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匂いのいい花束。ANNEXE。

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「文体の獣」

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 「で、どの子が良かった?」

第一部と第二部の合間、プロデューサーに教えて貰った、
劇場近くの蕎麦屋に落ち着くやいなや、Tさんが口を開いた。

 「僕はエンジェルを演った右側の子かな。Tさんは?」

 「僕は左側の子。」

と、僕が質問を言い終わる前にキッパリ。
まだ冬真っ直中、3月のニューヨークから帰って来たばかりの僕は、
出発前に約束していた芝居を観に森下に向ったのでした。
演目は、t p t 公演「エンジェルス・イン・アメリカ」。第一部の「ミレニアム」と、
第二部の「ペレストロイカ」を1日で一挙に観てしまおうという、
役者だけではなく観客側も体力的にキツい1日、上演時間はなんと7時間超!
一緒に行ったのは旧知のTさんでした。Tさんは新宿で隠れ家的なバーを経営しています。
映画や演劇が好きで、休みの殆どを劇場の暗やみで過ごしているほどです。
批評は非常に辛辣、歯に衣着せぬ物言いは初めての人はビックリするけれど、
芸術全般に対する造詣は深く、シニカルな言葉の裏には、
芝居と役者に対する限りない愛情が隠されています。
実はシャイなのだ。それを隠すために言葉と独特のユーモアで武装するのだと僕は思う。
店には当然、演劇関係の客が多いが、ただの悪口ではない、
辛辣な言葉の裏に隠された愛情を感じるからこそ皆が集うのでしょう。



Tさんと僕の共通点は、物事を(この場合は作品と役者)色眼鏡で見ないことだと思う。
どんなに高名な役者でも、ひと度、手抜きの芝居をしたり、
創意工夫のないワンパターンをすると噛み付かれることになる。

 「○○○○、アナタは詰まらない女優よ!」

本人に直接ぶつけられた同じような台詞を何度聞いたことか。
そうそう、役者の名前を呼ぶ時はいつも必ずフルネーム(笑)
反対にどんなに無名の役者でも、素晴らしい一瞬の煌めきは決して見逃さないし、
演技に対する真摯な姿勢を垣間見た時には手放の絶賛を惜しまない。

 「そうだね……60点かな。これ、オマケしてだからね。」

出演者に面と向かって感想を聞かれた時、
決して出来が良くない舞台の時でも刺をユーモアのオブラートに包んでキッパリ言い放つ。
どこぞの評論家の大先生と違って、自腹で劇場に足を運ぶ人間のみに許される権利を言葉で遊ぶ。
Tさんと僕の共通点は色眼鏡で見ないことと書きましたが、
なかなかどうして、名前や肩書きに惑わされるのは人の悲しい性(笑)
仕方のないことだけれど、ついつい肩書きや見掛に惑わされてしまいます。
無色透明で公正な眼鏡を常にかけていられるよう心掛けたい……僕はそう思っています。

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さて、件の蕎麦屋での会話の時に出てきた右側の天使役の青年、小谷真一くん。
かれこれ5年になりますが、陰になり陰になり(笑)ズゥ〜っと応援しています。
天使を演じた彼の背中には衣装の翼が付いていましたが、僕にはそれが才能の翼に見えたから。
以降、公演は毎回、欠かさず観ています。「エンジェルス・イン・アメリカ」「ミステリア・ブッフ」
「ミザントロオプ」「醜い男」「血の婚礼」「Proof」「天日坊」……。
欧米と違って日本には、所謂「パトロン」という制度は殆どありません、皆無に近いです。
日本で「パトロン」を意味するのは女性をお金で囲うオジサンのこと(笑)
芸術の理解者、庇護者……才能ある名もなき芸術家を無償の愛で支援する人……なかなかいませんね。
才能ある若い芸術家が集うサロン……なかなかないです。
僕にお金があれば……そんな真似事もしてみたいけれど、
(庭に大判小判がザックザク入っている壺でも埋まっていたら、
杉村さんのためにブロードウェイの劇場を借り切って
「欲望という名の電車」を演って戴くのが夢でした。)
日々、あくせく働いて猫たちの御飯代を稼ぎ、自らの糊口をしのぐ身です。
精々、公演ごとに友人を集い、足繁く劇場に足を運ぶことくらいしか出来ません。
役者の価値って才能も当たり前だけど、集客力、どれだけ客を集められるかが大事だと思うから。
才能もないのに事務所の力で(歴然とある)いい役についている役者を見ると複雑だし、
まるでハイエナのようにくだらない芸能記事の餌食にならず、
舞台人として大成して欲しい、心の底からいい役者になって欲しいと願っています。
そのためには機会あるごとに、普通はなかなか経験出来ない所に一緒に行ったり、
決して高価じゃないけれど、美味しい物を食べに行ったり、
僕が知っている、珍しかったり、面白かったりする「モノ」を一緒に見に行ったり……。
勿論、僕がいいと思うものが全ていい訳ではありません。
役者のキャリアに必要じゃないものもあるかもしれないけれど、
必要か不必要か、判断するのは彼自身。僕は沢山の選択肢、カードを提供するだけ。
それが役者として、小さいかもしれないけれど、引き出しの一つになり、
役作りの上で何かしらの参考、手助けになると信じているから。
そうですね……言ってみれば陰の応援団長、ファンクラブの会員番号No.1かな?(笑)


今度、その小谷真一くんが舞台に出ます。
日本では映画監督としての面しか知られていない、
イタリアのピエル・パオロ・パゾリーニの戯曲の初舞台化、
川村 毅 演出の「文体の獣」です。衣装、美粧、人形デザインは宇野亜喜良。
パゾリーニの戯曲の舞台化は、「豚小屋」「騙り」に続く3作目になります。
詩人としてのパゾリーニの世界をどのように視覚化するか?
また、小谷くんをはじめ、役者の皆さんがキャラクターにどのように肉付けするのか興味津々です。
日本でのパゾリーニの印象は一言で言うと、その謎の死の状況も含めて「スキャンダラス」です。
斬新な映像で語られることの多かった監督の詩情をどう表現するのか?
僕は初日と20日の2回、友人と共に応援の席につきたいと思っています。
皆さんも是非、お友達と誘い合わせの上、観にいらっしゃいませんか?

 「文体の獣」
 2012年10月13日(土)〜21日(日)
 テアトルBONBON(中野・ポケットスクエア)
 〒164-0001 東京都中野区中野3-22-8/03-3381-8422


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今日の写真は僕が撮影した小谷真一くんのポートレート。
「醜い男」の開演前に少し時間を貰って撮影しました。勿論、フィルムで。
今時の若者は顔を弄り過ぎることにより、ナチュラル感がなくなり、
美しくなるどころか、かえって清潔感を失ってしまいます。
小谷くんのこのポートレート、役者として何時でも何にでも対応出来る、
清々しくも素のままの美しい表情だと思います。

このポートレートは、後日、クレジットを入れて葉書にしたものです。


草々

2012年10月10日


ブノワ。


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by raindropsonroses | 2012-10-10 00:00 | 天井桟敷の人々。 | Comments(12)

母の肖像。

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あれは僕が何歳くらいのことだっただろうか……。

幼稚園の間だけ父親の仕事の都合で神奈川県の中部、E市に住んでいた頃のことだ。
深夜に急に高熱を出して倒れた僕を、母が背中に背負って病院から病院へ、
何軒も走っている間の砂利道のホコリっぽい匂いと、母の背中の揺れを今でも覚えている……。

僕の一番、古い母の想い出……鮮明で、記憶と言うより身体で覚えている母の面影。

 「大丈夫だからね、しっかりしなさい」  今でも母の声が聞こえるようです……。

母は6人兄弟の一番末っ子として長野県に生まれました。
家の都合で幼くして学業もそこそこに隣町の工場で働き始めた母。
引っ越しの朝、動き出す汽車からは通学する友達たちの姿が……思わず扉に身を隠す母……。
思い出したかのように語る母の悲しそうな顔が思い出されます。
以後、数回の転職、定年になるまでは病院に勤務し、
20年間、一度も欠勤したことがないことが母の誇りでした。
人一倍負けん気が強く、曲がった事が大嫌いな母、
料理の腕はどちらかと言うとヘタクソでしたが、餃子を作らせたら天下一品でした。
もっとも、最近は僕の方が美味しい餃子を作るようになったけれど、
元来、負けん気が強い母は「お母さんの餃子の方が絶対に美味しい」と、
僕の餃子を絶対に食べようとしなかった……母らしいエピソード(笑)

母からは特別、ああしろ、こうしろと物事を教わった事はありません。
全ては我身を以て僕に教えてくれた母、曲がった事はするな、人さまにズルいことはするな、
挨拶は丁寧に、何事にも感謝の気持ちを忘れないこと……等々。
言葉ではなく、先ず、自分が実践して子供に見せる……。
元来、教育とはそう言うものではないか……親が身を以て子に教える……。
子供は親を見て育つ……僕はそう思います。


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その母が生きていたら今日で75歳の誕生日を迎えていた事になります。
2年前の7月5日に急逝、僕が生まれた数年後に流産をした時に
輸血から貰った肝炎のウイルスが原因でした。40年も経っているのに今更?
病院に勤めていたのになぜ放って置いたのか?今になると色々と思う事もあります。
2度ほど手術をしましたが、病院勤めで色々な患者さんの苦しみを知っている母は頑なに入院を拒否、
それでも、最期はどうにも辛くて自分で病院に電話し入院した翌日に亡くなりました。
人に迷惑をかけない母らしい最期、あれよあれよと言う間に旅立った母。
本人の希望で親類縁者には知らせずにいましたが、
冷たくなった母の病室には「生前お世話になりました」と、若い看護婦さんたちの行列。
患者さんに愛され、病院長から同僚まで、仕事仲間に信頼され慕われた母。
何よりも母の人柄を語るエピソード、誇らしい気持ちで一杯でした。
20年間働いた病院から冷たくなって出て行く母、夏の宵のチョッと物悲しい想い出です……。

この写真は今から何年前のものでしょうか……。
聞くところによると、僕が生まれる前、薔薇も終わりかけの初夏の頃に横浜港で撮った1枚とか。
モノクロ写真は今ではスッカリ色褪せてセピア色になっています。
スーツの襟の形、手に持ったハンカチと日傘、精一杯のお洒落、
化粧は当時流行っていたハリウッドの女優を真似て(本人弁)……。
笑うのは、この1枚が父が撮ったものではなく、他のボーイフレンドが撮ったものだと言うこと。
あっけらかんと僕に言う母、そんな進んだところもある母でした……。
晩年はスッカリ写真嫌いになった母なのに、
カメラに向かってこんなポーズをとるなんて!母の珍しい一面を見るようです。

改めて、五体満足に、そして、健康な身体に生んでくれた母に
心から感謝の気持ちを捧げたいと思いいます。

以前に「男の価値って?」と言う記事を書いた時に、
僕にとっての女の価値、理想の女性とは?そう言う問いかけが沢山ありました。

僕は思うのですが、多かれ少なかれ、男女の差なく、
全ての人間が心に思い描く理想の女性像は母親なのではないか……と。
古い言葉に「滅私奉公」と言うのがあります。
これを親子関係に当て嵌めてみると、自分を犠牲にしてまで子供を守る、
何の逡巡もなく、第一に子供の幸せを願う……先ず自分が盾になる……それが自然に出来たあの頃。
今は母親に限らず父親も、そう言う血の濃さが希薄になって来ているように思えてなりません。
先ずは自分が第一。己の快楽、享楽にためには子供なんて二の次、三の次……。

母が遊び人の父と半ば駆け落ちのようにして東京に出て来る時、
スグ上のお兄さんが「何かあったらこれを売って帰って来い」と、作ってくれた
松竹梅が刻まれたプラチナの指輪、それは遺品として僕の小指に嵌っています。
まだ心の整理はついていません。友人は大いに呆れていましたが、
母が亡くなった前後も一日も休まずにブログを書き、葬儀の翌々日には友人と会食……。
勿論、悲しかったけれど、普通にしている事で気も紛れるし、
何より自分らしいと思いました。人に気遣われるのがイヤなんですよ……天の邪鬼なんです。

今でも電話をすれば母が出るような錯覚を覚えます。
生前は何も親孝行らしい事をしてあげられませんでした。
この先の僕を見守っていて欲しい、いつかきっと、母に自慢出来るようなことが出来るのではないか……。
そう信じていると、何やら力が湧いて来るような気がします。


ブノワ。


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by raindropsonroses | 2008-01-29 00:00 | いつも心に太陽を。 | Comments(68)

こちらまで幸せな気分に……恋人たちの予感(2)

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拝啓

穏やかな年明けとなりました。Dさんは大晦日まで仕事だったのですよね。
仕事納めのあとの初詣……元旦からはゆっくり休めましたか。

僕は久しぶりにどこにも出掛けない正月を迎えています。
最近は年賀状は書かなくなりましたから、これが今年初めてペンを取ることになります。

今日は以前からお約束の写真を同封しますね。
この一枚は一昨年の秋に訪れたスペインはバルセロナ、
カタルーニャ美術館の上階にあるホール、休憩所で撮りました。
午後からガウディの礼拝堂に行く予定だった僕は、
朝一番でカタルーニャ美術館を訪れたのです。
初めての街に着くと先ず、美術館に足を運ぶのが僕の習わしなんです。

軽く観て流す予定が思わぬ所蔵量と質の高さについつい長居、
美術館を訪問する時の常で知らない内に疲れてしまったのでしょう、
どこかで休憩を……そう思った瞬間に目の前が開け、件のホールがに出た訳です。
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高いドームの天井には素晴らしい天井画が描かれていて、
ひとしきり眺めてフロアーに目を落とし、座るためにソファーを探すと、
ゆったりと居心地の良さそうなソファーが沢山並ぶフロアーには僕の他にはたった二人……。
それが写真のカップル、一足先に座って寛いでいたと言う訳です。

こう言う場合、普通は遠慮して離れて座るんですけどね(笑)
とても雰囲気がいいカップルだったので、少し離れて二人が視界に入る所に座りました。

周りの様子には全く無頓着、二人だけの世界に入り込んで愛情を確かめあう二人。
決してイヤらしくなく爽やかな雰囲気は日本人には決して真似出来ないところでしょう。
いちゃつくと言うよりは、音声ガイドに耳を傾けながら静かに語り合う様子は、
おそらく、若いハズなのに、年齢に似合わずとても大人びた感じがしました。
普段、この手の光景には絶対に驚かない僕でさえ羨ましいと思うほど……。
大体、恋人同士で美術館に行くなんて素敵じゃないですか?!

去り際、立ち上がった女性の方は僕を見て艶然と笑い掛け、
男性の方は軽くウインク一つ……この辺にも文化の違いを感じます。
最後に驚いたのは、この女性、顎のラインまでのショート・ボブだったんです。
僕はてっきり背中まで届くロング・ヘアーを勝手に想像していましたからね。
女性の方が少し背が高かったかな。何だかホンワカといいものを見ちゃった感じ、
その後の一日が非常に浮き立った軽やかなものになりました(笑)

写真の感想、今度、聞かせて下さいね。
近々、日本酒が美味しい店で一献、僕の奢りですよ!楽しみにしていますね。


敬具

2008年1月3日


ブノワ。


[カタルーニャ美術館]

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by raindropsonroses | 2008-01-03 00:00 | 旅の栞。 | Comments(18)

僕が誇りに思うこと……。

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拝啓

J.J.その後、元気にしていますか。
今年は穏やかな秋になりましたね。先日はメールをありがとうございました。
近況が聞けて嬉しかったです。短いメールの中でも懐かしい思い出や忘れていた記憶が蘇り、
暫し当時の自分にタイム・スリップしてしまいました。

J.J.と初めて会ったのは、僕が愛する大親友のCちゃんのセレクト・ショップでした……。
仕事帰りに立ち寄った僕にお茶を出してくれたのがJ.J.でしたね。
J.J.は元々、エキゾチックな雰囲気&容貌の美人だけれど、
暖かい季節に誘われて濃いめのメイクに薄手の衣裳。
ニッコリ無言で微笑んでお茶を置いていく後ろ姿に僕は、

「まぁ、なんて綺麗な子!だけど可愛そうにまだ日本語が出来ないのね……」

そう勝手に思い込んじゃったんです(笑)てっきり外人、アジア系の美人かと思った訳です(笑)
日本人だと分かった時の驚き、その後、親しくなってCちゃんと3人で色々と遊びましたね。
ウチに来て貰って食事を一緒にとったり、バリ島に旅行に行ったり……。
J.J.の念願が叶って20代でCちゃんと結婚、スグにお目でた!
今では可愛らしい赤ちゃんのママになっただなんてチョッと信じられない気持ちです。

J.J.は覚えていますか?豪雨の恵比寿のカフェ……。
朝、いきなり電話で「お願い事があるから……」と呼び出され、
一体、何事か……と、びしょ濡れになってカフェで待っていると、
なんとお願いとは婚姻届の保証人になって欲しいとのこと……。

全く予想しなかった事でもあり、
「僕なんかのサインで大事な結婚にケチが付かなければいい」……とも思ったけれど、
謹んで、心を込めて永遠の愛を願いつつ喜んでサインさせて貰いました。
僕は常々、友人のためになるのならどんな事も惜しまずにする心積もりでいますが、
今までの僕の人の役に立たない、どうでもいい、いい加減な人生で
一番、嬉しかったエピソード、お願いごと、誇りに思えることなんですよ。
末長くCちゃんと幸せに暮らして欲しいと願っています。
この前、遊びに行った時に撮らせて貰った写真を同封しますね。
エキゾチックな女の子の顔が、優しいママの顔になりました……。

もうスグ12月……アッと言う間に新年になってしまうのでしょう。
お互いに忙しくならないうちにご飯でもどうですか。
また連絡しますね、Cちゃんにヨロシク伝えて下さい。
赤ちゃんに僕の代わりにチュウを!(笑)J.J.もお元気で!


敬具

2007年11月13日


ブノワ。


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by raindropsonroses | 2007-11-13 00:00 | いつも心に太陽を。 | Comments(14)

レミの美味しいレストラン。

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拝啓

比較的、暖かな秋になりましたね。
Kさん、先日はパリのお土産をありがとうございました。
チョッと早いけれど素敵なマフラー、
お陰さまでこの冬が楽しみになりました。

さて、ビックリしちゃったのは、僕が教えて差し上げた
友人が経営するレストランに行ってくれたんですね!
ラ・デファンス(新凱旋門)の近くですから
チョッと街の中心から離れているのにありがとうございました。
どうでしたか、僕の友達だって言ったら大サービスしてくれたでしょう。
あいつ、レミはそう言う奴なんです。

レミは香港生まれのパリジャンです。
ニューヨークに住んでいる時に今の奥さんと出会い、
結婚してパリにやって来ました。広東語、英語、フランス語が話せます。
僕が彼と知り合ったのはかれこれ7年前、
新世紀をパリで祝うために1ヵ月滞在した時に、
今のレストランの前に勤めていた中華レストランで知り合ったんです。
まだそれほどパリに慣れていない頃、フランス料理に飽きると、
いや、美味しい料理とレミの温かい持て成しを求めて頻繁に通いました。
一人で行ってよし、友人揃ってワイワイガヤガヤ行くのもよし。
先ず「元気?」から始まり、力強い握手……席に案内されると
必ずライチの食前酒が出て来ます。
沢山食べて浴びるほど飲んで可成安い会計(笑)
お米が恋しい時にも重宝しました。集まる客の人気者、
誰彼、分け隔てる事なく温かい持て成しをするレミでした。

そんなレストランの顔だったレミが奥さんと二人で独立して
レストランを始めるに至った理由は長くなりますから割愛させて戴きますが、
新しいレストランに行って思ったのは、
レミを中心に従業員が明るく楽しげに働いていることなんです。
決して若いとは言えないマダム達も本当に楽しそうに働いています。
驚くのは、テーブルにレミと二人、旧交を温めていると、
入れ代わり立ち代わり客がやって来て僕に握手を求めるんです。
カウンターでカフェを楽しむムッシュはウインクして合図します。
運ばれてきた料理はこれ以上は盛れないほど山盛りになっていて、
サービスで美味しいワインを開けてくれるレミ。
全ては彼中心に店が回り、彼の人柄、
雰囲気が店の色となり親しみ易さになっているんです。

心にダイヤモンドを持つ僕の親友。
心のダイヤモンドは無くすのは簡単だけれど、
一度、無くしたら二度と手には入りません……。
遥か昔にダイヤモンドをすっかり紛失した僕なんかは、
レミを見ていると羨ましいと同時に、ジルコニアでもいいから(笑)
なんとかレミを見習って心優しい人間になりたい……。
そう常々思っています。レミの美味しいレストラン……。
そんなタイトルのアニメもありましたっけ……。

今度は僕がレミの所にご案内しますね。
いつか一緒にパリに行かれますように!


敬具

2007年11月9日


ブノワ。


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by raindropsonroses | 2007-11-09 00:00 | バベットの晩餐会。 | Comments(14)

琥珀色の瞳。

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Cher Patrice.

親愛なるPatrice、その後、元気にお凄しですか。
ニュースで聞きましたがパリも暖かい新年を迎えたそうですね。
どうですか、ご家族は皆さんお変わりないのでしょうか。
君に最後に会ってから随分と時間が経ってしまいましたね。
今日は先日のメールには書けなかった事をチョッと書きます、
君が日本語が出来る友達に翻訳して貰いやすいように、
短めで簡単な手紙にしますから、またいつもの友達に頼んで下さい。

去年の秋、10月にパリに行った時、少し時間があったので
君のこの写真をプリントしたものを額装して薔薇園に持って行ったんです。
そう、薔薇園は10月から3月までは閉まってしまうんですよね。
でも、君に会えなくても隣の薔薇園の事務所に預けて来る積もりでした。
受け付けにいた綺麗なマダム、ちゃんと君に渡してくれたんですね!
君からのお礼のメールを見てホッと一安心しました。
写真、凄く気に入ってくれたみたいで嬉しいです。
額も僕のデザインで手作りなんですよ。チョッと頑張ってみました。
今度、機会があったらフィルムで君の写真を撮ってみたいなぁ、
それもモノクロで撮ってみたいです。その時は宜しくお願いしますね。

段々寒くなります、身体に気を付けて剪定作業をして下さい。
いつか薔薇園の冬の作業を見学するのが僕の夢です。
勿論、手伝ってもいいんですよ!それこそ僕の望むところです(笑)

今年こそ君に会えることを楽しみにしています。
今の所、一番確実なのは6月の第一週かな……そんな予定でいます。
薔薇が一番綺麗で咲いているように調節しておいて下さい。
だって日本からわざわざ見に行くんですから!(笑)

常に変わらぬ友情と尊敬を込めて。


敬具

2007年1月8日


Benoit。

…………………………………………………………………………………………………………………………………………………

皆さまへ。

このポートレートは、2005年の6月にパリ郊外の薔薇好き垂涎の薔薇園、
パリ郊外のライ・レ・ローズ薔薇園に行った時に撮影しました。
入場券を買う受け付けの小さなチケットボックスの中にいたPatriceです。
彼からチケットと絵葉書を買っている時に、彼が僕のデジカメを見て
一言誉めてくれたのを切っ掛けに話をするようになりました。
話すと言っても、僕はフランス語がダメ、彼は英語がダメです(笑)
身振り手振りを混ぜてジェスチャーの応酬、知っている単語の連発。
陽光が降り注ぐ薔薇園の中の小さなチケット・ボックスの暗がり……。
Patriceの瞳だけ琥珀色に輝いているのを見て思ったんです。
写真を撮りたいって……写真を撮りたいって伝えるのも一苦労。
ようやく意図が伝わると、Patriceは慌てて他のスタッフを呼びに行こうとします。
どうやら、満開の薔薇をバックに外で写真を撮る積もりなんだと勘違いしたらしいです。
そのままチケット・ボックス内にいてくれるように頼んで3枚撮りました、
その中の1枚がこの写真です。その日の薔薇園はカンカン照りのピーカン。
外の直射日光で撮影していたら微妙なニュアンスが台無しになってしまいます。
特にパトリスの琥珀色の瞳が……なんて美しい輝きを持った瞳……。

僕がチケットを買う時にPatriceがチケット・ボックスにいたのはホンの偶然、
おそらく、彼はチケットの係りではなく担当の人が席を外す数分のピンチ・ヒッターだったのでしょう。
写真を撮りながら半日近く薔薇園にいましたが、いつもはソバカスのマドモワゼルがいましたから。

それにしても、欧米の人が凄いなぁと思うのは、
僕がカメラの電源を入れたりキャップを外したりに手間どい、
冷や汗を掻きながらようやくカメラを向けると、Patriceは既に写真のように満面の笑顔(笑)
完璧な笑顔でカメラを見てニッコリなんです。これは日本人には絶対に出来ない芸当。
旅先のチョッとした触れ合い、次もまたそこを尋ねたいと思わせるエピソード。
だから旅って楽しいのですよね。段取り付けて照明を当ててなどとは望めません。
そこにいるその人を最善の方法で撮る。ポートレートの楽しみ。
圧倒的なオールド・ローズの赤とピンクの洪水、薔薇園の匂い、
ジリジリと照りつける陽の光、玉砂利を踏みしめる音、飛び交う蜂の羽音、
薔薇の美しさに息を呑み、行き交う人と自然に笑顔を交わす……。
そして、Patriceの朗らかに笑う声……。
旅の一コマ、色々な事を思い出すお気に入りの一枚です。


2007年1月8日


ブノワ。


[LA ROSERAIE DU VAL-DE-MARNE/L'Hay les Rose]

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by raindropsonroses | 2007-01-08 00:00 | いつも心に太陽を。 | Comments(22)

古いほどいい?……深夜のフラメンコ体験。

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拝啓

T.T.ちゃん、ご無沙汰しています。10月の旅行以来になりますがお元気ですか。
帰国後バタバタしていて写真の整理が出来ず、スッカリ遅くなりましたが
T.T.ちゃんがお気に入りだったフラメンコの写真を同封します。
どうでしょうか、きっと気に入ってくれるんじゃないかな……。

T.T.ちゃんも多分、僕と一緒の思いだと思うんだけど、
1枚目の写真が僕のお気に入りのダンサーです。2枚目が若手の花形、
一見、美人で華やかだったし舞台も良かったけど、僕のお気に入りは一枚目のダンサーです。
失礼な言いようだし、世の女性陣の大顰蹙を買いそうな言葉だけど、
昔はよく、「畳と女房は新しい方がいい」って言いましたね(笑)
今時、例え酒の席でもそんな事を豪語する御仁はいないと思うけれどね。
でも、フラメンコ・ダンサーはお年を召している方が断然いい!
若さや美しさだけでは決して太刀打ち出来ない年輪とテクニック、飛び散る汗、
自在に変わる表情の深み、眉間の深いシワ……ダンサーの歩んで来た
人生の苦悩を重ね合わせるかのような踊りに圧倒されます。
周りにいた団体の男性陣は(殆どオジサン)若いダンサーに釘付けだったみたいだけれど、
僕は断然1枚目のダンサーが良かった。目力が違います。
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所で、僕等が舞台に噛り付きの場所で見学出来たのは、
僕が店の人に頼んだからなんですよ。写真を撮りたいから移動してもいいかって。
最初は一番後ろの方の席でしたからね。移動して良かったでしょう?
もう一組、僕達のスグ傍に日本人の熟年カップルで、席が後ろで見えない、
こんなハズじゃなかったと腹を立てて途中で退席しちゃった人がいたの知っていましたか。
旦那も不機嫌そうな仏頂面していたけれど、奥さんの方は烈火のごとく怒っていて(笑)
殆ど鬼のようなご面相、怒髪天を突き、頭から湯気が出るくらいの勢い、
ロビーで一緒になったんだけどトイレから「バンッ!」って出て来ると
僕にぶつかっても一言も謝る言葉もなし。何事かと思いました。まぁ、
何をお怒りか分からなかったけど、ああ言う失礼な輩はどこにでもいるんですね。
きっと、もっと間近でダンサーを観られると思ったんでしょうね。
僕も最初はそう思っていましたが、もう店の中にいるんです、ガタガタ言っても始まらないもの。
何でもっと前向きに考えないんでしょうね?郷に入っては郷に従え、
旅行に行って自分の思い通りにならなかったからって
一々腹を立てていたらなんにもなりゃしない。随分、損な人達だと思いましたよ。
どっちにしろフラメンコを観るタブラオは観光客目当てが殆どです。
じゃぁ、観光客目当てだからダメかと言うとそうじゃない。
僕達が目にしたダンサー達は本当に凄かったですものね。
勿論、アントニオ・ガデスもクリスチナ・オヨスもホアキン・コルテスもいなかったけど(笑)
兎に角、僕は目の前で繰り広げられる踊りに圧倒されてしまいました。
どうせ観光客相手とバカにせず、T.T.ちゃんの希望通り、言う通りに
疲れた身体に鞭打っての初フラメンコ体験、本当に観に行って良かった。
レストランの料理は可もなく不可もなく(笑)ここで改めて書く必要もないけれど、
グラナダ最後の夜は非常に思い出深い夜となりましたものね。

またいつか一緒にグラナダに、そしてフラメンコを観に行きたいですね。
1枚目のダンサー、さらに年輪を増して凄くなっているでしょうか。
この写真は焼き増しして店に送ろうと思っています。
他の全員の分もありますからね。彼女達、喜んでくれるでしょうか?


敬具

2006年12月21日


ブノワ。


[Antonio Gades (1936~2004)]
[Cristina Hoyos (1946~ )]
[Joaquin Cortes (1969~ )]

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レディ・アグニューとの再会。

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拝啓

早いもので今年も12月、一年が経つのが驚くほど早くなりました。
Iさん、その、元気ですか。口先だけじゃなくて年内に一度は会いましょうね。

さて、スッカリ忘れていたんですが、旅先で荷物が驚異的に増えたので、
重たい書籍類は別便で送っていたのです。忘れていた箱の荷をようやく解き、
中から出て来た本や展覧会の図録を見てひとしきり感慨深かったのは、
初めて訪れたマドリットでレディ・アグニューと再会したことを思い出したからです。

レディ・アグニュー・オブ・ロックノーことガートルード・アグニュー。
僕が敬愛してやまないジョン・シンガー・サージャントの筆になる傑作を初めて見たのは
今から十数年の東京、新宿の伊勢丹で開催された「スコットランド美術館展」でした。
おそらくはスコットランド美術館の改装中の空いた期間を利用して開催された展覧会、
この「レディ・アグニュー・オブ・ロックノー」をはじめ、ゲインズバラ、ミレー、
ロセッティ、レイノルズから印象派、現代絵画などの名品が並んだ素晴らしい展覧会でした。
勿論、目玉はチケットと図録の表紙を飾った「レディ・アグニュー・オブ・ロックノー」。
僕は初めて彼女の存在を知り、サージャントの流麗な筆致に酔ったものです。
絵の前から一歩も動けないんです。殆ど一筆描きに近い潔い筆致、
衣装のオーガンジーやライラック・ピンクのシルク、壁に貼った花柄の織物や
椅子に貼られた布地の質感の違いや光沢を太い筆でいとも簡単に描き分けます。
彼女のわずかにブルーがかるハシバミ色の瞳に薔薇色の頬、強い意志を表す濃い眉……。
精密に描かれていると思われがちな顔の部分でさえ非常に簡潔な筆致。
1893年4月29日の「タイムズ」紙は「技巧の勝利」であると評しています(図録より)
元々、アメリカ人のサージャントはイギリスの上流社会に早々と受け入れられ、
エドワード朝時代の肖像画家として売れっ子でした。美しく描かれた顔に9頭身の身体、
当時の上流階級の人々は、実際以上に美しく描かれた己の自画像に大枚叩いたのです。
サージャントは個人の肖像画だけでなく、家族の肖像画も沢山描いています。

マドリッドに着き、荷を解いて昼食を摂り、次の予定まで時間が少しあったので
友人と近くの教会を見に行きました。生憎、教会はクローズ。この手のハプニングには慣れっこの僕、
「仕方ない、また明日にでも来ましょうか」と、振り返った目に飛び込んで来たのが
2枚目の写真の建物を覆わんばかりの巨大な看板……言葉を失う僕。
ジョン・シンガー・サージャントとホアキン・ソロヤの展覧会だったのです。
左側がサージャント筆による「レディ・アグニュー・オブ・ロックノー」、
右側がソロヤの自画像になります。それにしても最初は訳が分からずに暫し唖然、
「レディ・アグニュー」はスコットランドにお住まいの事を知っていましたからね(笑)
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早速、会場に入り作品を堪能、しかしどうやら「レディ・アグニュー・オブ・ロックノー」は
もう一つの会場、ティッセン・ボルネミッサ美術館に飾られているとのことでした。
何しろ2人分の作品です。作品が多いので会場が二つに分かれていたんですね。
東京に続いてマドリッドでの再会、この偶然には驚きましたが、
相変わらず美しく艶やかなレディ・アグニュー。僕がもっとも愛する女性を描いた肖像画。
僕は「モナ・リザ」などと並んで肖像画の最高峰の一枚だと思っています。

レディ・アグニュー・オブ・ロックノー……ガートルード・アグニュー。
彼女はゴウラン・チャールズ・ヴァーノン伯の娘として生まれ、
1889年10月に結婚。1892年にサージャントにこの肖像画を描いて貰うと
たちまちの内に評判が広がり、社交界の時の人となります。絵自体も大好評で、
サージャントはロダンをして「我々の時代のヴァン・ダイク」と評される程でした。
しかし結局、この絵が高くつく事になったのは、評判を聞き付けての賓客を相手に
連日連夜のサロンを開く事となり、結局、借金がかさみ、最終的にはこの絵を含む
家族の絵を売却して借金の穴埋めをしたそうです。
レディ・アグニューは子供に恵まれず、1932年に他界、
美しく華やかな外見にそぐわない寂しい晩年だったのでしょうか……。

今日の一枚目の写真はティッセン・ボルネミッサ美術館の入り口横の植え込みの薔薇。
色とりどりの薔薇はまるでレディー・アグニューを見ているかのようでした。
そして、第二会場の巨大な看板。これは部分でしかありませんが
レディー・アグニューの美しさを知って貰うには充分でしょう。

先日の事、親切にもバルセロナのお友達が展覧会の広告を郵送してくれました。
それも含めて、そろそろ旅のスクラップ・ブックを作らないといけませんね。
それにしても、この広い世界で一枚の絵に二度もめぐり会える偶然、
いえいえ、ただの偶然では済まないかもしれません。


敬具

2006年12月4日


ブノワ。


[John Singer Sargent (1856~1925)]
[Gertrude Agnew (1865~1932)]
[Lady Agnew of Lochnaw (1892)]
[Joaquin Sorolla (1863~1923)]
[Thomas Gainsborough (1727~1788)]
[Sir Joshua Reynolds (1723~1792)]
[Dante Gabriel Rossetti (1828~1882)]
[Sir John Everett Millais (1829~1896)]
[Francois-Auguste-Rene Rodin (1840~1917)]

[ティッセン・ボルネミッサ美術館]
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by raindropsonroses | 2006-12-04 00:00 | 展覧会の絵。 | Comments(16)

芸術に寛大な国。

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拝啓

いよいよ今年も残すところ一月、師走になり朝夕、布団から出るのが辛くなりました。
M.M.さん、そろそろ年末進行で仕事が忙しくなる頃じゃありませんか。
体調管理は万全に、呉々も風邪など引かないようにして下さいね。

さて、先日の旅行の時に僕がM.M.さんに出した絵葉書2枚、
あれは両方ともルーヴル美術館で買ったものです。どうですか、なかなか素敵だったでしょう。
毎回、沢山の美術館に行きますが、ルーヴル美術館には毎回必ず足を運ぶようにしているんですよ。
世界三大美術館と言われていますし、短時間では見切れませんから、
今回は絵画、今回は彫刻と言った具合に観るものを決めておきます。
ルーヴル美術館は何度行っても必ず迷う巨大美術館ですから(笑)
必ず最初にインフォメーションで案内図を貰います。眺めていて今回チョッと驚いたのは、
イタリア絵画の部屋と「モナ・リザ」はカメラでの撮影が完全に禁止になったようですね。

先ず一番最初の感想は「あぁ、やっぱりかぁ」でした。あれだけ口を酸っぱくして
フラッシュの使用を禁止していたのにも関わらず、「モナ・リザ」の周りだけ
異常なほどのフラッシュ攻勢(笑)まるで映画スターを取り囲むパパラッチみたいでしたからね。
これはダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」の影響もあるでしょうね。
あの映画のお陰で、さらに入館者数が増えたらしいですから。
大体、油絵を撮影するのにフラッシュなんか焚いたら綺麗に写らないし、
M.M.さんもご存じの通り、「モナ・リザ」は過去に例の盗難騒ぎがありましたから
非常に厳重な防弾の箱に入っています。フラッシュ焚いたら何も写らないでしょうね(笑)
なぜ、誰もそれに気付かないのか不思議でなりません。

常々、思うんですが、フランスは芸術に非常に寛大な国です。
所蔵作品の撮影は、よほどの個人美術館か、外国の美術館から多数の作品を借りている
企画展以外は撮影OK。勿論、フラッシュは如何なる作品でも使わない事が前提です。
これは他の国では考えられないことです。館内で作品を模写する姿は日常茶飯事で見かけますしね。

これは作品のコピーというものに対する考え方の違いかも知れません。
「コピーは所詮コピーでしかない」その自信が芸術作品に対する寛大な気持ちになるのかもしれません。
美術館とて商売です。絵葉書やポスターなどの関連グッズが売れたほうがいい訳で、
個人の写真で済ませられるよりも絵葉書の一枚でも売れたほうがいいのでしょう。
最近とみに厳しくなって来ている著作権や版権の問題もあります。
勿論、美術品の保存と言う観点が一番比重が高いと思いますが。
それにしても後を絶たない撮影時にフラッシュを使う人々、
あまり度を超して、何れ全館、全面撮影禁止にならない事を願うばかりです。
何百年も経っているデリケートな作品にフラッシュが与える悪影響は計り知れませんからね。
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今日同封した写真は、ルーヴル美術館翼のフランス彫刻の部屋で撮りました。
この部屋は僕が毎回〜先ず、一番最初に必ず訪れる場所です。
この日は珍しく作品を模写する人が2人いました。マダムと黒人の青年。
これは窓際でケースの中の彫刻の小品を無心にデッサンする黒人の青年。
線を引いては画板を身体から遠くに離して眺めて暫し考え込みます。
僕が見ている事を知ると非常に恥ずかしがってニッコリはにかんだ笑いを浮かべます(笑)
「写真を撮らせて欲しい」と、お願いして、遠くから離れてズームで撮ったのがカラーの一枚。
最初のモノクロは、フィルム・カメラに標準のレンズ50ミリを付けて撮りました。
ズームした方が被写体に寄れて細部まで良く分かり、
一見、テーマがハッキリしていいように見えます。反対にモノクロで全体を写した方は、
青年が小さくなり迫力が無くなりますが、青年の隣の大理石の彫刻まで画面に入る事で、
デッサンする青年と彫刻の像が手にする画板のようなものがシンクロして面白いです。
まるで、デッサンをする黒人青年を彫刻の髭のムッシュがデッサンしているよう。
このモノクロは今回の旅で帰る間際、一番最後に撮影した一枚。
僕の最もお気に入りの一枚となりました。

あまり好きな言葉ではありませんが、忘年会を兼ねて一杯やりませんか。
まだまだM.M.さんにお見せしたいポートレートが沢山あるのですよ……。


敬具

2006年12月2日


ブノワ。


[Musee du Louvre/ルーヴル美術館 オフィシャル・サイト]
[THE DA VINCI CODE/ダ・ヴィンチ・コード (2006)]
[Dan Brown Official Website]
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by raindropsonroses | 2006-12-02 00:00 | 展覧会の絵。 | Comments(20)

清々しい朝の光に包まれて。

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拝啓

梅雨のハッキリしない天気が続きます。Yさん、その後如何お過ごしですか?
先日は随分と飲み過ぎたみたいだけれど大丈夫でしたか?
ちゃんと帰れたかどうか皆で心配していたんですよ(笑)

さて、先日、一緒に行った写真展、あれは本当に良かったですね。
時の経つのも忘れてスッカリ見入ってしまいました。
どれも素晴らしい作品ばかりだったけど、僕が一番気に入ったのはポートレート。
彼が撮るポートレートは格別ですね。ああ言う素晴らしい展覧会を見ると
自分でも写真を撮りたくなりますね。展覧会を見終わっての反応は二種類あって、
完全に打ちのめされて何も出来なくなってしまう場合と(笑)
いい塩梅に創作意欲を刺激されるものの二種類。
今回の場合は後者で猛烈に写真を撮りたくなってしまいました。

そんな訳で、今日お送りする写真は僕のお気に入りの一枚。
親友のポートレートです。今から数年前に一緒にバリ島に旅行した時の一枚で、
バリ島の隣の島、ロンボク島のリゾート・ホテルに滞在した時に撮りました。
普段はカメラを持ち歩かない僕も、旅先では別です。
ちょっとした時にもコンパクト・カメラだけはカバンに入れておくんです。
この写真を撮った朝もそう、皆でゆっくりと朝食を摂りながら、
フと見た彼女があまりにも綺麗だったので一枚撮らせて貰いました。
逆光ですが、朝の柔らかい光線が彼女の周りを包みこみ、
着ている白いカットソーが上手い具合にレフ板の役目を果たしていますね。
当時はまだフィルム・カメラを使っていた時で(コンパクト・カメラで撮影)、
これも、そんなフィルムならではのほんわかとした優しい感じに仕上がっています。
彼女は元々、ハッキリした顔立ちの美人ですが、メイクが大好きで、
常にアンテナを張り新しい化粧品のチェックに余念がありません。
当然、外で会う時はいつも綺麗にお化粧をしています。
だけど、この朝は旅先のゆったりと開放的な気分も手伝ってかノー・メイク。
こんなに綺麗なんですからメイクの必要はないだろうと思うのですが、
本人の中ではそうは行かないのでしょうね。僕は素のままの彼女の顔が好き、
今まで撮ったポートレートの中で一番綺麗に撮れたお気に入りの一枚です。

どうですか、綺麗でしょう?僕が個展をやる時にはメインの一枚になる事でしょう。
今度、忌憚ない感想を聞かせてもらえますか。
Yさんの意見は的確なのでとても参考になりますからね。
ではでは、近々、一杯やりながらご飯でもしましょうね!


敬具

2006年7月13日


ブノワ。
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by raindropsonroses | 2006-07-13 00:00 | いつも心に太陽を。 | Comments(26)