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匂いのいい花束。ANNEXE。

2005年 12月 06日 ( 1 )

誰も座る人のない椅子……ドア・イン・ザ・フロアー。

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拝啓……Oさんへ。

肌寒い週末でしたが、如何お過ごしでしたか?
最近は北風が冷たく感じられますね。
近年の暖冬は何処へやら、ごくごく普通の冬のようです。

さて、今日はチョッといい映画の話しです。
先日、友人と恵比寿でランチでした。少し時間があったので
何か観ようと言う事になり、選んだのが「ドア・イン・ザ・フロアー」です。
随分前から宣伝を見て、必ず観る積りではいましたが、
これがどうして、期待を裏切らない出来になっていました。

最近のCGで描かれた特撮物に飽き飽きしていましたから
俳優の演技のみで構成されている作品はかえって新鮮そのもの。
交わす視線、台詞の間、声のトーン……若者が一目で年上の女性に恋する瞬間、
夫が妻と若い男の浮気を知る一瞬……久し振りに演技のスリルを感じました。

今日が誕生日のキム・ベイシンガーは本当にいい女優になりましたね。
「ナイン・ハーフ」など、若い頃の彼女はどちらかと言うと苦手だったんですが、
「セルラー」も面白かったけど、何と言っても「8Mile」の母親役!
あんなに素晴しい女優だとは思ってもいませんでした。
ここ数年、40才、いえ、50才を過ぎてからさらに美しくなりました。
チョッと奇跡的ですね(笑)美しい女性の代名詞です。

ジョン・アービングの作品の映画化は、結構、秀作揃いで、
まず「ガープの世界」「ホテル・ニューハンプシャー」「サイダーハウス・ルール」
この「ドア・イン・ザ・フロアー」は原作の1/3の前半部分を映画化しました。
成功する秘訣は、ジョン・アービングの持っているユーモアを
上手に作品に繁栄出来るかに掛かっているんじゃないかなぁ……そう思います。
それから、彼の原作の映画化って脇役が非常にいいですね。
これは、原作の重要な脇役を上手く肉付けした結果だと思いますが、
まだ脇役だった頃のグレン・クローズ、ジョン・リスゴー、
超個性派アマンダ・プラマー、そして、ポール・ラッド……。
主役を食っちゃうほどの怪演です(笑)

ある家庭に、一人の「他人」が入り込む事によって家庭が崩壊し、
それぞれの関係が微妙に変化して行くと言う作品は沢山ありますね。
例えば、ヴィスコンティの晩年の傑作「家族の肖像」がそうです。
「ドア・イン・ザ・フロアー」も、一人の作家志望の青年が一夏を過ごすために、
ジェフ・ブリッジス扮する作家のコッテージに来る所から始まります。
それぞれが関わりを持つうちに明かされて来る家庭の秘密……。
幸せの象徴でもある家族の写真が一枚を覗いて全て無くなった家、
ラスト、カメラが引くと、壁に残った額縁の日に焼けた跡だけが虚しく残ります。
廊下の一番奥には、誰も座る人がいなくなった椅子……Empty Chair。

今日のは写真は、ディエップから車で15分の所にある、Varengeville-sur-Mer、
ヴァランジュヴィル・シュル・メールの「Manoir d'Ango・マノアール・ダンゴー」
と言う、フランス16世紀、大航海時代の大船主ジャン・アンゴーの屋敷跡で撮影。
外観を残して住む人もいなく荒れ果てた広大な屋敷は鳩の住処になっていました。
何故か置かれたアイアンの椅子……Empty Chair……今は座る人もいません。


敬具

2005年12月6日


ブノワ。


[The Door in the Floor/ドア・イン・ザ・フロアー (2004)]
[Kim Basinger (1953~ )]
[Jeff Bridges (1949~ )]
[Cellular/セルラー (2004)]
[Nine 1/2 Weeks/ナイン・ハーフ (1986)]
[8 Mile/8 Mile (2002)]

[John Irving (1942~ )]
[A Widow for One Year (1998)/ドア・イン・ザ・フロアー (2004)]
[The Cider House Rules (1985)/サイダーハウス・ルール (1999)]
[The Hotel New Hampshire (1981)/ホテル・ニューハンプシャー (1894)]
[The World According to Garp (1978)/ガープの世界 (1982)]
[Glenn Close (1947~ )]
[John Lithgow (1945~ )]
[Amanda Plummer (1957~ )]
[Paul Rudd (1969~ )]
[Luchino Visconti (1906~1976)]
[Conversation Piece/家族の肖像 (1974)]
by raindropsonroses | 2005-12-06 00:00 | 映画館へ行こう。