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匂いのいい花束。ANNEXE。

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僕が芝居を観に行く理由……MAMMA MIA!

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拝啓

早いもので今年も今日からゴールデン・ウィークです。
暖かな毎日が続きますね。Kさん、その後、如何お過ごしでしか。

今日は先日のニューヨークのお土産の香水と、
頼まれた「マンマ・ミーア!」のプログラムをお送りしますね。
そう、嘘じゃあなくて本当に観て来たんです、「マンマ・ミーア!」。
今回のニューヨーク、全く瓢箪から駒でして、急に決まった旅行でした。
最初は自分でも俄かには信じられなかったんですが、
行くとなったら楽しまなくちゃ!……の、精神であれこれ調べてみると、
なんと、現在上演中の「マンマ・ミーア!」の映画化版に我が麗しの
メリル・ストリープが出ると言うではありませんか!これは観ない手はありませんね。
ミュージカルが大の苦手の僕もなんだかワクワクドキドキ(笑)
しかも、音楽は全て青春時代に馴れ親しんだABBAの曲!
これなら多少英語が不自由でも楽しめるハズ……。
用意周到な僕はロンドン・オリジナル・キャストのCDを買い込み予習の毎日でした。
この日のために着物を持って行きましたから、いそいそと着物でご観劇ぃ!
日本からオン・ラインで購入したチケットを握り締め、雪駄の音も軽やかに出かけて来ました。

ギリシャに住む結婚式を間近に控えるソフィーには夢があります。
それは、結婚式にかこつけて自分の父親を捜し出すこと。
母親のドナの日記を盗み見たソフィーは、可能性がある母の昔の友達の男性3人に
母には内緒で結婚式の招待状を送る……。
一方、何も知らない母ドナは自分の若かりし頃の現実と向かい合うことになる。
ドナの親友の陽気な熟女2人と父親候補の3人、果たして誰が父親か……。

想像した以上に楽しいミュージカルでした。
何の脈絡もなく作られたABBAの楽曲を上手くストーリーに当てはめてあり、
最後までノリノリの「マンマ・ミーア!」。観客は少し年齢層が高め、
僕と友人も含めてABBA世代と言った所でしょうか。
前のイギリス人の女性2人はオーバチュアが始まると、
待ってましたとばかりに首を前後左右に揺らして既にトランス状態(笑)
このミュージカル、5年もロングランしているそうですね。
勿論、初演の頃とは配役も変わり、また、いつも決まった配役ではなく、
何パターンかの入れ替えとアンダー・スタディーがいます。
誰がいつ観に行っても楽しめる完成度、高水準を保っているけれど、
主演○○さん!で観に行く芝居ではありませんね。その辺が僕には少し物足りなかったかな。
同じ時期にブロードウェイでやっていたフィリップ・シーモア・ホフマンの「Talk Radio」、
上演されているのを知ったのはニューヨークに到着してからだったので
残念ながら観られませんでしたが、僕はそう言う芝居を観たい、
その役者じゃなきゃ出来ない芝居を観たいです。
何年もロングランするのですから作品の質も高いのでしょうけど、
芝居と言うもののあり方が違う、先ず作品ありき、作品のネームバリューで動員が決まる。
これは観客が集まる芝居が最優先であるブロードウェイの問題点かもしれません。
どのミュージカルを観てもそれなりに楽しめるのでしょうけど、
役者の個性で観ると言うよりは、作品のタイトルで観る感じ。
初ニューヨーク、初ブロードウェイの僕が言うのも生意気ですが……。

メリル・ストリープ、果たして母親ドナの役をどう料理するでしょうか。
歌の上手さは定評ある彼女です、歌唱力と演技でアカデミー賞受賞は間違いないでしょうね。
まだ撮影にも入っていないのに一人で盛り上がっている僕です(笑)

今度、CDをお貸ししましょうか。
ストーリーに沿っていますから分かりやすいし雰囲気も掴めます。
Kさん、ABBAお好きでしたもんね?次、お目にかかる時に忘れないようにしますね。
季節の変わり目です、体調管理は万全になさって下さい。奥様に宜しくお伝え下さい。


敬具

2007年4月28日


ブノワ。


[Mamma Mia !]
[ABBA]
[Meryl Streep Online/Meryl Streep (1949~ )]
[Philip Seymour Hoffman (1967~ )]

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すもももももももものうち……桃園香。

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拝啓

暖かな4月になりました。Gさま、先日はお忙しい中、
わざわざ梅園まで足をお運び下さってありがとうございました。
如何でしたか、初めての香席体験は。Gさん、見事に「皆」(かい・全問正解)でしたね。
さすが薔薇の匂いに煩いGさんの事だけあります(笑)
お陰さまで、あれから無事に全五席の香席を無事に終わらせ、
先生をはじめ僕達、弟子一同もホッとしております。
今日はお約束した説明をもう一度分かりやすく書いてお送りいたしますね。

今回の香席は、「桃園香」と言います。
先生曰く、普通、この時期は桜の花を主題に香席を設けるのだそうですが、
今回、先生はどうしても桃の花に因んだ香組をしたかったそうです。
その先生が選ばれたのが、万葉集からの大友家持の歌になります。

「春の園 くれないにほふ桃の花 下照る道に出たつ乙女」

今回は、「野遊」と言う名前が付いた伽羅を「桃」とし、
「佐保」と名前が付いた真那伽を「春」とし、各二包みずつ用意します。
全部で四包みの香木の中から「桃」を試み香として最初に聴きます。
残るのが「桃」一包み、「春」が二包みになりますね。
それを香元が順番をバラバラに打ち混ぜて本香として薫く訳です。
ですから、試み香で一度聴いた「桃」が何処に出てくるかで、
答えは「桃・春・春」「春・桃・春」「春・春・桃」の何れかになる訳です。
今回、僕は裏方の受け付けを担当しましたが、
幸運にも時間がポッカリ空きましたから二席に出る事が出来ました。
コッホン!最近では当たり前のように答えが当たってしまう僕です、
でも、どうやら今回の答えは簡単らしく、皆さん随分正解率が高いよう。
おちゃらけてワザと間違えてやろうかしらと思うほどの楽勝でした。
それから、皆さん綺麗に着飾っていて見ているだけでも楽しくなりますね。

香席も今回で3回目になりますから、周りを見回す余裕も出て来ました。
僕が出席した四席目の香元のTさん、彼女は去年のお稽古「薔薇香」の時に
一度お手合せしているんですが、まだまだ若いのに既に貫禄十分、
鮮やかな手捌きで火道具や香炉を扱います。顔には緊張どころか余裕の笑みが。
普段からどれだけ稽古に励んでいるか分かろうと言うものです。
五席目の香元のMさんも優雅な手捌きは長年の稽古がしっかり身に付いている感じがしました。
いつも冗談ばかり言い合って少しも上達しない僕ら男性人、ヘッポコ弟子とは大違いです。
そうそう、素敵な着物に袴姿の僕の弟弟子、何やらすっかり余裕のようで、
裏で執筆(奉書に香席の題名と各人の名前と答え合わせを書く役)がない時は
梅園をウロウロしたり香席の襖を少し開けて変なサインを送って来たり(笑)
慌ただしく気疲れもしましたが楽しい春の一日となりました。
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1枚目の写真は先生のお友達がわざわざ福島から届けて下さった桃の花。
それから2枚目は江戸時代の香簞笥になります。残念ながら香炉は失われていますが、
先生と懇意の九谷の光仙堂のTさんが意匠に合わせて焼いて下さった香炉が
まるで昔からそこに入っていたかのような錯覚を覚えるほど見事な出来映えで
香簞笥の中に収まっていました。

また来年、声を掛けますのでこれに懲りず遊びにいらして下さい。
それまでには僕等ボンクラ弟子も少しは腕前を上げているでしょうから(笑)


敬具

2007年4月21日  


ブノワ。


[大伴家持/Otomo no Yakamochi (718~785)]

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エンジェルス・イン・アメリカ。

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拝啓

4月も中旬になりました。Tさん、その後元気にお過ごしですか。
先日は思いがけなく「エンジェルス・イン・アメリカ」をご一緒出来て嬉しかったです。
チケットの手配等、ニューヨークに出発前のバタバタとは言え、色々とお世話になり恐縮しています。

さて、セゾン劇場の日本での初演から数えて三演目、TPTでの再演になるこの傑作戯曲、
僕は幸運にもTPTの3年前の初演を観ています。
今回と一緒でマチネとソワレで「ミレニアム」と「ペレストロイカ」の連続上演でした。

先日公開の映画「レント」もそうでしたが、今やエイズの問題を抜きにアメリカを、
いや、世界を語るのは無理。演出家のロバート・アラン・アッカーマンが語るように、
この劇が出来た85年当時は、タイトルにもなっているミレニアム、21世紀になる頃には
エイズの特効薬も見つかり、辛い時代だったけれど笑って振り替える事が出来ているに違いない……。
その希望も虚しく自体は悪化する一方、アメリカだけの問題、決して対岸の火事ではなく、
我々の日本にとっても非常に暗い影を投げ掛けています。
この芝居が非常に重要なのはそこ、現在進行形の問題を正面から描いている点です。

「許しと罪悪感が、それぞれカトリックとユダヤ教の教えの特徴だ」と、言い切る
ラビの言葉から始まる1部の「ミレニアム」、実力派の若手によるアンサンブルは見事の一言です。
台詞、言葉が確実に自分のもの(キャラクター)になっている快感。
このような芝居を観ることは演劇ファンにとって一年にそう何回もないこと、幸せの極致です。

「ミレニアム」から2部の「ペレストロイカ」へ、一段と暗い方向に話は進みますが、
ラストの一抹の幸福感、未来へと続く希望の光の存在がこの劇を永遠の物にしています。
トニー・クシュナーがこの作品を書いた当時の未来に対する希望は未だ見出せていないけれど、
悲劇の先に見える一縷の望み。それが「エンジェルス・イン・アメリカ」が
現代で最も重要な戯曲と言われる理由でしょう。
裏切りと許し、すれ違う恋人達、自分を偽り、欺瞞と虚構の世界に生きる男、
大きな心で病に倒れた友を包み込むシニカルな看護士、
頭では理解しつつ、実は息子を理解出来ないでいる母……。

既にベテラン、山本享の貫禄。この人が主人公を演じると本当にイヤな奴に見えるから不思議です。
絶望の中に一縷の救いを見せた軽妙洒脱な斎藤直樹の演技、
初演よりも余裕が出て、台詞が自分の物になった池下重大、
いつのまにかペースに巻き込まれる不思議なキャラクターの宮光真理子、
役者は声!まさに地で行く素晴らしい声の持ち主、パク・ソヒ、
黒人でゲイの看護士を演じた矢内文章の慈悲深さと大らかさ、
天使役の初々しい小谷真一の背中には、確かに「成功」の翼が見えました。
きっといつか大きく役者の世界で羽ばたく事でしょう。

ゲイに限らず映画好きにとってのカルト的映画、「サンセット大通り」からは
ラスト、螺旋階段のノーマ・デズモンドの名台詞「デミルさん、アップをどうぞ!」や、
テネシー・ウィリアムズの「欲望という名の電車」からは
「まぁ、私のお星さま。可愛い可愛いステラちゃん」
「私はいつも見ず知らずの方のご好意にすがって生きてまいりましたの」等、
いかにもゲイが好みそうな台詞を引用、散りばめる事によって、
自らの言葉に奥行を与え、さらに観る側のチョッとした優越感を刺激するクシュナー。

この戯曲とリアル・タイムに出会った幸運は計り知れないものがあります。
3年前の初見から僕の周りを取り巻く状況も随分変わりました。
役者も成長し、劇の仕上がりも一段と良くなった。楽しいだけが芝居じゃない、
芝居が単なる娯楽で終わらずに、戯曲がこれほどメッセージを持つのも珍しいです。
老練な俳優の流麗な台詞回しに酔うのもいい、華麗な舞台装置や衣装を楽しむののいい。
だけど、こうした若手俳優の熱いステージもまた素敵なものです。

今日の写真はバルセロナから近郊線に乗って訪れたガウディの教会です。
僕だけしかいないひっそりとした礼拝堂内はひっそりと静謐そのもの。
天窓のステンドグラスからこぼれる光は、ゲイのシンボルであるレインボーカラー。

Tさん、1部と2部の間に食べた蕎麦も美味しかったですね。
また今度、何か一緒に観に行きましょうね。僕からも声を掛けますね。
季節の変わり目です、お体を大切になさって下さい。


敬具

2007年4月19日


ブノワ。


[>Angels in America (1989)]
[Robert Allan Ackerman ( ~ )]
[Tony Kushner (1956~ )]
[山本享/Akira Yamamoto (1961~ )]
[斎藤直樹/Naoki Saito (1968~ )]
[池下重大/Jyudai Ikeshita ( ~ )]
[宮光真理子/Mariko Miyamitsu ( ~ )]
[パク・ソヒ(朴 昭煕)/Park Sohee (1975~ )]
[矢内文章/Bunsho Yanai (1971~ )]
[小谷真一/Shinichi Kotani (1978~ )]
[RENT/レント (2005)]
[Sunset Boulevard/サンセット大通り (1950)]
[Tennessee Williams (1911~1983)]
[欲望という名の電車/A Streetcar Named Desire (1947)]

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真の国際人とは?

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拝啓

アッと言う間に今年も4月、桜、終わっちゃいましたね……。
Dさんはお花見に行きましたか。近くの桜の名所がありましたもんね。
僕は一切行きません、だって桜を見るより人を見に行くようなもんですから。

さて、旅行から帰り、時差ボケもなく快適な毎日だけれど、
一日だけなんだか無性に眠くて爆睡しちゃった日がありました(笑)
猫も僕も元気にしていますよ。友人達は皆、パリやヨーロッパが好きな僕が
アメリカにどんな印象を持ったか興味津々らしいですけど、
一言で言うと「Noisy」かなぁ。兎に角「やかましい」……そう感じました。
道端で大声で喋る人、クラクションの音……日本もあまり他の国のことは言えませんけどね。
新宿や渋谷の街頭にある巨大モニターから流れる大音量の音楽や家電量販店の呼び込みの声……。
僕が新宿や渋谷、池袋に行きたくない理由の一つでもあるんですが、
どうにも苦手なんです、大きな声で喋る人、必要以上に大きな音って……。

特に、公共の場所で大声を出す人って苦手だなぁ。
そうそう、3年前の秋、パリからジュネーヴに友人夫妻を訪ねて行った時のこと。
フランスの新幹線みたいなTGVに乗って行ったんですが、
ホームに停車中のTGVの指定された車両を探しながら歩いていると、
どうやら該当の車両の所にアジア人のツアー客が40人ほど……。
嫌な予感と共に乗り込むと、僕と友人2人の他、フランス人のマドモワゼルが1人、
丁度、車両の真ん中に座り、前後両側は全てツアー客、見事に挟まれる感じでした(笑)
走り始めると同時に広げる弁当、充満するキムチの匂い、お菓子の袋のバリバリ言う音、
ジッと席に着いていないでフラフラあちこち歩き回りぺチャクチャペチャクチャ大声で喋る、笑う……。
挙げ句の果てはツアー・ガイドらしき女性の演説が始まり、終わると一斉に大拍手(笑)
僕の席の後ろの女性の所に年配の男性が歩いて来てズゥ〜っと背もたれに腕をかけて喋りっ通し。
フランス人のマドモワゼルは iPodか何かを聴きながら夢の中……。

ズゥ〜っと黙っていた友人のTさん、ガイドの演説の後の大拍手のあと、
やおら口に人差し指をあて「シィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!」と
「鶴の一声」ならぬ「Tの一声」を車両全体に響き渡る大音量で一発(笑)
さて、その後どうなったかと言うと、ジュネーヴに着くまでの3時間、
シィ〜ンと静まり返った車内(笑)先生に叱られた生徒みたいに大人しくなったツアー客(笑)
国交断絶か国際問題かと一瞬ヒヤヒヤものだった僕の心配をよそにグッスリ眠るTさん(笑)
この人はなかなか強者で、ハワイへの社員旅行の飛行機の機内で、
クィーンの「We will rock you」を聴いて大合唱のアメリカ人の若者グループに向かって
後ろを振り向きざま「Shut up, please!」と一言、見事に黙らせた人なんです(笑)
「Shut up !」と怒鳴りながら「please」って付ける所が可笑しいのだけれど(笑)

随分前のルーヴル美術館での一コマ。
15人程のグループ客がガイドの説明を聞きながら回っていました。
彫刻が展示してある部屋でひとしきり講釈が終わり、隣の部屋に移動するグループ、
ゾロゾロ歩いて行く最後に残ったオジサン3人がやおら首から下げたカメラを構えると
順番に記念撮影を始めたのはいいのだけれど、大理石製、等身大のヴィーナスの胸や臀部を、
さも「ご利益あれ!」とばかりに汚い手で撫で回し、肩に腕を回しての記念撮影!
チョッと目が点でした。これもアジアの人達。

パリのギャラリー・ラファイエットの間の道にたむろするツアー客軍団。
きっと免税か何かで買い物をして送迎バスを待っているんでしょう。
サァっと横を避けるようにやり過ごしたけど、一日、美術館を歩いて戻って来ると
グループがいた後にはおびただしいゴミの山!ハンバーガーの袋、
ドリンクの容器、お菓子の袋……これまたアジア人のグループ。

僕は同じアジア人としてチョッと恥ずかしかったです。
幾ら国として経済的に発展して来ても国際マナーはまだまだ発展途上。
では、果たして自分はどうなのか?多分、何十年か前の日本人って、
今の彼等みたいだったんだろうけど、あんなにヒドくはなかったハズ。
旅って楽しいばかりではなく、自分を振り返るいいチャンスでもありますね。
写真はニューヨークのシェリダン・スクエアにあるクリストファー・パークで撮った1枚。
ジョージ・シガールのオブジェ「Gay Liberation」も寒さのためか着込んでいます(笑)
周りにはチョッと恐そうな黒人の浮浪者が数人……写真を撮ってそそくさと退散です。
これを単なるタチの悪いイタズラととるか、気の利いたジョークととるか。
物事は見る角度によって様々だし、笑い飛ばす大らかさも必要だけど、
人さまの迷惑にならないこと、それだけは外したくないです……。


敬具

2007年4月10日


ブノワ。


[The Queen]
[We will rock you (1977)]
[Musee du Louvre/ルーヴル美術館 オフィシャル・サイト]
[George Segal (1924~2000)]
[Gay Liberation (1980)]

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by raindropsonroses | 2007-04-10 00:00 | 旅の栞。 | Comments(14)

クロイスターズの春。

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拝啓

Aさま、早いもので今年も4月、お宅の近くの桜並木も満開なのではありませんか。
スッカリご無沙汰していますが、僕はニューヨークから帰り、漸く普段の生活に戻った所です。

ニューヨーク、今、考えてみても自分がニューヨークに行って来たなんて不思議な気がします。
実は、出発の数日前まで何も支度をしていない有様、しかも、出発の当日の朝まで
6月のパリのアパートの手配や何だかんだで忙しくしていました(笑)
大まかな予定を立てたのが出発の前日の事。何しろ初めて行く街ですから
いつものように分刻みの予定は立てられません。一日を大きく3等分し、
午前中は〇〇美術館、午後はソーホーはど地域を回り、夜は観劇っていった感じ。

ただ、どこの美術館は観られなくても、雨が降ろうが槍が降ろうが(雨降った!・笑)
メトロポリタン美術館の別館のクロイスターズは何がどうあっても観る積もりでした。
メトロポリタン美術館の前館長トマス・ホーヴィング(在任1966〜1977)の
十字架があるクロイスターズ……夢にまで見たクロイスターズ。

ホーヴィングが、このイギリスの名匠ヒューゴ作とされている秘宝を手に入れた経緯については、
ホーヴィングの自著「謎の十字架」に詳しく書かれています。
傑作の十字架が売りに出されるというニュースを耳にしたホーヴィングが、
あの手この手、まるで冒険推理小説さながらの大活躍で手に入れるまで、
相手を出し抜き、嘘を吐き、丁丁発止のやりとりは、多少の誇張、
ホーヴィングの自慢話に聞こえないこともないけれど(実際に自画自賛の嵐)
読み物としての面白さは格別で、今でも僕のウチの本棚のお気に入りの場所に並んでいます。
今度、Aさんにも「謎の十字架」をお貸ししますから読んでみて下さいね。
チョッと驚いたのは、この傑作の十字架がごくごく普通に展示されていた事です。
他の展示品の中、あれだけ自慢だったであろうホーヴィングのホの字も解説にありません(笑)

朝一番のメトロポリタン美術館……早々に片付けました。
メトロポリタン美術館は、パリのルーヴル美術館、ロンドンの大英博物館、
サンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館に並ぶ質の高さと所蔵量を誇る大美術館ですが、
何しろクロイスターズに早く行きたくて気もそぞろ(メトロポリタン美術館と同日入館はタダ!)
幸いに広大な敷地内を迷っている内に目星い作品は統べて観ることが出来、
一路バスにてマンハッタンの中央部から最北端の公園まで縦断移動。
予想よりも距離があった事と、渋滞などで思ったよりも時間が掛かり
閉館の30前にクロイスターに到着。駆け足ながらホーヴィングの十字架や、
素晴らしい中庭を散策、春が遅いニューヨークですが、終わりかけのクリスマスローズと
早咲のスノードロップが隣り合わせに咲き、スペイン国境にほど近い南フランスの
クサにあったミシェル修道院のロマネスク回廊の、12本の柱、25カ所の基部、
7つのアーチをニューヨークに運んで再現した約半分の規模の回廊を堪能、
ついつい庭に目が行きがちで、世界遺産級の展示物は疎かになりがちだったけど、
旧フランス王家から運ばれた一角獣のタペストリーロベルト・カンピンの「受胎告知」など、
短い時間ながらフランスやスペインの中世の美術をこの目にしっかりと焼き付けて来ました。
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写真は冬枯れだけれどもどこかしらに春を感じる回廊に置いてあったムスカリ、
中庭のクリスマスローズやスノードロップは「ここが私の居場所!」と、言わんばかりに
朽ち果て、冬の嵐に吹き寄せられた落ち葉に埋もれるように咲き乱れ、
暖房が行き届いた館内には、何と薔薇(モエシー?)が咲いていました。
最後の1枚が僕が夢にまで見たホーヴィングの十字架。セイウチの牙で出来た十字架の表面には、
精巧に掘られた聖人達が100人以上……「The Bury Saint Edmunds Cross」。


雨上がりの回廊の中庭に立ち、新鮮な空気を胸の奥まで一杯に吸った時、
何とも言えない敬虔な気持ちになったのは言うまでもありません。
またいつかクロイスターズに行く事が出来るでしょうか。
今回のニューヨークで一番のお気に入りの場所となりました。
初夏の中庭はさぞかし綺麗な事でしょうね。

ムスカリが大好きなAさんには一枚目の写真をプリントして差し上げますね。
もう少しお時間を下さい。近々、お茶でもご一緒したいですね。お元気で!


敬具

2007年4月2日


ブノワ。


[Thomas Hoving (1931~ )]
[謎の十字架/King of the Confessor/Thomas Hoving 著/田中靖 訳/文藝春秋 刊 (1986)]
[メトロポリタン美術館]
[クロイスターズ]
[エミルタージュ美術館]
[Musee du Louvre/ルーヴル美術館 オフィシャル・サイト]
[大英博物館]
[Robert Campin (1375~1444)]

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by raindropsonroses | 2007-04-02 00:00 | 展覧会の絵。 | Comments(20)