匂いのいい花束。ANNEXE。

失われた薔薇を求めて……ピーター・ビールズ。

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拝啓……hさま。

すっかりご無沙汰しております。6月も中旬を過ぎ、梅雨真っ直中です。
その後、如何お過ごしでしょうか。少しは落ち着きましたか。
一段落しましたら、ごくごく少人数で一杯やりませんか?

さて、今日は、先日お名前が出たピーター・ビールズの誕生日です。
僕ら、薔薇好きが決して忘れる事の出来ないビッグ・ネーム、
本国イギリスでは「King of Roses」と呼ばれているらしいですね。
僕は、この称号、御本人は決して喜んでいないと思うのですが……。

兎に角、彼のオールド・ローズにかける情熱は凄いです。
今現在、これだけ世の中にオールド・ローズが広まったのも
彼とグラハム・トーマスのお陰と言っても過言ではないでしょうね。
実際、僕も、国内で手に入らない珍しいオールド・ローズは
全てピーター・ビールズのナーサリーから直接輸入しています。
多い時で、1シーズンに60本、なかなか面白いものですよ。

彼と薔薇との付き合いは、何と50年以上も前に遡ります。
薔薇に惹かれるようになったのは、小さい頃、イギリスは、北ノーフォークの
祖父母の庭で「Maiden's Blush」に出会ったのがキッカケとか。
薔薇に仕事として関わったのは、Edward Burton LeGriceの薔薇園だそう。
僕の家にもある「Allgold」などの作出家ですが、ピーター・ビールズは
そこでラベル書きから彼の薔薇人生をスタートさせたみたいですね。
以来、半世紀にも渡り、古い薔薇の発見と育成に時間を費やして来ました。
いまだに、時間がある時には、人里離れた山奥や、鄙びた古い修道院を
歩いているそうですね。古い修道院には失われたと信じられている
薔薇が密かに生息している可能性があるからなんです。
キリスト教の黎明期から白薔薇は聖母の純潔の印として、
また、赤い薔薇はキリストの血の象徴、受難の印として愛されて来ましたが、
中世の暗黒時代、「享楽の花」としてことごとく駆逐されました。
当時は、薔薇の美しさを愛でる一方で、薬としての薬効を珍重された薔薇、
厳しい迫害にあいながらも、教会や修道院の片隅で密かに栽培されていたのです。
その秘密の薔薇が今現在もどこかに残っているかもしれない……。
まるで、少年のように夢で満ちたピーター・ビールズの心。
失われたと信じられている薔薇を求めて歩く姿に感銘を受けます。

残念ながら、今年はお目に掛かる事は出来ませんでしたが、
今日の写真は、そんな尊敬するピーター・ビールズへのプレゼント、
オールド・ローズのブーケです。「Rosa a Parfum de l'Hay」「L'Ouche」
「Reine des Violettes」「Cardinal Richelieu」それから
純然たるオールド・ローズじゃないものや、チョッと1本、
最近のものが混じっていますが、それはご愛嬌で許して戴くとして(笑)
同じ、心の底から薔薇を愛するものとして、
いつか僕のオリジナルの薔薇を見て戴けたらなぁ……そう思っています。

今度また、ゆっくりと時間を作って御飯でもしましょう。
まだまだ梅雨が続きます、体調管理は十分にして下さいね!


敬具

2006年6月21日


ブノワ。


[Peter Beales Roses/Peter Beales (1936~ )]
[Rosa a Parfum de l'Hay (HRg) Gravereaux, 1901]
[L'Ouche (C) Buatois, 1901]
[Reine des Violettes (HP) Millet-Mallet, 1860]
[Cardinal Richelieu (G) Parmentier, pre-1847]
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by raindropsonroses | 2006-06-21 00:00 | 薔薇の名前。