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匂いのいい花束。ANNEXE。

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ソックリの系譜。

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怒濤のような年度末が終わり、無事生還しました(笑)
ホッと一息、チョッと空いた時間を利用して「ヒッチコック」を観てきました。
アンソニー・ホプキンスがヒッチコックになり切って……と、随分、話題になっていましたね。
ヒッチコックの最高傑作と評判の高い「サイコ」の制作秘話。
映画ファンにとってはなかなか興味深い作品でしたし、
映画の途中から、全然、似ていないと思っていたアンソニー・ホプキンスと、
ヒッチコックが見事にダブり、役者魂と演技の魔力に感心したり……。


今日はそんなこんな、実在の人物を演じた映画についてあれこれをチョッと……。
ここ数年、特にこの10年間のアカデミー賞を振り返ってみると、
実在の人物を描いた作品が大人気、しかも、華々しい成果を出しています。
チョッと思い出しただけでも物凄い数の実績があります。
本年度アカデミー賞主演男優賞を見事獲得した、ダニエル・デイ=ルイスの「リンカーン」。
昨年度アカデミー賞主演女優賞のメリル・ストリープの「マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙」。
他にざっと思い付くだけでも、
2010年、ジョージ6世を演ったコリン・ファースの「英国王のスピーチ」、
2008年、ハーベイ・ミルクを演じたショーン・ペンの「ミルク」、
2007年、エディット・ピアフを演じたマリオン・コティヤールの「ピアフ」、
2006年、エリザベス女王を演じたヘレン・ミレンの「クィーン」、
2005年、トルーマン・カポーティを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンの「カポーティ」、
2004年は、主演男優賞がレイ・チャールズを演じたジェイミー・フォックスの「レイ」、
助演女優賞が、「アヴィエーター」でキャサリン・ヘプバーンを演じたケイト・ブランシェット。
2002年、ヴァージニア・ウルフを演じたニコール・キッドマンの「めぐりあう時間たち」……。

これってチョッと凄いですよね。主演、助演、各男優賞と女優賞がありますから、
約10年間で40の賞の内、1/4の10人が実在の人物を演じて見事、賞を獲得しています。
この他、受賞こそなりませんでしたが、「マリリン 7日間の恋」の、
ミシェル・ウィリアムズなどを含めると、もっと大変なことになります。
その昔、アカデミーは、アル中と精神的に問題がある役が好きと言われましたが、
今ではそこに「実在の人物」が加わった感があります。


では何故、実在の役、ソックリさんに皆がこれだけ興味を持つのか?
なかなか興味深いものがあります。自分が知っている有名人に、
演じる役者がどれだけ似せられるかを楽しむのでしょうか。
それとも、過去の偉人、有名人を役者が演じるのを見る事によって、
自分もその時代を生きる擬似体験をすることが出来るからでしょうか……。
または有名人の人生を覗き見出来る?なかなか面白い問題だと思います。

こうしてザッと書き連ねた作品と実在の人物、演じた役者を眺めてみると、
チョッとした共通点を見る事が出来ます。皆、それ程、外見が似ていないのです。
現代の特殊メイクやコンピューター・グラフィックの技術からすると、
もう少し似せてもいいようなものなんですが、程々に、50%くらいで収めている感じがします。
外見的には、皆、髪の色や髪型、必要最小限の似せ方しかしていない。
勿論、今をときめく大スターが演じることが多いですから、
あまりにに過ぎて誰だか分からなくなっては元も子もないのですが……。
残りの50%は演じる役者の力量任せ……そんな感じでしょうか。
全く同じに作ってしまうと映画化する本来の目的を見失ってしまうのでしょう。
所謂、どこまでにせられるかのソックリ大会ではありませんからね。

先日、鉄の女と言われたマーガレット・サッチャーが亡くなりました。
マーガレット・サッチャーを演じたメリル・ストリープの写真が初めて公開された時、
見た人々は口を揃えて「ソックリ!」と膝を打ちましたが、
良く見るとそれ程でもないんですね……兎に角、メリル・ストリープが綺麗!
パンフレットの写真、ご覧になりましたか?どの写真も物凄く綺麗なの。
メイクも髪型ももっと似せることが出来るハズなのに、
程々に押さえて役者の技量を発揮する余地を残しておく……。
あくまでもメリル・ストリープのマーガレット・サッチャー。
その辺のバランス感覚も含めて、去年度のメイクアップ賞の受賞につがったのではないかと思います。
同じく、去年主演女優賞にノミネートされたミシェル・ウィリアムスのマリリン・モンロー。
金髪にしてホクロを付けて……それくらいなんですね。
特にソックリにするための技巧を感じさせません。
ナチュラルでガラス細工のように傷付きやすいマリリンを、
ミシェル・ウィリアムズが好演していました。

ケイト・ブランシェットのキャサリン・ペプバーンは特に何もしていないように見えました。
背が高くて痩せ形で……その柄と、ハッキリした快活な台詞回し、
ヘプバーンの作品に見る彼女のイメージを再現したブランシェットの見事な演技。
何もソックリに仕立てることが全てではないことを実証しています。
要は、その人物に見えればいいのです。

リストアップした映画の中で、作品的には「めぐりあう時間たち」がダントツで面白かったです。
ヴァージニア・ウルフを題材に、違う時代、世界に生きる女性3人の物語り。
一ひねりも二ひねりもきいていて、しかも、それぞれの時代感が見事。
付け鼻をしたニコール・キッドマンがなかなかいい味を出していました。

「ヒッチコック」に話しを戻すと、
先程、書いた「覗き見」……これってヒッチコックの作品の重要な要素なんです。
彼の作品の殆どが「覗き見」を基調としています。今回の「ヒッチコック」でも、
そんなヒッチコック自身の覗き趣味の映像がふんだんに盛り込まれています。
役作りにおいて「おぉ!」と思わず身を乗り出したのは、
アンソニー・パーキンスを演じたジェームズ・ダーシーです。
いやぁ、雰囲気といい身のこなしといいチョッとビックリしちゃいました。
映画史上、最も一つの役に取り憑かれてしまったアンソニー・パーキンスを好演。
作品的には、チョッと物足りなかったかなぁ……。
劇中に「サイコ」のモデルになったと言われる殺人鬼が出て来ます。
エド・ゲイン……ヒッチコックは幻想の中で殺人鬼と対話し、
殺人鬼にヒントを貰い、促されるかのように「サイコ」を作ります。
僕、こういうの好きじゃないんですよ……「ブラック・スワン」の時もそうでした。
黒鳥の強迫観念に取り憑かれたバレリーナの妄想をCGを駆使して実写で挿入する……。
その部分がなかったら手放しでナタリー・ポートマンの主演女優賞を褒めたいのですが……。
「ヒッチコック」……アンソニー・パーキンスとヘレン・ミレン、
この2人が出ていなかったら、パンチの効かない、
ごくごく平凡な2流の作品になっていたのではないでしょうか。
ハッキリ言っちゃうと……今一でございました(笑)

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今日の写真は数年前、パリで撮影した1枚。
唐揚げで有名な「韓林」で食事の後、プラプラ坂道を下っている時に発見!
パリの街、特に横道はこういう落書きがあるので楽しいです。
いつかブログで使う事もあるかも……そう思って撮った1枚です(笑)
落書きとは言え……既にアートの域ですね。


2013年4月14日


ブノワ。


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by raindropsonroses | 2013-04-14 00:00 | 映画館へ行こう。 | Comments(16)

毒吐く……じゃなくって独白。豪華ロードショウ3本立て。

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もう書いちゃってもいいかな?皆さん、もう見ましたよね?
それぞれ早々にロードショーで観ていましたが、ネタバレするつもりはないし、
未だ皆さんが観ていないのに美味しい所を書いちゃうのはルール違反……。
そう思って今日まで書くのを控えていました。
勿論、僕の記事は映画評論ではないし、ネタをじゃんじゃん喋っちゃうこともしません。
映画を長い間見続けて来た人間の毒吐く……じゃない、独白、そう思って読んで貰えると嬉しいです。

今日はここ暫くの間に観たロードショウ3本に付いてチョッと書いてみようかな。
先ずは、ここ数年の中で、もっとも期待感が高かった1本。
製作中から、そして、予告編を見てワクワク感が頂点に達したいた「プロメテウス」から。

 「なぜ人類の誕生の瞬間は、空白のままなのか。
  謎の答を、知ってはいけない。」

…………って!おだまり!ふざけんなっつーうの!(怒)
あまりに激高して、宣伝文句の句読点の打ち方にも怒りが及びます(笑)
何で変な所で点を打つんだよ!言葉遣いも荒くなろうというものです。
もうね、頭に来ちゃってこめかみの血管切れるかと思っちゃった。
劇場の暗闇に座ってガッカリこん!これほどまでに落胆したのは初めてかも。
壮大な宣伝コピーに踊らされた訳じゃないけれど、盛大に盛り上がった分、
その奈落の底まで落っこちたガッカリ感は半端じゃありませんでした。
冒頭の美しい大自然の光景……テレンス・マリックの「ツリー・オブ・ライフ」のマネね。
僕、「エイリアン」シリーズは大好きなのね。勿論、全作品劇場で観ています。
続編が第一作よりも面白かった、若しくは、同等の出来上がりだったのって、
この「エイリアン」シリーズ、それから「ゴッドファーザー」「スターウォーズ」くらいです。
随分前に「エイリアン」4作品、一挙上映のオールナイトにも行きましたっけ。
4作品ともそれぞれに監督の個性やスタイルが出ていて凄く素敵なシリーズなのね。
そこに来て、オリジナルのリドリー・スコットがメガホンを取って、
シリーズの前章を描くって……響きのいいタイトル、キャストの豪華さ……。
期待するなという方が無理だと思いません?ね?そう思うでしょう?!

先ずね、結局、謎なんか一切明かされないで、続編を見ろって言うことじゃない!
何なの、あのラストは。飛んで行く宇宙船を見てムカッと来たぜぃ(笑)
それに巨額を投じて宇宙探検に行った動機って言うのがアレかい。
シャーリーズ・セロンのキャラクター……もっと驚愕のどんでん返しがあってもいいんじゃない?
一番ダメなのがエイリアンの造形……アレって一体どうしちゃったの?
エイリアンは黒光りしていなくちゃダメなの!(笑)あんな白くふやけた象の鼻みたいなヤツ!
勿論、エイリアンは寄生した個体によって姿が微妙に変わるものなのだけれど、
あれじゃ全く恐怖感が身に染みないのね。エイリアンは宇宙空間の絶対悪。
感情を一切持たず、本能で殺戮を繰り返すエイリアン……その凶悪なエイリアンが、
とてつもなく美しい造形だったっていうことが重要なのにアレは何だよ!
(余談ですが、エイリアンよりプレデターの方が強いって言うのも納得行かない!)
それからさ、お話し的には第一作の「エイリアン」に繋がっているようで繋がっていないんじゃない?
リプリーたちが「SOS」の信号と勘違いしておびき寄せられたのって、
あれは実は「ここに来てははダメ!」という警告の信号だったハズ。
謎の砲台のようなものと、そこで息絶えていたヘルメットを被った異星人……。
ここまでね、第一作と共通なのは。何だかこじつけ甚だしいわぁ。
第一、一番問題なのは、出て来るエイリアン・エッグのデザインが違うじゃない!
あれはマズいでしょう。一面にダァ〜っと……リプリーたちと同じ場所に出くわさなきゃ。
考えてみてよ、長い映画の歴史の中で、出演俳優の顔じゃなくて、
宇宙の怪物の卵がポスターになったのって「エイリアン」だけだよ。
それ程、強烈なインパクトがあるエイリアン・エッグが出て来ないなんて。
エイリアンだってあの黒光りのするオリジナルのヤツが出て来なくっちゃダメ!

僕、良ぉ〜く考えてみたら、苦手なのね、ノーミ・ラパスって……。
全く受け付けません。だから彼女のリスベット・サランデルもダメなんだ……。
ハァ……続編が出来るのよねぇ。でも出来たらまた観に行くんだろうなぁ。



次、豪華3本立ての2本目は「ダークナイト・ライジング」です。
これは良かったなぁ……映像に1本筋が通っていてね。手放しで賞賛しちゃう。
僕ね、一応、バットマン・シリーズは全部、観ているんです。
初めの頃のマンガチックな、コミックをそのまま実写化したようなものから、
クリストファー・ノーランによるダークでスタイリッシュな再映画化まで。
もっと遡れば、テレビ・シリーズも殆ど見ているかな?
あの細眉をギュゥ〜っと吊り上げたバットマンとロビンのモノクロのヤツね(笑)
初めの頃の作品は何も言うますまい(笑)あれは単純に観て楽しめばヨロシイ。
今回の「ダークナイト・ライジング」……物凄い豪華な配役ですね。
クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、
善人役に新しい活路を見出したゲーリー・オールドマン。そして、ゲストスターに、
マリオン・コティヤール、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、アン・ハサウェイ、
そして、クレジットを見るまで誰だか皆目見当がつかなかったトム・ハーディー!
決して派手派手しいキャスティングではないけれど、これを豪華と言わずして何を豪華と言う?
僕の悪友が僕の大嫌いな短縮言葉で、

 「『Mr. & Mrs.スミス』のアンジーとブラピだって凄かったじゃない?
  2人のことブランジェリーナって言うの知ってる?」

って言うんだけれど、ハイハイ、知っていますとも!(苦笑)
確かに豪華は豪華だけれど、これほど面白味に欠ける作品も珍しかった(苦笑)
僕の生涯で一二を争う駄作……その地位は決して揺るぎません(笑)
「ダークナイト・ライジング」……バットマンの物語りなのに、バットマンだけが突出していず、
出演者全員のアンサンブルが絶妙、それでいてバットマンの悲哀が際立つ優れた演出。
他の共演者もいい味出していて、これまた続編が出来そうなラストなのだけれど、
それもまた騙されたようでもなく、却って期待感が増すって言うもんじゃない。
ジョセフ・ゴードン=レヴィットのロビンって出来るのかなぁ……いいですよね。
彼はどことなく頼り無さげな役にいい味出して来ましたが、今回みたいな硬派な役もいいなぁ。
ダークでやるせなくて陰々鬱々としているけれど、クリストファー・ノーランにはスタイルがある。
ないだろうけどノーラン版、次回の「ダークナイト」シリーズに期待しちゃいます。



さてさて、最後3本目はついさっき見て来た超駄作のお話し(苦笑)
何を間違ったか、他に観たい作品がなかったと言うこともあり、
そうそう、先日「スノーホワイト」でシャーリーズ・セロンの悪役を堪能したばかりなので、
迷い込んでしまいました、超駄作の深い深い森の中へ。
出られなくなってしまいました、氷のようにお寒い笑いの迷宮から。
作品は……じゃじゃぁ〜ん!「白雪姫と鏡の女王」です。
そう、劇中の一面の雪景色のようにお寒かった「白雪姫と鏡の女王」(笑)

これ……ヒドかったなぁ。いいの?こんな作品作っていて。
ジュリア・ロバーツってこんな作品に出ていて大丈夫?
アカデミー賞女優だったよねぇ。次はメリル・ストリープと共演でしょう?
あれなんて言うんでしたっけ、メーターで針がくっ付いているヤツ。
針が左端っこにピッタリくっ付いていて、何かに反応すると右にググッと振れるヤツ。
「白雪姫と鏡の女王」はね、その針が左にピタッとくっ付いたままピクリとも動きませんでした。
観ているうちに段々顔が能面のようになって行くブノワ。さん(笑)
あまりに詰まらなくて感情が死んじゃった?シワが1本もなくなっちゃったよ。
途中、巨大な欠伸を7回……流れる滂沱の涙。顎、外れるかと思っちゃったわさ。
ハッと我に還ると、果たして自分はこの暗闇で何をしているのかと疑問に思う有様。
喜劇にしては笑う所が一箇所もないのは夢か奇跡か幻か……?

目を瞑ると悪夢のように白雪姫の剛毛眉毛ばかり思い出されます(笑)
映画史上もっとも濃くて太い眉毛……往年のリズ・テーラーもマーゴ・ヘミングウェイも降参かな。
彼女ってフィル・コリンズの娘なんだって。ビックリしたわいな。
ハァ……お金も時間も返して!静かな怒りがフツフツと込み上げるのでした(笑)



今日の写真、ズッコケた「プロメテウス」に因んで……ホラ、ケンタウロスもズッコケてるじゃん!
パリ市内の閑静な住宅地に彫刻家のブールデルの美術館があります。
いつ行っても人気なく、静かに作品を鑑賞出来ます。そこで観た半人半獣……ケンタウロスの巨大な像。
ブールデルはベートーベンの彫像で有名ですが、このケンタウロスは迫力満点!
下から見上げる姿は圧倒的な迫力を誇ります。
まさかこんな記事に使うとは露程も思わず、勿論、当時のことですからフィルム撮影です。

「プロメテウス」の乗務員が遺跡の中で出会う謎の像。
きっとイースター島のモアイ像とブールデルのケンタウロスがモチーフになっていますね。
全てが思わせぶりで、そして期待外れだった「プロメテウス」……。
果たして起死回生の大逆転な続編が出来上がるでしょうか?
しかし、また次回もノーミ・ラパスを見るのかと思うと気が重い(苦笑)



草々

2012年9月20日


ブノワ。


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やっちまったぜぃ!(笑)

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 「ありゃりゃりゃりゃ……やっちまったぜぃ!」

思わず一人ごちました(笑)そう、踏んじゃったんです……地雷。
このところ物凄く忙しかった割には、自分でも褒めてあげたいぐらいにマメマメしく、
暇を見つけては、時間を作っては映画館に足を運んでいました。
僕、思うに、却って時間がない時の方が計画的にテキパキ事が運ぶのかもしれません……。

ここ一月の間に観た映画は……。

「キッズ・オールライト」「ジュリエットからの手紙」
「猿の惑星:ジェネシス・創世記」「127時間」「ザ・ファイター」

名画座とロードショーを駆け足でなかなかいい出来の映画を連続して観ました。
そう言う時ってご機嫌なんですよねぇ……立て続けにいい作品に出会える時って。
でもね、いつかその絶好調にも終わりが来る……。
そして、問題の地雷、ついにやって来た大コケの作品の名誉に輝いたのは……。

「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」!!!!!

これはヒドかったぁ……別に期待して観に行った訳じゃないんですよ。
ただ、これしか空いた時間に観られる作品がなかっただけ……。
もうね、ブノワ。さん、絶句。ドンヨリしちゃいました(笑)
始まってスグに「こりゃぁヤバいかも……。」って(笑)
だってね、フランスのエスプリもデュマのエッセンスも全く感じられないんだもの。
僕、自慢じゃないんですが、1973年の「三銃士」と、
好評につき作られた1974年の「四銃士」を劇場で観ているのね。
しかもきちんとロードショウで……自分が一体幾つなのか大いに疑問なんですが(笑)
他にもごく最近のハリウッド版やフランス版もあるみたいですが未見。
およそ40年前のこちらはね、今、ザッと見渡すと……。
オリバー・リード、チャールトン・ヘストン、リチャード・チェンバレン、
マイケル・ヨーク、フランク・フィンレイ……。
華を添えるのが、ラクェル・ウェルチに絶頂だったフェイ・ダナウェイ。
オジさんオバさん俳優が勢揃いの、ドッコイショ感タップリの、
如何にも往年のハリウッドのフランス物なんだけど、
そこはそれ、キチンとツボを押さえて楽しめる娯楽作になっていました。
確か、この2作品は、出演者が知らないままに2作品分撮ってあって後で2作品に編集。
後で出演料とかの問題でチョッともめた記憶があります……。
だけど、さすが職人リチャード・レスター監督の手腕で、
傑作とは行かないまでも、娯楽作に仕上がり、当時の興行界の目玉でした。
ロードショウ館は往年の大劇場、日比谷の有楽座だったものね。
この2作品、最も強烈だったのは、悪の最相リシュリュー卿を演じたチャールトン・ヘストンと、
(容姿が現在残っているリシュリュー卿の肖像画にソックリ!)
稀代の悪女、ミラディー・ドゥ・ウィンターを演じたフェイ・ダナウェイ。
この2人の憎々し気な悪役の様子がハイライトだった記憶があります。
特にフェイ・ダナウェイが毒が仕込まれた華奢なガラス製のナイフで大立ち回りする様は、
それはそれは優雅でコワくて冷血で……正しく稀代の悪女=ダナウェイ。
子供だった僕に強烈な印象を残したほど……。

それに較べて今回の「三銃士」……これ、ラスト見る限り続編出来るのよねぇ?
何だろう、悪い意味でハリウッド製のフランス宮廷劇の全てのエッセンスが詰まっています(笑)
悪い意味でマンガ、そう、ヘタクソなマンガを見ているようでした。
いいんですよ、フランスが舞台で英語を喋っても。「危険な関係」と言う傑作もありますから。
しかし、役者がことごとく小粒(苦笑)特撮&3Dもヘタクソ!
ミラディーを演じたミラ・ジョヴォビッチ……フェイ・ダナウェイ版を観て勉強すべし。
稀代の悪女を演じるには100年早いです。まだまだ小娘。
大体、監督が自分の女(男)を使って映画を撮るとロクな事ないのね。
今や大御所のイーストウッドだって、その昔は自分の女を必ず主演に迎えて撮っていた。
まぁ、そこそこ娯楽作にはなっていたけど出来は想像つきますよね(笑)
そうそう、上映前に来年3月公開の「アイアン・レディー」の予告を見ました。
メリル・ストリープがマーガレット・サッチャーを演じ、
早くも今年度のアカデミー賞、受賞は決定的と噂されている作品です。
1本の映画よりたった2分にも満たない予告編の方がドキドキするって一体(笑)



僕ね、最近、自分の勘を疑っているんですが、
役者には「売れる名前」ってあるのね。何でしょう、語呂?耳に入った時に感じる音の心地よさ?
売れる役者って必ずいい名前の持ち主……これ、僕の持論なのね。
往年の大スターを例にとるまでもなく、唯一無二、大スターの条件でもあると思っていました。
所が!この所、僕が「この人は!」と、思った俳優が伸び悩んでいます。
その一人が大駄作「三銃士・王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」のオーランド・ブルーム。
いい名前ですよねぇ……ハンサムだし演技もそこそこ上手い。
いえいえ、勿論、彼はスターですよ。でも、大スターではない。
何だろう、そう、主役を張って1人で映画を2時間保たせることは出来ない。
「トロイ」でしくじったかな?気弱なパリスはやらない方が良かった?
スターが成熟しないうちに、地位を築く前に、悪役、小心者を上手にやっちゃうと、
キャリアが伸びないと言うジンクスがあります……これも僕の持論。
もう一人がジュード・ロウ……彼もいい名前ですよねぇ。ハンサムだし演技は抜群だし。
2人とも僕の薔薇にお名前を頂戴したくらいです(笑)
「コールド・マウンテン」の時に、これでジュード・ロウの時代がやって来るかな?
そう思ったんですけどねぇ……何でしょう、2人とも欲がない?
順調に行っていたら彼がシャーロック・ホームズを演っているハズです。
いつまで助演に甘んじているんだろうか……。

反対に、その名前じゃダメでしょう……そう思っていたのがジェームズ・フランコ。
彼もハンサムで演技も上手い。でも、名前がダメじゃん?そう思っていたんですが、
最近、いいですねぇ……ジェームズ・フランコ。
「127時間」と「猿の惑星/創世記・ジェネシス」を立て続けに観ました。
「127時間」なんか彼のオン・ステージだものね。ほぼ一人芝居。
今年のアカデミー賞の司会は散々の評判だったみたいですが(僕、未見)
彼は役者なんですね、しかも、役者バカ。台本を読んで、読んで、読み倒してナンボ。
幾ら台本があるとは言っても、即興性を求められる司会は無理。彼、チョッと暗いものね。
しかも、毎年、話術に長け、歌って踊れるそうそうたるメンバーが司会をやっているんだもの。
ジェームズ・フランコ……役者としては潰しがきくんでしょうね。チョッと化けるかも。

ハァ、他の映画について書く時間なくなっちゃった(笑)

最後に、「愛するひと」で存在感を再確認したアネット・ベニングを見たくて駆け付けた、
彼女が頑なレズビアンを演じた「キッズ・オールライト」と、
風光明媚「ジュリエットからの手紙」のヴァネッサ・レッドグレーヴ……。
矢張り女性は年齢じゃないです。シワ?たるみ?全然関係ありません。
才能豊かで上品な人は美しい!瞳に自信が溢れていますもんね。
自信に漲った女性は綺麗……そう思います。

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今日の写真は数年前に訪れたフィレンツェは、
ピッティ宮から望んだトスカーナの丘陵地帯……いつか行ってみたいのね。
「ジュリエットからの手紙」を観ながら心は遥かトスカーナでした。

お口直しに観た「ミッション:8ミニッツ」「ヤコブへの手紙」「ビューテフル」は、
また今度の機会に……さて辛口になるか、手放しで絶賛か?!(笑)


草々

2011年11月4日


ブノワ。


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ご近所探訪。

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 「1、2、3、4……おぉ、これで10個目だ!」

朝の6時から作業をはじめて4時間、
思ったよりハイペースで段ボール箱が片付いています。
ここでチョッと一休み、早いランチとして昨日の残りのタイカレーを食べる。
あっ!いけない。猫にご飯をあげるのを忘れてた……。
休みの日はついつい忘れがちです。
カフェ・クレームを飲んで一息ついてから作業再開です。
イヤにならないうちにやっつけちゃわないと……。
頑張った甲斐あって殆どの本が本棚に収まったのでチョッと余裕が出て、
気になる本をパラパラ捲ってみたり……。
僕は昔から本が好きで、同じ本で文庫本と単行本の両方あったら
迷わず単行本を買うタイプです(笑)
小説、画集、写真集、展覧会の図録、雑誌……買ったものは絶対に手放さないのです。
表紙には出来る限りパラフィンでカバーをします。
表紙が陽に焼けるのを防ぐのと、本棚に並べた時に、
それぞれに個性を主張する背表紙の鮮やかな色が
一段階トーンダウン、落ち着いて見えるからです。

ハッと気が付くと写真集に見入って20分も経っていました(笑)
いけないいけない、引っ越しの片付けは最初が肝心、
少しメドが付きチョッと不自由でも生活が出来るようになる時が危険なんです。
一気に片付けのペースが落ちちゃいますからね(笑)

2階の書斎の本を片付け、
用事で下に下りるついでに必ず何か一つでも荷物を持って下ります。
これ、メリル・ストリープのお母さまの教えなんです。
 
 「階段を上がる時は手ぶらじゃなくて何か一つでも物を持って上がりなさい。」

下に下り、本棚の整理をすると、
今度はキッチン周りの段ボールの片付けを少し……。
次は2階に上がって衣類の整理……。
こうして単調な作業にメリハリを付け、
食器を洗って乾く間の時間を有効活用する意味もあります。
勿論、洗濯機は常に回っている状態(笑)

 「はぁ……疲れた。」

時計が既に2時を回っています。今日の作業はこれでお仕舞い。
あまり根を詰めるとまた倒れちゃいますから(笑)
簡単に身仕度して近所の探険と洒落こみます。
まだ引っ越しして来てから2週間、周りの地理に疎いですからね。
暖かい春の日差しを浴び、買い物を兼ねて近所をプラプラ散策です。

 「ははぁ〜ん、ここか、激烈にマズイ炒飯を出した中華料理屋は……。」

先日、近所の食べ物屋を開拓しなければ……。
そんな気軽な気分で気楽に入った中華料理店。
昼間見るとやっぱり「何だかなぁ……。」の店構え(笑)
しかしあの炒飯は犯罪的に不味かった……。
これで家庭料理っぽいイタリアンと(なかなかイケる)
気取っているけど味は今イチのイタリアン、美味しくて感じのいい焼肉屋、
まぁまぁの蕎麦屋、昔ながらの小料理屋、気安い居酒屋、
お手軽パン屋、お好み焼き屋(笑)……一通り揃っている街、
普段の買い物をするスーパーがチョイ貧弱なのが玉に瑕かな(笑)
野菜の品揃えがなっていないのですよ。
クレソンもズッキーニも置いてないんだもの!
なぜかポツリとある近所のユニクロでデニムを2本、
仕事用と「国際バラとガーデニングショウ」用の2本を買います。
他に下着にソックスを買い込み本日の探険は終了!
引っ越しが決まってから洋服を買うのは初めて……。
何しろ荷物のことがいつも頭から離れませんでしたから。
それにしてもなかなかいいデニムでした。

写真は新居に移ってからお転婆し放題のきん。
階段を上がったり下がったり……矢張り、猫には上下の差がある方がいいみたいです。
それにしても月日が経つのは早いです。
この記録は先週の日曜日のもの……アッと言う間の一週間です。


草々

2010年4月25日


ブノワ。


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やっぱり春はいい!

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それぞれに美しい日本の四季の中で、
春ほど素晴らしい季節はない……僕はそう思います。

冬の凍てつく寒さの中の凛とした美しい風景。
夏の海や山の青さの清々しさ……それまた捨てがたいです。
錦秋の秋はもう眩いばかりの裾模様……。
そして、それぞれの季節の狭間にまた素晴らしい季節がある……。

だけどやっぱり春が一番!
だって、春3月は僕の誕生日があるんだもの(笑)
2月が終わり、3月に入ると一気に春めいて来ます。
啓蟄……生き物たちが動き出すこの素晴らしい季節に、
僕の友人達はジッとなりを潜めて3月が過ぎ行くのを待っています。
そう、下手に僕を誘おうものなら奢らされますからね(爆)

友人の中には誕生を忌み嫌うヤツもいます。
何で?一年365日の中で、唯一、自分の日なのに……。
年を重ねることがイヤなの?その感覚、日本人だけじゃないかな?
年をとることに罪悪感を感じるのは。
素敵に年を重ねた人はシワまで美しいハズです。
その昔「エーゲ海の旅情」と言うタイトルの映画がありましたっけ。
若者(エドワード・アルバート)が年上の女性(リブ・ウルマン)に恋する話し。
年上の女性は若者の気持ちを大層、嬉しがる物の、
年長の分別から青年を諭すように声を絞り出すように言います。

 「私は40歳なのよ!」

それに応える若者の台詞がふるっていました。

 「君は40カラットのダイヤモンドなんだよ。」

はぁ、なんと言う素晴らしい台詞!
原題「40 Carats」は、ここから来ています。
いいですよねぇ、「才」じゃなくて「カラット」!
これからは年齢の単位をカラットにしましょう!(笑)

そうそう、イングリッド・バーグマンとアンソニー・パーキンス主演の映画、
「さよならをもう一度」では、若者パーキンスに恋された
インテリア・デザイナー役のバーグマン。
バーグマンには長年付き合っているイヴ・モンタン扮する同年代の恋人がいます。
一途な青年の気持ちに戸惑いながら満更でもありません。
ラストで恋破れ階段を走り下りる青年に、
バーグマンが階段の上から投げかける言葉。

 「I'm Old !」……私は年なのよ!

でも、全然、そうは思っていないのです(笑)
だって、飛び切り美しく輝き、人生を謳歌しているバーグマン。
仕事も順調、自分を愛してくれている恋人もいる……。
青年の後ろ姿に別れのセリフを投げかける彼女の顔には、
余裕の笑みが浮かんでいましたから。
そしてスグにモンタンのところに戻るバーグマン。

年を重ねる……素晴らしいことです。
但し、その年に見合った素敵さを身に付けていられればですけれど。

僕もそろそろ人生の半分に差し掛かりました(?)
友人は言います「半分?まだそんなに生きる積もりなの?」(笑)
だって、人生これからですもんね。一花も二花も咲かせなきゃ!
有り難いことに、誕生日をお知らせしていないのに、
友人達からは続々お祝いが届いています。
手作りのマーマレード(超美味!)春を呼ぶミモザの花束、
美味しいお菓子、CD、素晴らしい陶人形……。
それぞれに添えられた心の籠ったメッセージ・カード。

7日に発表になったアカデミー賞。
残念ながらメリル・ストリープの受賞はなりませんでした。

 「神さま、もしメリルが受賞したらもう何もいらない。」……そう思ったものですが、

受賞しませんでしたからねぇ……プレゼントじゃんじゃん受付中です(笑)
友人達が鳴りを潜める3月、泣く子も黙る3月、
そっちがその気ならこっちからお誘いしようかな?(笑)
そこの君たち!3月が過ぎたからって安心しちゃダメだよ。
去年に味をしめて、4月は「Apres 誕生日強化月間」なんですから(笑)
祥月命日ならぬ、祥月誕生日もいいかも(笑)
…………………………………………………………………………………………………………………………
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写真は春らしいラナンキュラス。
ここ数年のラナンキュラスの進化は物凄いものがあります。
プラリ立ち寄った南青山の「カントリーハーベスト」にて撮影。
それから美しいミモザは友人からのプレゼントです。
黄色……春の幕開けの色ですね。


草々

2010年3月10日


ブノワ。


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by raindropsonroses | 2010-03-10 00:00 | 向き向きの花束。 | Comments(41)

Bon Appetit !……Julie & Julia。

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…………………………………………………………………………………………………………………………

自他ともにメリル・ストリープ・ファンを自認する僕。
今年は嬉しいことに3本もの公開作品がありました。
新春に待ちに待った華やかなミュージカル「Mamma Mia !」、
春先、オスカーに合わせてメリルが新境地を開拓した、
厳しい修道女を演じた「ダウト/あるカトリック学校で」が、
そして、今年、最後を飾るのは、既に賞レースで各都市の評論家賞総なめ状態、
ゴールデン・グローブ賞にもノミネートされている、
「ジュリー&ジュリア」が公開されました。
お笑いを狙った純然たるコメディーではないけれど、
観ていてここまで幸せな気分になる映画は久し振りです。
自然に漏れる笑い声……観ながら自分の顔がニンマリしているのが分かるんです(笑)

実在の二人の女性、ジュリーとジュリアを題材にしたこの作品、
演技的に言うと、思ったよりも難易度が高い作品なのかも知れません。

「I'm Julia Child……Bon Appetit !」

メリル・ストリープはいつもの発声よりも半オクターブ高い声で全編台詞を言います。
ほぼ、ファルセット・ヴォイス。しかも、可成りのオーバー・アクション。
ジュリアは喜びを表す時に身体を左右に大きく振ってそれを表現するのですが、
それが全然大袈裟には見えない演技のマジック。
かつてメリル・ストリープは大物映画批評家女史に「顔だけの演技」と言われ、
映画史上に残る偉大な大女優に、
「彼女の頭の中でチクタク歯車の音が聞こえる」と言われた事があります。
実在の人物を演じる難しさ、ジュリア・チャイルドの甲高い発声と、
大柄に見えるように体全体を化けさせる共演者やセットの工夫。
今までかつてないほど大仰なオーバー・アクションを披露するメリルですが、
それが不思議とジュリア・チャイルドの人物像の創造にピッタリとマッチしています。
これまた計算高い演技?演技するのに計算しない俳優がどこの世界にいるでしょう(笑)
各賞に軒並み候補になり受賞し、演技的に目覚ましい技巧が凝らされているかと言うと、
そうは見えない技術と、またそれを見抜くプロ、専門家の眼力に脱帽です。

その昔、ソフィア・ローレンは言いました。
「人々を泣かせるのは簡単よ。でも、笑わせるのは難しい。」と。

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夫の仕事の都合でパリに住む事になったジュリア・チャイルド……。
元来の明るく物怖じしない性格、何事も前向きに捉える天真爛漫な明るさ、
そして何よりも食べることが大好きなジュリアが、
パリを好きにならないハズがありません。
焼きたてのパンの匂い、新鮮な野菜を売る市場の屋台、
チーズヤワインの専門店……1にバター2にバター、3、4がなくて5にバター……。
素晴らしいフランス料理とパリはスグにジュリアを魅了します。

一方のジュリーはジュリア・チャイルドの料理本の524のレシピを、
一年365日で作り、それを実践をブログで公開し達成することで、
物事を諦めずに最後まで頑張り抜くことを学びます。
ジュリアもまた然り、何年もかかって書き上げた本、
その膨大な原稿量が原因で次々に出版社に断られてしまいます。
でも、諦めずに本の出版にこぎ着けます。
出版の依頼の手紙を読み欣喜雀躍するジュリアの後ろ姿。
映画でこれほど嬉しさを身体をもって表現したシーンが他あるでしょうか。
この作品の中でメリルが一番オーバー・アクションな瞬間。
そして、もっともジュリアを体現した瞬間です。

映画って様々なことを僕等に教えてくれますね。
声高に反戦を訴える映画も良し、政治の矛盾をつく映画もまた良し。
そして、こうして「ジュリー&ジュリア」のように、
ホンワカと観ながらにして幸せな気分になる映画もまた良し。
しかも、観る人によって様々な解釈が出来、
メッセージを受け取ることが出来るんですから。

写真は21世紀になる新年にフィレンツェで撮った1枚。
たしかフェラガモのショー・ウィンドウだったかな……。
フィルム・カメラ一台、肩から下げて夜の街を散策した時に撮りました。
ポーチド・エッグ……ああして作るんですね?僕は食べるだけでいいや(笑)


草々

2009年12月20日


ブノワ。


[Meryl Streep Online/Meryl Streep (1949~ )]
[ジュリー&ジュリア/Julie & Julia (2009)]
[マンマ・ミーア!/Mamma Mia !(2008)]
[ダウト 〜あるカトリック学校で〜 /Doubt (2008)]
[Sophia Loren Official Website/Sophia Loren (1934~ )]

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Grand Dame……Meryl Streep。

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一般に映画は第七芸術と言われています。
パリの中心にもその名前を冠した映画にオマージュを捧げたホテルがあります。

映画は本当にいい……過去から未来へ、見知らぬ国へ、地底から宇宙へと誘われ、
決して凡人の僕には経験出来ない様々なことを疑似体験させてくれます。
知識や審美眼が知らず知らずの内に身に着いて行きます。
一体、どれだけのことを映画から学んだことでしょう……。

僕は映画は大きなスクリーンで観るべきものと思っています。
時間がなくて観ることが出来なかったのなら仕方ない……。
きっと、縁がなかったのだろうと諦める事にしています。
従って、家でDVDを見ることは殆ど皆無に等しいです。
約2時間の間、猫がドタバタ運動会を繰り広げ、
雑念が飛び交う家の中で映画に集中するのは不可能……。
その思いを頑なに貫きたい映画ファンの僕ですが、
唯一、思い出したように繰り返し家で観る映画が僅かながらあります。

そのうちの1本が……Out Of Africa……「愛と哀しみの果て」……です。

告白してしまうと、公開当時から好きな作品ではありましたが、
アカデミー賞に11部門でノミネートされ7部門で受賞……。
豪華大作で時の大スター、メリル・ストリープとロバート・レッドフォードが共演、
素晴らしくも雄大な音楽に大作の風格充分なことは重々承知でしたが、
どこかに「壮大なメロドラマ!」と、小馬鹿にした気持ちがあったのも事実です。
タイトルも良くなかったのでしょう……当時、流行っていた、
幾つかのヒット作のタイトルを組み合わせたかのような安易なタイトル……。
所が、繰り返し観ているとこの作品の素晴らしさが染み入るように、
また、当時は気が付かなかったものが見えて来ました。

…………………………………………………………………………………………………………………………

 「私はアフリカに農園を持っていた。ンゴング丘陵のふもとに。」

アイザック・ディネーセンの原作「アフリカの日々」の冒頭部分です。

1900年代初頭、女性が男性社会で行きて行くことの難しさを推し量るように、
カレン・ブリクセンは男性名アイザック・ディネーセンで、
次々に素晴らしい小説を発表して行きます。
その代表作、「アフリカの日々」の満を持しての映画化、
「愛と哀しみの果て」からも、知らず知らずの内に様々なことを学び、
知識は枝葉を伸ばして思いもよらぬ所に花を咲かせました。
この映画のお陰でアイザック・ディネーセンの原作「アフリカの日々」を読み、
作品を読み漁るうちに、同じくディネーセンの原作の映画化、
「バベットの晩餐会」を観て感激し、ヴーヴ・クリコとシャトー・ド・クロ・ヴージョを知り、
同じ名前の赤黒い色の薔薇を海外から求め、シャンパンに目覚めます(笑)
劇中で使われていたモーツァルトの音楽に親しみ、
一気にクラシック・ファンになり、クラリネットの音色に魅了され、
そして、心底惚れ込んだチェロの音色と出会います。
劇中で使われたモーツァルトの「クラリネット協奏曲」がらみで、
「グリーンカード」や「アメリカン・ジゴロ」など、色々な作品に出会い、
同時期に発売された外国のインテリア雑誌の特集、
実際のディネーセンの家のアフリカ色の強いインテリアに心奪われ、
インテリアに興味を持つようになりました。
この作品の衣装デザイナー、ミレナ・カノネロの影響で、
当時、流行ったサファリ・ルックを真似て、三宅一生のサファリ・ジャケットを買い……。

こうして優れた作品は思いもよらない方向に広がりを持ちます。
何かを学ぼうとしなくても、自然に身に着く宝石の数々。
決してお金では買えないその財産は、
僕が生きて行く上で掛け替えの無いものになっています。

…………………………………………………………………………………………………………………………

そして、丁度一月前の6月22日は、ハリウッドが生んだ不世出の大スター、
僕の最愛のメリル・ストリープの60回目の誕生日でした。
頑なに私生活を隠し、ヴェールに包まれた伝説の大スターや、
孤高のイメージを作り上げたハリウッド創世記の大スターは数えきれないほどいますが、
彼女はごくごく普通にニューヨークの地下鉄に乗り、
子宝に恵まれ、長年、連れ添った彫刻家の素敵な旦那さまがいます。
彼女が演じた精神的に問題を抱え、悲しい過去に彩られた悲しみのヒロイン達とは違い、
スキャンダルや秘密めいた事とは全く無縁の存在。
普段の映像で見る限り、素顔の彼女は良く笑う朗らかな明るい女性のようです。
デビュー当初からスケールの大きいヒロインの品格をたたえ、
着実にキャリアを重ね、同世代の俳優たちが年齢とともに脇に回って行くのを尻目に、
いまだに主役、それもヒロインを堂々と演じる怪物です。
当然、娘役、母親役から老女へと、役柄の年齢は上がって来ましたし、
なかなか女性にいい役がないハリウッドのこと、
その中で第一線を守り抜いて行くことは至難の業でしょうけれど、
40歳を過ぎる頃から同業の俳優たちの尊敬を一身に集めるメリル・ストリープ。
これから先の活躍が楽しみでなりません。

…………………………………………………………………………………………………………………………

 「昔、チェン・ワンと言う流れ者の中国人がいた。
  ラインに住み、シャーリーと言う娘を知っていた……。」

晩餐のあと、カレンがデニスに物語の語り出しの一行を貰い、
デニスとコールを目の前に、即興で物語を紡ぐシーン。
翌朝、素晴らしい物語のお礼にデニスはカレンに金の万年筆をプレゼントします。
カレン(ディネーセン)が後に大作家として生きて行くキッカケになった万年筆。
そして、義勇軍に物資を運ぶためアフリカの荒野を彷徨い、
道を見失った時に偶然出会ったデニスからカレンはコンパスを貰い、
生死の境目、岐路にもっとも大事な物を貰う信頼感(愛情)を実感し、
その後の人生の道しるべを授かります。
親友のコール曰く「デニスはクリスマス以外にプレゼントをする。」……粋ですよね。

 「バラ色の唇と、悩みなき若者へ……。」

カレンがアフリカを去るその日、街の名士が集まるクラブ(女性禁制)で、
カレンはそれまでの生き様を認められて会員の皆から特別に一杯奢られます。
女性が生きにくい時代、特にアフリカと言う植民地で、
肩肘張ることなく自由に自然に生きたカレンに敬意と尊敬を込めてのことでしょう。
グラスを差し出すクラブの全員にカレンがつぶやいた言葉……。
「バラ色の唇と、悩みなき若者へ……。」……デニスとイメージが重なります。

最晩年、ディネーセンの胸に去来する遠きアフリカの面影。
朝もやの中に浮かぶハンター、デニスのシルエット、
ディネーセンの中で美化され都合よく脚色されているかもしれませんが、
そこには我々が思い描く雄大で理想のアフリカの姿があります。
デニスを航空機事故で失い、火災で珈琲農園が破産したあと、
カレンは故郷に戻り再びアフリカの地を踏む事はありませんでした。
ディネーセンの目から見たアフリカは実際のアフリカとは違うかもしれません。
アフリカに住む人々からすると美しく歪曲された姿かもしれません。
でも、遠くアフリカから離れてこそ見えて来る本当の姿もあるのです。
壮大なアフリカ・ロケーションと、ハリウッドの才能を結集して作られた「愛と哀しみの果て」……。
何回、観直しても新しい発見がある名作です。


草々

2009年7月22日


ブノワ。


[Meryl Streep Online/Meryl Streep (1949~ )]
[Isak Dinesen (1885~1962)]
[Out of Africa/愛と哀しみの果て (1985)]
[Babette's Feast/バベットの晩餐会 (1987)]
[Robert Redford (1936~ )]
[Wolfgang Amadeus Mozart (1756~1791)]
[Green Card/グリーンカード (1990)]
[American Gigolo/アメリカン・ジゴロ (1980)]
[Milena Canonero ( ~ )]
[三宅一生/Issei Miyake (1938~ )]


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by raindropsonroses | 2009-07-22 00:00 | 女優の時代。 | Comments(15)

Blackmail。

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

 3月のある暖かい午後のこと。
 超豪華薔薇マダムのスペシャル超豪華リビングでの光景である。
 象眼の豪華テーブルを挟んでブノワ。と超豪華薔薇マダム。
 超絶技巧を施したテーブルの上にはわざわざ北海道から取り寄せた超極上ケーキと、
 陶磁器ファン垂涎の最高級マイセンの器に入った超美味紅茶…………。

超豪華薔薇マダム 「ねぇ、お願いよ。誰にも言わないで頂戴ね。」
ブノワ。     「…………。」
超豪華薔薇マダム 「ねぇ、ねえってば。約束だからね。」
ブノワ。     「…………。」
超豪華薔薇マダム 「まぁ、どうして黙っているの?何とか仰言いな。」
ブノワ。     「…………。」

 ブノワ。……ここでメリル・ストリープばりの眼力を込めて
 瀟洒なフランス窓ごしに素晴らしく手入れされた庭に目をやる……。
 庭には豪華な薔薇をはじめ、シックな山野草、稀少なクリスマスローズ……、
 一年中花が絶えないように、また、色合いのバランス良く、
 伸びた時のことを良く考えられて配置されている。
 無言で眉を一つ上げて、ある一点を見つめるブノワ。……。
 ブノワ。の視線を追った超豪華薔薇マダム……ハッと息を飲み一言。

超豪華薔薇マダム 「えっ?まさか!
          なに?なによなんなのよ!
          まぁ!……分かったわ。あれがいいのね?」
ブノワ。     「…………。」
超豪華薔薇マダム 「その代わり、誰にも言わないって約束して頂戴!」

…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

こうして6株目のクリスマスローズがウチにやって来ました(笑)
脅迫?ゆすり?とんでもない!チョッと目で Blackmail してみただけ(笑)
僕は何も言ってはいません。超豪華薔薇マダムの独り相撲。
僕はチラリと目線を窓の外にやっただけ(笑)
アハハハハ、ケケケケ、クククク……目は口ほどに物を言い……。


ある日、仕事関係の友人を超豪華薔薇マダムに紹介しました。
僕は少し話しを取り持ち、お相手のメール・アドレスをお教えして、
あとはそちらでヨロシク進めて下さい……そんな感じでした。
ただ一言、超豪華薔薇マダムに釘を刺したのは、

 「相手は忙しいし、なかなか自宅にいません。
  何よりもPCはあまり触らない人ですからね。
  メールを送ったからってスグに返事が来るなんて期待しないで下さいね。
  あまりヤキモキしないで下さいね。」

所が!その翌日。
 
 「あっ!モシモシ?ブノワ。さん?◯◯さんからお返事がないのよね……。」

と、不満げな声でお電話がありました(笑)
あれだけ気を長く待つように釘を刺しておいたのに……。
苦笑するしかないでしょう?もう可笑しくて可笑しくて。
そんなこんなで1週間が経ち、さすがの僕も何だか変だと思い立ち……。
超豪華薔薇マダムが友人に送ったメールのアドレスを確認してみると……。
何と!@以下が全然、違うじゃありませんか!
これでは返事が来ないどころか相手に届いてもいない(笑)
二人して大爆笑ののちに前出の光景に至った訳です。
超豪華薔薇マダムのズッコケ(いつもなんですけど)
ご本人は、見目麗しいお姿通り綺麗、綺麗でいたいでしょうからね。

はいはい、クリスマスローズは口止め料……分かっていますとも!
でも、既に数名に話しちゃった!(笑)
ブノワ。さんはハマグリのように口が堅いけれど、
チョッと茹でるとスグに口が開いちゃうんです(笑)
油紙に火がついたようにペラペラペラ、立て板に水の如くペラペラ……。

クリスマスローズ……まだお金を出して買った事がありません……イヒヒ(笑)


草々

2009年3月14日


ブノワ。


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by raindropsonroses | 2009-03-14 00:00 | Raindrops on roses。 | Comments(18)

ダウト 〜あるカトリック学校で〜。

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…………………………………………………………………………………………………………………………

 おそらく……何かがあったのだろう…………。

「不適切な関係」……おそろしく迂遠でいかようにも受け取れる表現。
見たくないもの、聞きたくないものをオブラートに包む便利な言葉。
目撃者もいない、確かな証拠もないし、告白もない。
黒人少年と神父の間に起こったことは闇から闇に葬られてしまった…………。


去年からズゥ〜ッと楽しみにしていた、メリル・ストリープ主演の
「ダウト 〜あるカトリック学校で〜」を初日に観に行く。
約一年前、今回の映画化を知り、文学座による日本初演を観に行ったんでしたっけ……。
こんなに長い間映画を見続け、映画ファンを自認しているけれど、
初日にまで無理をしても駆けつけようと思う作品は少ないし、
そう思わせる女優も少なくなりました……メリル・ストリープ……僕のヒロイン。

ブロンクスにあるキリスト教学校の校長、シスター・アロイシス。
おそらく、結婚に失敗した後、神に支えることのみに救いを求めて来た老女。
その厳格さは学校の生徒全員、そして、仲間のシスター達からも畏れられている。
時はケネディが暗殺された翌年、人々が希望を見失い、
心の拠り所をなくしている時代背景も忘れてはいけないでしょう。
シスター・アロイシスは厳格さでもってそれを切り抜けようとしています。

一方、現代の神父、革新的なフリン神父は、
その卓越した話術でもって人々を魅了しています。
ミサで話して聞かせる寓話は時にユーモアが盛り込まれ人々を引き付けます。
それを心のどこかで疎ましく、苦々しく思い、
キリスト教に新しい風が吹き込むことに畏れを抱くシスター・アロイシス。
テレビで歌って踊って啓蒙しないまでも、フリン神父に懐疑的で批判的なのです。
厳格さのみがキリストの教えを皆に説く術であるかのように、
ユーモアはもってのほか、個人的な温情なんてとんでもない……。
そんなこんなもフリン神父を厳しく見る原因です。
そう言えば、ショーン・コネリー主演の中世のミステリーの傑作でも、
この「笑い」が重要視され、謎を解く大きなキーワードになっていましたっけ。
キリスト教に限らず、神聖なものと相対するものを作り上げて(地獄や悪魔など……。)
神聖なる存在をさらに高める宗教の手法はいつの世になっても変わりません。



そんな彼女の心に宿ったある「疑念」…………。
その「疑念」は恐ろしい早さで彼女の心に巣食い、
やがて、何の確証もないままに確信へと変わって行きます。

 フリン神父と黒人少年の間に何があったのか……。

シスター・アロイシスのかけている老眼鏡は、
一滴の「疑念」と言う毒によって、もはや透明ではなく色眼鏡になってしまいました。
シスター・アロイシスの毒が感染したかのように、
純心で人を疑うことのなかったシスター・エリザベスも変わって行きます。
生徒に辛く当たり、彼女自身も神父と黒人少年の関係を疑いの目で見るようになる……。
シスター・エリザベスが涙ながらに言います。

 「あなたはただフリン神父が嫌いなのです!
  長く整えた爪も、紅茶に砂糖を3つ入れることも、
  ボールポイント・ペンを使うことも……。」

それが何?だからどうしたと言うの……。
人の意見に耳を貸さないシスター・アロイシスは既に完全に常軌を逸し、
フリン神父への疑惑、憎しみは狂気と言えるほどに激しくなります。
彼女の願い、目的はただ一つ、神父をこの学校から追い出すこと。
彼女のどす黒く染まった「疑念」に満ちた心は、
ラスト・シーンの素晴らしい名台詞へと繋がります。

…………………………………………………………………………………………………………………………

映画、演劇において、観客が主人公の役柄に一気に引きずり込まれる瞬間があります。
舞台「ドレッサー」では、三國連太郎が、舞台と客席の境目にあるドレッサーに座り、
客席に向かって、実際にはない鏡がまるでそこにあるかのように、
つまり、虚空に向かってメイクをするシーンで一気に観客を役に引き込みます。
「ダウト 〜あるカトリック学校で〜」では冒頭にその瞬間があります。
ミサの時にふざけている少年の頭をシスター・アロイシスが叩くシーン、
シスター・アロイシスがまるで自分が叩いたのではないように、
神が鉄槌を下したかのように、自分が立っている反対側、
つまり、手を少年の後ろに回して叩くシーンがそれです。
恐ろしい恐竜の口から発せられた鳴き声のような発声で居眠りしている少年を起こし、
轟くような声でシスターの体に触れた少年を呼びつけます。
冒頭の数シーンで、教室を見回り生徒を監視する下りで一気に役に血を通わせます。
なんと言う卓越した役作り。今更ながら彼女のテクニックに脱帽です。
野太い声、時に大声を張り上げ、声高に恐怖のシンボルとして、
絶対的な「善」として、教区、そして学校内に君臨するシスター・アロイシス。
メリル・ストリープがこんなに声色を使うのは珍しいです。
「プラダを着た悪魔」の鬼編集長、ミランダ・プリーストリーを演じる時、
誰しもが想像した役作りを大きく裏切り、まったく声色を変えず、
大声で怒鳴ることをせずに低い小さな声で周りのスタッフを恐怖に陥れたのとは大違いです。
シスター達が着る黒い衣装、被る帽子によって、殆ど顔だけでしか演技が出来ない今回、
メリル・ストリープはその目の演技によって全てのこと、あらゆる感情を表現します。

大女優、大俳優は悪役をやらせると抜群に上手いです。
小津安二郎や木下恵介の作品で市井の人のいいおばさんを演じた杉村春子。
彼女が悪役を演じたら凄かったです。黒澤明の「赤ひげ」の因業な置屋の女将、
成瀬巳喜男の「晩菊」の元芸者で高利貸しの倉橋きん……絶品でしたものね。

フリン神父役のフィリップ・シーモア・ホフマンはこれ以上は考えられない適役。
厳格なシスター・アロイシスに対する純真なシスター・エリザベスを演じた
エイミー・アダムスがメリル・ストリープを引き立てます。
黒人少年の母を演じたヴァイオラ.デイヴィスの達者振り。
素晴らしい演技のアンサンブルを見る喜びはひとしおです。
「プラダを着た悪魔」と「ダウト 〜あるカトリック学校で〜」によって、
また新な境地を開拓してみせてくれたメリル・ストリープは矢張り凄いです。

…………………………………………………………………………………………………………………………

写真はニューヨークならぬロンドンで撮りました。
厳寒のロンドン、友人とキングス・ロードから裏街をプラプラ……。
突如、目の前に現れた教会……教会、大聖堂とは本来そう言うものなのでしょう。
突如目の前に大きな姿を現し、見上げる我々に、ある種、畏敬の念を感じさせる存在。
夏でも暗くヒンヤリとした中の暗闇で神の慈悲にすがり許しと祝福を貰い、
そして、外部の偉容は人々の神への畏れを感じさせるように建てられている……。

「ダウト 〜あるカトリック学校で〜」……誕生日にもう一回観に行きます。


草々

2009年3月10日


ブノワ。


[Meryl Streep Online/Meryl Streep (1949~ )]
[ダウト 〜あるカトリック学校で〜 /Doubt (2008)]
[プラダを着た悪魔/The Devil Wears Prada (2006)]
[Philip Seymour Hoffman (1967~ )]
[Amy Adams (1974~ )]
[Viola Davis (1965~ )]

[Sean Connery (1930~ )]
[三國連太郎/Rentaro Mikuni (1923~ )]
[杉村春子/Haruko Sugimura (1906~1997)]
[小津安二郎/Yasujirou Odu (1903~1963)]
[木下惠介/Keisuke Kinoshita (1912~1998)]
[黒澤明/Akira Kurosawa (1910~1998)]
[赤ひげ (1965)]
[成瀬巳喜男/Mikio Naruse (1905~1969)]
[晩菊 (1954)]

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如月弥生。

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

如月弥生…………。

何やらどこぞの作家か芸能人の芸名のようですが、
今年もアッと言う間に3月になってしまいました。
この前、年が明けたと思ったばかりなのに……。

最近は忙しくて、2月に何があったのかスッカリ記憶喪失状態です。
「重ぉ〜い腰を上げる」なぁ〜んてことを言いながら、
気が付けばその後まったく薔薇の作業は捗っていません(苦笑)
さぁさぁ、一体どうするブノワ。さん。
可愛い顔の薔薇の専門家に「このまま冬の作業をしなかったら花は咲きますか?」
なぁ〜んて聞いているようじゃ先が思い遣られますな(笑)

そんな記憶喪失状態に近いほど忙しかった2月から3月の初めにかけて……。
幾つか印象深い出来事や考えさせられる出来事がありました。

先ず、3つほど印象深い撮影の仕事をしたこと。
写真……シャッターを押せば誰でも写すことが出来る芸術……。
狙っていなかったのに偶然が素晴らしい効果をもたらすこともあります。
カメラなどの機材も充実して来て誰でもいい写真が撮れるようになって来ました。
自分らしさを出すにはどうしたらいいか腐心の日々が続きます。
仕事で受けるのは責任が伴って大変なのですが、
特別な空間で好きな被写体を撮る愉しみは格別なものがあります。
ロケーションはそれぞれに瀟洒な邸宅。
スタジオでセットを組んでの撮影とは一味も二味も違います。

それから忙しい最中を縫って観劇です。
同行のメンバーは可愛がっている役者くんと鯨飲馬食&酒池肉団子な姐さん、
それから、最近とても懇意にして下さっている紳士の4人です。
演目は書きますまい……僕が思っている演劇とは遥かに違う代物でしたから。
今回はミュージカルだったのですが、各界の人気俳優を揃えていながら、
歌はもとより、セリフに至るまでマイクロフォンを通した発声は如何なものか。
巨大なドームで国歌を斉唱する訳ではないのですよ。
たかだか1000席にも満たない中劇場で肉声は当たり前。
客席の最後部まで声が通るように鍛えるのが役者だし、
音楽の方も役者の声が消えないように音の強弱をつけるのがプロ。
僕の席からすると左上のスピーカーから全ての音が聞こえて来て、
誰がセリフを言っているのか歌を歌っているのかチンプンカンプン。
演劇が映画やロックのコンサートと大きく違うのは、
そして、その最大の魅力とは役者の肉声を我耳で聴くことに他ないのです。
こんな愚かしいことをやっていたのでは日本の演劇の先は暗いです。  

それから楽しみにしていた、第81回アカデミー賞の授賞式がありました。
何日も前からお祝い用のシャンパンをキンキンに冷やして、
メリル・ストリープの輝く笑顔を楽しみにしていたのですが、
これは残念な結果に終わりました。「ダウト〜あるカトリック学校で〜」は今週末公開です。
前後して日本のアカデミー賞も放映されましたね。
偶然、その時間に家にいたので久し振りに見てみる事にしました。
所が!何でしょう、あのスタジオの進行役は!(苦笑)
お寒いギャグしか言えないお笑いタレント(あれがギャグと言えればですけど……。)
あまりにもヒド過ぎてその時点でテレビを消してしまいました(笑)
日本のアカデミー賞が歴史を重ねた今でもさほど重要視されないのは、
候補者全員が「優秀賞」として表彰され、中から最優秀が選ばれること。
ご本家、アメリカのアカデミー賞のように「All or Nothing」、
勝つか負けるか、その厳しさが華やかな中にも威厳と権威をもたらすのとは大違い。
何となく仲良しこよし的な雰囲気、さらに進行に下らないタレントを起用して台無しです。
皆さんご覧になりましたか?ヒュー・ジャックマンのパフォーマンス!
オープニングの素晴らしい歌と踊り……言葉も出ません。
どんな才能が束になってかかって来ても彼の才能には太刀打ち出来ないでしょう。
何でもかんでもアメリカが凄くて日本はダメって言うつもりはありませんけどね……。

最近は年のせいかな……時間が経つのが本当に早いです。
薔薇はどうする?タイムリミットはもうスグそこだよ、ブノワ。さん!

写真の蘭……撮影で訪れたお宅の奥さまが、
友人のお祝いのパーティーのために外国で買って来たもの。
仕事での旅行です。大きな荷物に加え、家族へのお土産もあるでしょうに、
友人のお祝いの席のために蘭を溢れんばかりに買って来る心遣い。
そして、おそらくはその事実を本人には伝えていないのです。
本当の品の良さ、僕にいつも変わらぬ温度で接して下さることに感謝です。

さてさて、今月はブノワ。さんの誕生日強化月間……。
シィ〜んと静まり返った丑三つ時のように友人からの連絡が途絶えています(笑)


草々

2009年3月5日


ブノワ。


[Meryl Streep Online/Meryl Streep (1949~ )]
[Doubt/ダウト〜あるカトリック学校で〜 (2008)]
[Hugh Jackman (1968~ )]

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by raindropsonroses | 2009-03-06 00:00 | 向き向きの花束。 | Comments(18)