匂いのいい花束。ANNEXE。

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淡く淡くハーモニー。

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前略

Aさん、薔薇の頃にお目に掛かったきりスッカリご無沙汰しています。
どうでしたか、今年の薔薇は綺麗に咲きましたか。

今年は何だか早く咲いて早く終わってしまったように感じます。
薔薇の大先輩Fさんが「余韻がなかった」って仰言っていましたが、
まさにそんな感じがしました。薔薇もアッと言う間に終わってしまったけれど、
僕の方も新しく増えた薔薇の写真を必死で撮っているうちに
5月が終わってしまった感じがします……。

結局、増えた薔薇は全部写真に撮り切れませんでしたし、
僕のオリジナルの薔薇なんて殆どまともな写真は撮れなかったんじないでしょうか。
世界でたったの一つの小さな株ですから、そんなに何輪も咲く訳じゃありません。
タイミングを逃して撮り損なったり、雨で花が台無しになったり……。
世の中、考えているように上手く行かないものですね(笑)

今日はそんな中から、今年咲いた僕のオリジナルの薔薇の中の
淡い色のブーケをお送りしますね。どうですか、なかなか綺麗だと思いませんか。
完全な白じゃなくて、ピンクがかっていたりクリームだったりします。
こうして同系色だけで纏めるのもいいものですね。

綺麗な花が咲いた株は、最高級のお高い肥料をあげて
せっせと大きくしないといけません(笑)大きくして増やさなければ。
いつかAさんにも実物をお見せ出来るといいのですけど……。
もうスグ梅雨入りです、お身体に気を付けて下さいね!


草々

2007年5月31日


ブノワ。


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by raindropsonroses | 2007-05-31 00:00 | 薔薇の名前。

これも青、あれも青、たぶん青、きっと青……。

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拝啓

Dさん、その後、お元気ですか。不安定だけれど過ごしやすかった5月もお仕舞いですね。
先日は急なお誘いを受けて戴き恐縮しています。
「展覧会・花」いつまでもやっていると思っていると見逃してしまいますからね。
僕は5月中は自宅の薔薇で忙しく、6月になるとフランスに行ってしまいますから
時間があまりなかったんです。それにしても興味深い展覧会でしたね。
この世の物とは思えない巨大な花がガラスの中に収まっていたり、
花の匂いを実際に試す事が出来たり……ダメですよ、トイレの芳香剤なんて言ったら(笑)
一頃のどの雑誌を見てもガーデニング特集だった女性紙もスッカリ影を潜めました。
ガーデニングが単なるブームではなく、しっかりと定着した証拠でしょうか。
こう言う展覧会が開催されるのもそんな事が理由なのでしょうね。
所で、Dさんが別れ際に盛らした一言、その意味をズゥ〜っと考えていました。

 「なぜ我々は青い薔薇に冷ややかなのか?」

確かに僕の周りでも、今回の青い薔薇に付いて話をする人は殆ど皆無に等しいです。
僕自身も全く興味ありません。最相葉月さんの名著「青いバラ」の中に、
薔薇の父と言われた故鈴木省三さんの問い掛けが載っています。

 「青い薔薇があったとして、あなたは本当に美しいと思いますか?」だったと思いますが、

確かに、不可能と言われた青い薔薇がこの世に存在したら美しいと思うでしょうか。
チョッと分かりませんね。ベルベットのような濃い青の花弁は綺麗かもしれせんし、
赤みのない青は珍しさも手伝って人気が出るかもしれません。
何しろ辞書を引くと「青い薔薇=不可能な事の例え」と出ています。
不可能を可能にする挑戦は、何時の世も人類が挑戦して来たことです。

ただ、僕等、薔薇好き、植物が好きの人達の毎日の作業って、
今回の青い薔薇の対局にあるものだと思うんです。
毎日〜水をあげる、虫に食われていないか病気になっていないか観察する、
花の咲き方に一喜一憂し、春しか咲かない薔薇がブラインドだったら来年まで花を見られない。
でも、花が咲かなかったからって手入れをしない訳にはいかない。
小さな作業の積み重ねが、やがて美しい花を咲かせる事になる。
風に頭を悩ませ、長雨にヤキモキする。気温の高低に気もそぞろな思いをする。
僕等、植物好きのサイクルって一年単位なんですよね。
下手をすると花が見られるまで何年も掛かる事がある。
今回の青い薔薇みたいに天文学的な予算をかけ、英知を結集し、
存在しないものを無理矢理ねじ伏せたやり方になにか違和感を感じるのでしょう。
それでも真っ青な薔薇が出来ていたら驚きもするけど、青くないですもんね。
それが冷ややかな反応の正体じゃないでしょうか。

先人達が秘かに目指した青い薔薇。
誰も「青い薔薇を作ってみせます!」とは宣言しなかったのではありませんか。
閃くアイデアとセンス、繰り返される失敗と落胆、
そんな中から出来たラベンダーや紫の薔薇に「青」と名前を付ける奥床しさ。
交配と言う不思議な行為……どんなに素晴らしい組み合わせに思えても、
花開くまでは何色の花が咲くかは分からない。神のみぞ知る生命の神秘……。
僕等は大自然の不思議と相対し、薔薇と一対一の付き合いをしているんですよ。
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今日の2種類の薔薇は僕のオリジナルの薔薇。どうにかこうにかラベンダーと言える色です。
2枚目の写真の上の方の薔薇は退色し、最後には赤味が取れて完全なラベンダーになります。
左下は今年初めて咲いた新しい仲間。少し赤みがあるけれど、
時間が経つとしっとりとしたいい色になります。咲き方は5〜6輪の房咲きになります。
先日、僕等が展覧会で見た薔薇が「青い薔薇」だとしたら、
僕のこの薔薇だって十分に「青い薔薇」だと思いませんか。
でも、僕はこの薔薇を「青い薔薇」とは呼びません。だって、青くないから(笑)


敬具

2007年5月28日


ブノワ。


[特別展 FLOWER 〜太古の花から青いバラまで〜]
[最相葉月/Haduki Saisho (1963~ )]
[青いバラ/新潮社 刊 (2001)]
[鈴木省三/ Seizo Suzuki (1913~2000)]

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by raindropsonroses | 2007-05-28 00:00 | 薔薇の名前。

僕の子供たち。

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前略

Aさん、薔薇もスッカリ終わり、鬱陶しい梅雨を心配する時期になりました。
その後、お元気ですか。先日は短い時間でしたけど、
バルコニーの薔薇を見て戴けて嬉しかったです。
未開花種がまだ数品種ありますけど、殆ど切り戻しし、
綺麗な花を楽しませてくれたお礼に肥料をあげたところです。

さて、Aさんが是非、欲しいと言ってくれた僕のオリジナルの薔薇ですが、
あれらはまだまだ小さい株です。とても人様にお譲りすることは出来ません。
連休明けに約70本近く届いた僕の子供たち、愛しい愛しい僕の子供たち。
小さいながらそれぞれの特徴がちゃんと出ていて微笑ましいです。
今日、同封したのは、中でも一番成績がいい2品種。
花弁の多さと、何よりも匂いがいいことが気に入っています。
赤黒い方は咲き進むと僕の好きな紫色に退色します。
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パリの前に大きめのスリット鉢に植え替え、極上の肥料をあげなければ(笑)
何れ、大きく育って数も増えたら、こちらからお願いして
Aさんに貰って戴きたいと思っています。貰って戴くって言っても、お分かりですね?
指3本ですからね(笑)それまで我慢して下さいね。


草々

2007年5月25日


ブノワ。

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第9回 国際バラとガーデニングショウ。

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拝啓

不安定ながら暖かくて過ごしやすい5月になりました。
ウチの薔薇はそろそろ終わりです。何だか凄く早かったような気がしています(笑)
そちらはこれからがシーズンですものね。また庭の写真などを送って下さいね。

さて今日の午後、毎年恒例の「国際バラとガーデニングショウ」に行って来ました。
早いもので、今年で第9回を数えます。Aさんは遠くて見に来られませんから、
300枚くらい撮った中からお気に入りの写真を同封しますね。
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僕は一番最初は行かなかったんですが、2回目以降、毎年〜初日に見に行っていました。
今年はチョッと所用で中日の金曜日、それもゆっくり家を出て午後からでした。
いつもですと、テーマ・コーナーを見て、お気に入りの場所を写真に納め、
苗の販売をチラッと見て(何かしら買う……)2時間くらいでサッサと帰って来るんですが、
今年は親友が臨時で会場で働いていたので顔を出しチョッと雑談、
長年、懇意にして貰っている南青山のお気に入りの「カントリーハーベスト」の深野さんが、
フランスをテーマにカントリー・ハウスを作っていたので見学に行き、
2時30分からのフローラルステージでは、尊敬する市川惠一さんの薔薇を使って、
鮮やかな手つきでアレンジのデモンストレーションをするのを見学しました。
それから、学校の大先輩で薔薇の大先輩でもあるXさんや、
僕のオリジナルの薔薇を切り接ぎする時に大変お世話になった薔薇界の第一人者の
Yさんにご挨拶をしたり、色々な薔薇関係の方に紹介されたりご挨拶したり……。
アッと言う間に時間は過ぎ、なんと、今までで最長の5時間も会場にいました(笑)
熱気が籠る会場、さらに熱いガーデニング好きのオバサマ達、
あっちにぶつかりこっちによろけ、見事、芋荒い状態の芋となり疲労困憊。
めまいがして倒れないうちにと思った帰り際……知らず知らずの内に両手には薔薇の苗が(笑)

毎年思うのですが、特にここ数年、会場のデザインや設営が本当に見事になりました。
とても5日間のために作られたとは思えないほど自然で見事な風景が広がります。
今年はフランスの薔薇がテーマですから、スッカリとイングリッシュ・ローズは影を潜め、
代わりに今をときめくフランスの薔薇が会場を埋め尽くしていました。
フと気が付くと、薔薇を見に来た事を忘れてしまうほどガーデニングのアイデアが豊富で、
お送りした写真にもあまり薔薇が写っていないことからもそのことが伺えると思います。
チョッとしたアイデア、自分で少しだけ手を加えることで、
既成のものや捨ててしまってもいいような廃物が素晴らしい一品に早変わりする……。
ペンキを塗ったり、穴をあけたり、壊れたものを再利用したり……自分だけのオリジナルに変身です。

この「国際薔薇とガーデニングショウ」が終わるとスグに梅雨入りです。
僕の方は一先ず秋までは薔薇はお休みとなります。
気に入ったカットは大きくプリントしますから遠慮なく仰言って下さいね。
ではでは、Aさんの庭にも素晴らしい薔薇が咲きますように!


敬具

2007年5月19日


ブノワ。


[第9回 国際バラとガーデニングショウ]
[Country Harvest/カントリーハーベスト]

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Macがやって来た!

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前略

Oさん、その節は色々とありがとうございました。
お陰さまで連休中に新しいPCが届きました。
勿論、今回もマッキントッシュ。一度、触ったらねえ、もう他のPCは無理です。

お話しなかったのですが、使っていたPCの
写真を扱うアプリケーションが重たくなりすぎていた事と、
ディスクを読み取らない不具合が出ていました。
今回、どうにか誤魔化しても行く行くは同じ事の繰り返しです。
修理には1ヶ月もかかるって言うし、第一、バックアップも出来やしない。
そんな訳で思い切って新しいPCと外付けのHDを購入した訳です。

口の悪い友人は「PC2台で何を企んでいるの?」と言います(笑)
別に何も企んでいる訳ではなくて、好きじゃないPCライフを快適にするだけの理由です。
これ以上モタモタしていたら、もっとPCが嫌いになっちゃう。
数年の間に性能もアップ!処理する時間は強烈に早くなりました。
たった数枚の写真を取り込むのにも苦労していたのがウソみたい(笑)

丁度、お気に入りの薔薇が咲いたこともあります、
コッソリやっているブログの写真を大きくしてみました。
なかなか快適だけれど、反面、ヘボ写真は粗が拡大されますからね、
変なプレッシャーを感じたりしています(笑)

前の会社の時はPCに触れぬよう(仕事では仕方ないけれど)
デジタルは遠回りして遠回りして生きて来たのに、今やPC2台ですからね。
変われば変わるもんです。あの頃の事がウソのようです。
勿論、デジタル一般に関しては相変わらず信頼していませんけれどね(笑)

写真は2台態勢になった僕の作業机、チラッと写っているのは写りたガールの園ちゃん、
確か、前にも写っていましたっけ?(笑)机の上にはイングリッシュ・ローズの最新品種が何本か。
今度、新しいPCを見に来ませんか?24インチで結構、迫力がありますよ。


草々

2007年5月18日


ブノワ。


[Apple]
[David Austin Roses/David Austin (1926~ )]
[お園・Osono (2002~ ) Domestic Short Hair, White]

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杉村春子、渾身の「欲望という名の電車」。

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拝啓

ハッキリしない陽気の4月も終わり、アッと言う間にゴールデン・ウィークも終了。
クロちゃん、その後、如何お過ごしですか。いいですね、そちらは一年中過ごしやすくて。

日本では先日、Kちゃんが大好きな杉村春子さんの没後10年を記念して、
舞台中継や特別版組など、衛星放送で大々的に特集を組んだんですよ。

改めて偉大だった杉村さんの素晴らしさを紹介する特集でしたが、
僕が楽しみにしていたのはテネシー・ウィリアムズの「欲望という名の電車」の舞台中継でした。
この録画は1975年収録、渋谷のセゾン劇場での公演でした。
残念ながら、どこをどうやったらこんなに切れるのか?そう愕然とするほどの短縮版、
最初にテレビ放映したままの、約上演時間の半分の無残なカット版でしたが、
杉村さんの素晴らしさを再確認するには十分でした。
この金字塔戯曲、今までに様々な人が主人公のブランチ・デュボアを演じています。
僕が観ただけでも、杉村さんをはじめ、東美恵子、岸田今日子、
ペギー・コールズはミルウォーキー・レパートリー・シアターの来日公演で
当時、映画で大活躍だったトム・ベレンジャーと共演でしたっけ。
映像ではヴィヴィアン・リーの名演をはじめ、アン・マーグレットなど。
未見では、樋口可南子、大竹しのぶ、フェイ・ダナウェイなど、
演技力に自信のある人なら生涯に一度は演ってみたい役ではないでしょうか。

普段から着物を好み、和服を着る役柄に傑作が多い杉村さんが
「欲望という名の電車」を初演したのは1953年の事です。
劇中に出て来るタバコ、ラッキー・ストライクもボウリングのユニフォームも分からない混乱の時代。
ヘア・デザイナーの山田康夫さんの素晴らしい鬘……。
絶望に身体を仰け反らせ、嗚咽する度に揺れる金髪の鬘を被るようになるのはまだまだ先の事。
ルリ・落合の衣裳やメイク、セットや周りの共演者の素晴らしいアンサンブルも特筆すべきですが、
いかにして杉村さんが精神を病んでいくブランチ像に肉を付け血を通わせたか。
それは杉村さんの卓越したテクニックだけではなく、役者としてのある種の勘の良さ、
杉村さんが持って生まれた役者としてのセンスがそうさせたのだと思っています。
テクニックと形、一見、徹底したリアリズム演技と見まごう杉村さんの芝居、
実は、リアリズムとは程遠い杉村さん独自の「形」がそう見せているだけなのです。
杉村さんお得意の小道具使いの巧みさ……例えば、杉村さんが好んで使ったハンカチが
まるで、女とはこうあらねばならぬと言わんばかりに雄弁に主人公の苛立ちや恋に浮かれる気分、
激流に浮き沈みする木の葉のような感情の起伏をを巧みに表現します。
たった1枚のハンカチでこうです、台詞の声色、リズム、そして、何よりも
千変万化、自在に表情を操る杉村さんの演技の引き出しの豊かさは驚くべきものがあります。

新劇と言う枠に納まらない杉村さんは、芝居の形を歌舞伎の女形や新派の喜多村緑郎、
花柳章太郎などから女形の「形」を受け継ぎ、それを自らの中で消化、吸収しました。
自らの容姿にコンプレックスを持っていた杉村さんが、苦心の末に身に付けた「女性の美」。
舞台の板の上で、リアリズム演技で女性を演じても様にならないし美しくない。
それならば、美しく見える「形」で演じよう……美しく見えることに執念を燃やした杉村さん。
「転ぶんだってただ転んだんじゃ詰まらないでしょう、あなた」杉村さんは仰言います。
美しい女性に見えるような「形」で演じ、新劇のリアリズム演技の中に咀嚼、昇華した
杉村さんの芝居の巧みさには驚くべき物があります。

役者は色気がなければいけない……僕は常々そう思っています。
あれは何年前の事でしょうか。日本橋三越劇場の一番奥に位置する
杉村さんの楽屋を尋ねた僕の前にはファンの女性の長蛇の列……。
それも結構な年配のオバサマ達ばかりがズラぁ〜ッと(笑)
杉村さんは客が楽屋口に姿を現してようやく誰だか分かる寸法です。
随分と順番を待ち、ようやく僕とハンサムな友人の番になりました。
「杉村先生、こんにちは。お久しぶりです!」と、僕が顔を出し、一声、挨拶をすると、
鬘を取り羽二重と簡単な部屋着の杉村さんは一瞬、目を見開き、凍り付いたように固まると、
「あら、イヤだ!」と一言。サッと踵を返し楽屋の奥に走り込み、
暫しの後に綺麗なガウンに着替え戻って来て満面の笑みで一言、
「まぁ、あなた、よくいらっしゃいました」ですって(笑)
横でその一部始終を見ていた娘さんのHさんは、
「いやぁねぇ、若い男性だとコロッと変わって」と、苦笑しています。
杉村さんは「だぁって、あなた……」杉村さんは最晩年までこうでした。
女性の可愛らしさを失わず、色っぽさを失わなかった杉村さん……。

「あなた、一幕目の台詞を覚えて二幕目に行くと最初の台詞を全部忘れちゃっているんですから」と、
謙遜して話してくれた杉村さん。まるで瀕死の蛾が燐粉を撒き散らしながら
生き絶えて行く有様を僕は絶対に忘れないでしょう。
終演後にステージに駆け寄り花束を渡した事がありますが、
杉村さんは自分の足では屈めないほどの疲労困憊、先日、惜しくも亡くなった
スタンレー役の北村和夫さんが脇から腕を回して支えてあげなければならないほど。
それ程のハードなステージ。僕は杉村さんのお墓参りには行きません。
何故ならお別れするのは辛いから。いつまでも僕の中に生きている杉村春子さん。
まさに偉大な大女優、不世出の女優は生涯、一役者を貫いたのです。
同じ時代に生き、劇場で同じ空気を吸ったことの幸せ、
それはいつもいつもKちゃんと話していたことでしたよね……。
あなたの「杉村春子のブランチには滅び行く者の美がある!」この言葉とともに、
いつまでもいつまでも鈴が鳴るような杉村さんの声が耳から離れません……。


敬具

2007年5月16日


ブノワ。


[杉村春子/Haruko Sugimura (1909~1997)]
[Tennessee Williams (1911~1983)]
[欲望という名の電車/A Streetcar Named Desire (1947)]
[欲望という名の電車 (1953) 文学座 初演]
[北村和夫 (1927~2007)]
[東恵美子/Mieko Azuma (1924~ )]
[岸田今日子/Kyouko Kishida (1930~2006)]
[樋口可南子/Kanako Higuchi (1958~ )]
[大竹しのぶ/Shinobu Otake (1957~ )]
[喜多村緑郎/Rokuro Kitamura (1871~1961)]
[花柳章太郎/Shotaro Hanayagi (1894~1965)]
[Faye Dunaway (1941~ )]
[Peggy Cowles( ~ )]
[Tom Berenger (1949~ )]
[ルリ・落合/Ruri Ochiai ( ~ )]
[山田康夫/Yasuo Yamada ( ~ )]

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by raindropsonroses | 2007-05-16 00:00 | 女優の時代。

Forbidden Color……紫色の誘惑。

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拝啓

真夏を思わせるような天気が続きます。
薔薇が満開を迎えましたが、Mさん、お宅の庭の薔薇はどんな感じですか。
新しく設けたガゼボ、ツル薔薇が2種類、さぞかし壮観でしょうね。

さて、Mさんと僕の共通の薔薇の好みは紫色の薔薇です。
こればかりはどうにもなりませんね。苗を見付けると有無を言わさず小脇に抱えてしまいます(笑)
今年は例年より開花が随分早く、中には3月に咲き始め、5月の他の薔薇が咲き出す頃に
2番花が開花し始めた「Mme. Joseph Shwartz」みたいな品種もあります。
全般的に早咲の今シーズン、連休中に咲いた紫の薔薇の写真を同封しますね。
一口に紫と言っても、その色は様々で、濃いピンクっぽい紫からグレーがかった紫まで色々です。
バルコニーで摘んで来た、たった7種類の薔薇にも個性があります。

●先ず、右下の一際大きいチョッとまだら模様の紫は「Orpheline de Juillet」
 今までに2回ほどイギリスから苗を輸入、
 夏の暑さでダメにしてしまった念願の薔薇。
 「7月の孤児」とは何という名前!
 この名前を聞いて色が紫だったら買わない訳には行きませんね(笑)
 この手の薔薇は丸く綺麗に咲かせるのは難しいです。どうしても歪になってしまう。
 色も単色ではなく紫とローズ・レッドのまだら模様……。
●左下の「Deuil de Paul Fontaine」は、矢張り名前で衝動買いした1本。
 名前は「ポール・フォンテーンの喪服」と言う意味に訳されていますが、
 どちらかと言うと、ポール・フォンテーンに対する哀悼の意味なのではないか。
 最近ではそんな風に思っています。
 この薔薇の茎は全身刺だらけ!持つところが全くありません(笑)
●中央の小さな薔薇、蕊が黄金色に輝いているのは「Violette」。
 ポピュラーな薔薇ですね。非常に大きくなりますから、
 地植えで大きく仕立ててあるとさぞかし壮観でしょうね。
 ウチは大きめのテラコッタに植えてありますが、スグに根が張ってしまいます。
 赤紫に咲き始め、スグに黒っぽい紫に退色。
 数輪の房咲きはビッシリ周りが見えなくなるほど。
 一番の特徴は、その黄金の蕊。紫の補色でとてもマッチしています。
●中央左側は「Cardinal de Richelieu」です。
 この珍しいベルギー産のオールド・ローズ、残念ながら匂いは殆どしませんが、
 グレイがかった紫の美しさは僕等、薔薇好きを魅了してやみません。
 花弁の付け根の方が白になりますから意外に清楚な感じがします。
 大きくなりませんし、樹形も纏まりがいいため、
 どこで剪定しても思い通りの形になります。
●中央左は今年初めて写真に撮れた「Ombree Parfaite」です。
 小輪ながら房咲きになり、非常に強いオールド・ローズの匂いがします。
 濃い紫色は殆ど退色せず、花弁の裏側は半分くらいの薄さの紫、
 名前の通り「完璧な陰影」になります。
●一番上の右側の小輪は「Nuits de Young」モス・ローズになります。
 この薔薇は新苗から育てた品種で、かれこれ10年以上の古株。
 直立性でいいのですが、ウチの「Nuits de Young」はウドン粉病がヒドイです。
 満開の頃にはほぼ真っ白けっけ(笑)見るも無惨にウドン粉まみれ。
 しょうがないですね、クセがついているのでしょう。
●最後になりますが、最上段左側は「Belle de Crecy」です。
 映画史上、最も美しい女優と言っても過言ではない
 ヴィヴィアン・リーが自宅の庭で愛培していた事でも有名です。
 晩年の親友、ダーク・ボガートと、この薔薇を見ながら何を語らったのでしょうね。
 名前は、ポンパドール夫人の城があった「Crecy」に由来すると言う説がありますが、
 作出者の Roseserの農場が「Crecy-en-Brie」にあったからと言う説が有力です。

その昔、紫から採取していたため染料が貴重だった事もあり、
ローマ帝国、古代中国、そして日本……王侯貴族しか身に着けられなかった紫、
エリザベス・テイラー
はラベンダー色が好きで、
泊まるホテルの部屋の壁をラベンダー色に塗り替えさせた逸話があります。
中国の禁紫城、三島由紀夫の小説「禁色」、紫に纏わる逸話、エピソードは数えきれません。
薔薇を愛する人々は紫色を「不可能な薔薇」の代名詞の「青い薔薇」に見立て、
その名前に「ブルー」または「青」を冠しました。
こうして見ると、ガリカやモス・ローズに紫色が多い事が分かります。
だからガリカが好きなのかなぁ……とも思いますが、
僕の紫色の薔薇好き熱は当分、冷めそうにありません。
薔薇が一段落したら遊びに来ませんか。簡単だけれど夕飯を作りますから。


敬具

2007年5月15日


ブノワ。


[Orpheline de Juillet (G) pre-1836]
[Deuil de Paul Fontaine (M) Francois Fontaine, 1873]
[Violette (R) Turbat, 1921]
[Cardinal de Richelieu (G) Parmantier, pre-1847]
[Ombree Parfaite (G) Vibert, 1823]
[Nuits de Young (M) Laffay,1845]
[Belle de Crecy (G) Roeser, pre-1836]
[Vivien Leigh.Com/Vivien Leigh (1913~1967)]
[Dirk Bogarde (1921~1999)]
[Elizabeth Taylor (1932~ )]
[Madame de Pompadour (1721~1764)]
[三島由紀夫/Yukio Mishima (1925~1970)]
[禁色/Forbidden Colors 1951)]

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思わぬ邂逅……ニューヨークの美術館。

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前略

Kさん、スッカリご無沙汰しています。
お礼が遅くなりましたが、3月のニューヨーク旅行の時は
色々と美術館情報をありがとうございました。
お陰さまで短い時間の中で効率よく観て回ることが出来ました。

今回は6泊8日の短い旅行でした。しかも初めてのニューヨーク。
美術館の他にも見たい所が山程ありましたし、観劇も2回ほど。
そんな訳で、美術館は午前中に一つだけと決め、時間は午前中、
元気がある内に観てしまう算段をしたんです。

今回、観てあるいたのは、「フリック・コレクション」「ノイエ・ギャラリー」
「メトロポリタン美術館」「クロイスター美術館」「ホイットニー美術館」
「グッゲンハイム美術館」「ニューヨーク近代美術館」の順番になります。
パリに負けないほどの美術品の数々、今回はこれで大満足、
美術館は知らず知らずの内に随分な距離を歩きますし、
作品を観る時に微妙に上を見上げる事になりますから想像以上に疲れます。
折角の旅行で無理は禁物、足りないようだったらまた来ればいいんですもの。

さて、ニューヨークの美術館を観て歩いてみての感想ですけど、
どこの美術館でも非常に教育に熱心なんですね。
それも、参加型の教育、作品を展示するだけではなくビデオを上映したり……。
大人が対象の講演会とかも勿論ですが、子供が参加しながら学習出来るシステム。
僕は、奇しくもアンディー・ウォーホールの伝説の映画、
「Empire」を観ることが出来ました。この作品はエンパイヤ・ステート・ビルディングを、
延々8時間カメラを固定して写しただけのもの。勿論、8時間鑑賞するのは不可能です(笑)
それでも、何か起こるかと1分くらいは観ていたでしょうか。
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1枚目の写真は「ニューヨーク近代美術館」で撮りました。
親子連れでビデオ・ルームにいた彼ら、愛らしい兄弟が何やら冗談を言い合いながら
遊び半分でビデオを鑑賞。女の子の方が確実にオマセですね。
2枚目は「フリック・コレクション」を出てスグの街角で撮った一枚。
ニューヨークの美術館では入場券の代わりにバッヂを身に付けたり
シールを身体に貼ったりする方法を取る所が多いです。
そんな入場券代わりのシールを美術館を出た後にペタペタ貼ってあるんです(笑)
3枚目は「メトロポリタン美術館」で見つけたお気に入りのコーナー。
ジョン・シンガー・サージャントの作品を集めたコーナーです。
一番左の黒いドレスの女性の肖像画、タイトルを「Portrait of Madame X」と言います。
この作品は僕がニューヨークでどうしても観てみたかった作品です。
1884年、パリのサロンに出品されたこの絵画は、
当初、ドレスの肩のストラップが片方外れていたため、非常に性的と取られ
サージャントはやむなくサロンから作品を引っ込めたという経緯があります。
タイトルも「Portrait of Mme. Pierre Gautreau」から「Portrait of Madame X」に変更。
今では何とも思わない絵画が引き起こしたスキャンダルは相当のものだったようです。
サージャントを敬愛する僕は、思わず沢山の作品に巡り合えて感激の一瞬でした。

もうスグ、6月に入ると旅行ですが、その前に会えませんでしょうか。
例のビストロで軽く一杯やりながらご飯でも如何ですか。
ささやかですがニューヨークのお土産もお渡ししたいし……。
またこちらから連絡いたします。奥様によろしくお伝え下さいね、お元気で!


敬具

2007年5月11日


ブノワ。


[フリック・コレクション]
[ノイエ・ギャラリー]
[メトロポリタン美術館]
[クロイスター美術館]
[ホイットニー美術館]
[グッゲンハイム美術館]
[ニューヨーク近代美術館]
[Andy Warhol (1928~1987)]
[Empire (1964)]
[John Singer Sargent (1856~1925)]
[Portrait of Madame X (1884)]

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by raindropsonroses | 2007-05-11 00:00 | 展覧会の絵。

フランス革命のヒロイン…Mlle. de Sombreuil。

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拝啓。

Aさま、その後お変わりありませんでしょうか。
連休も終わってしまいましたね。
ご家族でチョッと遠出をすると仰言っていましたが天気の方は大丈夫でしたか?
僕はも間近に迫った薔薇の満開の季節に向けて最終準備です。

さて、先日お尋ねがあった薔薇の寿命についてです。
薔薇の寿命ってどれ位なんでしょうね……。
10年を目安に花付きが悪くなると言われています。
10年で枯れると言う事ではありません。
段々、花付きが悪くなるそうです。勿論、栽培の条件にもよりますね。
中には樹齢何十年、それよりもっとと言う薔薇もありますから。
一般に、薔薇は前年に伸びた枝に、翌年、花が付くと言われています。
野薔薇に接がれた部分からシュートと言う
新しく元気のいい枝が出て古い枝と入れ替わります。
ですから、僕等、薔薇を育てている者にとって、このシュートは非常に大事でして、
大事に育てて翌年に備えなければいけません。いいシュートが何本か出れば
古くなった枝を根元から切り落とし、枝の新旧を交代する訳です。
そうして薔薇は命を長らえて行く、再生し、いつまでも新鮮でいられると言う訳です。
ただ、シュートがジャンジャン出る品種はそうありません。
花付きが悪くなったり枯れて行く枝に較べて、新しい枝は出にくいのです。
反対に、シュートが次々に上がって来る種類は樹が大きくなりますね。
ウチは鉢植えと言う事もありますが、なかなかシュートがでなくて困っています。
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今日の薔薇はオールド・ローズの「Sombreuil」です……いや「Sombreuil」でした。
この純白の愛らしい薔薇、2枚目の写真をご覧になればお分かりのように
チョッと面白い形をしていますね。
ナイフで横からスパッと切り落としたようにも見えます。
元々、花弁が大きい品種ではありませんが、中心に向かうほど花弁が小さくなります。
花は常に2〜3輪の房咲きになり、葉は少し艶やかな皮質の物が疎らに付きます。
匂いは典型的なティーの匂い。鉢植えのウチにしては珍しく、
結構な割合でシュートが出ます。枝振りは直立性でお行儀良く、
刺は鋭いですが非常に育てやすい薔薇です。

「アメリカばら協会」によると、現在、流通している「Sombreuil」は、
非常によく似た1959年作出の「Colonial White」なのだそうです。
従って、1850年に作出され、従来「Sombreuil」と呼ばれていた薔薇の名前を
「Mlle. de Sombreuil」と訂正し、現在、普通に流通している「Sombreuil」を、
モダン・ローズの「Colonial White」、
ラージ・フラワード・クライマーに分類するとしたそうです。
要するに、今までオールドローズと思って育てていた「Sombreuil」が
モダン・ローズの「Colonial White」になり、
オリジナルの「Sombreuil」が「Mlle. de Sombreuil」と、名前が変わるそうです。
では、この「Mlle. de Sombreuil」はどこにあるかと言うと、
パリ郊外のライ・レ・ローズに植えられているそうですが、
この薔薇は大変珍しいらしいです。一時期、両者は同じ薔薇として扱われ、
別名として「Colonial White」の名前が付いていましたが、
ハッキリと別の薔薇として分類された訳です。まぁ、アメリカの意見です。
まだ僕の周りでこのことを言う人はいません(笑)それに、幾ら似ているからと言って、
こんなに個性的な薔薇が他にあるでしょうか?「実はあの薔薇は◯◯だった」……
「Irene Watts」の例もありますからね。もう少し成り行きを見ていたいです。

「Mlle. de Sombreuil 」……マドモワゼル・ソンブレイユ……。
フランス革命のヒロインとして有名なこの女性の父親は、
革命当時、バスチーユの武器弾薬庫の管理を担当していたソンブレイユ侯爵です。
市民によるバスチーユ監獄襲撃で武器弾薬庫が襲われ、責任者であった彼は、
後に罪を問われて捕らえられます。父親の死刑執行の知らせを聞いた、娘、マリーは
革命派に父の助命の嘆願書を出します。革命派が出した条件、
それは、処刑された王党派の血をグラス一杯分、
綺麗に飲み干せば父親を助ける……と、言うもの。
この条件を見事に果たしたマリーのお陰で父親は命を助けられたと聞きます。
父を思う娘の必死の愛情……何とも血なま臭いエピソードのこの薔薇、
そんな事を想像もさせないくらいに純白で清楚です。


敬具

2007年5月9日


ブノワ。


[Sombreuil (ClT) Robert, 1850]
[Marie Maurille Virot de Sombreuil (1774~1823)]
[Charles Francois de Virot de Sombreuil (1725~1794)]

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by raindropsonroses | 2007-05-10 00:00 | 薔薇の名前。

新しい薔薇の匂い……Lady Emma Hamilton。

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拝啓

アッと言う間に連休も終わり、十年一日の如き毎日に戻りました。
毎年5月は怒濤の月、時間がいくらあっても足りないくらいなんですが、
それに加えて、今シーズンは薔薇がどっと増えましたし、他にも雑用が山積!
あぁ、一日36時間欲しい……いやいや、午前中だけ12時間ないかしら(笑)

そんなバタバタです、効率よく時間を使わなければいけませんね。
朝起きると寝ぼけ眼でフラフラしながらカメラを首に……朦朧としながら薔薇に水やりです。
水をあげながら株の状態のチェック、虫のチェック、病気のチェック……。
それをしながら、今日はどの薔薇が撮り頃かを見て歩きます。
そうすれば一石三鳥ですからね。水やりが終わると、いつもポケットに入っている
剪定ハサミをやおら取り出して、お目当ての薔薇を切って行きます。
大体、一度に20種類くらい、僕専用の薔薇のリスト用と作品撮り用です。

今日もひとしきり薔薇を切り終わって部屋に戻ろうとすると、
何やら他の大きく伸びた枝の木陰に鮮やかに光を放っている所があります。
戻って確認してみると、なんと「Lady Emma Hamilton」が咲いているではありませんか!
同じ種類でも、他のスクスク育っている枝の蕾は、萼が折れ、
親指の先ほどの蕾が赤に近いオレンジ色に染まって来ています。
日陰にいたこの花は小さくて弱々しい感じもします。「華奢!」僕の第一印象です。
友人の言葉を思い出して、花に鼻を近付けてみると……何とも素晴らしい匂い!
最近は、薔薇に匂いがないと「薔薇にあらず」など、極端なことを言う人がいますが、
まぁ、そんな事もなく、薔薇は匂いがなくとも十分に美しいと思うのですが、
この「Lady Emma Hamilton」の匂い!僕の貧困なボキャブラリーでは表現不可能。
薔薇を愛する者としたら、もっと匂いに付いて勉強しないといけませんね。
ただ、「いい匂い!」とか、「軽い感じ」とか、「オールド・ローズ風」とかではなく、
もっと、身近な物に例えたりしながら訓練して行きたいです。
「Lady Emma Hamilton」、そう、フランスはソーテルヌ地方の貴腐ワイン、
僕が大好きな最高級の「Chateau d'Yquem」のような濃密で甘い匂い、
杏を蜂蜜とレモンで煮詰めたようなフルーツの感触もあります。
毎年5月、「Chateau d'Yquem」は高いので無理でも、手頃なソーテルヌを一本用意し、
国産のサクランボ、イチゴ、アイスクリームをテーブルに、
一人でそれらを食べながら飲むソーテルヌ!トロリと黄金色の液体、
素晴らしくも芳醇なワインを楽しむ感覚に似ています。
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オマケの写真は、中央チョッと左寄りが「Lady Emma Hamilton」、
色が微妙に違うけれども、隣の一塊の3輪が「Sister Elizabeth」、
一番右端の花はもうスグ散りそうですね。この薔薇、房咲きになるんですが、
エラい事に、最初の花が咲いているうに次の開花があります。
「Lady Emma Hamilton」の上が「Immortal Juno」の枝代わりの新しい方、
その隣、画面左の一番上、濃いめのピンクががオリジナルの「Immortal Juno」です。
その下が、先日お話しした「Lichfield Angel」、これから白っぽく退色して行きま。
どうですか?「Lady Emma Hamilton」の所だけ光が当たっているようでしょう?

この先、薔薇とお付き合いするには匂いの勉強も必要。
この「Lady Emma Hamilton」に接して改めてそう思いました。
今度、実物をウチで試してみて下さい。そうだ、ソーテルヌを1本用意しておきましょうか(笑)
段々暖かくなります、お身体の方、十分気を付けて下さいね。


敬具

2007年5月9日


ブノワ。


[Lady Emma Hamilton (ER) Austin, 2005]
[Sister Elizabeth (ER) Austin, 2006]
[Immortal Juno (ER) Austin. 1983]
[Lichfield Angel (ER) Austin. 2006]
[David Austin Roses/David Austin (1926~ )]
[Chateau d'Yquem]

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by raindropsonroses | 2007-05-09 00:00 | 薔薇の名前。