の写真を送りますね。
ここのカフェは「Cafe Warisan」と言って、スミニャックのズぅ〜ッと先、
まだまだ未開発のクロボカンの田園地方にあります。
カフェと言っても、1階と2階はギャラリーになっていて
一番最初の写真のようにバリ島伝統の布や骨董品の数々が揃っています。
確かに、値段はお高いけれど、品質は抜群で、僕はここで買った
非常に大判のシルクのストールを使って着物の羽織の裏地にしています。
2階のテラス席がレストランになっていて、目前に広がる
水田を見ながら食事をする事が出来ます。水田で働く人々、
風邪でたなびくスズメ避けの細長い旗、休憩用の小さな小屋……。
のどかな眺めの中、戴く料理はイタリアンとフレンチが混ざったような独特のもの。
そう、ヨーロッパ料理とでも言うのでしょうか。
これはガイドのPちゃんから聞いたのですが、オーナーはオランダの人とか。
インドネシアはその昔、オランダの植民地でしたからね……。
そんな歴史やヨーロッパの影響も色濃く残っているのでしょう。
店員は少しお高くとまっているけど、非常に洗練された料理が出て来ます。
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1番最初の一皿は、僕が頼んだ前菜のグリーンサラダ。
パルメジャーノ・レジャーノ・チーズ、マッシュルーム、
新鮮な野菜、カリカリに焼いた細めのバゲットに
バジルやトマト、アンチョビのペーストが塗ってあります。
2番目の皿は、同じく僕が頼んだジャガイモのニョッキ、キノコの風味。
表面が香ばしく焼いてあって、チーズの匂いとともになかなか美味でした。
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3番目の皿は、友人が頼んだニース風サラダ。
一瞬、良く分からないけれど、ツナが塊のまま焼いてあって上に乗っかっています。
その他の材料も綺麗に並べてあるだけ。一見、ニース風サラダには見えませんね。
4番目の皿は、同じく友人が頼んだ魚介類のフィットチーネ。
ピリッと辛味が効いて、バジルの匂いも清々しかったそうです。
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5番目の皿は、ガイドのPちゃんが頼んだ、鮮魚のカルパッチョ。
何の魚だか分からないと言っていました(笑)いかにもPちゃんらしい!
6番目の皿は、Pちゃんお気に入りのミートソースのパスタ。
兎に角、美味しかったそうです。アッと言う間に平らげちゃいましたから(笑)

これは、夕方発の飛行機に合わせて帰国前のランチの風景。
コロナをグビリグビリやりながら美味しい御飯を食べる。
テラスですから暑いものの、そこはバカンス、何とも贅沢な一時でした。
今度こそ一緒に行きましょうね。絶対にCちゃんも気に入りるハズです。


敬具

2006年6月28日


ブノワ。


[Cafe Warisan /Jalan Raya Kerobokan No.38,
Kerobokan, Bali INDONESIA/TEL:(0361)731175]
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by raindropsonroses | 2006-06-28 00:00 | バベットの晩餐会。

メリル・ストリープの選択。

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拝啓

Mさま、今年もそろそろ半分、梅雨らしい天気が続きますが、
どのような日々を過ごしていらっしゃいますか?
引っ越しから一月、新居は綺麗に片付きましたでしょうか(笑)
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さて、今日は、新しい住所に約束の写真をお送りしましょうね。
この薔薇の写真は、僕オリジナルの薔薇、名前はまだありません。
蕾から開きかけは、所謂、高芯剣弁で固い感じがしますが、
満開を過ぎると、花心を見せ、大きなラウンドに開きます。
花弁の裏側の色が表側よりも少し濃くなり、咲き始めはプラム色、
咲き進むに連れてピンク色から心地よいラベンダーに退色します。
匂いは強い紅茶(ティー)の匂い、開花後の花持ちはとてもいいです。
房になりますから、一枝で色々な形、花色を楽しむ事が出来ます。
そう、次々に姿を変えて行く様は、僕の永遠のヒロイン、
今日が誕生日のメリル・ストリープのイメージです……。

メリル・ストリープ……「現代最高の映画女優」。
好き嫌いはあっても、この称号に誰も異論を挿まないと思います。
アカデミー賞14回ノミネートはキャサリン・ヘップバーンを抜き史上最高です。
(うち、主演、助演で各一回受賞。下の一覧のが☆受賞で★がノミネート)
僕が始めて彼女をスクリーンで見たのは「ディア・ハンター」の時でした。
この長尺の傑作を見るために、学生だった僕は弁当持参で劇場に籠り
日がな一日、3回も繰り返し、朝から晩まで鑑賞したものです。
この、ベトナム戦争を題材にした男達が主役の映画に、
どこか淋しげに色を添えていたのがメリル・ストリープ。
僕のメリル・ストリープ狂いはここから始まりました。

いつも彼女を思う時に考える事があります。
それは、「映画のヒロインとは何か……真の大女優である条件とは?」と言うこと。
軽やかなラブ・コメディーもいいでしょう、アクションもまた然り、
でも、真のヒロインとは、悲劇を1本背負うくらいの力量がなければなりません。
相手役なんかどうでもいい、一人で1本の悲劇を背負える事。
これが、真のヒロインの条件だと思うんです。

メリル・ストリープが演じた悲劇のヒロインの数々……、
「ディア・ハンター」では婚約者とその親友の間で心揺れ動く女。
「ソフィーの選択」のナチス・ドイツの収容所の陰に怯えるポーランド女。
「フランス軍中尉の女」の自らの人生を偽り男を翻弄する女。
「プレンティ」の昔の反戦の旗手で精神分裂、外交官の夫の人生をダメにする女。
「クライ・イン・ザ・ダーク」の実子殺し疑惑の母親、「黄昏に燃えて」の浮浪者。
「マンハッタン」「めぐりあう時間たち」のレズビアン。
「恋におちて」の不倫の人妻、「愛と哀しみの果て」の実在の作家。
「シルクウッド」の原発事故の疑惑に悲劇的に巻き込まれる女。
「クレーマ・クレーマー」の子供を捨て家を出る母……等々。
稀代の悪女、悲しい過去を引きずる女、一癖も二癖もある女性像の数々……。

「興味を抱く女性像、それは必ず、どこか精神的に問題がある女性達ばかりでした」
これは、あるインタビューでのメリル・ストリープの言葉です。

最も彼女らしい作品は「フランス軍中尉の女」でしょう。
先ず、幾重にも入組んだ作品そのものの趣向が面白いです。
メリル・ストリープと言うアメリカ女優が、アンナと言う映画女優を演じ、
そのアンナは最新作の中で、「フランス軍中尉の女」と人々に蔑まれるサラを演じ、
そのサラは、さらに自分の人生の中で偽りの人生を演じ
婚約者がいる男を騙し虜にして行きます。この三重構造の妙!
映画はこれらのシーンが入り乱れ、主人公達のそれぞれの心理と相まって
万華鏡の如き華麗な煌めきを放っていました。
この三重構造こそ、演技派メリル・ストリープの面目躍如たるところで、
映画の冒頭、サラを演じるアンナがメイク係りの差し出す手鏡で顔をチェック、
助監督の「アンナ、用意はいいかい?」の一言でカチンコが鳴り
テーマ曲が鳴り響き、荒波打砕ける防波堤の先端にマントを翻し歩いて行き、
そして、合図とともにこちらを振り向きます……。
この素晴しい導入部!観客が一気に作品の中に引きずり込まれる瞬間、
俳優が観客に魔法のヴェールをかける瞬間です。
この作品に続く、アカデミー主演女優賞を獲得した
「ソフィーの選択」からの10年間が第一のピークでしょう。
この「ソフィーの選択」に付いては今更言う事はありませんね。
原作の映画化としては最高峰の1本。原作者のウィリアム・スタイロンをして
「映画の歴史始まって以来の女優の最良の演技」と言わしめました。
これが決して、リップサービスでない事は、映画の歴史が実証しています。
雑誌、「Premiere Magazine」の中で、
映画史上の最も偉大な演技の第3位に堂々とランクされています。

僕が尊敬する劇作家、テネシー・ウィリアムズの最晩年の希望、夢は
代表作「欲望という名の電車」のヒロイン、ブランチ・デュボワを
メリル・ストリープに演じて貰う事だったそうです。
結局、この企画は映画ではなくテレビに移行、アン・マーグレットが
鱗粉を撒き散らす瀕死の蛾、ブランチ・デュボワを演じたのでした。
しかしまだ、僕はメリル・ストリープがブランチを演じる事は可能だし
是非とも演って貰いたいと思っているんですよ。

往年の大女優べティ・デイヴィスがメリル・ストリープ宛にしたためた手紙に
「あなたはアメリカの女優の一番の座を継ぐ人」と書いてあったそうです。
ダイアン・キートンに「私たちの世代の奇跡」と言わしめた才能。
ジーン・ハックマンが撮影中に思わず見とれて台詞を忘れ、
撮影監督、ネストール・アルメンドロスも絶賛した彫刻的な顔。
「ジュリア」で競演したジェーン・フォンダは、端役で出ていた彼女を見て
一言「彼女は大きくなるわよ」と、言ったそうです。何と言う慧眼!
キャサリン・ヘプバーンの公式伝記作者A・スコット・バーグによると、
メリル・ストリープは彼女の最も大好きな現代の女優だったらしいです。

「ハリウッドにくちづけ」でアカデミー賞にノミネートされたことで
一時期コメディー路線に走って失敗した感もありますが、
「人を泣かせるのは簡単だけれど笑わせるのは難しい……」
大女優ソフィア・ローレンもそう言っています。
悲劇のヒロインこそがメリル・ストリープに似つかわしいのです。

演技派の俳優を表現する言葉に「カメレオン」とか
「変幻自在」と言う言葉を使います。でも、皆さん大きく間違っているのは、
大スターはカメレオンではあり得ないって言う事です。
大スターは何を演じてもその本人以外の何物でもない、
ベティ・ディヴィスは何を演じてもベティ・ディヴィスだし、
オードリー・ヘップバーンは何を演じてもオードリーでしかあり得ない。
メリル・ストリープも、幾ら髪型や髪の毛の色を変え、衣装を取り替え
ドイツ訛やイタリア訛り、クィーンズ・イングリッシュを巧みに操っても
メリル・ストリープ以外の何物でもないのです。
それが大スターの条件、大女優の宿命なのですから。

決して顔は直さない、感情とともに浮き上がる血管がダメになるから。
顔をいじって往年の美貌を保つか、はたまた、直さず演技人として生きるか。
メリル・ストリープの選択はなされました。今後、老境に至るまで
どのような作品を選び、また、どのような姿を我々に見せてくれるのか
取り敢えず、才媛ジョディ・フォスターが監督する「Flora Prum」と
鬼編集長に扮した「The Devil Wear Prada」が楽しみでなりません。


敬具

2006年6月22日


ブノワ。


[Meryl Streep Online Simplystreep. Com/Meryl Streep (1949~ )]
[Julia/ジュリア (1977)]
[The Deer Hunter/ディア・ハンター (1978)]★
[Manhattan/マンハッタン (1979)]
[Kramer vs. Kramer/クレーマー クレーマー (1979)]☆
[The French Lieutenant's Woman/フランス軍中尉の女 (1981)]★
[Sophie's Choice/ソフィーの選択 (1982)]☆
[Silkwood/シルクウッド (1983)]★
[Falling in Love/恋におちて (1984)]
[Plenty/プレンティ (1985)]
[Out of Africa/愛と哀しみの果て (1985)]★
[Ironweed/黄昏に燃えて (1987)]★
[Cry in the Dark/クライ・イン・ザ・ダーク (1988)]★
[Postcards from the Edge/ハリウッドにくちづけ (1990)]★
[Death Becomes Her/永遠に美しく (1992)]
[The House of Spirits/愛と精霊の家 (1993)]
[The Bridge of Madison County/マディソン郡の橋 (1995)]★
[One True Thing/母の眠り (1998)]★
[Music of the Heart/ミュージック・オブ・ザ・ハート (1999)]★
[Adaptation/アダプテーション (2002)]★
[めぐりあう時間たち/ The Hours (2002)]
[Angels in America/エンジェルス・イン・アメリカ (2003) TV Mini Series]
[Flora Plum (2006)]
[The Devil Wear Prada/プラダを着た悪魔 (2006)]★

[Tennessee Williams (1911~1983)]
[A Streetcar Named Desire/欲望という名の電車 (1947)]
[A Streetcar Named Desire/欲望という名の電車 (1984) TV]
[Anne-Margret (1941~ )]
[Bette Davis (1908~1989)]
[Katharine Hepburn (1907~2003)]
[A. Scott Berg (1949~ )]
[Gene Hackman (1930~ )]
[Jane Fonda (1937~ )]
[Nestor Almendros (1930~1992)]
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by raindropsonroses | 2006-06-22 00:00 | 女優の時代。

失われた薔薇を求めて……ピーター・ビールズ。

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拝啓……hさま。

すっかりご無沙汰しております。6月も中旬を過ぎ、梅雨真っ直中です。
その後、如何お過ごしでしょうか。少しは落ち着きましたか。
一段落しましたら、ごくごく少人数で一杯やりませんか?

さて、今日は、先日お名前が出たピーター・ビールズの誕生日です。
僕ら、薔薇好きが決して忘れる事の出来ないビッグ・ネーム、
本国イギリスでは「King of Roses」と呼ばれているらしいですね。
僕は、この称号、御本人は決して喜んでいないと思うのですが……。

兎に角、彼のオールド・ローズにかける情熱は凄いです。
今現在、これだけ世の中にオールド・ローズが広まったのも
彼とグラハム・トーマスのお陰と言っても過言ではないでしょうね。
実際、僕も、国内で手に入らない珍しいオールド・ローズは
全てピーター・ビールズのナーサリーから直接輸入しています。
多い時で、1シーズンに60本、なかなか面白いものですよ。

彼と薔薇との付き合いは、何と50年以上も前に遡ります。
薔薇に惹かれるようになったのは、小さい頃、イギリスは、北ノーフォークの
祖父母の庭で「Maiden's Blush」に出会ったのがキッカケとか。
薔薇に仕事として関わったのは、Edward Burton LeGriceの薔薇園だそう。
僕の家にもある「Allgold」などの作出家ですが、ピーター・ビールズは
そこでラベル書きから彼の薔薇人生をスタートさせたみたいですね。
以来、半世紀にも渡り、古い薔薇の発見と育成に時間を費やして来ました。
いまだに、時間がある時には、人里離れた山奥や、鄙びた古い修道院を
歩いているそうですね。古い修道院には失われたと信じられている
薔薇が密かに生息している可能性があるからなんです。
キリスト教の黎明期から白薔薇は聖母の純潔の印として、
また、赤い薔薇はキリストの血の象徴、受難の印として愛されて来ましたが、
中世の暗黒時代、「享楽の花」としてことごとく駆逐されました。
当時は、薔薇の美しさを愛でる一方で、薬としての薬効を珍重された薔薇、
厳しい迫害にあいながらも、教会や修道院の片隅で密かに栽培されていたのです。
その秘密の薔薇が今現在もどこかに残っているかもしれない……。
まるで、少年のように夢で満ちたピーター・ビールズの心。
失われたと信じられている薔薇を求めて歩く姿に感銘を受けます。

残念ながら、今年はお目に掛かる事は出来ませんでしたが、
今日の写真は、そんな尊敬するピーター・ビールズへのプレゼント、
オールド・ローズのブーケです。「Rosa a Parfum de l'Hay」「L'Ouche」
「Reine des Violettes」「Cardinal Richelieu」それから
純然たるオールド・ローズじゃないものや、チョッと1本、
最近のものが混じっていますが、それはご愛嬌で許して戴くとして(笑)
同じ、心の底から薔薇を愛するものとして、
いつか僕のオリジナルの薔薇を見て戴けたらなぁ……そう思っています。

今度また、ゆっくりと時間を作って御飯でもしましょう。
まだまだ梅雨が続きます、体調管理は十分にして下さいね!


敬具

2006年6月21日


ブノワ。


[Peter Beales Roses/Peter Beales (1936~ )]
[Rosa a Parfum de l'Hay (HRg) Gravereaux, 1901]
[L'Ouche (C) Buatois, 1901]
[Reine des Violettes (HP) Millet-Mallet, 1860]
[Cardinal Richelieu (G) Parmentier, pre-1847]
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by raindropsonroses | 2006-06-21 00:00 | 薔薇の名前。

綺麗は汚い、汚いは綺麗……。

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拝啓

毎日毎日梅雨らしいどんよりした天気が続きます。
それほど雨は降りませんがが一時の気休めでしょうか?
これから長い梅雨です、Bさん、その後、如何お過ごしですか?
僕は春の薔薇が咲き終わった後、今年は真面目に薔薇の手入れをしています。
雑草取り、お礼肥をあげたり植え替えをしたり害虫を駆除したり……。
やる積りになれば山のように作業はあります(笑)

さて、以前の手紙に、薔薇はいつの状態を見ても綺麗だと書きました。
同じく、濃い色の薔薇が好きな事はBさんもご存じの通りなんですが、
他の色と違って濃い色の薔薇には枯れた後の楽しみがあるんです。
今日、同封した写真はイングリッシュ・ローズの「Othello」です。
かなり前(20年前)の品種で、あまりポピュラーじゃないかもしれません。
今年お迎えし、見事に大輪の花を咲かせました。花が終わった後も、
脇芽をグングン伸ばし、2番花の蕾も膨らみつつあります。
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先日の事、綺麗に咲いた花を剪定して、僕の薔薇リスト用の写真を撮り、
花瓶に差したままスッカリ放って置いたんですが、昨日の夜遅く帰宅。
フと見ると、葉っぱはカリカリに乾燥しドライ状態、
花はそのままの姿でスッカリ紫色に変色しオレンジ色の斑点が出ていました。
もうビックリ!なんて美しいのでしょう!えっ?綺麗じゃないって?(笑)
そうっと持ち上げて匂いを嗅ぐと、既にドライの薔薇特有のすえたような匂い……。
でも、匂いはこの際どうでもよくて、この美しい姿を写真に納めなければ!
傷んだ薔薇、枯れた薔薇を撮る。それが今年のテーマです。
散らないように祈るような気持ちで早起きして撮ったのが一連の写真です。
濃いピンクの花がそのまま紫に退色、撮影されるのを待っていたかのように、
ひとしきり撮り終わるとハラハラ落ちる花弁、その朽ちた姿の美しいこと!
この楽しみは濃い薔薇だけのもの、淡い薔薇はただただ汚くなってしまいますから。

撮影中、呪文のように唱えた「マクベス」に出て来る3人の魔女の台詞、

「綺麗は汚い、汚いは綺麗……」

この場合の「汚い」は「穢い」をあてた方がピッタリだと思うんですが、
主役以外の登場人物の台詞で、これほど有名なものもないけれど、
まさに魔女が愛でる薔薇とはこのような薔薇でしょうか?
大きな鍋にトカゲの尻尾や蛇の目、ヒキガエルの舌、クモの巣などと一緒に
グツグツ煮込むのに似付かわしい薔薇でしょうか?(笑)
または、クリクリと可愛らしい姿が、水を掛けると異常繁殖するギズモ、
変身後のグレムリンの身体の模様みたいにも見えますね(笑)
撮影を終了した途端、バッサリと花弁が全部落ちてしまいました。
こういう瞬間を見られるのもまた薔薇を家で育てる楽しみの一つです。
一番最初の写真が本来の美しい「Othello」です。
どうですか、枯れたものの方が綺麗に見ない事もないでしょう?(笑)


敬具

2006年6月14日


ブノワ。


[Othello (ER) Austin, 1986]
[David Austin Roses/David Austin (1926~ )]
[William Shakespeare (1564~1616)]
[Othello/オセロ (1603)]
[Macbeth/マクベス ( 1606)]
[Gremlins/グレムリン (1984)]
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by raindropsonroses | 2006-06-14 00:00 | 薔薇の名前。