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匂いのいい花束。ANNEXE。

いい湯だな!

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助三郎 「お!八兵衛……どうだ、ご隠居は?」

 仙石原から塔ノ沢へと、助三郎、うっかり八兵衛、
 そして、かげろうのお銀の一行が早籠でやって来た。
 一足先に小田原を目指す水戸光圀、格之進と分かれ、
 仙石原の保浦さまのお屋敷で素晴らしい掛け軸と焼き物のコレクションを見せて貰った一行。
 早籠で後を追ったものの、どうやら光圀を見失ってしまったようだ……。
 今夜の宿、福住楼に落ち着いたものの、一向に光圀の姿は見えない。

八兵衛 「へ、それが皆目、行き先が分からないんで……。」
助三郎 「・・・・・おかしいな。小さな温泉町なのに。」
八兵衛 「助さん、そこの団子屋、美味でしたぜ!」
助三郎 「バカ者!」
八兵衛 「っと!あっしだって食い気ばかりじゃないんですぜぃ。
     庄屋さんと米問屋にも聞き込みしましたし、
     チョッとお湯に浸かって湯治客の噂話しにも耳を傾け……。」
助三郎 「お前は本当に呑気でいいな。ところで、お銀はどうした?」

 そこへ浴衣姿のかげろうのお銀 登場。
 ほんのりと頬を赤く染め、如何にも湯上がりと言った風情。
 後れ毛に手を添える姿が何とも艶っぽい。

お銀  「あら、2人ともお揃いで。」
助三郎 「お銀!お、お前もお湯に浸かっていたか。」
お銀  「ここ、福住楼はいいお湯ですよ……助さんも如何?」
助三郎 「お銀!それどころじゃないのだ。ご隠居が……。」
お銀  「あら、ご隠居さま?いらっしゃいましたよ。」
八兵衛 「あっ!やっぱり?ホラ、心配ご無用って!」
助三郎 「八兵衛!で、ご隠居はどこに?」
お銀  「あたしね、さっき女湯に行ったんですよ。
     ここ、福住楼は時間で男湯と女湯が入れ替わるじゃないですか。
     そしたらね、女湯に可愛らしいおじいちゃんが先に入っていたんです。」
八兵衛 「うへぇ〜!お銀、混浴?」
お銀  「バカだねぇ!そしたらそのおじいちゃん、前を手ぬぐいで隠したんです。」
助三郎 「お銀、ご隠居は変装しているのだぞ。」
お銀  「知ってますよ!でも、そのおじいちゃん、
     恥ずかしがって後ろを向いて、あたしにお尻を見せましたから……。」
八兵衛 「お尻を見せたから黄門さまってか!」
助三郎 「八!」
お銀  「それにね、おじいちゃん、『かぁ〜っかっかっかっかっ!』って笑っていたし。」
助三郎 「そりゃぁ、ご隠居さまだ……こら!お銀もお銀だぞ!」  



正月3日に恒例、吉例の箱根に1泊で行って来ました。
ここ数年のお決まり、年明けをゆっくりお湯に浸かって過ごそうっていう寸法です。
宿はこれまた常宿の塔ノ沢は「福住楼」です。
いいんですよ、静かで余計な事は全くしてくれなくて。
メンバーは、うっかり八兵衛こと、大親友のTくん。
それから、かげろうのお銀こと、傾城の美女Mちゃんとぼくの3人です。
Mちゃんは真面目にかげろうのお銀に似ているんです(笑)
電車の前に座った小学生2人が、

 「ホラ、前のお姉さん、水戸黄門でお風呂に入っている人に似ている!」って(笑)

2人とはかれこれ四半世紀の付き合いになります。歴史ですよねぇ。
ティーンの頃からの付き合と言うことになるのかな……3人とも全く変わりません。
一応、箱根ですから行きはロマンスカーで(笑)
帰りは勿論、疲れちゃいますから小田原から新幹線ね。
到着したその足で強羅に向い、蕎麦屋で腹ごしらえ。
施設巡りバスにて仙石原の「ポーラ美術館」へ。
素晴らしいコレクションを堪能した後は登山鉄道で塔ノ沢まで下り、
3時にはチェックインでした。日が高い内にチェックインする1番の理由は、
ここの素晴らしい丸風呂に入るためです。目の前の早川越しに、
向いの山々の樹々が湯船に映ってそれはそれは綺麗なんです。


桜の貳……今回はチョッと贅沢をして、宿で一番いい部屋を取りました。
吉川英治や里見弴が好んで泊まった部屋……ブノワ。さん、気分は平成の大文豪(笑)
次から次へと湧いて出て来る名文、美文、三島由起夫ばりの華麗なる修飾語……。
ハァ、一ヶ月くらい長逗留して執筆に専念してみたい。
その部屋には内風呂が付いているんです。勿論、源泉かけ流し。
お湯を楽しんだ後は、ビールを飲みながらチョッと年賀状書き(笑)
3人とも三々五々、好きなことをして時間を過ごします。
夕飯と朝食は、未だ松の内ということで、お節料理を中心に、
伊勢海老、蚫、めでたいで 鯛、数の子、それから足柄牛の陶板焼き……。
紅白の餅を使った雑煮……新年、目出度く縁起のいい食材が並びます。
朝食なんて夕食並みのボリュームと華やかさでした。
特に「福住楼」は御飯が美味しいんですよねぇ……どこの米?どうやって炊いている?

気の置けない親友との旅はいいです。気を使って無理に喋らなくていいし、
お互いの顔色を盗み見ることもありません。3人が3人とも自然体。
次回は長野の鹿教湯温泉に行く予定になっています。

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今日の写真は、先ず、「福住楼」の部屋の庭で撮った1枚。
枯れて色がなくなった庭に山茶花の赤が鮮やかでした。
それから、ポーラ美術館で撮った可愛らしい人形。
これ、何所にあるか分かる人は、可成りの観察眼の持ち主とお見受けします。
それから宿自慢の丸風呂に、帰宅前に寄った「彫刻の森美術館」のヴァンジの作品。
実は、年末に電池切れになった僕同様、何と、カメラもスイッチを入れたら電池の残り僅か!
騙し騙し撮った30枚の中からの写真でした。

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正月明けの箱根で「第63回紅白歌合戦」の話題になりました。
実は僕、大晦日に友人が遊びに来て食事をしたので、
見るとはなしに紅白のスイッチは入れてありました。ほぼ、見ていませんが、
相変わらずジャニーズとアルファベット&数字の女の子たちのまがまがしい騒乱。
双方、清潔感0。およそ「芸」とは程遠い、学芸会的な出し物が……。
年々ヒドくなって行きますね。ハイハイ、見なければいいんでしょう?(笑)
ある歌手が、「何故、紅白に出場することが「おめでとう」か分からない」
と、発言してチョッと話題になりましたが、
何も不思議がることはないのです。歌謡曲&演歌全盛の時代は、
光り輝くスター歌手が沢山いて、年間を通じて2〜3曲の新曲を出し、
ヒットさせしのぎを削っていたのです。大ヒットがあればまぁまぁ安泰。
コンスタントにスマッシュヒットを出し、国民に愛され、
それでもなお、強力なライバルたちがいたので安心出来ない……。
そんな中での紅白出場……だから「おめでとう」なの。
紅白を止める勇気もなく、ただただ視聴率を稼ぐためだけの出場歌手選考の今と、
素晴らしい歌手たちがしのぎを削った昔では紅白出場の価値が違う……。
しかも、今は、圧倒的に出場に値する歌手がいない。
今年はさすがに一組もいませんでしたが、訳の分からない韓流タレントや、
ヒット曲が一曲もないのに昔の名前(曲)で出ている歌手……。
昔はちょこっと売れただけじゃそう簡単に紅白には出られなかったのです。
業界にいればそんなこと考えずとも明白なハズなのに。
チョッと反骨精神見せてみたかったかな?

さて、今年の紅白の前半戦を見ていて何となく連想したのは……。
皆さん、想像してくださいね。パチンコ玉が一杯入った箱を2階に運ぶ途中、
階段に足が躓いて、パチンコ玉を全部引っ繰り返してしまいました。

 「バラバラバラバラバラバラ……。」

小さくて鈍い光のパチンコ玉が騒々しい音を立てながら階段を落ちていきます……。
今の紅白、芸能界はこんな感じです。小粒で偽物のタレント(才能)のオンパレード。
昔は一粒一粒が大きかった。他の飾りなしで、それだけのまばゆい光だけで十分だった……。



君は「ヨイトマケの唄」を聴いたか!

美輪明宏の「ヨイトマケの唄」……ビックリしちゃいました。
勿論、美輪さんの舞台もリサイタルも観ていますが、改めてという意味です。
ベッドで、うつらうつらしていたんですが、偶然、全曲聴くことができました。
圧倒的な存在感。飾りを一切捨て、己が才能一つで、
会場とお茶の間、放映する全世界に対峙する度胸と誇り……。
見事でした。父ちゃん、母ちゃん、子供、いじめっ子、成長した子供……。
声色を少しだけ変えることにより見事に何役も演じ分ける巧み。
いやぁ……年の瀬に素晴らしいステージを見せて戴きました。
紅白出場歌手、全員束になってかかって来ても、美輪明宏の眩い輝きには適いません。
巨大なダイヤモンドかサファイヤか。本物の「芸」とは斯くあるべし。
美輪明宏オンステージ、究極の美輪劇場。禍々しい紅白のステージが、
極上の舞台へ一瞬の内に早変わり……イヤぁ、本物を観せて戴きました。


2013年1月12日


ブノワ。


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by raindropsonroses | 2013-01-12 00:00 | 旅の栞。