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匂いのいい花束。ANNEXE。

いつまでもいっしょに。

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 「いゃぁ……信じられなぁ〜い!」

一際、大きなKの声が部屋中に響き渡った。

今から遡ること20年前、横浜中華街の「横浜大飯店」の広い個室でのこと。
その日は僕の誕生日を兼ねて友人20が集まり、
お祝いを兼ねて夕飯のテーブルを囲んでいたのでした。
メニューは当日僕のためにわざわざお祝いに駆け付けて下さった、
今は亡き宮本美智子さんが提唱していらした「世にも美しいダイエット」から。
丁度、会話が途切れた時に響いたその声。皆が一瞬注目する。

 「だってもう大人なんでしょう?」

周りの視線を一身に浴びて、チョっといい気になったKの声が一際大きくなる。
Kは今は倒産してしまったけど中堅どころの出版社に勤める女性。
今では死語になった感のある、所謂、キャリア・ウーマンを自認している。
僕の誕生日会で親しい仲間が集まると聞き、
僕の長年の悪友でお乳母日傘の愛すべきM(男)に頼み込み急遽参加したと言う訳。
僕とMはその大きな声に思わず顔を見合わせる。

 「だってその人、いくつなんですか?もう30才なんでしょう?
  私の中ではそれは有り得ないわぁ……信じられない。」

どうやらKは隣の女性と親と同居するすることについて話していたらしい。
既にKの独演会だ(笑)今やKは隣の女性から周りの皆の方に顔を向け、
持論をとうとうとまくしたてはじめた。

 「30才を過ぎて親と同居なんて無理!
  そんな自立していない人、ワタシは嫌いだわぁ……皆さんそう思いませんか。
  だって気持ち悪いじゃないですか。ワタシ、そんな人だったら恋人失格。
  いえいえ、人間失格よ!」

僕とMだけじゃなく、皆、何となく気まずそうに視線を交わしている。
宮本さんも僕の顔を見て何やら面白そうに成り行きを見守っている。
そう、皆、知っているのだ。僕とMが今だに親と同居していることを(笑)

周りの微妙な空気を読めず、さらにヒートアップするK。
訳知りの皆が誰も相槌を打たないものだからさらに加熱しちゃったのかな?
このままだと収集が付かないし、後で気まずくなるし、
これ以上、人格&存在を否定され人間以下にされてもかなわないので(笑)

 「そうですよねぇ、30才過ぎて親と同居は有り得ないですよね!
  Kさんもそんな甘ったれじゃない恋人見つけなきゃね!」

一言言ってその話題は打ち切りました。
今となっては懐かしい思い出、知らぬ間にバブルがとうに崩壊し、
夢うつつが過ぎ去った好景気の余韻に浸っていた頃のエピソードです。



先日、実家を出たくて出たくて仕方がない後輩と話していて、
この懐かしい笑い話を思い出しました。
僕の両親は既にこの世にいなく、Mもお父さんを亡くし、
今はあまり調子がすぐれないお母さんと同居して面倒を見ています。

僕の人生なんて大したものじゃないし、自分の事で精一杯、
世の中に大して貢献もしていない平々凡々な人生ですが、
大勢の素晴らしい友人に恵まれ、充実した毎日を送っています。
後悔することもないし、ささやかな夢に向って一生懸命に生きています、
たった一つだけ心残りなのは、もっと母に親孝行したかった……それだけが悔やまれます。
何しろ母の今際の際の言葉が「お前、もっとしっかりしなさいよ……。」でしたから。
僕の植物好き、動物好きは母親譲りです。
出来ればオリジナルの薔薇のデビューまで元気でいて欲しかったし、
ドームを案内して歩いてみたかった。これほど誇らしい事があるでしょうか。
麻実さんの舞台に連れていって、

 「あなたの息子はこんなに素晴らしい女優さんに薔薇の名前を貰ったんですよ!」

胸を張って自慢したかったです。
そして母もきっとそれをどれ程、自慢に思ったかしれません。


僕ね、思うんです。
可能な限り親の近くにいて面倒を見てあげなさいって。また、見て貰いなさいって。
洗濯して貰ったっていいじゃない。ご飯の支度をして貰って何が悪い?(笑)
親だって多少、迷惑かけられたって、「仕方ないわね」と、ボヤキつつ、
却って毎日に張り合いが出来ていつまでも元気でいられると言うものです。
いつかお別れは来るのだし、孝行したい時に親はなし……ですから。
若くして家を出ても、親の脛が骨になるまで齧っちゃうヤツもいるし(笑)
同居していても精神的、金銭的にきっちり独立しているヤツもいる。
親子の関係は十人十色、色々あるから一概には言えないけど、
親と同居しているからダメ……これこそ有り得ない短絡的な考え方。
僕はそう思います。皆さんは如何ですか?

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今日の写真は麻実れいさんにお名前を戴いた薔薇「Rei」。
天国の母は赤い薔薇が好きでした。薔薇は赤……そう思っていたようです。
見送る最期の日、棺には春先からグングン伸びた「Sophia Loren」の、
1メートルはあろうかと言う見事な大輪の花を1輪手向けました。

「Rei」……素晴らしい姿に相応しい匂いを持ち合わせたいい薔薇だと思います。
麻実れい……偉大な女優の名前に相応しいかどうかは自分では判断つきかねますが、
ステージ上の麻実さんの華麗な姿を彷彿とさせるいい薔薇だと思います。


2013年10月24日


ブノワ。


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by raindropsonroses | 2013-10-24 00:00 | 儚いもの。