匂いのいい花束。ANNEXE。

もの言う花たち……めぐりあう時間たち。

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拝啓……Aちゃん。

こんにちは。メールありがとうございます。
随分と興奮した内容でビックリしました(笑)
漸く観たんですね「めぐりあう時間たち」。DVDですか?
メリル・ストリープは僕の永遠のヒロインですし、僕は劇場で4回観ました。
監督のスティーブン・ダルドリーって前作は「リトル・ダンサー」でしょう?
うぅ〜ん、なかなかの傑作ですよね。僕は両方とも大好きです。
ヴァージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」をモチーフに
3つの時代の3人の女の人生をたった一日に凝縮して描く手法も面白いですね。

1923年、ロンドン郊外/ヴァージニア・ウルフ
1951年、ロサンジェルス/ローラ・ブラウン
2001年、ニューヨーク/クラリッサ・ヴォーン

常々思うんですが、映画や舞台は、自ら進んで騙されることが必要です。
疑いや細かい所に心とらわれず身体を作品にゆだねる……。
いい作品は観客が騙されるキッカケがちゃんと用意されています。
「めぐりあう時間たち」もその一本。時代、場所はそれぞれ違うけれど、
冒頭、寝ている3人の女、鳴る目覚まし時計、
髪を結い洗顔するクラリッサとヴァージニア、
それらの場面がパッパッパッっと……次から次へと切り替わる。
そして、この映画のとても大事なキーワード……。

『ミセス・ダロウェイは、お花はわたしが買って来るわ、と言った。』

この「ダロウェイ夫人」の冒頭の一行を3人の女に言わせる事によって
僕達は完全に物語の中に入ることが出来る。見事に騙されちゃう訳です。

僕が面白いと思ったのは花の使い方。全編、溢れるばかりの花が出て来ます。
冒頭、ヴァージニアは薔薇のアーチを抜けて小川へと急ぎ、
クラリッサは抱えきれない程のラナンキュラスの花束を持ってリチャードの元へ。
ラナンキュラスの花言葉は「名声・名誉」「お祝い」の意味があります。
死に行くリチャードの部屋には花瓶に入った枯れた赤い薔薇。
その他、ローラの部屋には白い薔薇の壁紙、ダイニングには黄色い薔薇の花、
ヴァージニアの家には青い矢車菊、矢車菊の花言葉は「繊細な心」です。
クラリッサの部屋には赤いチューリップ、鉢植えのヒヤシンス、
バケツ一杯の薔薇の花、紫陽花……などなど。
何れは朽ち果てる花と女たちや廻りの人物の人生を対比させていて見事です。

ニコール・キッドマンは付け鼻をしてヴァージニア・ウルフに似せていましたが、
この映画が10年早く映画化されていたら、
メリル・ストリープがヴァージニア・ウルフでしょうね……ソックリですもん。

敬具


2005年8月22日  

ブノワ。


[めぐりあう時間たち/ The Hours (2002)]
[Virginia Woolf (1882~1941)/ダロウェイ夫人 Mrs Dalloway (1925)]
[Meryl Streep (1949~ )]
[Nichole Kidman (1967~ )]
[Julianne Moore (1961~ )]
[Stephen Daldry (1960~ )]
[リトル・ダンサー/Billy Elliot (2000)]


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[新・駒場バラ園を作る会]

ほっとけない 世界のまずしさ

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by raindropsonroses | 2005-08-22 00:00 | 映画館へ行こう。