庭は心を映す鏡。
「今年の薔薇はヒドかった……。」
そこここでそんな会話を聞きます。
我が家のバルコニーも先日の暴風雨で一気に花びらが落ち、
追い打ちをかけるような大雨で一気に終焉……。
まぁ、こんな年もあるでしょう……そう思いたいけれど、
それにしても花が終わった薔薇の園を見るにつけ
何となく悲しい気分になるのも嘘偽りのない事実です。
ほぼ、薔薇だけで纏められたバルコニーですから、
それまで華やかだった花が終わってしまえば、
一抹の寂しさと共に何やら虚しさすら感じてしまうのでしょうけど、
僕は薔薇の花は勿論、葉も刺も大好きですからいいようなものの、
普通の人には何とも物足りない風景に映るでしょうね……。
今年の薔薇の春は短かったことに付け加え、交配を再開しましたから、
その惨状たるや想像を絶する程で(笑)何のために薔薇を育てているのか、
初めてお迎えした薔薇の花と名前が一致しないなんて
当たり前になってしまった余裕のなさが淋しかったりもします。
そんな5月下旬、霧雨が緩やかに舞う午前中、
敬愛する薔薇の先輩と一緒に友人のお庭を見せて戴きました。
初めて降り立つ駅で待ち合わせ、わざわざ車で迎えに来て下さった方のお庭は、
艶やかな色彩の薔薇こそ目を引くものの、よく目を懲らせば、
様々な草花が薔薇に肩を寄せ、僕等が「雑草」と呼び忌み嫌う草花までが、
花の女王、薔薇となんら別け隔てなく肩を並べて植栽された素敵な庭ででした。
植栽と書いたけれど、人の手で植えた感じはまるでしません。
種が風に運ばれ自然に芽吹いた感じ、
昔からそこに生えていたかのような錯覚に陥ります。
「庭は心を映す鏡である……。」
また、管理する人の人柄や生きて来た全てを映す鏡……霧雨に濡れた土の匂い、
薔薇は勿論、ハーブなどのむせるような匂いに包まれて
濡れるのも構わずシャッターを切りました。
ご本人は「薔薇もある庭」と謙遜しますので、
薔薇だけを紹介したいと思います。
皆、雨に頭を下げジッとしている姿は可憐そのものです。
僕がリヨンで見たのと同じように自然樹形に育った「Mme, Alfred Carriere」、
矢張り、この薔薇は大きく育ててみたいものです。
2枚目の写真は「Wisley」……なんて可憐なんでしょう。
3枚目の写真は驚異の「Lordly Oberon」……ウチでは一輪しか咲かなかったのに(笑)
この薔薇は一番外の花弁が薄緑になり、茎と同じ色になるのが特徴ですね。
4枚目の写真は遅咲きの「The Ingenious Mr. Fairechild」
5枚目は僕等をお出迎えしてくれた玄関先の「Brother Cadfael」。
どの薔薇も薄物のシルクに真珠を散りばめたような美しさ……。
薔薇は俯く方が美しい……改めてそんな思いを新たにし、
来春に向けて自分のバルコニーの有りようを考えさせられる一日でした……。
草々
2008年6月6日
ブノワ。
[Mme. Alfred Carriere (N) Joseph Schwartz, 1879]
[Wisley (ER) Austin, 2004]
[Lordly Oberon (ER) Austin, 1983]
[The Ingeniouse Mr. Fairchild (ER) Austin, 2004]
[Brother Cadfael (ER) Austin, 1990]
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