人気ブログランキング | 話題のタグを見る

匂いのいい花束。ANNEXE。

僕達の勲章。

僕達の勲章。_e0044929_22133825.jpg
……………………………………………………………………………………………………………………………………………………

薔薇はイングリッシュ・ローズの「Troilus」……黒点病である。
ネーミングはシェークスピアの「トロイラスとクレシダ」から。
カタログや図鑑にも黒点病に注意と書いてあります。
12月23日に撮影したこの薔薇、開花はもっと早くて12月10日。
冬の寒さで約2週間、抜群の花保ちを見せました。
まさに今シーズン最後を飾るに相応しい美しさ、匂いはとっくに飛んでいるけれど、
一年間、薔薇を育てて来て本当に良かったと思わせてくれます。

しかし、僕の知り合いの中には黒点病やウドン粉病に犯された葉、
虫に齧られた後の葉を極端に毛嫌いする人もいます。
確かに、花も葉も、完璧な姿で咲かせることがベストでしょう。
また、そうして咲いてくれた時の嬉しさは格別です。
だけど、この日本の高温多湿、近年の亜熱帯化した厳しい環境の中で、
病虫害から完全に守った状態で薔薇を育てるのは不可能に近いこと。
各々が精一杯、工夫を凝らし、汗水垂らして薔薇を育て、
その結果として病気になったって仕方ないことだと思っています。
いいじゃない黒点病だって、ウドン粉病で葉が縮れてもかまやしない。
バンバン浴びせるように薬を撒き、じゃんじゃんコーティングするように薬を散布したって、
病気になる薔薇もある、何もしなくたって病気に罹らない薔薇もある。
薔薇と自然体で付き合って、結果、黒点病になったっていいと思うのです。
そう、黒点病は僕等の頑張った勲章、そう思えばどうって事ないじゃないですか。

何もコンクールに出す訳じゃあるまいし、
自分で育てた薔薇を眺めて、触れて、匂いを試して楽しむだけなんですもの。
僕は黒点病の薔薇の写真を公開することを恥ずかしいとは思いません。
第一、黒点病の部分の葉を毟ったら花だけの妙竹林な薔薇になっちゃう(笑)
病気の葉も、縮れた花弁も、一年間頑張った僕等への勲章です。

……………………………………………………………………………………………………………………………………………………

皆さんへ。

そろそろ今年の薔薇もお仕舞いに近付いて来ましたね。
頼んであった薔薇の苗が続々届いて欣喜雀躍の人もいるでしょうし、
また、来シーズンに向けてどのように薔薇と付き合うか、どんな風に仕立てるかに
思いを馳せている人もいることでしょう。
僕は、毎年、正月休みの手入れから、もう少し遅くして2月頃にしようかなぁと思案中です。
雨上がりのバルコニーで見つけた「Troilus」。イングリッシュ・ローズの銘花です。
約20年前のイングリッシュ・ローズは続々とリストから姿を消しつつあります。
耐病性?樹形?諸々の問題もあるでしょう。でもやっぱりいいと思うんですよねぇ……。
オースチンがシェークスピアから名前を好んでつけていた時代の薔薇、
黒点病に弱かろうがいいじゃないですか。
どのみち、夏以降は全部の薔薇が黒点病に罹るって言ったって過言じゃないんだから(笑)
全てを完璧に育てるのは不可能、神様だって出来はしないこと。
黒点病があったって、この薔薇の価値を貶めることにはなりません。
ビリー・ワイルダーの傑作「お熱いのがお好き」のラストの名台詞、

「Nobody's Perfect !」

完璧な人(もの)なんかこの世にないんです。
だったら勝手にいい方向に解釈した方が世の中が楽しくなりますものね。
来年はどんな薔薇と出逢うことが出来るでしょうか……今から楽しみでなりません。


草々

2007年12月26日 


ブノワ。


[Troilus (ER) Austin, 1983]
[David Austin Roses/David Austin (1926~ )]
[William Shakespeare (1564~1616)]
[Troilus and Cressida/トロイラスとクレシダ (1602)]

★Copyright © 2005~2007 raindropsonroses, All Rights Reserved.
by raindropsonroses | 2007-12-26 00:00 | 薔薇の名前。