「ほっ」と。キャンペーン

匂いのいい花束。ANNEXE。

<   2007年 07月 ( 17 )   > この月の画像一覧

夏の名残の薔薇。

e0044929_172401.jpg
前略

Oさん、今年はハッキリしない陽気が続きますね。
梅雨も明けたんだか明けないんだか……後になって、実は明けていましたなんてね(笑)
今は冷たいアール・グレイを飲みながらペンを取っています。
外は激しい雨と雷の閃光……まるでスコール、南の島のリゾートみたい(笑)

さて、明日から8月です。人さまも猫さまも薔薇も我慢、我慢の一ヶ月。
「暑い、暑い!」と愚痴を言っても一ヶ月、黙って黙々と過ごしても一ヶ月。
だったらここはスマートに、スタイリッシュに汗を拭った方がいいですね。それにしても暑い(笑)
暑いけれどクーラを付けずにいたらクーラーとも相性が悪くなって来ました。

所で、今年は少し早めに秋の剪定をしようと思っています。
Oさんは秋の剪定をしないんでしょう?いいんじゃないですか、それで。
人それぞれですし、Oさんは日頃の管理がキッチリしていますからね。
僕の所みたいに春の一番花が終わると延ばし放題、花柄もロクに取っていないような人はしないとダメです。
最近の薔薇は非常に優秀です。放って置いても間断なく一年中花を付けます。
一番花はそれこそ一斉に、5月を待ってまるで爆発するかのように咲き乱れ、
あとは三々五々、その品種のペースで繰り返し咲いて行く訳です。
そうすると、花期がズレてズレて……秋になってもポチポチですよね。
僕はそこで夏の終わりに一度一斉に軽く剪定する事によって、
全ての薔薇の花の周期をリセット、そうする事で秋の一番目の花は
大体同じ時期に咲く事になります。その先、もう一回咲けば御の字、
一季咲きでで実を楽しむもの、今年、伸びたシュート、交配して実を採るもの……。
その辺は切らずにそのまま育てます。兎に角ね、ボーボーなんですよ(笑)
だから、その先に花が付いたんじゃ具合が悪いんです。一度、整理してあげないとね。
最近ではスグそこに迫った秋の剪定を視野に入れつつ、水遣りの時に観察、摘蕾、枝を整理しています。

写真はイングリッシュ・ローズの「Wisley」。これで3番花になります!
花は一番花の約半分、カップも少々浅くなりますが、どうです、この見事な姿。
イングリッシュ・ローズの多くが2番花以降の花の花弁が小さく細くなるのに比べて
(花がダリアのようになる……)この姿は幾ら褒めても褒め過ぎる言うことはないでしょう。
重たい頭が枝垂れるように、また、枝が大きくカーブを描いて絶妙のニュアンス。
これほどフォトジェニックな薔薇も近頃珍しいです。
今年も前半は翌咲いてくれました。この花を最後にチョッと休ませてあげなければ……。
Oさんも散々迷った末に結局、買いませんでしたが、どうです、お迎えしてみては。

近々、一杯やりましょう、素敵なバーを見つけました。お付き合い下さい。
ではでは、呉々もご自愛下さい。人さまがヘバっては何もなりませんからね(笑)


草々

2007年7月31日


ブノワ。


[Wisley (ER) Austin, 2004]
[David Austin Roses/David Austin (1926~ )]

★Copyright © 2005~2007 raindropsonroses, All Rights Reserved.
[PR]
by raindropsonroses | 2007-07-31 00:00 | 薔薇の名前。 | Comments(24)

アンリ・カルティエ=ブレッソン展。

e0044929_192893.jpg
拝啓

Aさん、お元気ですか。まだ梅雨明けしていないとのことですが、
何だかスッカリ夏らしい陽気ですよね。僕のクーラーを付けない記録はまだまだ更新中です(笑)
さて先日、友人と炎天下の中「アンリ・カルティエ=ブレッソン展」に行って来ました。
アンリ・カルティエ=ブレッソンは尊敬するカメラマンなんですが、
これだけの作品を一度に観たのは初めてです……もう圧倒されっぱなし。

今回、つくづく思ったのが、芸術家たるもの、何か一つだけに秀でている訳ではないこと。
アンリ・カルティエ=ブレッソンも若き日に絵画や音楽にに勤しみ、
当時のシュルレアリスムの台頭の最中、若い芸術家達と意見を闘わせたりしています。
一瞬の決定的瞬間をフィルムに残すスポーツ的反射神経は勿論のこと、
尚かつ、瞬時にフレーム内で構図を決める勘、選択眼の鋭さも持ち合わせています。
おそらく彼の中では、そのものが次にどのような動きをするのか、
何パターンか瞬時に予測がついていたに違いありません。
それでなければ、あんな決定的な写真は絶対に撮れませんもんね。
入念にライティングをし、モデルにポージングさせて美しい写真は星の数ほどあるけれど、
アンリ・カルティエ=ブレッソンのように、その場に起きている事象を
的確、かつ、瞬時に絶妙の構図をもって切り取れる人は少ないです。
晩年にカメラを置きデッサンに勤しんでいたアンリ・カルティエ=ブレッソンですが、
若い頃に身に着けたデッサン力が、後の素晴らしい構図の取り方に影響を与えているのは明白ですね。

非常に有名な1枚。1945年にデッサウで撮られた連続写真。
強制収容所が解放された後、自分をゲシュタポに密告した隣人を覚えていた女性が、
その隣人を告発、怒り余って殴打する一枚の厳しさ、まさに死から甦った人間と、
隣人を売ったばかりにこれから地獄に堕ちる女……。
周りを取り囲む群衆の冷ややかな目……こんなに厳しい瞬間があるでしょうか。
会場にはそう言った歴史の証言とも言うべき作品が所狭しと並べられ観るものを圧倒します。
矢張り、写真とは現場に出て行き、その場所、事件の中に身を置かなければダメなんだと
つくづく実感しました。ライカによる35ミリフィルムからの美しい諧調のプリント、
全作品ノートリミングのフレーミングは素晴らしいの一言。
一瞬のうちに必要な部分だけを切り取る眼差しに一部の隙もありません。

一時期、彼のオリジナルプリントが欲しくてパリのあちこち探したんですけどね。
なかなか値段もいいし、好きな作品を選べるほどはギャラリーに作品がなかったりで断念しました。
専ら今はパリに行った時にポスト・カードを買って友人達に便りをするくらいが精々です。

今日はアンリ・カルティエ=ブレッソンを観たので何となくフィルムで撮ったモノクロ写真の気分。
随分前にパリで撮った一枚を同封しますね。これは7月に一夏、アパートを借りて
パリを拠点にあちこちとフィルム・カメラを持ってフランス中を旅した時に撮ったもの。
確か、4区のアルシーヴ通りとフラン・ブルジョワ通りの交差点にあるカフェでした。
左端に写るティーンの男の子は両親と一緒の旅行者でしょうか。
僕のカメラを見ると親指を立ててニッコリ「GOO!」のポーズ。多分カメラが好きなのかな。
少し離れていたので、ジェスチャーで写真を撮ってもいいかと聞くと笑顔でOKの合図。
結局、僕が選んだのは彼が正面を向いてニッコリしているカットではなく、
両親との会話に夢中で僕に意識が向いていない時のもの。2枚の中の1枚です。
自転車に乗ったマダムが走って来て画面にチョッと動きが出たでしょうか……。

アンリ・カルティエ=ブレッソンは同じ被写体を何枚も撮らなかったそうですね。
確かに、100枚撮っても一番最初の一枚が一番良かったりします。
最初に被写体から受けたインスピレーションを大事にしたのでしょう。
特に彼の場合みたいに「決定的瞬間」はいきなりやって来ますから。
久しぶりにいい展覧会でした。Aさんもグジュグジュ言っていないで是非!
時間がなかったら無理矢理にでもひねり出して行って下さい。
これだけのアンリ・カルティエ=ブレッソンを一同に観る機会は滅多にありませんよ。


敬具

2007年7月30日


ブノワ。


[Henri Cartier-Bresson (1908~2004)]
[Fondation Henri Cartier-Bresson]

★Copyright © 2005~2007 raindropsonroses, All Rights Reserved.
[PR]
by raindropsonroses | 2007-07-30 00:00 | 展覧会の絵。 | Comments(18)

テーブルを囲む。

e0044929_055136.jpg
前略

毎日暑いですね。Mさん元気にしていますか。
先日、雨が降りだした夕方に家を出た時にチョッと思ったんですが、
日本は既に温帯から亜熱帯になってしまった感じですね。
この蒸し暑さは以前、天安門事件のチョッと前に行った6月の香港みたい(笑)
サランラップをビッシリ巻き付けられて蒸された感じ……。

さて、暑さを吹き飛ばす写真を同封します。
Mさん、今度、自宅で友人の結婚披露を兼ねてサマーパーティーをやるんでしょう?
デザートをどうしたらいいかって。写真のように数を並べなくても
何種類か別のテーブルの上に並べて皆にそれぞれ選んで貰えばいいんじゃない?

この写真は、先日のフランスに薔薇を見に行った旅行の時に、
リヨンでギヨーさんの招待を受けて訪れたレストランで撮った一枚です。
ギヨー社の本社がある隣街でしょうか、ギヨーさんのお宅でアペリティフを戴いたあと
車で向かった小さな街(村?)にヒッソリとあるレストラン「Le Relais du Catey」。
メインのダイニングに入って直ぐにこのテーブルです。もう絶句(笑)
暫し立ちすくみパチリと一枚。それはそれは昼から豪勢なランチでしたよ。
先ず、アミューズが出て来て、それぞれに前菜とメインから好きなものを選ぶ感じでした。
美味しい料理に赤ワイン、そして、デザートは各人が写真のテーブルまで行って選びます。
ビックリしたのは、まぁ皆さん良く喋り、良く食べること!(笑)
僕は控えめに控えめにキャラメルのムースに苺(中まで真っ赤!)を添えて貰っただけなんですが、
皆さんはそれら(ケーキ&フルーツ)に加えてもう一品を片手に……クレーム・ブリュレも!
そして、決まり事のように食べる前にスプーンでカチカチ(笑)
周りの皆の目を捉えるようにして目で悪戯っぽくニヤリと笑いながらカチカチカチ……。
映画「アメリ」の影響って凄いものがありますね。

チョッと残念だったのは、言葉の問題でなかなか積極的に会話に参加出来なかったこと。
元々、大人しくて恥ずかしがり屋の日本人、言葉の問題、積極的な欧米人の間で気後れもあったでしょう。
それでも、合間合間に「楽しんでいる?」と目で合図するギヨー氏。
隣のマダムも気を遣って英語で話し掛けてくれます。有り難いと思う気持ちと、
次回はもう少し積極的に会話に参加できるようにしたいと反省しきり。
この後、ギヨーさんの車でリヨン駅まで送って貰ったのでした。

ケーキは全部手作りする必要ないですよ。料理だけで大変でしょう?
またアイデアが浮かんだら連絡しますね。ではでは、素敵な会になりますように!
折角ですけど僕は遠慮しておきます。若者だけでどうぞ!お元気で!


草々

2007年7月27日


ブノワ。


[Le Fabuleux destin d'Amelie Poulain/アメリ (2001)]
[Le Relais du Catey/Le Bourg-10, rue du Didier 38080 L'Isle d'Abeau/04 74 18 26 50]

★Copyright © 2005~2007 raindropsonroses, All Rights Reserved.
[PR]
by raindropsonroses | 2007-07-27 00:00 | バベットの晩餐会。 | Comments(16)

次の春へと……Nahema。

e0044929_8125288.jpg
拝啓

Aさん、先日はスッカリご馳走になってしまいました。いつも申し訳ありません。
今度は納涼を兼ねてビールが美味しい店に行きましょうね。

さて、驚いてしまったのは、
皆さん、来シーズンの庭の構想、購入品種のリストアップがしっかり終了しているんですね(笑)
もうビックリ。新品種の話になると盛り上がる盛り上がる(笑)
そう言う僕もキチンと出来ていますよ、薔薇のリストも万全、国産の苗や輸入苗、
色々と取り混ぜて40本くらいかな……と、言いつつ結局、倍くらいになっちゃうんですけど。
来シーズンはあまり新品種を増やさないようにと思っています。
何故なら、僕のオリジナルの薔薇がさらに増える予定だと言うことと、
交配を本格的再開しますから苗床などのスペース確保をしなければならないのです。
今年の冬に作ったフェンスはそのままツル薔薇を育ててみたいです。
そうそう、今シーズンは苗を買うタイミングが合わなくて断念しちゃったんですが、
今、バルコニーには僕の腕で一抱えもあるテラコッタが一つ空いているんです。
そこに植えたいのが今日の写真の「Nahema」。

近頃、大人気の「Nahema」……カップはチョッと浅いけれど、何とこの花弁の重なりで2番花です。
ハッキリしない梅雨空に明るくそこにポツンと一輪だけ咲いていました。
どうですか、なかなか美しいですね。本当は房になって咲くんですってね。
命名は「アラビアンナイト/千夜一夜物語」に登場する双子の王女さま、ナエマとマハネ。
1979年にジャン・ポール=ゲランによって調香された香水、
情熱的で奔放なナエマ姫にヒントを得て作り出されたゲランの「Nahema」から。
e0044929_8132570.jpg
ここ20年間、ツル薔薇の王座を守って来た「Pierre de Ronsard」の地位を脅かす存在、
何と言っても帰り咲く性質とその匂いが素晴らしいことが「Nahema」を一層、魅惑的にしているようです。
「Pierre de Ronsard」は殆ど匂いがなく、気まぐれにしか返り咲きませんからね。
「Nahema」の交配親は、デルバールの「Grand Siecle」とイングリッシュ・ローズの「Heritage」
それらをさらに遡って調べてみると、アッと言う間に何種類かの素晴らしい薔薇の名前が出てきます。
歴史的名花の「Peace」や「Queen Elizabeth」、「Iceberg」などの名前がズラズラっと(笑)
残念ながら「Grand Siecle」は実物を見たことがありませんけれど、
どうやら「Nahema」の素晴らしい匂いは「Heritage」からしっかり受け継がれているようです。

その「Nahema」を新しくもう1本お迎えし、大きなテラコッタに2本植え込み、
チョッと大きくしてみたいのです。薔薇の匂いって上から下に下がりますからね。
美しい「Nahema」の下でゆっくり珈琲でも飲んでみたいなぁ……。
「Nahema」は秋の花が素晴らしいそうですね。2番花でこれですもの、推して察すべしですか。
アラビアンナイトの「Nahema」からの命名は薔薇の名前のまた新たな一ページを作り、
日本語で3文字のゴロの良さ、花自体の素晴らしさも相まって、暫らくは大人気が続くのでしょうね。
先ずはいい苗を確保しないといけません(笑)全てはそれから……。
また連絡いたします、お元気で!


敬具

2007年7月25日


ブノワ。


[Nahema (Cl) Delberd, 1997]
[Pierre de Ronsard (CL) Meilland, 1988]
[Grand Siecle (HT) Delberd, 1986]
[Haritage (ER) Austin, 1984]
[Peace (HT) Meilland, 1942]
[Queen Elizabeth (FB) Lamarts, 1954]
[Iceberg (F) Kordes, 1958]
[Delbard]
[David Austin Roses/David Austin (1926~ )]
[Guerlain]

★Copyright © 2005~2007 raindropsonroses, All Rights Reserved.
[PR]
by raindropsonroses | 2007-07-25 00:00 | 薔薇の名前。 | Comments(16)

マダム、あなたに会いに……。

e0044929_2259229.jpg
マダム・M。

お元気にお過ごしですか。先日はわざわざ礼状を戴き大変に恐縮しております。
日本茶の詰め合わせ、大層、お気に召したみたいで僕としても嬉しい限りです。
玉露、宇治、焙じ茶……今度はどれがお気に召したか聞かなければ。

今回、フランスに薔薇を見に行くにあたって、それはそれは盛り沢山の予定や目的がありました。
訪問地も、最終的にどうしても行きたい所に絞るのが大変に困難でした。
マダムもご存知の通り、フランスには素晴らしい庭園が沢山ありますからね。

そんな中、僕がどうしても友人達を連れて行きたかったのがマダムが働く庭園、
植物好き垂涎の「Le Bois des Moutiers」だったんです。
僕自身は今回の訪問で、秋と春、合わせて4回目の訪問になります。
時間が許すのなら、毎回パリから足を延ばして尋ねたいと思っているくらいなんですよ。
日本では今、イギリスのデヴィッド・オースチンが作出した一群の薔薇が大人気です。
それらはイングリッシュ・ローズと言い、毎年〜それは素晴しい新品種を発表するんです。
既に200種類に達しようと言う、そのイングリッシュ・ローズの中の一本に
「Gertrude Jekyll」と言う薔薇があります。ご存じ、有名なイギリスの園芸家の名前を冠した薔薇です。
マダムがいらっしゃる庭園は、同じくイギリスの建築家エドウィン・ルテンスが建築を手がけ、
偉大な園芸家ガートルード・ジーキルが庭園のデザインを手懸けたのです。
後からそれを知ってみれば「なるほど、だから素晴らしいのか!」と、合点が行くのですが、
知らなかった一番最初の訪問時は、何故、こんなフランスの田舎の村に
こんなに素晴らしい庭園があるのか訝しく思ったものです。
e0044929_22595167.jpg
e0044929_230145.jpg
e0044929_2301364.jpg
e0044929_2302663.jpg
e0044929_230366.jpg
e0044929_2304722.jpg
e0044929_2305734.jpg
e0044929_231834.jpg
e0044929_2313321.jpg
e0044929_2314248.jpg
e0044929_2315671.jpg
e0044929_2321055.jpg
僕と友人は、庭園の入り口でチケットを買い、先ずは目玉であるホワイト・ガーデンへ。
残念ながらメインの薔薇「Iceberg」は世代交代で以前の立派な苗はなかったけれど、
クレマチス、紫陽花、薔薇、ルピナス……およそ、考えられる限りの数の白い花が
非常に上手に高低差を利用しながら所狭しと植えられていました。
門からホワイトガーデンに続くロング・ボーダーにはモスの「William Lobb」が植えられ、
大きくて絶妙の形に剪定された生け垣を潜る度に上がる声にならない感嘆の声。
普通よりも色濃いノアゼットの「Crepuscule」、や
自然のそのままの樹形が美しい「Mutabiris」や「Tuscany」や「Francois Juranville」、
寄り添う形で這い上ったハズなのに、いつの間にやらスッカリ元の樹を覆い尽くすように
まるで白い大きな綿飴のように天に向かって咲き誇る薔薇……。
1枚目の名前の分からない黒い薔薇は何度見てもため息物です。
薔薇だけじゃない庭園はいつの季節に訪れても素晴らしい様相を呈します。
今日は先日訪れた時に撮った写真を同封しますね。
マダムは毎日〜季節の移り変わりを見ていらっしゃいますからね、
写真なんかその素晴らしさの何分の一も魅力が伝えられないとは思いますが、
そんな僕の驚愕と感動の一部を知って戴ければと思います。

最後に、マダムは手紙に書いていらっしゃいましたね。
勿論、僕のことは覚えているけれど、僕が何故、わざわざ日本から
お茶の詰め合せセットを持ってお礼に来たか理由が良く分からないと書いてありました。
訪れた当日、マダムがお休みだと聞いて、受け付けの若い女性にお茶とメッセージを託しましたが、
僕がマダムに親切にして貰ったエピソードはチョっとマズイかなぁと思い伝えなかったのです。

マダム、あなたは2年前の春、僕が2日続けて庭園を見学に行った2日目、
入場料の6ユーロをサービスしてくれたのですよ!
6ユーロを差し出す僕にニッコリ笑って「あなた、昨日も来たでしょう?だからいいわよ」って。
お互いに言葉は上手く通じないけれど、何だか僕にはマダムの気持ちがとても嬉しかったんです。
だから、お茶は僕の細やかなお礼、日本茶は始めてと仰言るマダムが喜んで下さって何よりです。
次回のフランス旅行の時も必ず遊びに行きますからね!
またお目にかかれる日を楽しみにしております。
夏のバカンス、素晴らしいものになるといいですね。お元気で!


2007年7月24日


いつまでもあなたのブノワ。より。


[Gertrude Jekyll (1843~1938)]
[Sir Edwin Landseer Lutyens (1869~1944)]
[Gertrude Jekyll (ER) Austin, 1986]
[David Austin Roses/David Austin (1926~ )]
[Iceberg (F) Kordes, 1958]
[William Lobb (M) Laffay, 1855]
[Crepuscule (N) Dubreuil, 1904]
[Mutabilis (C) probably from China and introduced to Italy, pre-1984]
[Tuscany (G) probably of Italian origin, pre-1596]
[Francois Juranville (R) Barbier, 1906]

★Copyright © 2005~2007 raindropsonroses, All Rights Reserved.
[PR]
by raindropsonroses | 2007-07-24 00:00 | 旅の栞。 | Comments(26)

薔薇を捧げる。

e0044929_1839476.jpg
拝啓

そろそろ梅雨明けを思わせる日々が続きます。Mさん、その後お変わりありませんか。
僕はせっせと薔薇の世話、猫のおもりに追われる毎日です。

さて、今日は梅雨空のバルコニーで見つけた素敵な薔薇の写真をお送りします。
薔薇の名前は「Chant rose Misato」。ローズ・オブ・ローゼスの大野耕生さんが
歌手の渡辺美里さんに捧げた薔薇です。今年から新苗が市場に出て来ましたが、
ウチはなぜは大苗でお迎え、この蒸し暑い中、綺麗な姿を見せてくれています。

所で、Mさん、薔薇の名前って本当に素敵だと思いませんか。
植物の中で薔薇ほど人の名前がつけられている植物はありません。
僕達は、日々、無意識のうちに色々な人の名前を口にしている訳です。
作出者の最愛の人、歴史上の偉人、国家の元首、戯曲の登場人物、映画俳優……。
数え上げればキリがありませんね。それほど人の名前が付いた品種が多い。
アマチュアのこの僕でさえ、もしも名前を付けられるのならと、
空想の世界で何人もの人の名前をリスト・アップしているくらいですから(笑)

そして、人の名前を冠した薔薇に限って素晴らしい品種が多いのです。
ここに一々名前は挙げられませんが、例えば、マダムで始まる薔薇の美しき列伝。
最愛の家族、両親だったり娘の名前を付けた薔薇が美しくないハズもありません。
それぞれに自分の一番の自信作に名前を付けるからです。
ある時は愛情を、またある時は尊敬を、そしてまたある時は憧れを込めて、
薔薇に名前を授けるのです。名前を授けられた薔薇はそれに応える……。
美しい薔薇を捧げられた人々の気持ちはどんななんでしょうね。

映画にもなったウンベルト・エーコの傑作小説「薔薇の名前」。
修道僧ウィリアムとアドソが厳寒の北イタリアの修道院で巡りあう数々の猟奇殺人。
思いもかけない連続殺人の犯人と動機……そしてクライマックス。
アドソがそこで出会った名もなき薔薇一輪……それがこの象徴的なタイトルの由来です。
「薔薇の名前」……何と言う素晴らしい響きでしょう!
小説は老境に至ったアドソが師と仰ぐパスカヴィルのウィリアムと、
己の愛おしい「薔薇の名前」に思いを馳せ、回想録を綴る形をとっています。
映画も暗黒の中世の空気感や、原作の雰囲気を残して佳作でした。
e0044929_18401314.jpg
「Chant rose Misato」一番の素晴らしい点は、その匂い。
鼻を強烈に刺激するその匂いは豊かなオールド・ローズに数々のスパイシーなハーブの匂いがミックス。
クリアー・ピンクの花弁は、まるで「匂いを少しでも逃さない!」とばかりに丸くカップになります。
面白いのは、この薔薇、蕾のウチは真っ黒なんです。春先、気温が段々上がって来て、
辺り一面に夥しい数の蕾が上がって来ます。「おや、こんな所に黒薔薇が?」
そう思っていると、段々、黒から赤へ、そして赤からピンクへと変化して行き
最後には素晴らしい球体が現れます。少し花保ちは悪いきらいもあるけれど、
ほんのり外側の花弁が色濃いのが絶妙のニュアンスを生みます。
何とフォトジェニックな薔薇!気が付くとアッと言う間に100枚くらい撮影です(笑)
カメラマンのグレッグ・ゴーマンが、「素晴らしい俳優だからといって撮り易い訳ではない」と言っています。
薔薇も美しいからと言ってカメラにすんなり納まる訳ではありません。
その点、この「Chant rose Misato」は立体感がそのまま切り取れるのがいいです。
大野耕生さんが大ファンの渡辺美里さんに捧げた薔薇……その時の誇らしい気持ち、
高揚感がとても良く分かります。そして、捧げられたご本人は……こうしてさらに薔薇の逸話が増えるのですね。


敬具

2007年7月23日 


ブノワ。


追伸、「Chant rose Misato」のフランス名は「Soeur Emmanuelle」です。
    フランス語で「soeur」は英語の「sister」、従って「Sister Emmanuelle」、
    修道女エマニュエルと言う事になります。

[Chant rose Misato/Soeur Emmanuelle (S) Derbard, 2004]
[大野耕生/Kosho Ono (1972~ )]
[渡辺美里/Misato Watanabe (1966~ )]
[Umberto Eco (1932~ )]
[Il Nome della Rosa/薔薇の名前 ウンベルト・エーコ著 河島英昭訳 東京創元社刊 (1980)]
[Der Name der Rose/薔薇の名前 (1986)]
[Greg Gorman (1949~ )]
[Delbard]

★Copyright © 2005~2007 raindropsonroses, All Rights Reserved.
[PR]
by raindropsonroses | 2007-07-23 00:00 | 薔薇の名前。 | Comments(24)

ひっそりと佇む……ラ・ブイソニエール。

e0044929_10481073.jpg
拝啓

台風一過、あまりスッキリしない天気が続きますね。
気温もあまり上がらないし、昔は「梅雨寒」なんて言って、
梅雨が明けるまでは暖房器具を出しておいたものですもんね。
Yくん、スッカリご無沙汰ですが元気にしていますか?

さて、フランスで豪華に食べまくって来て十分に増えた体重も元に戻りました。
戻ってもまだ多めなんですけどね(笑)撮って来た写真を整理していると、
毎日何かしらの理由を付けて食べ歩いていたことが分かります。
曰く、「今日で○○も最後だから」とか「もうここには来ないだろうから」とか。
言い訳の中で一番多いのが「折角だから」と言うもの(笑)
今日、同封した写真はノルマンディーに行った時にディナーで訪れた「La Buissonniere」。
当初の予定は泊まるホテルで夕飯をとる事にしていたんですが、
小さな村です、何軒もレストランがある訳でもなく、また、同じホテルのレストランで
昼夜の食事と言うのも能がない……結局、チェックインした後にランチをホテルで、
夕食を東京から予約して行った「La Buissonniere」で摂る事にしました。折角ですからね(笑)

その間の日程はフレキシブルに、ホテルのマダムに教えて貰った古城を急遽追加したりしました。
親切なタクシーのムッシュに送迎を頼み、チョッと遅れ気味に到着した「La Buissonniere」。
どうしてこんな小さな村にこんな素敵なレストランがあるのかと言う店構え。
店と言うよりは一軒家の瀟洒な建物。広い庭には薔薇や西洋しゃくなげが咲き乱れ、
フランスに薔薇の旅をしに来た僕らにはピッタリのロケーション。

扉を開けてくれたマダムは上品でシックなシャネル・スーツ風の出で立ちで満面の笑み。
店内は建物の一階の幾つかの部屋を人数に応じて割り振りする形になっています。
各部屋には暖炉に火が灯され、テーブルには庭に咲いている「Pierre de Ronsard」の花が……。

ひとしきり庭の花々を撮影した僕等、テーブルについてメニューのチェックです。
旅の気紛れか、思わずイレギュラーで素敵な古城を見学出来た高揚感か、
はたまた、古城の城主のマダムやタクシーのムッシュとの心温まる交流のなせる術か、
僕が頼んだのは普段なら絶対に頼まない品々……。
e0044929_10484323.jpg
e0044929_10485386.jpg
e0044929_1049657.jpg
e0044929_10491953.jpg
アミューズ・ブッシェにはカリカリに焼いたフランスパンにオリーブのタプナードと、
豚肉のパテに香草などで程よく味付けした一皿が出て来ました。
前菜に「オマール海老とマーシュ等、季節野菜とグレープフルーツのサラダ」、
メインは「鴨のグリル・林檎のフランベ蜂蜜ソース」、
デザートに「デザートの盛り合わせ・ラ・ブイソニエール風」でした。
品のいい淡いピンクのテーブルクロスに白い食器が映えます。

先ず、こうして写真を見て自分でも驚くのは、結構、甘い味付けのものを選んでいる事。
僕はレストランでは甘い味付けのものは絶対に頼みませんからね。
僕は自宅で和食を作る時も砂糖やミリンは使いません(砂糖を置いていないのですよ)。
砂糖やミリンは野菜の旨味が出るっていうけれど果たして本当でしょうか。
タップリのお出汁で調理すれば野菜本来の甘味が出ますから。それでOKだと思うんです。

先ず、予想していたけれど、グレープフルーツがふんだんに入っている前菜は
グレープフルーツの酸味と甘味が爽やかな一皿。
それにしてもつくづくフランス人ってマーシュが好きですね(笑)
メインの鴨は程よい火加減なのに芳ばしい焼き具合。林檎もシャリシャリせず柔らか過ぎず程よい歯応え。
驚いたのは林檎に蜂蜜そのものがかかっていたこと。思ったよりも甘めでした。
写真で琥珀色に見えるのはそのまま蜂蜜です。でも、絶妙なマッチング。
デザートも、普通はこんな盛り合わせなんか絶対に頼まないんですけど(笑)
何だか女の子になった気分でした(笑)どれも繊細な味付けで美味しかったですよ。
ただ、包丁が入ったキーウィは嫌いです……Yくん、分かりますよね。

この写真を撮ったのは夜の8時過ぎ……フランスの夏は夜が長い……。
大先輩がお好きなアルザスのワインで乾杯のあとは、旅のエピソードで話しが盛り上がります。
遥か遠く東京を離れ、ノルマンディーの小さな村のレストランでテーブルを囲む不思議。
薔薇が好きな事が取り持つ素晴らしいご縁に思いを馳せます。
次回はYくんをここに連れて行こうかな。楽しみにしていて下さい。


敬具

2007年7月21日 


ブノワ。


[La Buissonniere/Route du Phare d'Ailly-Varengeville-sur Mer
76119 Sainte-Marguerite-sur Mer/02 35 83 17 13]
[Pierre de Ronsard (CL) Meilland, 1988]

★Copyright © 2005~2007 raindropsonroses, All Rights Reserved.
[PR]
by raindropsonroses | 2007-07-21 00:00 | バベットの晩餐会。 | Comments(22)

一人じゃないんだよ。

e0044929_10365320.jpg
前略

Dちゃん、その後、元気にしていますか。
先日は短い時間だったけど元気そうな顔を見られて嬉しかったです。
僕はあれからバタバタ、チョッと忙しくしています。

さて、先日は時間がなくてあまりゆっくり話せなかったけど、
Dちゃん、最近落ち込んでいるって……悪友のMから聞いちゃいました。
ボーイフレンドの事は残念だけど、好きな事、例えば、水泳とかビーズで小物を造りとか、
Dちゃんは趣味が沢山あるから手と身体を動かして上手に気晴らしして下さい。
暗い顔していちゃダメ、笑顔でいれば必ずいい事があります。笑う角には福来たるってね。

それに、Dちゃんの口癖……いつも「私はどうせ一人だから」って言っていますよね。
確かにオギャーと生まれる時と死ぬ時は一人かもしれないけれど、
普通、人間は一人で生きているんじゃないんだよ。Dちゃんには素敵な友達もいるし、
会社の上司や同僚にも恵まれている。ご両親も健在で存分に親孝行が出来る。
一人で淋しいだなんて言ってちゃダメじゃない……僕だっているしね!
落ち込んだ時に僕の顔が浮かんだから電話寄越したんじゃないの?
僕もDちゃんの声に元気がないから無理して時間を作って出て行ったんだもの。
声を聞いただけで分かりますよ。友達がどんな調子かね。

今日の写真はね、僕の友人が、わざわざ先日、僕のために送ってくれたアレンジです。
ちょっと記念日だったのね。あまり嬉しい記念日じゃないんだけど。
ちゃんと覚えていてくれて、僕が大好きな青山の花屋から届けてくれました。
染香が死んだ時も、「もうダメかもしれない」って朝早く連絡したら、
タクシー飛ばして会いに来て最後のお別れしてくれましたしね。
いて当たり前のようだけど、普段から何かと支え合っているのが友達、
Dちゃんだって沢山いるでしょう。友達ってそう言うもんですよ。有り難いと思いました。

兎に角、何かあったら遠慮なく連絡するように。
嫌なことも人に話を聞いて貰うだけで気が晴れるって言うもんです。
発散しなきゃダメ、Dちゃんはその方法を知っているハズです。
元気出さなきゃダメですよ。近々、今度はご飯でもしましょうか。皆に声かけてみる。
ではでは、先日は話し足りなかったので取り急ぎ連絡まで。


草々

2007年7月18日


ブノワ。


[染香・Someka (1997~2005) Domestic Short Hair,
    Brown Mackeral Tabby and White]

★Copyright © 2005~2007 raindropsonroses, All Rights Reserved.
[PR]
by raindropsonroses | 2007-07-18 00:00 | 向き向きの花束。 | Comments(16)

秘密、秘密……男の隠れ家。

e0044929_2259472.jpg
拝啓

長い梅雨に入りました。Oさん如何お過ごしですか。
僕はね、すっかりグロッキーです(笑)薔薇も猫も人も我慢、我慢、我慢の入梅です。

さて先日、話し損なったノルマンディーのタクシー運転手のムッシュの事です。
あそこの村には、所謂、足になる交通機関がありません。バスは当てにはならないし……。
ホテルにはレンタルの自転車があるみたいですが、他はディエップからタクシーを頼むしかありません。
村の中は健脚なら歩ける距離ですが、旅は長いですカメラなどの荷物も重たいし、
上手に予定を組んでタクシーを頼むのが一番。ディエップからタクシーで一路ホテルへ。
例の美味しい魚のスープとランチを楽しみ、
森の中を抜ける近道を「Parc Floral du Bois des Moutiers」に向かいます。
この庭園は4回目ですが、フランスに来るなら何度も訪れたい場所。
ゆっくり園内を歩き、しっかり記憶と写真に収めたあと、門の所でタクシーを呼びました。
そこに現われたのが、その世にも親切な運転手のムッシュだったのです。

僕等の予定では、「Parc Floral du Bois des Moutiers」から車で20分ほどの
「Chateau de Miromesnil」まで行って貰い、閉園時間までの小一時間、駐車場で待って貰って、
その晩の夕食に予約していたレストランに送り届けて貰うものでした。
フランス語がペラペラのTさんが運転手のムッシュと交渉、快くOKを貰うといざ出発です。
ムッシュとフランス語で盛り上がるTさん(笑)そんなこんなしている内に、
ムッシュから驚くべき提案が。もし良かったら築300年の自宅を見に来ないかと言うのです。
遠慮はいらない、写真に撮ろうが何しようが構わないし、兎に角、遊びに来いと。
勿論、何事にも遠慮深くて奥床しい日本人の僕等、最初は断りましたが気分は既に築300年の家へ(笑)
結局、家の隅から隅まで、居間は勿論、寝室やダイニング、果ては地下のワインセラーまで!
それから何が始まるかと思えば、セラーから赤ワインを1本出して来たムッシュ、
お近付きの印にと乾杯と相なった訳です。奥さまも始めは戸惑い気味だったけれど、
オツマミにサラミを切って来てくれたりサービス満点。
アッと言う間に楽しい時間は過ぎ、後ろ髪を引かれつつ、一路、レストランへと向かった訳です。

レストランでゆっくり美味しい食事を楽しみ、ホテルまでのタクシーを呼んで貰おうとすると、
何故かレストランのマダムは困り顔、普通、夜のその時間にタクシーを呼ぶのは難しいそうなんですが、
そこに現われたのは件のムッシュ!快くホテルまで送って貰い、折角、何かの縁なんですから、
翌日のホテルからディエップまでの足も頼みました。時間にキッチリ迎えに来てくれるムッシュ、
駅まで送って貰い、何と、駅のブラッセリーでカフェをご馳走してくれ、
オマケに僕等全員にそれぞれのイメージで古い展覧会のポスターをプレゼントしてくれたんです。
一体、何て言う親切!タクシーに乗った縁でここまで親切にしてくれるとは……。
余程、僕等一行が人のいい顔をしていたか(笑)初めての日本人が珍しかったか(笑)
ただでさえ素晴らしいノルマンディーの小旅行がさらに素敵な思い出で一杯となりました。
袖触れ合うも多少の縁と言います。同じ日本人なのに旅先で困っている僕等の目の前で
大きく罰点を作り拒絶する偽善者もいると言うのに(笑)ムッシュの親切は一生忘れられません。

今、写真を焼き増ししたりプレゼントを買ったりして箱詰めしているところです。
ムッシュは今、タイで友人とバカンス中です。フランスに帰る頃を見計らってお礼の品を送らなければ……。
写真はムッシュが最後に見せてくれた母屋の離れにある自分の隠れ家、自分だけの城です(笑)
色々なブリキのオモチャや趣味で集めたコレクションの数々が所狭しと並んでいました。
早めにリタイヤして家の手入れをしつつ趣味に興じる……。
タクシー運転手はほんの小遣い稼ぎ程度なのでしょう。
これらの宝物を嬉々とした眼差しで見つめるムッシュの顔が忘れられません。


敬具

2007年7年17日


ブノワ。


★Copyright © 2005~2007 raindropsonroses, All Rights Reserved.
[PR]
by raindropsonroses | 2007-07-17 00:00 | 旅の栞。 | Comments(20)

薔薇に求められるもう一つの条件。

e0044929_11505678.jpg
拝啓

この時期には珍しい台風直撃となりました。Tさん、その後、如何お過ごしですか。
外は激しい雨ですが、僕は猫を膝に乗せてこの手紙を書いています。

さて、薔薇もそろそろ2番花が終わり、早いものは3番花の蕾が上がって来ました。
さすがにこれ以上は樹を疲れさせるだけですし、どうせ咲いても綺麗な花は望めません。
せっせせっせと摘蕾をしている毎日です。こうして樹に力を蓄えさせて
8月下旬の軽い剪定のあと、一気に秋の花の時期を迎える訳です。
Tさんは疑問に思っていらっしゃるようですが、秋の剪定はした方がいいと思いますよ。
春の1番花のあと、それぞれのペースになっていた伸び方を一度ここでリセット、
そうする事によって、少しは秋の花が咲く時期が揃うと言う訳です。

そうそう、夏のバルコニーで作業していて思ったことなんですが、
先日のギヨー氏の言葉にもあった通り、最近の薔薇に求められているものって、
先ず、匂いですよね。そして、花の形、色、耐病性、繰り返し咲き性なのでしょう。
僕、ここで思ったんですけど、あまり言われませんが、それに加えて
花が房になって咲くって言うことがとても高ポイント、非常に求められているのではないかと……。

特に最近のイングリッシュ・ローズ、
これらは日本では「イングリッシュ・ローズ」として括られていますが、
世界的には「モダン・シュラブ」と言う括弧で括られています。
殆どのイングリッシュ・ローズが房になって咲きますよね。
1本の枝に沢山の花を付ける事によって、より華やかな感じに見せる。
一番最初の花が終わってから、順次、脇の蕾が花開き花の時期が非常に長いです。
最近流行のフランスの薔薇、ギヨーもデルバールもメイヤンも、それぞれに房咲きが主流です。
ハイブリッド・ティーに分類されるものも殆どが房になって咲きます。
ハイブリッド・ティー=一枝に一輪だけ咲く……この括りが崩れつつあります。

同封しました何枚かの写真、どうですか、これでたった1本の枝から咲いた花なんですよ。
1本に1つの花の薔薇と比べて圧倒的に花の数が違って来ますよね。
e0044929_1151345.jpg
1枚目はここ数年で最も色鮮やかなイングリッシュ・ローズの「Summer Song」
名前が「Summer Song」なのに夏に弱いと言われていますが(笑)
兎に角、一番の特徴はその色でしょう。今までのイングリッシュ・ローズにはない色、そして芳醇な匂い。
e0044929_1152090.jpg
2枚目は今の所、最新品種の中の1本「Lichefield Angel」です。
この薔薇は典型的なティーの匂いに少しフルーツの匂いが混ざります。
多い時には5輪くらいの房咲きになりますが、写真をご覧になって分かるように、
完全に全ての蕾が開き切ります。枝振りはしっかりしていますが、
頭が重くなりますからあらかじめ支柱などを立てておくといいかもしれませんね。
e0044929_11523556.jpg
3枚目はチョッと前のイングリッシュ・ローズ「Radio Times」です。
僕は写真だけだと何種類か混同してしまう薔薇があるんですが、
中輪ながら非常に良く繰り返し咲く薔薇で、樹自体もそれほど大きくならないと思います。
花の色は、どちらかと言うと少し暖かみのあるピンク。
e0044929_1153031.jpg
4枚目は白花が少ないと言われているイングリッシュ・ローズの中から銘花「Fair Bianca」。
シェークスピアの「じゃじゃ馬ならし」からの命名ですね。
「Eliane Gillet」もそうですが、蕾のうちは真っ赤なイチゴを思わせる風情で、
花が開くと純白になります。蕾と花が1本の枝に付く様は可憐そのもの。
非常に人気がある品種で、非常に強いミルラの匂いがあります。
e0044929_11532630.jpg
5枚目の写真は、これまた最近大人気のギヨーの薔薇「Agnes Schilliger」です。
この薔薇は1番花と2番花、さらには秋の花で随分と表情が違うみたいですが、
写真の一番花は本来の姿に一番近く撮れたのではないかと思っています。
生姜、フランボワーズ、イチゴ、シナモン等、強香が売り物みたいですが、
僕が試した所それほど強い匂いではなかった……もうチョッと観察が必要です。
何れにせよ、このヒラヒラの花弁は凄いです。まるで鶏頭の花が丸く咲いたよう。
e0044929_11535867.jpg
6枚目の写真は僕が最近、注目して意識的に収集している、
約20年前くらいのイングリッシュ・ローズの中から「Symphony」。
今では殆ど育てている人がいないんじゃないでしょうか。
結構、しっかりと固めの茎に3〜5輪ほど房咲きになります。
匂いは強烈なティーの匂い、理想的で典型的なティーの匂いです。
この薔薇のいい所は、時間が経って退色しても、あまり白くならない所。
一房で黄色の美しいグラデーションが楽しめます。
e0044929_11542366.jpg
7枚目の写真は、今年迎えた中で一番遅い開花だった「Comtesse de Segur」です。
パリに旅立つギリギリに撮影する事が出来ました。
大輪が房になって咲く様は豪華絢爛、どの蕾もキチンと花開きます。
匂いも大変に素晴らしく、一言で何の匂いと言うのは不可能。
朝や昼、夕方にはそれぞれに匂いを変え僕等を楽しませてくれます。
e0044929_11545711.jpg
8枚目の写真はチョッとブームが一段落の「Rhapsody in Blue」です。
チョッと前までは世界で一番青い薔薇として随分もてはやされましたね。
青と言うよりも紫、完全な紫のグラデーションが一枝で楽しめます。
写真を見てお分かりの通り、赤紫から咲き始め最後には淡いグレー・ラベンダーに退色。
黄金色の蕊とのコントラストが大変に美しいです。
e0044929_11552468.jpg
9枚目の写真は何だとお思いになりますか?これ、咲き進んだ「Eliane Gillet」なんですよ。
丁度、満開の純白の写真しか紹介されませんが、こうして時間とともに赤みを帯びます。
深紅の苺のような蕾が純白の花へと開花し、さらにピンクに退色する……。
この薔薇も蕾が全部花開きますから一株で物凄く華麗な姿になります。

どうですか、どれも1本の枝に咲いた薔薇とは思えないでしょう。
これらがどんどん繰り返して花咲くんですから、庭は大変な事になるハズです。
そうそう、一番最初の大きな写真はギヨー作出の「Paul Bocuse」です。
ギヨーさんの古くからの親友であるポール・ボキューズの名前を冠した薔薇、
この写真で枝はたったの2本です!完全なラウンドになって開く花はそれは見事です。
どうですか、1本だけ切って花嫁のブーケで持っても何ら遜色ないと思いませんか。
ここ数年、薔薇の姿がどんどん変わって来ていますね。
一輪だけでもその部分だけ明るくなるのです、これが数輪の房咲きになったら……。
考えるだけでも素敵なことだと思いませんか。


敬具

2007年7月16日 


ブノワ。


[Summer Song (ER) Austin, 2005]
[Lichefield Angel (ER) Austin, 2006]
[Radio Times (ER) Austin, 1994]
[Fair Bianca (ER) Austin, 1983]
[Agnes Schilliger (S) Guillot, 2002]
[Symphony (ER) Austin, 1986]
[Comtesse de Segur (S) Derbard, 1994]
[Rhapsody in Blue (S) Frank R. Cowlishaw, 1999]
[Eliane Gillet (S) Guillot, 1998]
[Paul Bocuse (S) Guillot, 1997]

[William Shakespeare (1564~1616)]
[Taming of the Shrew/じゃじゃ馬ならし (1594)]

[David Austin Roses/David Austin (1926~ )]
[Guillot]
[Delbard]
[Meilland Richardier Meilland International]

★Copyright © 2005~2007 raindropsonroses, All Rights Reserved.
[PR]
by raindropsonroses | 2007-07-16 00:00 | 薔薇の名前。 | Comments(18)