人気ブログランキング | 話題のタグを見る

匂いのいい花束。ANNEXE。

仕事の質は、人生そのものの質……半沢直樹。

仕事の質は、人生そのものの質……半沢直樹。_e0044929_1545357.jpg
………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

このブログ、9年目を迎えてなんと1348もの記事を書いてきました。
薔薇のこと、旅の思い出、猫のこと、美味しいレストランのこと……。
美しいものに関するこのブログの一番人気のないジャンル(笑)
映画や演劇に関する記事(天井桟敷の人々)も、
自分なりに(苦心して書いただけあって)大層、気に入っているジャンルです。

さて、9年目を迎えて、この「天井桟敷の人々」に、
初めてテレビ・ドラマのことを書いてみたいと思います。
僕、テレビは全く見ませんからね……連続ドラマはもっとです。
マメマメしく毎週〜テレビの前に陣取ったのは、
遡れば山口百恵の「赤いシリーズ」以来じゃないでしょうか……古い?(笑)

ある日曜の午後、映画を観て帰宅し、
偶然にスイッチを入れた画面に、あるドラマの初回の放送分が流れていました。
タイトルは「半沢直樹」。
簡単な昼ご飯を用意し、見るとはなしに眺めているうちにハマっちゃったんです(笑)
その放送は前の週に放映された第一回目の再放送、
その晩に放映される第二回を盛り上げるためのものでした。


主人公の半沢直樹の口グセ、キメ台詞……。
面白いの……死んだ母の口癖を思い出しちゃったんです。

 「お前、やられたら倍にしてやり返しな!」

これ、死んだ母が良く僕に言った台詞。
半沢直樹のキメ台詞に似ていますよね。
別に鬼のような母じゃなかったし、
決して攻撃的でもないしスパルタな人でもありませんでした。
母は曲がったことが大嫌いで真直ぐな人、面倒見が良くて優しい人でした。
主人公、半沢直樹の性格に似ている?
チョッと気に入っちゃったので珍しくその晩の第2回放送を見て……もうドップリね。

ドラマの魅力は何でしょうね。
半沢直樹がダメな上司や会社の体制、規則に反抗してまで、
己の信条を貫くところ?ギリギリまで追い詰められても決して諦めず、
最後まで全力を尽くす姿勢に心打たれるのかな?
ダメ上司、強烈にイヤな上司がやり込められるシーンに流咽を下げる人もいる?

 「正しいことを正しいといえること。」

と、原作にあるように、皆、半沢直樹の生きざまに共感するんでしょうね。


そのどれも当たっているのだと思うけど、
僕はいかにもテレビ的なクローズアップの多様と、
それに負けない役者陣の「顔の演技」が気に入っちゃったの(笑)
浮世絵の「大首絵」のように、画面からはみ出さんばかりのクローズアップ。
クローズアップは舞台にはない映画やテレビ独特の技法。
でも、テレビでこれだけ派手派手しく大仰にやるのは珍しいです。
香川照之なんて凄いものね(笑)この方、本当は人のいい優しい顔つきなんだけど、
悪辣な常務取締役以外の何者にも見えない(笑)
以前、和歌山毒カレー事件の時に、 僕が尊敬するイラストレーターの
山藤章二が当時の容疑者の顔を見て、

 「この善人顔の女性が犯人だったら、
  顔に性格が出ると言う考え方を根本から変えなければならない。」

と言うような意味のことを言っていたのをフと思い出します。
奥歯に力を入れ、耳を動かすだけで一瞬の気持ちの変化を表現する香川照之に脱帽。
金融庁の黒崎を演じるラブリンの愛称で親しまれる、
片岡愛之助のオネエっぷりも凄い(笑)怪演ですね。
大仰な顔の演技は恐るべし歌舞伎役者たち!
主役の堺雅人も大変に好演だけど、特に脇を固める共演陣が素晴らしいです。
悪役も小悪党も嫌味な上司も半沢の友人たちも……皆、魅力的に描かれているのも大きいです。
特に悪者!上司に媚へつらい上におべっか下に意地悪く厳しい連中の魅力的なこと!(笑)

舞台を中心に活躍する役者が沢山出ていたのも嬉しいし、
新しい役者を沢山知る切っ掛けになったドラマでもあります。
皆さん、大芝居、小芝居、持ってるテクニックを存分に発揮出来て楽しかったんじゃないかな。

最終回が昨日放映されました……なんだか淋しくなります。

今、カバンの中に「半沢直樹」の原作の「オレたちバブル入行組」と、
「オレたち花のバブル組」「ロスジェネの逆襲」が入っています。
いい台詞が盛り沢山です。

 「仕事の質は、人生そのものの質に直結しますから」

肝に命じました。


今日の写真は随分前にパリはオルセー美術館で取った1枚。
このころはデジタルカメラなんてなかったから、
フィルム1眼レフと予備のフィルム持って歩き回っていたなぁ……。
出世、出世……人事に戦々恐々とし、1つしくじれば片道切符の出向。
上るだけ上らされて梯子を外される生き馬の目を射抜く世界。
激しい椅子取りゲームを繰り広げるサラリーマンの悲哀。
続編……出来るでしょうか。出来ますよねぇ……。
あのラストシーンはスグに新シリーズ作る気満々の終わり方。
原作、素晴らしいし、テレビ局ってえげつないですから(笑)
それにしても土下座や謝罪シーンが多いドラマだったなぁ……。


2013年9月23日


ブノワ。


★Copyright © 2005~2013 raindropsonroses, All Rights Reserved.
by raindropsonroses | 2013-09-23 00:00 | 映画館へ行こう。